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30 原発問題

無謀な原発の再稼働と輸出をやめ、「原発ゼロ基本法」の実現と福島原発事故被害者への全面賠償を

2019年6月

 福島原発事故で、原発が抱える危険性と事故被害の深刻さが明らかとなり、「原発安全神話」は完全に崩壊しました。2年近い(2013年9月~15年8月)「稼働原発ゼロ」も経験し、日本社会が原発なしでやっていけることも明らかとなりました。世論調査では一貫して、再稼働反対、「原発ゼロ」が国民多数の声となっています。

 ところが安倍内閣は、2018年7月閣議決定の「エネルギー基本計画」で、原発を「重要なベースロード電源」として将来にわたって維持・推進するとともに、2030年度の電力需要の20~22%(2200~2300億kW時)を原発で賄うとする「長期エネルギー需給見通し」の実現を明記しました。そのためには「30基台半ばの原発」(2015年6月10日衆院経産委での宮沢洋一経産大臣答弁)が必要とされます。廃炉が決定・表明されたものを除く既存原発33基の再稼働だけでなく、建設が進む島根3号と大間に加え今後本格建設が企まれている東京電力東通1号の稼働まで視野に入れたものとなっています。

 安倍政権がG20に向けて閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略」はエネルギー基本計画をそのまま踏襲し、原発あらためて「低廉」なエネルギーとして「安定的に進める」と述べていることは、国民の声にも、実態にも逆行するものです。

 日本経団連も、着実・迅速な再稼働とともに、建替え・新増設を国の政策に位置づけるよう求めています。さらに2019年4月の提言「日本を支える電力システムを再構築する」では、原則40年(最大60年)という運転年限について、停止期間を控除することを要求するとともに、アメリカでは80年運転の申請事例があるとして、日本でも60年超への延長を検討すべきだとしています。重大事故の危険を顧みず減価償却が済んだ老朽原発で儲けることに執着することは、国民と日本社会に対してあまりに無責任な態度です。

 いま日本は、原発を再稼働させ原発依存社会を続けるのか、再稼働を許さず「原発ゼロの日本」にすすむのか、大きな分かれ道にあります。日本共産党は2018年3月、「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」(原発ゼロ基本法案)を、立憲民主党、自由党(当時)、社民党とともに国会に提出しました。原発の再稼働と輸出という無謀な道をやめ、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現しましょう。

原発事故は「収束」とは程遠く、事故被害は続いています

 福島第一原発は、「収束」とは程遠く、事故の真っただ中にあります。放射能「閉じ込め」にむけた懸命の努力が行われていますが、溶け落ちた核燃料の位置や状態はいまだ把握できず、破壊された原子炉建屋への地下水などの流入により、核燃料から溶け出した放射性物質を含む汚染水が100万トンを超えて増え続けています。

 安倍内閣は、「福島の復興・再生に向けた動きが本格的に始まっている」(「東日本大震災からの復興の基本方針」2019年3月8日閣議決定)として、双葉町と帰還困難区域を除き避難指示を解除しました。しかし、いまなお8万5千人(福島県内5万2千、県外3万3千。「日経」3月17日付)が避難生活を余儀なくされています。避難指示が解除されても、暮らしを支える商店や病院がなかなか整わないなど帰還と復興を進める上での課題は山積です。ところが被害者への賠償は避難解除と連動して打ち切られようとしています。全面的な賠償をはじめ暮らし・地域の再建まで、政府と東電が責任を果たすべきです。

「世界最高水準の安全基準」で再稼働という方針は「破たん」しています

 安倍首相が当初のべていた「世界最高水準の安全基準で、安全が確認された原発は再稼働する」という方針は根底から破たんしています。

 「新基準」は、福島原発事故の原因究明もないまま、再稼働を急ぐために「スケジュール先にありき」で決定したものです。重大事故(「炉心の著しい損傷」)への対策は部分的で、EUで義務づけているコアキャッチャー(溶融炉心を受け止めて冷やす装置)はなくてもよいとしています。活断層があっても、その真上に原子炉など重要な設備でなければ建設してもよいなど、きわめてずさんなものです。火山対策も、火山学者が無理だと指摘しているのに、巨大噴火を予知できると強弁して、川内原発を「合格」させる始末です。しかも、九州電力は、川内原発を再稼働させたとたん、緊急時対策所としての免震重要棟建設を撤回しました。新基準適合審査の前提を平然と覆す、再稼働さえすれば何でもありという身勝手は許されません。他の電力会社も免震重要棟計画撤回を相次いで表明しましたが、事故当時の東電社長は、「あれ(免震重要棟)がなかったらと思うとゾッとする」と証言しています。福島原発事故の教訓を無視して再稼働に突き進むことは、あまりにも無責任です。

