日本共産党国会議員団が十八日に発表した二〇〇八年度予算案の組み替え案は次の通りです。
貧困と格差拡大がすすみ、労働者、高齢者、障害者、農民、中小業者などあらゆる層の暮らしと営業が、「底がぬけてしまった」かのような不安と危機にみまわれている。
大企業は昨年度、バブル期の一・七倍に当たる三三兆円の利益をあげ、今年度も大幅に利益を伸ばしている。ところが政府自身「好調な企業業績が家計に波及しない」と認めたように、「大企業が利益を上げれば、いずれはめぐりめぐって家計にも及ぶ」(トリクルダウン)という政府の「経済成長シナリオ」は、完全に破たんしている。
自公政府が強行してきた「構造改革」路線は、「大企業の競争力を強くすれば日本経済も強くなる」として、財界・大企業をとことん応援する一方で、国民には容赦なく増税や社会保障の負担増と給付削減を押しつけるものである。その結果、日本経済は、国民の所得と消費が伸びず、内需が低迷し続けている。「内需主導の力強い経済成長」どころか、輸出だのみ、外需依存に大きく傾斜するという、きわめて脆弱(ぜいじゃく)なものになっている。しかも、投機資金による原油高・穀物高による生活必需品の値上がりやコスト高が、国民の生活と中小企業、農業などの経営をさらに圧迫している。
ところが政府予算案は、国民の窮状を打開するものとはほど遠い。(1)「生活者重視」といいながら生活者には冷酷であり、(2)メスを入れるべき大企業優遇、軍事費などは「聖域」にし、(3)「消費税増税を含む税体系の抜本的改革」という庶民大増税への「橋渡し予算」となっている。
日本経済は、大きな岐路に立っている。いまこそ、経済政策の軸足を家計(社会保障、雇用、農業、中小企業、地域経済など)に移すべきである。日本共産党は、この見地から二〇〇八年度予算案を抜本的に組み替えることを要求する。
貧困と格差の広がりをくいとめるために、社会保障予算の自然増を毎年二二〇〇億円も削減し続ける「方針」を撤回し、社会保障に予算を重点的に配分する。
だれでもどこでも必要な医療が受けられる医療制度を守る…過酷な保険料取り立てや差別医療をもちこむ後期高齢者医療制度の実施を中止する。療養病床の大幅削減をやめる。上限を超えたリハビリの選定療養化(自費徴収)を撤回する。
減らした国庫負担を元にもどし、高薬価や高額医療機器の見直しなどで医療保険財政を立て直す。生活に困っている人、医療を必要としている人からの国保証とりあげを中止し、高すぎる国保料(税)を、国庫負担を引き上げて一人年額一万円引き下げる。
深刻な医師不足を解決するため、「医師数抑制」の閣議決定を撤回し、医師数の抜本増をはかる。看護師など医療従事者も大幅に増やす。勤務医の労働条件改善、不足地域に医師を派遣する公的体制づくりをすすめる。「公立病院改革」の名による病院つぶしをやめ、地域医療体制をまもる。
難病医療への公費助成を拡充する。すべてのウイルス性肝炎患者への恒久的医療費助成などの対策を強める。原爆症の認定行政を改善する。
誰もが安心できる年金制度に…基礎年金の国庫負担をただちに二分の一に引きあげ、年金財源の土台をつくり、全額国庫負担による最低保障年金制度の実現にむかう。受給資格を二五年から一〇年に短縮する。最近の物価高騰を給付水準に緊急に反映させる。「消えた年金」問題の相談体制やとりくみを抜本的に強化する。
介護サービスのとりあげをやめさせ、保険料・利用料を軽減する…利用料・保険料減免の拡充、「介護とりあげ」の中止、労働条件の改善などの財源として、介護給付費に占める国庫負担割合を五%引き上げ、三〇%とする。地域の実情に応じた福祉のまちづくりをすすめる。
「障害者自立支援法」の応益負担の撤回など、社会福祉を改善する…政府も一部手直しを迫られているが、最大の問題は、人間らしく生きるために必要な社会的な支援の大きさに応じて負担をもとめる「応益負担」であり、その撤回を求める。障害者・児施設などへの支援を強める。生活保護の母子加算削減を中止し、老齢加算を復活する。
