2004年9月7日(火)「しんぶん赤旗」
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去る七月九日の深夜、静岡市の沼上清掃工場の灰溶融施設内で、二回の爆発音とともに火災が発生しました。
この施設は、隣接するごみ焼却施設ででた焼却灰を溶融固化するために建設され、今年の四月に稼働したばかりでした。メーカーは日立造船。一日の処理能力は百二十トンで、六十トン炉が1号炉、2号炉と二基あります。事故を起こしたのは、そのうちの2号炉でした。
八月二十三日、現地調査に参加し、事故のすさまじさに息をのみました。三階まで作業用階段を上り、2号炉の周辺に行くと、一五〇〇度近くに熱せられたスラグ(溶錬の際に生じるかす)および溶融金属が、厚さ二十センチの耐火レンガと二・二ミリの鉄板を突き破り、溶融炉にできた穴(二十四×十センチ)からあふれだし、付近のベルトコンベヤーのゴムを焼き、そして、金属製の直径十五センチはある冷却水の管を溶かし(溶けた管の長さは四メートルに及ぶという)水蒸気爆発を起こしたということです。
冷却水の配管のつなぎ目の金属の部品だけが残って、焼けただれた床にゴロンところがり、冷却水の管はほとんど跡形もありません。炉周辺の歩行のための鉄板もかなり焼けただれ、足元が危なっかしい状況でした。
さらに、流れ出たスラグは、炉内の八割、計七トンにのぼるということですが、それが炉の周辺に不気味に黒く固まっており、事故のすさまじさを見せつけていました。2号炉は、爆発の力で一〇度傾いたとのことで、爆発力のすごさをあらためて実感しました。
さらに、隣の1号炉も2号炉の爆発の影響を受けていました。炉を冷やすために炉のすぐ周りにはりめぐらされた冷却水スプレー装置が、2号炉の水蒸気爆発によって、個々のスプレー室にある厚さ五ミリのアクリル製窓ガラスがすべて溶けてしまって、グニャッと固まっていました。被害は隣の1号炉にも及んでいたのです。
灰溶融炉は高さ三メートル、直径三メートルの大きさです。炉の上方の窓から炉内をのぞくと、炉の穴(耐火物摩耗による破口部)がはっきりと見えました。厚さ二十センチのレンガと鉄板に、稼働わずか三カ月後に、なぜこのような穴が開いたのか、非常にびっくりしました。
さらに、一五〇〇度前後の高温のスラグのすぐ隣り合わせに、冷却水のスプレーや配管装置がはりめぐらされていました。何かトラブルがあった場合には、水蒸気爆発は避けられない構造になっているのに、安全チェックはどうなっているのか、なぜ炉に穴があいているのを発見できなかったのか、単純な疑問が次つぎにわいてきました。
今回の事故では、三重県のRDF(ごみを固形化して燃料にする)施設や、東京大田区のリサイクル施設での爆発、火災事故のように、消防士さんたちのかけがえのない命が奪われるという大惨事には至りませんでした。
しかし、事故を消防に通報したのは、爆発音を聞いた近所の住民で、消防が事故を知ったのは、爆発の三十分後だったということです。
ここに、市および施設側の事故隠し体質、安全への無神経ぶりが顕著に表れているといえます。
市は、今回の事故について、「想定外の事故」とくり返し、市、施設側は、事故対応マニュアルも、緊急消火システムも持っておらず、炉の爆発を作業員に知らせる感知警報システムも設けていなかったということが、事故後に明らかになりました。
さらに、六月の三カ月点検で、炉に穴があいていることや、穴の周辺の炉内耐火物が九割以上もすり減っていることを発見できなかったのです。まったく、市やメーカーの安全対策に対する無策ぶり、無関心ぶりはひどいものです。
結局、ごみ処理施設でも、原発と同じように、建設優先、安全無視、つくられた「安全神話」が、各地で頻発する事故の原因となり、尊い人命まで奪ってしまっているのです。(つづく)
(いわさ・えみ 日本共産党市民・住民運動局長)