[閉じる]

中田進さん(関西勤労者教育協会講師)

「勇気をもって抗議してみましょう。できれば同じアルバイトどうしで相談して――」

写真 高校生からの怒りの言葉に心打たれました。

 一人は高校生だからといって賃金も安く、時間も長いという許されない差別に怒りを感じます。法律では同一労働同一賃金の規定があります。「文句をいえばクビ」とありましたが、アルバイトでも長く働いていれば、不当な解雇はできません。勇気をもって抗議してみましょう。できれば同じアルバイトどうしで相談して、集団で訴えることができれば。

 もう一人の高校生の書き込みには憤りを感じました。

 園芸関係希望の女性を担任指導の段階ではねたり、進路希望調査にて就職を希望した生徒のほとんどが専修学校などに詰め込まれるという学校の進路活動にあきれ果てます。クラスのみんなで話し合い仲間同士の連帯の力で進路指導の改善のため行動をはじめてみてはどうでしょう。このまま泣き寝入りしては後輩にも同じ苦しみが・・

 権利を知らない「若者の意識」が確かに問題です。

 ・・「自己責任」だの、「能力に応じて」だの「無能の人が給料をもらえないのは当たり前」だのといった考えをとる人。「権利ばかり主張するだめな人たち」と言い、左翼をバカ呼ばわりする人。結局、このような人たちが、自民党の支持基盤になっている。…という声もありました。

 いまの若者は近代史を教育されず、日本のアジアへの侵略戦争や植民地支配について無知に等しく、労働者の基本的な権利も学んでいません。おっしゃるようにこの層が小泉内閣を支持し総選挙の恐るべき結果につながっているのでしょう。一人でもいい、信頼できる仲間をつくり、『学習の友』など読んで自分たちの人間としての権利をぜひ学びあって下さい。雇用問題にとりくんでいる民青という青年団体も各地にあります。

 老人施設で働き育休中の女性の子育て支援についての訴え共感します。制度としては1995年からは全労働者を対象に育児休業がとれるようになり賃金も25%から40%の給付に改善され、1999年には「育児・介護休業法」となり介護も含めて休業できるようになっています。また「次世代育成支援対策推進法」では2005年3月末までに、301人以上の事業所では、労働時間の短縮や年休取得を年間○日以上とるなどの「行動計画」の策定を義務づけています。300以下の事業所も「努力義務」が課せられています。人員増と合わせて計画の策定と実施を迫りましょう。

 最後にマスコミへの批判が多くありました。請負の実態の報道などもありますが肝心の大企業への雇用責任や行政への厳しいコメントがありません。テレビしかみない若者が多いといわれる現代、その若者が申しあわせて声をあげ、マスコミを包囲しませんか。各新聞のテレビ欄のところにテレビ局への電話番号もかかれています。


プロフィール

なかた・すすむ

1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。

主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)

[閉じる]