深刻な人材不足を打開するため、福祉労働者の労働条件を改善する…深刻な福祉の人材不足は介護や障害者福祉の制度存続にかかわる事態である。おおもとには国の社会保障きりすてによる劣悪な労働条件がある。その改善へ、国の責任で賃金の月三万円アップの緊急措置をとる。介護・福祉の事業所にたいする報酬を大幅に引き上げる。保険料・利用者負担増とならないように、国庫負担割合を増やし、減免制度などを充実する。心のかよいあう介護・福祉ができるように人員配置基準も改善する。
子どもの医療費の無料化や子育て支援の拡充…子どもの医療費の無料化を国の制度として実施し、自治体が上乗せできるようにする。第一子・第二子の児童手当を小学六年生まで月額一万円に増額する。保育所の増設、保育士増員のための児童施設整備費などの予算、学童保育への運営補助金を増額する。児童相談所の拡充、児童福祉司を増員する。児童扶養手当は削減が見送られたが、「就業意欲」を口実に、不当な手当カットがおこなわれることのないようにする。
自公政権によって繰り返されてきた労働法制の規制緩和によって、低賃金・無権利の労働者が増え続け、非正規雇用が三人に一人、年収二〇〇万円未満の労働者が一〇二三万人(二二・八%)にのぼっている。安定した雇用と人間らしく働けるルールの整備が、国民のくらしを支えるためにもいよいよ重要になっている。
派遣事業法を派遣労働者保護法に抜本改正する…政府は「派遣を常用雇用の代替にはしない」と言明してきたが、一九九九年の労働者派遣の原則自由化以降、派遣労働者が二一四万人も増える一方で、正社員は三四八万人減少するなど、正社員から派遣への大規模な置き換えがすすんでいる。労働者派遣は、臨時的・一時的業務に限定し、常用雇用の代替にしてはならないことを明記する。日雇い派遣を禁止し、派遣会社に登録して仕事があるときだけ雇用されるという、きわめて不安定な登録型派遣をきびしく制限し、常用型派遣を原則にする。均等待遇の保障、派遣会社のマージン率の上限規制、派遣期間を超えた場合や違法な派遣や請負があった場合には、派遣先が直接雇用したものとみなして正社員にするなど、派遣労働者の雇用と権利を守る法律に抜本改正する。すべてのパート労働者の均等待遇をはかる。
最低賃金を、時給千円以上を目標に抜本的に引き上げる…貧困と格差の解消のためにも、先進国で最低の最低賃金を抜本的に引き上げるとともに、全国一律最賃制を確立する。中小企業への賃金助成や優遇税制などとともに、大企業による下請け単価たたきを規制し、最低賃金を保障する下請け単価を実現する。
日雇い派遣、ワーキングプアからの脱出を支援する…非正規で働く労働者が、技能を身につけ、資格を取得できるように、職業訓練の機会を抜本的に増やす。低賃金で蓄えがない人には訓練期間中の生活資金の援助を行う。家賃補助制度、生活資金貸与制度なども創設する。日雇い派遣労働者に、日雇い雇用保険、健康保険の適用をすすめる。ハローワークを二六カ所も廃止する統廃合計画を中止する。
政府は、今後一〇年間で五九兆円という「道路の中期計画(素案)」を前提に、揮発油税などの道路特定財源制度と暫定税率の一〇年間延長を提案している。道路特定財源制度ができてから五四年、暫定税率が導入されてから三四年がたち、無駄な道路をつくり続ける“自動装置”となっているこれらの制度を、このうえ一〇年間も延長する道理はまったくない。道路特定財源を一般財源化し、社会保障にも教育にも使える、道路にも使える財源にするとともに、暫定税率は廃止する。
「中期計画(素案)」の半分は、全国一万四〇〇〇キロの「基幹ネットワーク」や七〇〇〇キロの「地域高規格道路」などの高速道路整備がしめており、政府が道路特定財源維持の口実にあげる「通学路の歩道整備」や「開かずの踏切対策」などは、計画全体の数パーセントにすぎない。「中期計画(素案)」は撤回する。特定財源と暫定税率をなくしても、むだな道路建設を中止するとともに、地方財源について国が責任をもって確保する対策を行えば、必要な道路整備を進めることは可能である。
スーパー中枢港湾、巨大ダムなど大型公共事業の浪費にメスを入れ、福祉、教育、交通安全、防災など生活密着型事業に重点を移し、公共事業の構造を転換する。
