2002年11月27日(水)「しんぶん赤旗」
二十二―二十四日にタイの首都バンコクで開かれた第二回アジア政党国際会議に出席した日本共産党の緒方靖夫国際局長・参議院議員と笠井亮国際局次長・前参議院議員が当地での活動について語り合いました。(バンコクで北原俊文)
![]() クライサック・タイ上院外交委員長(中央)と話し合う緒方氏(左)と笠井氏(右)=25日(北原俊文撮影) |
緒方 アジア政党国際会議には今回が初参加でしたが、二党間、多党間の話し合いをするうえでとても政治的にいい機会でした。会議場だけでなく、食堂だろうがエレベーターの中だろうが、会ったその場で、タイ政府の閣僚や、アジアの多くの党の人と話し合える貴重な機会になりました。
東アジアから西アジアまで、中央アジアから南アジアまでの広い地域のいろんな党と、日本共産党として交流できたことは、重要なことでした。
笠井 開催国のタイをはじめ各国から、与野党を問わず、党指導者や現、元の首相や閣僚もたくさん出席していて、それらの人々と直接話し合えたことも大きな収穫でしたね。
緒方 会議運営はとても民主的で透明でした。発言の順番は国名のABC順で、複数の党が参加していれば一国の中で党名のABC順。国の大小、党の大小を問わず、発言はみな五分間と、平等な扱いでした。
そんな居心地の良い雰囲気の中で意見交流ができ、立場の違いがあっても、互いに交流し、知恵と経験を分かち合い、学び合うという真摯(しんし)な会議だったと思います。
笠井 アジアと世界が直面する多くの課題が本会議でも、政治、経済、社会の三分科会でも討論され、全体で一つの会議になっていましたね。
緒方 会議での発言が重要だったのは当然ですが、この機会に参加各党と多面的に話し合えたのもうれしいことでした。そんな場で、例えば韓国の人から「あなた方が発言で述べたような共産党なら、私たちにも受け入れられる」と声をかけられました。
過去に日本の侵略戦争に反対して迫害を受けた党だということを知って、「認識を新たにした」という評価を受けたりもしました。会議で発言したことが各党との交流の話題につながり、そこからさらに日本共産党をより深く知ってもらうという「流れ」ができていました。
笠井 私が出席した経済問題分科会の議長は、タイの経済担当の副首相でした。分科会が終わった後であいさつをしたら、私の発言について、「あなた方の共産党には存在感がある」という評価を受けました。
経済のグローバル化(地球規模化)や国際的ルールの問題でも、日本共産党が責任をもって具体策を提起していることを直接、肌で感じてもらえたと思います。
緒方 日本共産党を看板にして話をしたからこそ、話が弾んだという印象でしたね。日本共産党を知らなかった人は実態を知って驚くし、ある程度は知っている人は、中東訪問など現実の国際問題に正面から取り組んでいる姿に驚くというふうで、「驚き」の中身が変化していることを痛感しました。
笠井 政治・外交問題でも経済問題でも、私たちが話したことが、東南アジアをはじめアジアの人々の問題意識とかみ合っていたと思います。
一九九九年の不破委員長(現議長)の東南アジア歴訪での交流を通じ、九七年のアジア経済危機からも「国づくりは自主的に」という教訓を引き出していることを話したり、その立場から日本の現状や私たちの考えを紹介したりすると、アジアの人々と心を一つにして話し合えると実感しました。
緒方 あの不破議長の歴訪が余波を広げていることも感じました。今回の会議に私たちが招待された背景には、あの歴訪で日本共産党の活動を知った人々から招待の提案があったという「秘話」も聞きました。
うれしいことに、事務局の方が「あなた方の参加は会議になじんでいた」といってくれました。地域の平和と安定に対する東南アジア諸国連合(ASEAN)の役割を日本共産党が正当に評価していることも、喜んで受け止めているというんですね。「次回は本会議の共同議長を務めてほしいぐらいだ」なんてね。
笠井 初参加としては、うれしい評価ですね。仲間として、日本共産党に次回はより重要な役割を果たしてほしいという希望の表現なんでしょうね。
緒方 これまでなじみのなかった党の人々との出会いもありました。例えば、中央アジアのタジキスタンの党の議長と話し合いました。旧ソ連の干渉という、私たちと同じ体験があるんですね。
イスラム諸国の共通の関心事であるイラク問題でサウジアラビアを訪問したと話したら、「共産党がサウジを訪問したというだけで尊敬に値する」というんです。
笠井 世界中が懸念しているイラク問題では、米国の武力行使を許さない平和的な解決の道を主張し、グローバル化の問題では、米国型の押し付けでなく公平で民主的な方向を提案して、真正面から物をいっていることが、「よくぞいってくれた」といった好感をもって受け止められたという実感がありますね。
緒方 会議中、新聞のインタビューを受けました。「ここで、いくつの共産党と会うのか」と聞かれたので、「この会議に参加した目的は、そんなことではなく、保守、革新を問わず各国の党と幅広く交流し学び合うことだ」と答えたら、驚いていました。「共産党という前に、まずノーマルな(当たり前の)党なんだね」といっていました。
笠井 ネーションという英字紙の一面の記事でしょう。いくつかの党にインタビューして、緒方さんの話のその部分を冒頭に紹介しましたね。
緒方 あの記事の筆者は、編集責任者のような立場にある人だそうです。
笠井 食事の場も会議の延長で、お互いの発言に対する感想を述べあったり、ずっといっしょに行動しているという連帯感がありましたね。
緒方 食事の時など、今回の会議を主催し私たちを招待してくれたタイ愛国党のある国会議員は、「ここにいるのは日本共産党です」なんて、同席した人に大声でわが党を売り込んでくれたんですよ。(笑い)
笠井 誰と話しても、党員四十万人、機関紙読者二百万人、衆参議員四十人と紹介すると、びっくりされました。スリランカの党の人と同席したら、もうソ連もなくなったからでしょうか、「中国派の共産党か」と聞くんです。自主独立の立場を説明したら、「じゃ、ジャパニーズ・ジャパニーズ・コミュニスト・パーティー(日本の日本共産党)だ」。
緒方 最初は驚かれることがあっても、「新鮮な驚き」から始まって、話し合えば理解の輪が広がりますね。今後とも、「野党外交」の立場で多くの党と交流し、共同、協力の輪を広げていきたいですね。