日本共産党
SEISAKU
ANPO

2009年 総選挙政策 《分野別政策》

28 安保・基地・自衛隊

海外派兵と大軍拡計画をやめさせ、米軍基地の異常をただします

地球規模の日米軍事同盟強化に反対し、「海外派兵国家」づくりをやめさせます

 戦後、わが国の政府は、どんな無法で道理がないものであろうと、アメリカの戦争を無条件に支持する立場にしがみついてきました。その危険性は、いまテロと暴力の悪循環、泥沼状態をますます深刻化させ、米国の軍事支配が完全に破たんしているイラクやアフガニスタンの情勢が浮き彫りにしています。

イラク戦争支援をめぐっては、航空自衛隊による米軍支援活動を憲法違反と断じた名古屋高裁判決が確定判決となりました。麻生内閣は08年11月末、航空自衛隊の撤収を決め、09年2月、自衛隊は5年間の活動を終了して完全撤収することを余儀なくされました。しかし、アフガン戦争を支援する海上自衛隊のインド洋・アラビア海派遣については、アメリカの強い要請にしたがって、活動継続のための特措法を延長しようとしています。

そのうえ、自公政権は、09年3月から「海賊対策」を名目にアフリカ東部のソマリア沖・アデン湾へのなし崩し的な自衛隊派兵の既成事実を先行させつつ、新たに日本関係船舶以外の船も護衛できるようにして、武器使用も拡大した「海賊」派兵法を強行しました。艦船だけでなくP3C哨戒機や陸上自衛隊の中央即応連隊をジブチに派遣し、航空自衛隊のC130で輸送するなど、陸海空三自衛隊を海外で統合運用するという戦後初めての事態が進行しています。

イラク特措法による派兵費用は970億円に達し、新旧テロ特措法によるインド洋・アラビア海での戦争支援費用は690億円を上回っています。ソマリア・アデン湾への自衛隊派遣には150億円を超える予算が計上され、これらを合わせれば自衛隊の海外派兵に2000億円近い経費が投入されています。

 さらに、「21世紀の地球規模での協力のための新しい日米同盟」などとして、日米軍事同盟を地球規模に拡大・強化し、侵略的に変質させる動きが加速しています。

 日本共産党は、自衛隊のインド洋、ソマリア沖・アデン湾、ジブチからの速やかな撤兵を求めるとともに、日米軍事同盟を地球規模に拡大・強化することに強く反対します。

 世界的な「米軍再編」の動きに合わせて、米軍と自衛隊が一体になって世界のどこでも出撃できる軍事態勢をつくろうとしていることも重大です。自衛隊の海外派兵を「本来任務」にし、自衛隊の海外活動を主な任務とする中央即応集団や中央即応連隊、中央情報隊の創設につづき、自衛隊制服組の役割を拡大する防衛省「改革」など、海外派兵体制強化のための組織と制度の改変がすすめられています。07年の第2次アーミテージ報告が「短い予告期間で部隊を配備できる、より大きな柔軟性をもった安全保障パートナーの存在を願っている」などと重視している海外派兵恒久法のたくらみも、この流れのなかに位置づけられたものです。イラク戦争のような、アメリカの無法な先制攻撃の戦争に日本を参戦させる仕組みづくりを許すわけにはいきません。

 ヘリ空母などの海外派兵型兵器の導入や「ミサイル防衛」などの軍拡計画は、アメリカの世界戦略、軍事介入態勢に日本をいっそう深く組み込み、強化するもので、世界とアジアの平和と安定を脅かすものにほかなりません。アメリカに追従した「海外派兵国家」の道を歩みつづければ、日本がアメリカといっしょになって世界の平和に挑戦することになり、世界とアジアから孤立するばかりです。

 日本共産党は、憲法9条を守る立場から、「海外派兵国家」の仕組みづくりをやめさせ、有事法制・海外派兵法の発動を阻止するために、広範な国民のみなさんと共同を広げることに力をつくします。海外派兵型装備をはじめ、抜本的な軍縮を実現するために全力をあげます。