 電源が失われ燃料を冷やせなくなれば、最悪の場合1時間半程度で放射能が漏れだします。「万が一事故が起きた場合には、国は関係法令に基づき、責任をもって対処する」(「エネルギー基本計画」)としながら、避難対策は自治体任せであり、実効性の保障もありません。アメリカでさえ住民の避難対策は稼働の前提とされています。「世界最高水準の安全基準」という安倍首相の言明は完全に破たんしています。

 司法においても、「生存権を基礎とする人格権」が奪われる可能性がある(2014年5月福井地裁、大飯原発)、「過酷事故対策について・・・危惧すべき点があ」る(2016年3月大津地裁、高浜原発)として、原発の運転差し止めを命じる判決がだされています(いずれも後に高裁等で差し止め命令取り消し)。

電力会社がテロ対策施設の設置期限延長を要求~安全に対する責任が問われます

 電力会社は2019年4月、テロ対策施設の建設期限の延長を原子力規制委員会に求めました。テロ対策施設が未設置でも原発本体の運転について「安全はすでに確保されている」(4月24日原子力規制委員会資料2)から、運転を続けさせてくれということです。原発の「安全」に対するおごりであり、危険にさらされる住民に対して無責任だと言わざるを得ません。こんな電力会社に、危険な原発を運転させるわけにはいきません。

 規制委員会は、すでに1度延長していることもあり、延長を認めませんでした。期限に間に合わなければ、基準不適合で運転できなくなります。来年3月に期限を迎える川内1号をはじめ、再稼働したすべての原発が順次運転を停止することになります。

プルトニウム利用計画(核燃料サイクル)の破綻も明らかです

 安倍政権は、「エネルギー基本計画」に「核燃料サイクル政策の推進」を明記し、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して核燃料として再利用するとしています。プルトニウムを取り出すための六ヶ所再処理工場も、稼働に向けて原子力規制委員会で審査中です。しかし、プルトニウムを利用する高速増殖炉「もんじゅ」は事故・不祥事続きで廃炉に追い込まれました。既設の原発でプルトニウムを利用するプルサーマルは4基しかありません。プルトニウム利用計画の破綻は明らかです。

 プルトニウムは核兵器の原料でもあります。六ヶ所再処理工場がフル稼働すれば、取り出されるプルトニウムは年間8トン近くになります。日本は、すでに約47トンのプルトニウムを保有しています。使う当てのないプルトニウムをさらに大量に抱えることになれば、世界から疑惑を持たれるだけでなく、核拡散防止の国際的努力の支障にもなりかねません。

原発輸出の総崩れ~原発はもはやビジネスとしても成り立ちません

 安倍首相は、成長戦略の一環として、原発メーカーなどと連れ立って「トップセールス」で原発輸出を進めてきました。しかし、東芝が海外建設から撤退し、三菱重工や日立製作所が手掛けるトルコ、イギリスでの原発建設事業がとん挫するなど、原発輸出は総崩れに陥りました。福島原発事故により「安全対策」コストが増え、事業費が膨れ上がったためです。原発はもはや、ビジネスとしても成り立たないものになっています。

 福島第一原発事故の事故処理費用はすでに10兆円を超え(原子力損害賠償補償契約による国の支払い1889億円、原賠機構から東電への緊急出資1兆円、交付金8兆8139億円)、どこまで膨らむか見当もつきません。原発を再稼働させるための「安全対策費」は、電力会社11社で4兆6千億円にもなり(「しんぶん赤旗」日曜版1月27日号)、電気料金・税金などを通じて国民の負担になっています。