日本の食料自給率は、世界でも異常な三九%にまで低下した。米をはじめ農産物価格は暴落をつづけ、耕作放棄の拡大や高齢化による担い手減少が進む一方、政府が「モデル」としている大規模農家でさえ経営を維持できないという危機に、日本農業は直面している。現実離れした規模拡大を押しつけ、小農家を切り捨てる「水田・畑作経営所得安定対策」(旧「品目横断対策」)を中止し、持続可能な農業経営を実現するために、価格保障・所得補償制度を抜本的に整備する。米をはじめ、麦・大豆、畜産、野菜・果樹などの価格保障(米の不足払いで六〇キロ当たり一万七〇〇〇円以上)を実現し、国土・環境保全など農業の多面的な機能を配慮した所得補償(水田なら当面一〇アール当たり一万円程度)を導入する。
飼料価格の高騰対策をとる…輸入飼料の急激な値上がりによって、畜産農家は経営の危機に直面している。配合飼料価格安定制度による農家補填(ほてん)を続けるため、財政支援を強める。飼料代などの値上がりに見合った乳価に基準を引き上げる。畜産経営を長期的に安定させるため、飼料の輸入依存から脱却し、エサ米生産など飼料の国内生産に取り組むとともに、畜産廃棄物のバイオエネルギー化、液肥化による循環型の畜産経営への転換をはかる。
食の安全・安心を保障する…中国からの輸入冷凍ギョーザへの殺虫剤混入事件は、海外に依存する日本の食料供給の脆弱さを改めて示した。輸入食品の検査率を現在の一〇%から五〇%以上に引き上げるため、現行の三三四人の食品衛生監視員を大幅に増員する。
アメリカ産牛肉の輸入再開後、輸入条件の生後二〇カ月以下と判別できない牛肉一七トンが輸入されていたことが先月明らかになった。米政府の検査体制のずさんさがあらためて浮き彫りになった。アメリカ産輸入牛肉の全箱検査を維持するのは当然としても、アメリカ側に安全体制がないなら輸入を再度禁止すべきである。ましてアメリカが要求する生後三〇カ月以下までの条件の緩和などもってのほかである。国内でのBSE(牛海綿状脳症)「全頭検査」は、厚生労働省の毎年の政策実績評価書のなかでも、BSE感染牛を確実に発見できるとして評価されてきた。政府案で削られた自治体の行う「全頭検査」への補助金を復活させる。
昨年以来の一連の食をめぐる「偽装」問題など、食の安全・安心をおびやかす事態があとを絶たない。EU(欧州連合)の食品安全委員会には、消費者代表がきちんと位置づけられ、リスク評価だけでなく、政策立案や規制の実施についても勧告、助言する権限も与えられている。日本の食品安全委員会も、省庁の下請け機関にならないよう改革を求める。
中小企業予算を大幅に拡充し、経営危機を打開する…原油・素材高騰の直撃をうけている中小企業の経営をまもるため、揮発油税、軽油引取税の暫定税率を撤廃するとともに、既存融資への利子補給、省エネ設備導入への無利子融資などの緊急措置をとる。備蓄石油の放出、石油元売りに費用価格情報の公開と差益の還元を求める。素材高騰の中小企業への一方的なしわよせ、大企業による価格の上昇分の中小企業への押し付け、中小企業製品の買いたたきをふせぐために、取引実態の調査と公表などをおこない、優越的地位の乱用をとりしまり、適正な単価の確保をはかる。東京・渋谷区は中小クリーニング業者に補助金の支給を決めたが、地方自治体がきめ細かい中小企業支援策をとれるよう、予算措置をとる。
公共事業の分離・分割発注、設計と施工の分離をすすめ、中小企業への受注を確保する。中小ものづくり高度化法にもとづく、地域における異業種交流、ネットワークづくり、産学官の連携による人材育成、技術相談などに十分こたえられるよう予算を増額する。商店街・まちづくりへの支援は、すべての自治体が自主的な判断で取り組めるよう、国の認定による上からの押し付けでなく、自治体の認定・支援策にあらためる。
中小企業金融を拡充する…保証協会と金融機関との責任共有等の信用保証制度の見直しによって中小企業の金融の道が閉ざされることのないよう、「金融の円滑化に努める」との信用補完制度の本来の理念にもとづき拡充をはかる。国民生活金融公庫や自治体などの政策金融の拡充をはかり、その返済能力にみあった低利・長期・固定の融資を維持、改善する。ヤミ金などをきびしく取り締まる。
