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明日を開く SHOP99清水文美さん(28)

「名ばかり管理職」正したい 29日間連続勤務


 わずか二十代で「名ばかり管理職」にされた青年が無法な働かせ方をやめてと立ち上がりました。二十四時間営業の安売り店「SHOP99(ショップキューキュー)」の東京都内の元店長、清水文美(ふみよし)さん(28)です。勇気をふるって声を上げた思いは―。(伊藤悠希)

 清水さんは都内の高校を卒業後、就職氷河期のため八年間アルバイトで働くしかなく、やっとつかんだ正社員の仕事でした。

 「安定した仕事ができる」との希望はすぐに打ち砕かれました。二〇〇六年に入社後、わずか九カ月で店長にされ、際限のない働き方を強いられたのです。

自転車走らせ

 仕入れから接客・販売、在庫管理などすべてをこなす仕事。会社は人件費を売り上げの9・8%に抑えているため、慢性的な人手不足で、休日返上で働き続けました。休日でも「人手が足りない」と夜中も呼び出されました。電車がないため自転車で一時間かけて店へ向かったこともあります。二十九日間連続勤務、四日間で連続八十四時間の勤務を強いられ、三百時間を超える月もありました。

 ところが、残業代がなくなったため、手取りは店員時代の約三十万円から約二十二万円へと大幅ダウンしました。

 「すべて店長の責任にされ、長時間働くのもおまえがいけない。おまえの店だろうと言われました。本社の言いなりになる都合のいい奴隷でした」

 過酷な働き方が続き、朝目が覚めても体が動かず、一日中吐き気がするようになりました。「店長職を解いてほしい」と申し出ても、「わかった。しかし、店長の職をはずしてもやることは変わらないよ。お店の利益を上げるんだぞ」。この一言が胸に突き刺さりました。

 「うつ状態」と診断され、〇七年十月から休職に追い込まれたのです。 当初、「なぜこんな状態になったのだろう」と自分を責めるばかりでしたが、父親の勧めで首都圏青年ユニオンに相談して考えは一変しました。「名ばかり管理職」として違法な働き方をさせられていたことに気付きました。

残業代を払え

 組合に加入し、団体交渉でマクドナルドの店長が「名ばかり管理職」だと認められた判決をあげて是正を求めました。しかし、会社は「マクドナルドとは違う」とのべるだけで、うつ状態にさせたことにも謝罪の言葉はありませんでした。

 「判決も労働基準法も無視し、労働者をこき使い、利益ばかりを追求する会社の態度は許せない」

 清水さんは九日、店長時代の残業代など慰謝料を含む約四百五十万円の支払いを求めて東京地裁に提訴しました。

 同社では店長は全従業員の七割を超えているとみられており、「会社を変えてほしい」と期待を寄せる声があがっています。

 「もう少し働いていたら死んでいたかもしれない。組合が支えになってくれました」と清水さん。十九日には、日本マクドナルドなど同じ名ばかり店長らと集会を開き、違法な働き方をやめてと声をあげました。

 「もう辞めていく従業員を見たくない。人として扱われる職場をつくりたい」

(2008年05月30日付「しんぶん赤旗」)



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