2006年9月21日(木)「しんぶん赤旗」
就業規則で労働条件改悪も
労政審 労働者委員が批判
労働政策審議会労働条件分科会の第六十二回会合が十九日開かれ、会社が一方的に定める「就業規則」によって労働条件の切り下げが容易にできるようにすることにたいして、労働者委員から批判が相次ぎました。
厚生労働省が検討を求めている労働契約法は、労働者と使用者が労働契約を結ぶさい、労働基準法を順守した就業規則があれば、「労働条件は就業規則による旨の合意が成立していると推定する」と規定しています。
労働条件を変更する場合も、就業規則の変更によってできることにし、使用者が一方的に定める就業規則に労働者が従わなければならない規定を盛り込むよう求めています。そのさい、過半数組合が職場の労働者から意見を聞くことなどをルール化することも提起しています。
労働者委員からは「労働契約は労働者と使用者が対等の立場で決めるべきなのに、使用者が一方的に定める就業規則に従わなければならないのはおかしい」「賃金カットなど使用者は労働条件の不利益変更が自由にできることになる」など批判意見が出されました。
また、過半数組合の関与についても「多数組合が合意すれば、少数派組合や個々の労働者が反対しても従わなければならない。多数派組合と合意していても変更を認めなかった、みちのく銀行事件の最高裁判例にも反する」「過半数組合が職場の労働者の意見をどうやって聞くのか不明だ。不利益変更が裁判になると、合意した過半数組合に責任が転嫁される恐れもある」など危ぐする声が上がりました。
これにたいして公益代表は「嫌だというものにまで押し付けることができるのか疑問だ」とする一方、「労働基準法を順守した合理的な就業規則なら認めてよい」とする人もいました。
使用者代表は「労働基準法を順守する規定は不要」「経営にスピードが求められており、就業規則による変更を認めるべきだ」とのべました。