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最低賃金制改善のための日本共産党の要求

2007年10月22日 日本共産党国会議員団


 貧困と格差の拡大が日本社会をおおう深刻な問題になっています。生活保護水準にも達しない「ワーキング・プア」と呼ばれる世帯数が400万とも500万ともいわれています。年収200万円以下の労働者が1,023万人(22.8%)にのぼり、若者の多数がこうした低賃金に苦しんでいます。なぜ、働いてもはたらいても貧困から抜け出せないのか。その根底には、「先進国」で最低の最低賃金があります。働いている人の最低賃金が生活保護基準を下回るという低額です。

 「人間らしく生き、働きたい」――この切実な要求が、弱者切り捨ての「構造改革」をすすめてきた自公政治に「ノー」の審判をくだしました。こうした国民の世論におされて、政府も最低賃金の引き上げをいわざるをえなくなり、最低賃金法改正案を国会に提出しています。

 ところが、政府・与党案は、最低賃金を都道府県別にバラバラに決定する地域別最低賃金制を固定化するなど、労働者・労働組合の切実な要求から大きくかけ離れたものになっています。

 日本共産党は、貧困と格差の解消に果たす最低賃金制の役割を重視し、世界であたり前になっている全国一律最低賃金制を実現するとともに、最低賃金の抜本的引き上げを求め、草の根からの運動と国会内で全力をつくすものです。

【日本共産党の基本的考え方】

 最低賃金制は、労働者全体の賃金水準を引き上げるものでなければならず、したがって、全国一律最低賃金制の確立を基本とする。最低賃金額として、当面、時給1000円以上を目標に、抜本的に引き上げる。

(最低賃金の種類)

(1)最低賃金は、全国一律最低賃金を基本とし、地域的最低賃金、産業別最低賃金を設定する。

(2)地域的最低賃金は、全国一律最低賃金を下回ってはならない。

(3)労働者が二つ以上の最低賃金の対象となる場合は、そのうち高い額の最低賃金を適用する。

(最低賃金額の表示)

 最低賃金額は、月、日または時間によって定めるものとする。

(最低賃金の決定基準)

 最低賃金は、労働者とその家族が健康で文化的な最低限度の生活を営むための必要な生計費を満たすものでなければならない。

(最低賃金の適用範囲)

 最低賃金は、公務と民間を問わず、すべての労働者に適用する。

(最低賃金の減額措置)

 原則として、減額を認めない。

(中小企業への助成策)

 中小企業における最低賃金制の円滑な実施のために、大企業による下請単価の買いたたきを規制するとともに、最低賃金を保障できる下請単価を実現する。また、規制緩和政策の見直しをおこない、中小企業への優遇税制や特別融資、賃金助成などの助成策を抜本的に強化する。さらに、国や自治体が発注する事業について、それを請負う企業が労働条件を確保することを義務づける公契約法・条例を制定する。

(最低賃金審議会委員の公正任命)

 中央ならびに地方の最低賃金審議会は、広範な労働者の声を反映する構成とし、ナショナルセンターである全労連等の代表を排除する不公正任命を抜本的に改める。

以 上



各党の最低賃金政策

日本共産党 政府・与党 民主党
制度の特徴
 全国一律最低賃金制を基本とする。その上で、地域的最低賃金と産業別最低賃金を設定する

 地域別最低賃金に特化の方向。労働協約拡張適用方式を廃止し、特定最低賃金(産業別最低賃金)を罰則規定から除外

 全国最低賃金と地域最低賃金を設定。労働協約拡張適用方式と産業別最低賃金は、罰則規定から除外
最低賃金額
 全国一律に1000円以上

 引き上げる方向。ただし抜本的引き上げはしない

 全国最低賃金は800円。地域最低賃金は平均1000円
表示方式
月、日、時間
時間
月、日、時間
決定基準
 労働者とその家族が健康で文化的な最低限度の生活を営むための必要な生計費

 地域の労働者の生計費(生活保護との整合性に配慮)と賃金、事業の賃金支払い能力

 労働者とその家族の生計費を基本とする。ただし当面3年間は、生計費、類似の労働者の賃金、事業の賃金支払い能力で決定する
適用範囲
 公務員を含め、すべての労働者に適用する

公務員を除く

公務員を除く
減額措置
 原則として、減額は認めない

 障害者や試用期間中の者、職業訓練中の者、軽易な作業に従事する者に適用する最低賃金は減額する

 18歳未満と70歳以上の者、障害者、試用期間中の者、職業訓練中の者、所定労働時間の特に短い者、軽易な業務に従事する者などの最低賃金は減額する
中小企業対策
 大企業による下請単価買いたたきの規制と最低賃金を保障できる下請単価の実現、規制緩和政策の見直し、優遇税制や特別融資、賃金助成などの助成策を抜本的に強化する。公契約法・条例を制定する


 中小企業の生産力向上を目的に、下請取引の適正化など一定の措置を検討中
 
財政上と金融上の措置などをとる


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