2001年5月29日

第19回参議院選挙にあたっての日本共産党の訴えと重点政策、第2の改革の項より

21世紀の早い時期に安保条約を廃棄し、外国の軍隊がいない日本にします


 今年は、日米安保条約が締結されて五十年目の節目の年です。

 この間、日米安保条約は、ますます危険なものになり、その害悪は深刻きわまりないものになっています。米軍に提供している基地面積は、専用と自衛隊との共同使用を合わせると、一九八〇年以降は減るどころか、四万八千四百ヘクタールから十万千ヘクタール(今年一月現在)へと二倍以上になり、低空飛行訓練や実弾砲撃演習などの米軍の演習が日本全土に広げられるなど、異常な形での基地増強がはかられました。

 内容の面でも、七八年のガイドライン(日米防衛協力指針)、九七年の新ガイドラインで日米が共同で戦争に打って出る体制が本格的につくられるなど、地球的規模での干渉と介入のための軍事同盟へと大きく変質しました。そしていま、アジアやヨーロッパからも「新たな軍拡競争を激化させるもの」ときびしい批判の声が上がっているアメリカのNMD(米本土ミサイル防衛)に「理解」を示すとともに、NMDと一体化したTMD(戦域ミサイル防衛)の日米共同研究まで推進しています。

 この日米安保体制=日米軍事同盟のもとで、「日本は主権国家といえるのか」といわざるをえないのが、自民党政治の外交と安全保障政策の実態ではないでしょうか。米原潜の無法、無謀な行為による「えひめ丸」衝突・沈没事件でも、米側に抗議するどころか、感謝さえ表明しました。無法な低空飛行訓練や夜間離着陸訓練(NLP)に、中止を求めることさえできません。アメリカが国連憲章を無視した干渉戦争や軍事介入をおこなっても、これに逆らったことは、ただの一度もありません。

 対米従属のもとで、二十一世紀の進路すらアメリカまかせというのが、自民党外交の実態です。

 日本共産党は、二十一世紀の早い時期に軍事同盟からぬけだし、非同盟・平和・中立の道に転換して、世界とアジアの平和・友好に貢献する日本にします。

(1)日米軍事同盟からぬけだせば、「日米新時代」をひらき、アジアとの関係も一変します

 日本にはいまだに百三十カ所以上の日本の主権が及ばない米軍基地が存在しています。ヨーロッパに駐留する米軍は、この十年間に約三十一万人から十一万七千人へと劇的に削減され、米本土でも五百あった基地が百二十以上も閉鎖されました。

 横田基地や横須賀基地など、首都圏に巨大な外国の軍事基地をかかえ、沖縄のように人口密集地のど真ん中に米軍基地がある、こんな国は世界にありません。しかも、その軍隊が、海兵隊、空母機動部隊、航空宇宙遠征軍というように、そもそも「日本をまもる」という任務を持たない、侵略と攻撃が専門の“なぐりこみ部隊”だというのも、世界に例がない異常さです。

 この異常を、二十一世紀も無期限に続けようというのが自民党です。

 この「米軍基地国家」ともいうべき異常な実態は、国民に耐えがたい犠牲をしいてきただけでなく、アジアの平和にとっても大きな障害になってきました。新ガイドラインにもとづく戦争法の制定も、アメリカのアジアでの軍事干渉、軍事介入に日本を動員するためのものです。小泉首相は集団的自衛権の行使に踏み込む発言をおこない、憲法九条の改悪さえ口にしていますが、日米軍事同盟体制は、自民党などによる憲法九条改悪論のたえざる源泉にもなっているのです。

 いま、この現状を憂慮する声が、日米安保体制を肯定する立場の人からもあがっています。三井物産戦略研究所所長の寺島実郎氏は、「この先何十年も、この国に外国の軍隊が駐留し続けても平気だとする国が、世界で一人前の大人の国と認識されるはずがない」と指摘しています。

 日本共産党は、安保条約廃棄が国民多数の世論となるよう力をつくし、二十一世紀こそ、外国の軍隊のいない、本当に独立した非同盟・平和・中立の日本にするため、「安保条約をなくそう」の声が国民多数の世論となるよう力をつくします。安保条約をなくすのに、むずかしい手続きはいりません。国民多数が、「もうやめよう」ということになれば、その意思を相手に通告しさえすれば、一年後には自動的になくなるということが、安保条約第一〇条に明記してあります。

 日米安保条約をなくし、日本が軍事同盟からぬけだせば、日本とアメリカ、アジア、世界の関係をがらりと一変させ、二十一世紀にふさわしい「日米新時代」「新世界」をひらくことができます。

 第一に、日本がアメリカの戦争に巻き込まれたり、動員されたりする危険から、完全に解放されます。

 第二に、アメリカとの関係も、条約の規定にもとづいて「終了」手続きをするだけのことで、けっして敵対関係になるわけではありません。それどころか、戦前のように敵対でもない、いまのように従属でもない、対等・平等の関係となり、本当の友好関係をつくることができます。

 第三に、これまでのように、アメリカが世界で繰り広げる無法な軍事干渉や軍事介入を支持するという、世界から孤立する道を歩むのではなく、自主独立の国となって、国民の平和の声を代表して、世界の平和に役立つ外交を積極的に展開する新しい条件がひらけてきます。

 第四に、アジアに生きる国として、アジア諸国との友好・協力にまったく新しい可能性が生まれます。アジアを敵視した戦争法の根源そのものをなくすことになり、アジア諸国との平和・友好をいっそう力強いものにします。いまアジアでは、非同盟諸国会議に二十三カ国中、二十カ国、オブザーバーの中国を入れると二十一カ国が参加しています。参加していないのは、日本と韓国だけです。日本が日米軍事同盟からぬけだすことは、このアジアの非同盟の流れをいっそう大きなものにし、ヨーロッパとの関係でも、新しい転機をきりひらくことになります。

(2)安保廃棄前にも米軍基地の異常をただし、米軍の横暴勝手をやめさせます

 無法な米軍の空母艦載機などによるNLP(夜間離着陸訓練)や超低空飛行訓練は、米本国はもちろん、他のどの同盟国でもやっていません。こんな勝手放題をきぜんとした外交でやめさせます。そのためにも、日米地位協定を抜本改正し、世界に例のない米軍優遇の特権措置をなくします。

 沖縄県では、米兵による女子高校生への強制わいせつ事件を契機にして、米海兵隊の削減・撤退を要求する決議が、県議会をはじめ二十一市町村議会におよんでいます。海外への“なぐりこみ部隊”である米海兵隊の削減・撤退の実現に全力をあげます。また、普天間基地の返還は、無条件におこなうべきです。最新鋭の基地の名護市への建設は、二十一世紀中にもわたって基地を固定化、強化しようとするものであり、断じて認められません。

 米軍の無法な活動をささえる「思いやり予算」は、安保条約上も何の義務もないものであり、ただちにやめさせます。今年度から五年間で、二十五兆円以上もつぎ込む中期防衛力整備計画は、軍事力の面からアメリカの軍事干渉体制をささえるもので、アジアの平和にとって、脅威以外のなにものでもありません。いま平和外交こそ力を発揮する時代であり、抜本的な軍縮をすすめます。

 日本共産党の国会での追及により、アメリカが、核兵器を日本に持ち込む密約の存在があかるみにでました。政府に密約の全ぼうを公開させ、核持ち込みの心配のない日本にします。核兵器廃絶を緊急課題として位置づけ、被爆国日本がその先頭に立つようにします。


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