地方財源を拡充し、地域経済の活性化をはかる…地方交付税抑制路線をやめ、地方交付税の財源保障・調整機能を強化し、住民福祉を保障する。公共施設や公共交通などの廃止を中止する。これらの再生をはかり、住民が安心して住み続けられるようにする。地域経済をささえている農林漁業や中小企業の経営危機を打開し、地域振興をすすめる。
貧困と格差の進行が、子どもと教育にも暗い影を落としているなかで、どの子どもにも行き届いた教育と学力の底上げなどが強く求められている。
教職員の増員をはかり、子どもと向き合う時間をふやす…文部科学省が概算要求で盛り込んだ教職員七一二一人の増員を行う。教員の負担軽減、“特別支援教育”の充実をすすめる。副校長・主幹教諭・指導教諭などの処遇(新たな級の創設など)を取りやめ、教職員の残業代を保障する教職調整額(現行四%)を、勤務実態にみあって一二%に改善する。
昨年に続き今年実施予定の全国学力テストを中止し、抽出調査にきりかえる。
一向にすすまない公立学校施設の耐震化を促進する。天井や窓ガラスなど建築非構造部材の耐震化の補助対象化、建築単価の引き上げなど、予算規模を倍増する。
国立大学の運営交付金と私学助成を増額する…国立大学法人の運営費交付金の毎年の削減によって教育研究費が大幅に削減され危機にひんしている。一%削減を中止し、少なくとも文部科学省が概算要求した二・二%増の引き上げを行う。私立大学の助成三二億円の減額をやめ、定員割れなど危機的状況をむかえている私立大学の経営安定化のための助成を大幅にふやす。
教育費の負担を軽減する…無利子奨学金の所得基準に該当しながら、貸与枠が狭いため対象からはずされている残存適格者(二万四〇〇〇人)を二年間で解消するため、無利子奨学金枠を一万二〇〇〇人分増やす。
学費無償化をめざし、負担軽減にふみだす。東大が実施しているように保護者の年間給与収入四〇〇万円以下の場合、授業料を無料にする。国公私立の学生と院生を対象にしても、二八六〇億円で実現できる。高校の授業料の減免対象(〇五年度、公立七・五%、私立〇・一%)を一割程度に引き上げる。
今年は、京都議定書の目標達成のための第一約束期間(二〇〇八―一二年)の初年に当たる。京都議定書の“議長国”である日本は、京都議定書で約束した温暖化ガスの削減目標をなんとしても達成しなければならない。二酸化炭素の排出量の八割が企業・行政分野からのもので、とくに発電所、鉄鋼など一八〇の事業所が日本全体の排出量の半分以上を占める状況をみれば、政府は日本経団連の「自主」行動計画まかせにせず、経済界と政府の間で削減協定を締結し、達成責任を公的に裏うちすべきである。
とくに排出量の多いエネルギー部門で重要な自然エネルギーの活用を広げるため、目標量を抜本的に引き上げるとともに、電力会社が買い取り価格を引き上げ、固定価格による買い取りをただちに実施すべきである。既存のエネルギー税制を見直し、温暖化ガスの排出量を考慮した環境税の導入に向けた検討をすすめる。これにより大口排出者である大企業に相応のコスト負担をもとめる。電源開発促進税を一般財源化し、自然エネルギーの利用促進などに生かす。各企業の排出状況と実効性のある削減目標を明らかにした排出権取引を導入する。
昨年十二月のバリ会議では、来年末までに、京都議定書の第一約束期間後の削減の取り組みについて、国際的な合意を得ることが決まった。関連の国際会議が連続して開かれ、七月には洞爺湖サミットが予定されている。バリ会議での京都議定書アドホック委員会での合意を踏まえ、中長期の削減目標を早急に打ち出す。とくに二〇二〇年までの中期削減目標を明確に打ち出すことがカギである。
