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2024年10月4日(金)

主張

インボイス1年

営業と暮らしへの害悪明らか

 自公政権が消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入を昨年10月1日に強行して1年余りが過ぎました。現場では、新たな税負担、免税事業者の排除、複雑な制度による膨大な事務など恐れていたことが、小規模事業者やフリーランスにのしかかっています。

 営業と暮らしに与える害悪は明らかです。制度の廃止は死活問題です。

 業者間の取引でインボイスがないと、仕入れ分の消費税を差し引くことができなくなりました。インボイスは課税事業者でないと発行できません。年間売上高1000万円以下の免税事業者は、課税事業者になってインボイス登録をすることを迫られています。

 免税制度があるのは、零細な事業者は価格を自分で決める力が弱いからです。課税事業者になると利益を削り、身銭を切ってでも消費税を納めなければなりません。財務省の試算では、免税事業者の年間粗利益は平均154万円で、課税事業者になった場合、15万円の消費税負担が生じます。

■税率変えず増税

 インボイス制度により、これまで納税を免除されていた零細事業者やフリーランスが課税されることで新たに生じる消費税収入は2024年度で約1700億円になります。導入から3年間は消費税納税額を2割とするなど負担を軽減する時限措置がありますが、段階的に縮小されるため、事業者の消費税の負担はさらに重くなっていきます。税率を変えない消費税増税と言われるゆえんです。

 「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が制度開始後初の確定申告を受けて実施したアンケート調査には、2週間で7000人超が回答をよせました。全回答者の9割超がインボイス制度にデメリットを感じており、制度の見直しや中止を求めています。

 消費税の負担感について、インボイス登録事業者の6割が「負担軽減措置終了後のめどが立たない」「負担が大きく、事業が成り立たなくなりそうだ」と回答しています。6割超が消費税や事務負担の費用を価格転嫁できず、「身を削ってほてん」しています。

 また、免税事業者の4割超が、制度開始後に重要な取引先からの値引き・発注量の減少など、なんらかの不利益を被っています。

■悪魔の二者択一

 インボイスは免税事業者が、インボイス登録をするか、消費税相当分の値引きをするかの「悪魔の二者択一」を取引先から迫られる制度です。物価高騰のもと、零細事業者やフリーランスとして働く人たちに深刻な負担増をもたらし、多数を廃業の危機に追い込みます。

 一方、大企業優遇税制は、研究開発減税だけで7636億円(22年度)にのぼります。大手半導体メーカーには1社で約1兆2000億円の補助金を出しています。大企業優遇を改め、中小・零細たたきをやめるべきです。

 多くの反対の声にもかかわらず、政府がインボイス導入に固執するのは、複数税率の消費税大増税へのレールを敷くためです。

 消費税を一律5%に減税すればインボイスの口実も無くなります。インボイス制度はきっぱり中止すべきです。


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