日本共産党国会議員団障害者の全面参加と平等推進委員会が六日、舛添要一厚生労働相に対して行った「障害者自立支援法の抜本的な見直しに関する申し入れ」の全文は次の通りです。
障害者自立支援法が昨年四月に施行されてから一年半近くが経過しましたが、懸念されていた問題点が現実の問題となっています。とりわけ、「応益」負担の導入は、障害者に過酷な負担増を強い、現在の生活と将来について深刻な不安を与えています。実際、厚生労働省の調査によっても、施設利用を中止せざるを得なくなった人は全国で千六百二十五名にのぼるという実態も明らかになっています。また、報酬単価の引き下げと日払方式への変更は、事業所経営を脅かし、職員の労働条件を引き下げ、人手不足の深刻化など障害者支援体制を維持することすら困難においこんでいます。
政府は、障害者自立支援法の大幅見直しを求める障害者、施設関係者の声と運動におされ、昨年十二月、千二百億円にのぼる「特別対策」を講じていますが、根本的な解決にはなっていません。
当委員会は九月四日に、障害者・難病団体から意見を聞く会を開催し、その場でも障害者自立支援法の応益負担の撤回を求める声が相次いで出されました。
これらをふまえて、障害者自立支援法の抜本的な見直しを求め、以下の通り申し入れます。
1、大幅な負担増となっている福祉サービス及び自立支援医療における応益負担制度(食費含む)を速やかに撤回すること。
2、自立支援法施行後、施設収入が大幅に減額となり施設運営に困難が生じている。報酬単価の引き上げとともに、日額支払方式から月額支払方式に戻すこと。
3、障害者の自立と社会参加に大きな役割を果たしている小規模作業所が、安定して運営がおこなえるよう、地域活動支援センターについて補助基準を大幅に引き上げること。希望する小規模作業所が義務的経費の諸事業に移行できるよう要件の緩和などの措置を講ずること。
4、コミュニケーション支援事業や移動支援事業、地域活動支援センターなど地域生活支援事業に対する国の支援は不十分であり、事業の実施利用者負担について自治体による格差が相当広がっている。地域生活支援事業に対して、実際にかかった経費の二分の一を国が負担する仕組みに改めること。
5、障害程度区分の判定が身体動作に偏重しているため、精神障害、知的障害、内部障害などの実態が正しく反映されず必要な障害者福祉サービスが受けられない等の問題が発生している。障害ごとに、その特性が反映されるように、認定基準及び認定手続きを見直すこと。児童に対して障害程度区分の導入はしないこと。
6、精神科病棟の転換等による「精神障害者退院支援施設」は病棟の看板の掛け替えにすぎず、社会的入院を真に解消するものとはいえない。「精神障害者退院支援施設」の導入は、即時中止すること。