 また、日本共産党は、自衛隊の情報保全隊が、平和・民主主義・生活向上を求める国民の世論や動向、個人の言動を日常的・系統的に調査・監視していることを明らかにしました。戦前の「憲兵政治」をほうふつとさせるこうした活動は、重大なプライバシーの侵害であり、集会・結社の自由や表現の自由、思想・良心の自由を侵害する許しがたい憲法違反の行為です。

 日本共産党は、防衛省・自衛隊による憲法違反の情報収集や国民監視活動の全容を明らかにし、ただちに中止することを求めます。

基地強化、米軍の横暴勝手をやめさせます

 沖縄をはじめ日本全土に米軍基地がおかれ、戦後64年たったいま、新たな原子力空母配備など、アメリカの世界戦略の前線基地として強化されつづけています。日本に駐留する米軍の部隊は、海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群、航空宇宙遠征軍など、「日本を守る」ための軍隊ではありません。その名の通り、世界のどこで紛争がおこっても、真っ先に殴り込むことを任務とした部隊にほかなりません。

米軍基地は、日本国民の生命とくらしにも重大な被害と苦痛を与え続けています。戦闘機・ヘリの墜落や米兵による殺人、強盗・強姦・放火・ひき逃げなど、米軍の事件・事故が相次いでいます。米軍による事件・事故は、毎年1200〜2000件も発生しており、政府があきらかにしているだけでも1952年以来、08年末までに20万6805件(施政権返還以前の沖縄の分は含まれていない)におよび、被害にあった日本人死亡者は1084人にたっしています。沖縄では、米軍人による女性暴行事件が95年以降だけで14件あり、表面化しないケースも相当数あるとみられています。横須賀(神奈川県)では、3年連続で殺人・殺人未遂事件が発生しています。

 ところが、日米間には「公務外」の米兵犯罪について、日本が裁判権を放棄する密約が結ばれていることが米政府の解禁文書であきらかになっています。この密約のため、米兵犯罪や米軍の交通事故による犠牲者は泣き寝入りさせられ、国の主権はいちじるしく侵害されつづけています。しかも、昨年6月、自公政権の圧力で国会図書館が、日米密約が収録された法務省の資料を閲覧禁止にするという驚くべき事態がうまれています。国の独立と主権、国民主権にかかわる重大問題であり、民主主義が根本から問われています。政府は、裁判権放棄の日米密約をただちに廃棄すべきです。

 また、無法な空母艦載機などによるNLP(夜間離着陸訓練)や超低空飛行をはじめ、米軍機の騒音被害・航空機・艦船による油漏れなどの環境汚染が各地で住民のくらしと健康を脅かしています。米原潜が2年以上にわたって、放射能を含んだ冷却水を垂れ流して日本への寄港をくりかえしていたことは、国民の安全を脅かす重大問題です。にもかかわらず、日米両政府が原因を究明せずに幕引きをはかろうとしたうえ、新たに原子力空母を横須賀に配備するなど断じて許せません。しかも、米軍が日本では実施しないと約束していた原子炉修理に関連した施設が横須賀につくられた可能性が米太平洋軍司令官の議会証言などできわめて濃厚になっています。こうした現実は、とても独立国とはいえない異常きわまるものです。

 日本共産党は、こうした米軍の横暴勝手をやめさせるとともに、主権国家にあるまじき対米従属政治をただすために全力をあげます。米軍の事件・事故のたびに問題になる日米地位協定問題でも、自公政権は、国民の強い改定要求に背を向けて、「運用改善」にとどめています。日本共産党は、日米地位協定を抜本改定し、世界に例のない米軍優遇の特権をなくすために力をつくします。

 米軍の勝手放題の活動を支え、米軍が日本に居座る根拠にもなっている「思いやり予算」(沖縄の基地たらい回しの「SACO経費」や「米軍再編経費」を含む)は、中小企業予算の1・5倍にまで膨張し、失業対策費を上回ります。78年以来の32年間の総額は、6兆円を超えています。安保条約上も何の義務もないものであり、ただちにやめさせるよう要求します。

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