安倍晋三新総理は、再チャレンジを合い言葉に、「勝ち組負け組を固定化しない社会」とうたっています。でも、何度もハローワークに通って、悔しい思いを繰り返している皆さん。「いつもやっていることなのに、今更どうしろと?」と言いたいのではないでしょうか。高校生の求人倍率が9年ぶりに1倍台に上りました。景気は上向いたと手放しで喜べるはずがありません。求人数は前年同期より約5万人増えていますが、その半分は製造業です。求人といっても派遣や請負など非正規雇用が増えています。東京が4.41倍、愛知が2.54倍、大阪2.25倍に比べ、青森の0.17倍、沖縄、高知、鹿児島、北海道は0.2倍台にとどまり、地域の格差も広がっています。地方からは現代版出稼ぎのような状況が生まれています。
私たち党国会議員団は、9月にトヨタ本社に調査に入りました。世界のトヨタが空前の利益をあげる一方、労働者、下請け企業の実態や、増加するリコールとの関連などを調べるためでした。57秒に1台ずつ車が完成していくライン。秒単位で決まった作業に追われ、背伸びやあくびもできないようなサイクルの中で黙々と働く労働者。心と身体が蝕まれていくのも無理はないと思いました。トヨタでは、量産する繁忙期にだけ沢山人がほしいので、期間を区切った従業員を募集し、足りなければ派遣や請負に依頼します。会社にとって労働者とは、都合のよい調整弁でしかないことがよくわかりました。
派遣雇用を1年以上継続すると正社員にしなければならない。だから、請負会社に切り替えて、実質派遣社員と同じように指揮・指導するのが“偽装請負です。この間、党国会議員団が繰り返しこの問題をとりあげ、厚労省が初めて偽装請負での通達を出しました。徳島のトヨタ孫請け会社の請負労働者たちは、組合を結成し偽装請負を告発、正社員として雇用するよう会社に交渉、党国会調査も入って、59人が直接雇用を勝ち取りました。
大企業の圧力のもと、正社員を安上がりな非正規雇用に置き換え、深刻な格差を生み出してきた小泉政治。国民の中にも反撃する力は、確かに育っています。来年の国会は、雇用と労働に関わる法案が目白押しです。労働者の権利を守り、人間らしい仕事を取り戻すため、私は、皆さんの声をしっかり受け止め、頑張ります。
■プロフィール
たかはし・ちづこ
1959年秋田県能代市生まれ。青森市の私立東奥女子高校の英語教師。教職員組合の役員や、民青同盟青森県委員会副委員長としても活躍。
1983年11月日本共産党入党。青森県議会議員を経て2003年より衆議院議員。東北比例ブロック。
日本共産党準中央委員。現在、衆院厚生労働委員、党厚生労働部会長、党食料・食の安全・農林水産対策委員会責任者。
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