若者ネットワーク 若者に仕事を

「若者に仕事を」「人間らしく働きたい」の大きな運動を

全国青年大集会にむけた青年雇用要求交流会での市田忠義・日本共産党書記局長のあいさつ(2004年10月29日)


 みなさんこんばんは。今日は、日本共産党を代表して、みなさんの発言の感想と青年の雇用問題を考えるうえで大事だと思う問題をいくつか話して、あいさつとしたいと思います。

 今日みなさんがうちだされた「人間らしく働きたい」「仕事をつうじて社会とかかわりたい」、そして「人間として成長したい」という願いは、当たり前の要求ばかりだと思うのです。ところが、その当然の要求にたいして、賃金の面でも、労働時間の面でも、雇用のあり方の面でも、企業の側が人間あつかいをしない、本当にひどい、まるでモノあつかいをしています。しかし、あきらめず、明るく、堂々とたたかっておられる姿に感動しました。

人間あつかいしない働かせ方の横行

 私は、いまの青年の雇用の問題には二つの特徴があると思います。一つは、派遣や請負など、非常に不安定な働き方がひろがって、人間を人間あつかいしない、まるで、モノのようなあつかい方が横行しているという問題です。もう一つは、せっかく正社員になっても、ものすごい長時間・過密労働が、強制されて、ボロボロにさせられてしまうという問題です。

不安定雇用の急増

 たとえば、91年とくらべて、非正規雇用が1・7倍に激増しています。若い人では、24歳以下で男性の4割、女性の5割が非正規雇用です。一方で、この同じ期間に、正規雇用は178万人へっています。さらに、労働者派遣法を改悪し、業種を拡大するといううごきをすすめ、企業は引きつづき、非正規雇用をふやそうとしています。

 さらに、請負の深刻な実態があります。これは、わが党の小池晃参院議員の追及や、「しんぶん赤旗」での告発などで、実態があきらかになってきました。たとえば、業界トップの企業の極秘資料によれば、NEC、トヨタなどの大企業が請負業者に支払う請負料は、労働者一人あたり約26万円です。とろこが、労働者が受け取るのは、18〜22万円、ピンハネ率は実に15〜28%です。また、大企業では普通、労働者の雇用にかかわる部局は人事部ですが、派遣や請負の担当は、購買部、資材課などだというのです。まさにモノ扱いなんです。さらに、請負では、監督官庁もなければ、この問題に関する法律もないのです。

過酷な正社員の労働条件

 それでは、正社員はどうでしょうか。ここでも、たいへん過酷な労働条件に苦しめられているんですね。電機連合という労働組合の調査では、3年前にくらべて、30歳以下の人で、5割が「労働時間が長くなった」とこたえています。社会経済生産性本部の調査では、30歳代で「仕事がつらくてとてもつかれる」「現在の待遇にとても不満だ」という回答がふえています。しかも、大企業ほどこの傾向がつよいというのです。

 青年向けの雑誌『SPA!』では、「年収2百万円台、正社員の衝撃」という特集をしています。国立大学卒で銀行の営業職の青年は、朝6時に起きて、夜10時に帰宅で、手取り15万円、ボーナスをいれても年収280万円、また、大卒の大手旅行会社に営業職で6年勤めて手取りは19万円、夏のボーナス7万円、年収260万円だそうです。

就職をあきらめる青年がふえている 

 学生、高校生の就職難の実態も深刻です。

 各県で高校生の就職状況の調査が出されています。たとえば、鹿児島で就職内定率が32・4%、前年同時期比6・4%増加となっています。しかし、東北地方のある高校の教員は、「3年生の就職率を90数%と発表しているが、実際は、後期になって就職が決まらず、“来年度は就職できない”と就職をあきらめた40数%の3年生を分母から除いている」というのです。

 大学の状況でいいますと、ことし3月の大学新卒者の就職内定状況は、93・1%と発表されています。しかし、これは就職難で大学院へすすんだ人、あるいは就職口がないので、わざと留年して次に新卒として就職活動をしようという人などが差引かれている数字なのです。ある有名私立大学では、「就職について、1年生からハッパをかけられて、多くの学生が、大学に行きながら、専門学校にいって資格をとるダブルスクールをしている。一般教養の講義には十数人程度しか集まらないが、そのあとの進路説明会には数百人集まってくる」という実態があるそうです。

青年が「大企業いいなり病」の犠牲者に

 なぜこういうことが起こるのでしょうか。戦後、労働基準法が制定されました。この法律には、働く人びとの働き方は、「労働者が人たるに値する生活を営むための、必要を満たすべきものでなければならない」と書かれているのです。この考え方からは、派遣や請負は“やってはならない”ものなのです。ところが財界は、なんとか派遣や請負を持ち込もうと、労働基準法を敵視して、骨抜きにしようとしてきました。とくに、規制緩和と称して財界が真っ先にもちだしたのが、派遣や請負を認め、労働時間の規制を大幅にはずことでした。そして、この道を歴代自民党政治がおしすすめたのです。

 小泉内閣は、青年雇用にたいしてきわめて冷淡なのですね。日本共産党は、国会で何度も青年の雇用問題を追及しましたが、「やる気のない面も、能力のない面もあるでしょう」(小泉首相、04年3月9日参院予算委)、「いろいろ対策をならべても、働くという気持ちにならなければ、なかなか就職しない」(坂口厚生労働大臣、03年当時)という答弁ばかりです。

 日本共産党は、いまの日本の政治には二つの病があると考えています。「アメリカいいなり病」と、もう一つは、大企業のためだったら、中小企業がつぶれても、労働者が使い捨てにされてもいいという「大企業いいなり病」です。若者の雇用の現実は、この「大企業いいなり病」のもっとも重い症状の一つだと思うのです。

草の根から運動をひろげ、大きな連帯の輪を

 若者の雇用問題は、若者にとって大事な問題ですが、日本社会全体の大きな問題でもあります。このような状況がつづけば、日本経済の土台が掘り崩されていくでしょう。たとえば、技術の継承がされない、就職しても過酷な労働のもとでは、安心して、結婚し、子どもを産むこともできません。若者の未来を奪うということは、日本社会の未来を奪うということにつうじると思うのです。自民党、公明党の「大企業いいなり病」の政治というのは、いま、ここまで深刻な状況になっているのです。

 ここで、私たちが立ち上がり、がんばっていくことは、社会全体の共感を得る課題です。そして、みなさん方の要求には道理があるから、たたかえばかならず実現すると思うのです。

 「若者に仕事を」「人間らしい働き方を」という要求は、当たり前のものであり、日本の青年全体の切実な要求です。これを、もっと多くの青年の苦しみに心をよせて、交流し、草の根の運動をよびかけていけば、大きな青年の連帯の場がひろがると思います。そのことに確信をもっていただいて、私たちも連帯して、ともにがんばろうということをよびかけて、ごあいさつとします。



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