第三は、農業と食料の危機であります。
この十年あまりで、生産者米価は四割近く下落し、二〇〇六年産の米価は一俵あたり平均一万四千八百二十六円まで落ち込みました。コメの生産費は農水省の計算でさえ、一俵あたり一万六千八百二十四円なのに、それを大きく下回りました。この米価で得られる農家の一時間あたりの労働報酬は、わずか二百五十六円にすぎません。ほとんどの農家がコメづくりをつづけられなくなるがけっぷちまで追い込まれています。
米価の異常な下落は、政治の責任以外の何ものでもありません。政府はこの十年あまり、WTO(世界貿易機関)農業協定にあわせてコメの価格保障を廃止し、コメ市場の下支えも撤廃し、米価を市場まかせにしてきました。コメの輸入拡大が、米価下落に拍車をかけました。総理、どんな言い訳をしても、米価収入を時給二百五十六円まで下落させた農政は、大失政というほかないではありませんか。総理は、その重大な政治責任をどう自覚されているのでしょうか。
日本の食料自給率は世界でも異常な低さの39%まで低下しました。日本農業の立て直しは、ひとり農家の存亡にとどまらず、日本国民の存亡、国土と環境の存廃にかかわる大問題であります。わが党は、そのためにつぎの三つの政策転換を強く求めます。
一つは、農産物の価格保障と所得補償を組み合わせて、農家が安心して農業に打ち込める再生産を保障することです。生産者米価については、不足払い制度を創設し、農家の手取りを、当面、生産費に見合う一俵一万七千円以上に引き上げるべきであります。
二つは、大多数の農家を切り捨てる「品目横断対策」を中止し、家族経営を応援するとともに、大規模経営や集落営農もふくめて、農業を続けたい人やりたい人すべてを応援する農政に切り替えることです。
三つは、無制限な輸入自由化をやめ、国連人権委員会が採択した「食料主権」――各国が食料・農業政策を自主的に決定する権利を保障する貿易ルールをつくることをめざすべきです。総理の答弁を求めます。