2000年4月14日「しんぶん赤旗」
核兵器を積んだ米軍の艦船・航空機の日本への立ち入り・飛来(エントリー)を「事前協議」の対象としない――日本共産党の不破哲三委員長は十三日、国会内で記者会見し、一九六〇年の日米安保条約改定時に日米両政府間で合意された日本への核持ち込みにかんする秘密取り決めの全文を明らかにしました。これによって、日米安保条約改定以来四十年間、日本の歴代政権が国民に隠しつづけてきた核持ち込みの仕組みの核心にあたる核密約の全容が明らかになりました。
この文書は「討論記録(レコード・オブ・ディスカッション)」と題するもの。第一項目に「事前協議」にかんする「岸・ハーター交換公文」を示しながら、第二項目で「同交換公文は、以下の諸点を考慮に入れ、かつ了解して作成された」として、AからDの四項目を記載しています。このうちA項では、核兵器の「日本への持ち込み(イントロダクション)並びにそれらの兵器のための基地の建設」が事前協議の対象となることを明記。さらにC項で、「合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)にかんする現行の手続きに影響を与えるものとは解されない」としています。
これは旧安保条約下で一九五〇年代から米国によって「慣行」とされてきた核兵器を積んだ米艦船・航空機の日本への立ち寄り・通過を、改定後の安保条約で「事前協議」の対象とならないことを明確にしたものです。
この「討論記録」は、六〇年一月六日、マッカーサー駐日米大使と藤山愛一郎外相が「二つの英文の原本に頭文字署名し、取り交わした」三つの文書のうちの一つにあたります。また、六三年四月の大平正芳外相とライシャワー駐日大使との会談にかんする同大使の電報(三月二十二日の党首討論で公表)には、両氏が「秘密の『討論記録』の二A項と二C項の英文テキスト」を検討したとされており、この「討論記録」の項目と一致しています。
「討論記録」は、六六年、沖縄の施政権返還にそなえて、米国務省と国防総省安全保障担当とが共同して作成した「日本と琉球諸島における合衆国の基地権の比較」と題した報告書に記載されていました。
不破氏は、「六〇年に現行安保条約ができてからの日米関係では、これが今日にいたるまで核兵器の取り扱いにかんする一番大事な取り決めとして、すべてがこれによって支配されてきたことは明りょうだ」とのべました。
記者会見には新原昭治国際委員会責任者と穀田恵二国対委員長が同席しました。
「事前協議」は、合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)にかんする現行の手続きに影響を与えるものとは解されない。
不破委員長は十三日午後、記者会見に先立ち、党首討論で首相側の”窓口”役となっている額賀福志郎官房副長官を首相官邸に訪ね、「核密約」文書と関連資料を手渡し、「次回の党首討論でとりあげるので、森首相にお伝えください」として、資料の内容を説明したうえ、「核密約」文書の有無をきちんとたしかめたうえで次回の党首討論にのぞむことをもとめました。
穀田恵二国会対策委員長が同行しました。
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