安倍政権は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(昨年7月)を具体化する一連の法案を5月の連休あけにも国会に提出し、力ずくで押しとおそうとしています。
2つの道で「海外で戦争する国」をつくろうというのが、その正体です。憲法9条をこわす「戦争立法」に、地方からきびしいノーの審判をくだしましょう。
第1の道は、アメリカが世界のどこであれ戦争をはじめたら、自衛隊がこれまで「戦闘地域」とされてきた場所まで行って、軍事支援ができるようにすることです。
「戦闘地域」で「殺し、殺される」ことに
これまで米国がアフガニスタン戦争(01年)、イラク戦争(03年)などをひきおこしたさいに日本は自衛隊を派遣しました。ただ、これまでは「非戦闘地域」にしか行けないという「歯止め」がありました。
「戦争立法」では、この「歯止め」をはずし、自衛隊が「戦闘地域」にまで行って、米軍の戦争への支援をおこなう仕組みをつくろうとしています。「戦闘地域」まで行ったら、相手の攻撃をうけることになります。「攻撃されたらどうするのか」─国会での共産党の追及に、首相は「武器の使用をする」と認めました。そうなれば、憲法が禁止した武力行使そのものになるではありませんか。
さらに政府文書(3月)では、米軍兵士などの「捜索・救助」は「戦闘現場」でも継続すると明記しています。「戦闘現場」で相手側に拘束された兵士を「救助」するとなれば、文字どおりの戦闘作戦となります。
自衛隊を「戦地」におくり、「殺し、殺される」戦闘をおこなう。
こんなことは絶対に許されません。
「まちがいなく戦死者がでる」(元政府高官)─若者を戦場におくるな
これまで自衛隊員の戦死者はでていませんが、犠牲者がなかったわけではありません。アフガン・イラク戦争に派兵された自衛官のうち、帰国後、恐怖と緊張から精神に不調をきたすなどで、みずから命を絶った人が40人にのぼります(政府答弁書から)。
「戦争立法」が強行されたら、「任務の危険性は格段に高くなる。まちがいなく戦死者がでる」(柳澤協二・元内閣官房副長官補)ことはさけられません。
戦争でまっさきに犠牲にされるのは前途ある若者です。若者を戦場におくってはなりません。
「治安維持」の名で対テロ戦争に参加
「戦争立法」では、「治安維持」などの名目で戦乱状態のもとにある地域への自衛隊派兵を可能にしようとしています。
アフガニスタンで3500人近くの死者をだしている国際治安支援部隊(ISAF)、イラクで4800人以上の死者をだしているイラク多国籍軍などにも、自衛隊が参加する道がひらかれます。
第2の道は、日本が攻撃されていなくても、集団的自衛権を発動し、自衛隊が海外での武力行使にのりだすことです。
米国の先制攻撃の戦争でも参戦を否定せず
ここでの大問題は、集団的自衛権を発動するかどうかは、ときの政権の判断で、無限定にひろがるということです。
「アメリカが先制攻撃の戦争をおこした場合でも、集団的自衛権を発動するのか」。日本共産党の志位和夫委員長の質問にたいして、安倍首相は「個別具体的、総合的に判断する」とだけこたえ、発動を否定しませんでした。
ベトナム侵略、イラク侵略─「集団的侵略」の危険
先制攻撃は違法な侵略行為です。そして、アメリカがベトナム侵略、イラク侵略など、たくさんの先制攻撃の戦争をくりかえしてきたことは、歴史的事実です。
こんな無法な戦争に参戦するとなれば、「集団的自衛」ではなく、「集団的侵略」になってしまいます。
憲法9条破壊のくわだてを許してはなりません
いつでも、どこでも、どんな戦争でも、米国の戦争に自衛隊が参戦・支援する─憲法9条破壊のくわだてを、絶対に許すわけにはいきません。
日本共産党は、憲法違反の「戦争立法」反対の一点で、立場の違いを超え、国民的大運動をおこすことを心からよびかけます。
アジア政党国際会議(ICAPP)で発言する志位和夫委員長=2014 年9月19 日、スリランカ・コロンボ |
さまざまな紛争や緊張の火種がある北東アジア。しかし、安倍政権のように何でも「軍事」でかまえたら、「軍事対軍事」の悪循環に陥ってしまいます。
日本共産党は「北東アジア平和協力構想」を提唱し、その実現のために内外で活動しています(別項をご覧ください)。ASEAN(東南アジア諸国連合)の国ぐにがつくっている東南アジア友好協力条約(TAC)のような、紛争を話し合いで解決する平和の枠組みを北東アジアにも構築しよう─これが日本共産党の提案です。
この提案は、昨年9月にスリランカのコロンボでひらかれた第8回アジア政党国際会議(29カ国、75政党が参加)でも歓迎されました。「ASEANのような地域の平和協力の枠組みを北東アジアなど全アジア規模に広げよう」─日本共産党代表団の提案は、アジアの政党が与野党の別なく一堂に会したこの国際会議で全会一致で採択された「コロンボ宣言」にとりいれられました。
「北東アジア平和協力構想」
●北東アジア規模の「友好協力条約」で、紛争を話しあいで解決するルールをつくる。
●北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、地域の平和と安定の枠組みに発展させる。
●領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない「行動規範」をむすぶ。
●日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台となる。