 昨秋の臨時国会で、原子力損害賠償法が改定されました。福島原発事故後初めての改定でしたが、事故の賠償に備えて義務づけられた保険金額(賠償措置額)は1200億円のまま据え置かれました。福島原発事故の被害と比べてあまりにも過少な賠償措置額が据え置かれたのは、保険業界が「(措置額を)上げるというのは保険業界としては非常に難しい」と拒否したためです(原子力委員会の第17回原子力損害賠償専門部会(2017年5月30日))。民間では事故のリスクを負いきれず国民に負担を付け回しするしかないという原発は、やはりビジネスとして成り立つものではありません。

「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発のない日本へ」――日本共産党の提案

「収束宣言」と賠償打ち切りを撤回し、収束と廃炉、除染と賠償を、日本の英知を結集した国の一大事業として位置づけやりぬく

 政府は「収束宣言」(2011年12月)を誤りと認め、きっぱりと撤回すべきです。

 福島第一原発事故の過程や因果関係はいまだに解明できていません。福島事故の原因究明と大事故にいたるすべてのプロセスを解明する科学的検証をしっかりおこなうため、東京電力や経産省から独立し、調査権限を持った第三者機関と研究機関を確立します。

 放射能汚染水の海への放出は、環境汚染や水産業への打撃をもたらし、絶対にやってはなりません。事故の収束と廃炉を、日本の英知を結集した大事業として位置づけ、国と東電は総力をあげるべきです。収束作業に従事する労働者の安全と健康の管理に万全を尽くし、労働条件を可能な限り良くすることを要求します。

 安倍内閣は、避難指示解除を口実に賠償を打ち切り、福島原発事故を終わったことにしようとしていますが、絶対に認めるわけにはいきません。賠償と除染、生活支援、復興支援で、不当な「線引き」をせずに、いわゆる「自主避難者」を含むすべての被災者・被害者を対象にすることを求めます。生活と生業(なりわい)が再建され、希望する人が故郷に帰り、命と健康を守る医療や介護、子どもたちの教育を保障し続け、「安全・安心の福島県」をとりもどすまで、そのすべての過程で、国の責任で復興を支援します。

 除染の目標となる放射線量を緩和しようという安倍内閣の企てに反対し、政府と東京電力の責任で除染を進めさせます。福島県内の住宅等の除染はおおむね完了した(帰還困難区域除く)とされていますが、放射線量が十分下がらず再除染を求める声が少なくありません。再除染を含め除染の徹底とスピードアップをはかります。森林についても生活圏に限定せず住民要求をふまえて除染をすすめます。危険手当の支払いなどすべての除染作業員の権利を守り、除染事業が確実、迅速にすすむようにします。

 原子力損害賠償審査会の「指針」を見直し、全面賠償を行います。東電、経産省の賠償打ち切りを許さず、精神的損害への賠償を含め被災者が納得できるまで賠償を行わせます。長期にわたる原発事故被害には「時効」などあってはなりません。賠償金はすべて非課税とします。

 福島県の18歳以下の子どもの医療費・検査料は国の負担で無料とします。「子ども・被災者生活支援法」を生かし、子どもの成長と権利を守るよう施策をすすめます。

 福島原発事故の廃炉・賠償・除染等の費用は、汚染者負担原則にもとづき、事故原因者・加害者である東京電力が第一義的責任を果たすべきです。同時に、国の法的責任をも認めた一連の原発避難者訴訟判決を踏まえ、歴代自民党政府が原発を推進してきたことへの根本的な反省を行い、国が責任をとること、「原発ゼロ」への政策転換を明確にすることが不可欠です。

 21兆5千億円にも膨れ上がった巨額の事故処理費用を電気料金に上乗せし、賠償費の「過去分」と称して将来世代にまで負担させ、さらに税金投入によって際限なく国民へツケを回す仕組み(原賠・廃炉等機構法及び福島復興加速化基本指針(2016年12月閣議決定等))は根本的に見直します。東電の経営陣、株主、メガバンク、原子炉メーカー、ゼネコンなど「原発利益共同体」に応分の負担をもとめ、国民負担を最小化します。

