2000年6月2日「しんぶん赤旗」
女性の地位向上を背景に、こうした女性たちの訴え、女性団体、弁護士などの活動は、性的嫌がらせ、人権侵害にたいする社会の認識を大きく前進させてきました。
この間、男女雇用機会均等法改正で初めて法律にセクシュアル・ハラスメント条項が定められました。事業主の配慮義務にとどまっているものの企業責任をあきらかにしています。児童ポルノ・買春禁止法も実現しています。
メディアの世界でも、NHKと日本民間放送連盟による共同の放送番組向上協議会の結成など自主的努力がはじまっています。
女性の人間としての尊厳を踏みにじるさまざまな事象や社会的風潮の克服にとって、健全なモラルの確立にむけた社会全体のとりくみが重要です。
その一つは、女性であれ男性であれ、一人ひとりが「人間の生命、たがいの人格と権利を尊重する」「いっさいの暴力を許さない」「男女同権と両性の正しいモラルの基礎を理解する」などの人間として身につけるべき道徳、情操を育てる教育の重視です。
また、女性の人権侵害やセクハラ行為を未然に防ぐ対策も必要です。事業主は、セクハラ禁止の方針を明確にし、就業規則への明記など発生の予防、防止措置をとること、苦情処理委員会を設けるなどが必要です。
労働組合は労働者の人権尊重、生活と権利を守る立場で組合員教育、組合規約、労働協約等への明記、相談窓口の設置など男女がともに働きやすい職場に改善するための努力が大切です。
調査された二十九カ国中放送局や新聞社における女性の占める比率は、日本が最下位です。サミット参加国のドイツ、イギリスなどでは放送分野の女性の比率が四割近くを占めています。日本はわずか九%です。女性の声を反映する立場から、メディアでの自己努力として、女性職員の積極的配置も求められています。
夫から妻への暴力が社会問題になっています。女性の人権と民主主義にたいする運動と意識の前進です。
最大の問題は暴力が人間にたいする動物的な扱いであり、人格の否定、対等な人間関係の否定であるということです。また暴力を肯定する社会的風潮と結びついているものです。
この問題の解決は子どもへの虐待や職場のいじめなどとともに、日本社会の人権と民主主義の確立にかかわる国民的課題であり、暴力を許さない世論をひろげ、合意をはかることが重要です。また、暴力をうけた女性のための緊急一時避難施設、母子生活支援施設の設置、充実などをはかります。
ストーカー、レイプ被害事件がふえています。相談窓口の設置と機敏な対応、精神的ケアの充実などが必要です。被害女性の立場や思いに配慮できるよう、警察官への人権教育とともに、現在わずか三・七%の女性警察官比率を高めることも必要です。
希望すれば夫婦がそれぞれ結婚前の姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓の実現をのぞむ世論がひろがり、すでに別姓をとっている夫婦がふえています。結婚による改姓によって自分らしさを失いたくないという思いや、改姓による不利益をなくしたいという要求、選択的別姓をという要求は当然です。
同姓を原則とする国は世界でもまれな存在です。
日本共産党はただちに選択的夫婦別姓制度の実現をはかることなど、民法の改正を提案しています。
(単位:%) |
1995年7月 | 2000年2月 |
売春・買春 |
34.7 |
26.6 |
女性の働く風俗営業 |
28.0 |
26.7 |
家庭内での夫から妻への暴力(酒に酔って殴るなど) |
39.5 |
27.5 |
職場におけるセクシャル・ハラスメント(性的いやがらせ) |
41.3 |
31.3 |
女性のヌード写真などを掲載した雑誌 |
20.4 |
21.4 |
女性の体の一部や媚びたポーズ・視線を内容に関係なく使用した広告など |
20.0 |
17.8 |
女性の容ぼうを競うミス・コンテスト |
12.1 |
9.5 |
「令夫人」「婦人」「未亡人」のように女性だけに用いられる言葉 |
17.9 |
9.5 |
女性に対するストーカー(つきまとう行為) |
- |
23.9 |
痴漢行為 |
- |
33.6 |
その他 |
0.7 |
0.6 |
わからない・とくにない |
23.1 |
25.9 |
(日本共産党女性局)
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