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紙 智子さん(日本共産党参議院議員)

みなさんの仕事の実態と声が政治を動かします

今回も、たくさんの皆さんから深刻な声が寄せられています。この声が、政治を動かす原動力だと思います。北海道では、前川一男道議会議員が、青年たちの労働実態を聞き取って、その内容を具体的に議会で繰り返し紹介し、「労働ガイドブックを青年の関心に沿ったコンパクトでわかりやすいものに」、「若者たちが就労先で契約の内容が違っていたり、仕事が耐えられないほどつらいときに、投稿すると道庁に郵送されるしくみのイエローカードを求職者に」などと主張し、「経済的理由で結婚も出来ないような北海道の青年の実態を克服することなしに、道民の暮らしも道経済の前進もありえない」、「みんな北の大地の後継者、こうした若者を守ることこそ北海道の仕事」と知事に迫ってきました。そして、昨年の夏に、若者向けの労働ブックが作成されています。このように、この一、二年、各自治体で、若者の仕事の問題が議論されるようになりました。国会でも、三月十五日の厚生労働委員会で、小池議員が、日雇い派遣などで働きインターネットカフェに寝泊まりする“ネットカフェ難民”について取り上げ、インターネット上のブログでも話題になっています。3月12日の予算委員会では、吉川春子参議院議員が、ダンプ労働者が、運搬費が低いために最低賃金以下の収入しか得られないことを取り上げ、「実態調査し生活できる単価にすべき」と迫り、柳沢伯夫厚生労働相は「労働者性があれば最低賃金以下は許されない」と答弁しました。

 先日、日本共産党は、「いまこそ、人間らしく働けるルールを」との緊急提案を発表しました。おもな内容は、次のとおりです。

サービス残業・・・異常な長時間労働を是正すること

違法なサービス残業の根絶のために、日本共産党は国会で250回以上取り上げ、2001年にサービス残業なくさせるように厚生労働省に通達を出させました。その結果、この5年間で852億円以上が解決しています。現行法では、一日8時間以上働かせる場合には、25%増しの残業代を支払うことになっていますが、これでは、人を新たに雇うより残業させるだけさせたほうが『お得』となって長時間労働が蔓延する結果になっていることから、緊急提案では、その割増率を現在の25%などから50%にすることを提案しています。また、タイムカードの改ざんなど行う事業者が横行しています。そんな事業所には罰則として、企業名の公表や残業代の割増率を200%にするなどペナルティを課します。

さらに、「連続休息時間を最低11時間確保する」こと、つまり、退社から出勤までの間は11時間は確保することということです。「朝6時まで働いたのに、午後3時からまた勤務」などは、EUではゆるされません。日本もEU並みにしようということです。また休日出勤した場合でも週一日は休めるようにすることを提案しています。

ワーキング・プアー・・・人を「使い捨て」るような働かせ方はなくす

日本共産党は、不安定な働き方をひろげる派遣法の改悪に反対してきました。違法な「偽装請負」についても国会質問や現地調査など積み重ね、正社員化のために奮闘してきました。3月には厚生労働省に“偽装請負の場合は直接雇用に切り替えを”との通達を出させました。今回の「緊急提案」では、「偽装請負」の企業には「直接雇用」するように指導を徹底させることはもちろん、「3ヶ月更新」などの短期・繰り返しの契約更新は不安を増大させていることから、何度か繰り返して契約していれば、「社員」として雇うようにすること、「正社員と同じように働いていても給料は半分以下、有休も忌引きもない」などをなくし、正社員との均等待遇をすすめることなどを盛り込んでいます。

そして、フリーターの職業訓練を支援する生活資金の支給や、若い世代向けの安価な公共住宅や借り上げ住宅の建設、家賃補助制度、生活資金貸与制度など、暮らしの支援制度を創設することを提案しています。

時給は1000円以上、全国一律最低賃金制度を

いま、最低賃金制度は、全国平均で時給673円です。これでは月給にすると11万5000円程度、保険料など引くとさらに低くなります。これでは生活保護水準以下もいいところという水準で、とても暮らせません。時給1000円でも月給176000円程度(さらにここから税金や社会保険料が引かれる)にすぎません。都市部のほうが生活費がかかるということをいう人もいますが、地方では車なしに生活できないということなどもあります。日本のどこに住んでいても、せめて最低時給1000円は必要だと思います。こうした私たちの提案は、現場で問題に直面しているみなさんとの声と運動と力をあわせてこそ前進させることが出来ると思います。ごいっしょに実現させていきましょう。


プロフィール

かみ・ともこ

1955年札幌市生まれ。恵庭南高校、北海道女子短期大学工芸美術科卒業。日本民主青年同盟北海道委員、同中央委員会副委員長。日本共産党中央委員会青年学生部、道常任委員などを歴任。2001年7月参議院議員選挙、比例代表で当選。現在、日本共産党中央委員、参院農林水産委員、予算委員、沖縄北方特別委員会。家族は夫。趣味はスキー、山歩き、絵画、料理。

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