公害被害者の救済を急ぐ…東京大気汚染訴訟の和解によって、東京都内の被害者の救済が始まろうとしているが、川崎、名古屋、尼崎など全国の被害者にたいして、政府は都内と同じ支援策を実施すべきである。水俣病にかんして、政府は認定基準の見直しをただちに実施し、全容解明の実態調査をおこない、最高裁が示した救済水準に合わせて、すべての水俣病被害者の救済を急ぐ。アスベストの影響は事業者・従業員だけでなく、家族、周辺住民にも及んでおり、石綿関連企業の労働者や事業所周辺住民などの健康診断調査を継続して実施するために、費用を原因企業と国が負担する。石綿の労災認定も抜本的に見直し、すべての健康被害者を救済し、被害に対する補償水準を引き上げるなど救済制度を早急に改善する。
リサイクル制度を見直す…住民がせっかく資源や不燃ゴミとして分別したのに、自治体が大型焼却炉で焼却する事例が増えている。自治体と住民に負担を押しつける現行制度を、「拡大生産者責任」の立場で抜本的に見直す。家電製品のリサイクル費用については、商品の販売時に徴収するよう改善する。廃棄物の不法投棄を許さないために、都道府県が徹底した立ち入り検査を実施し、違反者への厳格な指導と監督をおこない、違反者など排出者の責任で撤去させる。
前防衛事務次官が逮捕され、装備調達や米軍再編をめぐる利権疑惑が大問題になったにもかかわらず、軍事費は五兆円近い規模をあくまで維持するものになっている。防衛省・自衛隊のすべての発注事業と兵器調達を総点検し、軍需企業、政治家との癒着構造に抜本的にメスを入れる。アメリカいいなりですすめている米軍再編と自衛隊の海外派兵体制づくりのための予算を削減する。
米軍「思いやり」予算を全額削除する…日米地位協定上、日本に負担義務のない米軍「思いやり」予算と沖縄の米軍基地たらいまわしをすすめる「SACO(日米特別行動委員会)関係経費」を全額削除する。
「米軍再編」を中止・撤回する…米軍・自衛隊の再編は、アメリカの先制攻撃戦略にもとづいて、日米軍事同盟を地球規模の侵略的な軍事同盟につくりかえるものである。司令部から基地使用、情報・通信、演習にいたるまで米軍と自衛隊を一体化させ、基地機能の抜本的強化と固定化をすすめようとしている。沖縄の新基地建設や海兵隊「移転」の名によるグアムの米軍基地増強、キャンプ座間や横田基地における日米司令部機能の一体化、岩国基地への米空母艦載機部隊の移転、米軍機の訓練「移転」など、三兆円にもおよぶ米軍再編計画を中止、撤回する。「アメとムチ」で関係自治体を脅しつけて、基地増強を強要するための「再編交付金」は廃止する。
沖縄ではまたもや、米兵による少女暴行事件が引き起こされた。米軍基地あるがゆえの日本国民の被害は、小手先の再発防止策などでは解決しない。日米地位協定の見直しと米軍基地そのものの縮小・撤去を強く求める。
海外派兵体制づくりをやめる…海外活動を自衛隊の「本来任務」とした自衛隊法改悪と防衛省法にもとづいて、本格的な海外派兵体制づくりがおこなわれている。海外派兵型装備の導入・開発をやめる。海外派兵を促進するための情報保全組織の新編や海外派兵のための教育・広報、日米軍事一体化をささえるための軍事行政機構づくりを中止する。
「ミサイル防衛」は、アメリカの先制攻撃戦略の一翼をになうものであり、関連予算を削除する。
ブッシュ政権のイラク戦争、対「テロ」戦争の破たんは明らかであり、イラクから自衛隊をただちに撤退させ、再開したインド洋・アラビア海への派兵を中止する。
庶民には定率減税廃止などの増税がおしつけられる一方で、過去一〇年間に大企業には、法人税率の引き下げや租税特別措置の拡大などによって五兆円を超える減税、大資産家には、所得税の最高税率引き下げや証券優遇税制など二兆円規模の減税が行われてきた。政府は、こうした「逆立ち税制」をまったく改めず、〇八年度も研究開発減税など大企業減税を拡充し、証券優遇税制も形を変えて残し、大資産家優遇税制を継続しようとしている。
史上空前の利益をあげている大企業や大資産家に、その負担能力に見合った税の負担をもとめることは当然である。優遇税制に抜本的にメスを入れ、暮らしや福祉のための財源を確保する。基礎控除の引き上げ、低所得者への老年者控除復活などで、庶民の税負担を軽減するとともに、財政再建への確実な第一歩をふみだす。