原発再稼働の方針を撤回し、輸出政策をきっぱり断念する

 事故の原因もわからず、収束すらできず、「安全基準」づくりでも破たんした政府が、原発を再稼働させるなど論外です。「稼働原発ゼロ」の約2年間(2013年9月~2015年8月)、原発なしでも電力不足にはなりませんでした。節電や再エネ導入がすすんだ結果、「稼働原発ゼロ」の2014年度以降、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は年々減っています。日本社会は原発なしでも十分やっていけます。原発再稼働方針を撤回することを求めます。建設許可済みのものや計画中のものも含めて、新たな原発の建設は認めません。

 自国で大事故を起こし、国内では原発に「絶対安全はない」と言いながら、他国には「世界一安全な原発技術を提供できる」と原発を売り込むことほど罪深い所業はありません。無責任な原発輸出政策をきっぱり断念すべきです。

 政府は東京電力と一体となって、「稼ぐことが福島事業への貢献」(経産省東電・1F委員会「東電改革提言」2016年12月)だとして柏崎刈羽原発を再稼働させようとしています。事故被害者に対する賠償などの責任を原発再稼働の口実とするなど、事故被害者を愚弄するものです。原発推進のために事故被害者の気持ちを踏みにじる安倍政権を許すわけにはいきません。

原発・核燃料サイクルから撤退し、再生可能エネルギーの大幅導入へ抜本的に転換する

 原発事故から5年余の体験は、原発と人類が共存できないことを示しています。とりわけ日本は地震大国です。この間、規制委員会の専門家チームは、敦賀原発、志賀原発の直下の断層を活断層と認めました。ずさんな評価で原発が立地されてきたことが改めて明らかになりました。東海地震震源域にある浜岡原発はもちろん、日本で大地震が起きないといえる場所はなく、原発は直ちにやめるべきです。

 原発の使用済み核燃料は、各原発と六ヶ所再処理工場で約1万8千トンが貯蔵されており、平均すればあと6年で貯蔵能力の限界に達します。原発を動かせば使用済み核燃料の置き場所がなくなる状況です。再処理しても、使う当てのないプルトニウムと処分場の目途がない高レベル放射性廃棄物という、いっそう厄介な荷物を抱え込むだけです。

 昨年9月の北海道胆振東部地震で起こった全道停電は、大規模集中発電の危さと分散型への転換の必要性を浮き彫りにしました。原発は、大規模集中発電の典型であり、電力の安定供給という点でも重大なリスクを抱えています

 原発・核燃料サイクルから撤退し、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していくよう推進します。再生エネルギーは、普及が進めば進むほど安定します。また、太陽光、小水力、バイオマス、風力、地熱といった多様なエネルギーを組み合わせれば安定します。世界ではすでに太陽光・風力は原発よりも安く、1kW時あたり10円未満で供給されています。日本の多様で豊かな再生エネルギーの潜在力を生かし、自然エネルギー大国に切り替えます。

 高速増殖炉「もんじゅ」の廃止にとどまらず、新たな高速実証炉開発も中止し、再処理工場を廃止し、核燃料サイクルからただちに撤退します。

 「原発ゼロ」を実現した後も、原発の廃炉、使用済み核燃料の管理・処理など原発関連の「負の遺産」の後始末を安全に実施しなければなりません。政府は、核のゴミの最終処分場について国土の65%が「好ましい」特性を持つとする「科学的特性マップ」を公表し、「国が前面に立って」立地調査を自治体に押し付けようとしています。しかし、地殻変動の活発な日本で「万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界がある」と日本学術会議は警告しています(2012年9月)。使用済み核燃料の処分の手段・方法については、既定路線にとらわれず、専門家の英知を結集して研究・開発をすすめる必要があります。その結論が出るまでは、政府の責任で厳重な管理をおこないます。こうした事業に取り組むためにも、原子力に関する基礎研究とこの仕事を担う専門家の確保・育成をすすめます。

 原発の廃炉にいたるプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限をもった規制機関を確立します。

 原発立地地域の多くは経済的に原発に依存していますが、そのように誘導した国と電力会社の責任は重大です。大きな成長が期待される再生可能エネルギーと関連する新産業の誘致・育成、原発廃炉によって可能性が広がる漁業、農業と関連産業の育成など、本格的な地域経済再生に国として取り組み、「原発ゼロ」と一体に立地自治体の住民のくらし、地域経済再建の支援をすすめます。

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