《目次にもどる→》
住宅は生存と生活の基盤です。格差社会と貧困をなくすためにも、住まいの不安をなくし、安心できる居住環境をつくることが求められています。
1996年に開かれた第2回国連人間居住会議で採択された「イスタンブール宣言」でも、「適切な住まいに住む権利」が基本的人権として確認されています。居住の権利を守ることは世界の流れになっています。
ところが06年成立した「住生活基本法」では「居住の権利」は明記されず、戦後の住宅政策を支えてきた、公営・公団(現都市再生機構)住宅、住宅金融公庫融資による持ち家支援策を改変し、公共から手を引き、住宅供給を市場に委ねる政策をとっています。日本政府の対応は明らかに世界の流れに逆行しているのです。
また、安全検査の民間まかせと安上がり競争を奨励した建築行政によって耐震強度偽装事件やエレベーターの異常な事故が起きるなど、住宅の安心・安全も脅かされています。住宅地に高層マンションが入り込むなど、住環境の破壊も深刻です。また高齢者や低所得者をはじめ、国民が安心して暮らすための住宅保障が大きく後退し、格差と貧困をいっそう拡大する要因になっています。
日本共産党は、この住宅政策を転換し、国民の居住の権利を明確にし、その保障を基本とする「住宅基本法」をめざします。その内容としては、当面、(1)国民の住まいに対する権利の規定、(2)めざすべき居住・住環境の水準の法定化、(3)適切な居住費負担の設定、(4)公共住宅の質量ともの改善の明確化、(5)国民の居住権を守るための国・自治体や住宅関連業者・金融機関などの責務の明確化などが必要です。
そして、以下のようなとりくみを地域からすすめ、国民の居住生活の改善・向上をめざします。
住宅の改善、住環境の保護……住宅の耐震化やバリアフリー化など、安全で快適な住宅をめざす改善を自治体として支援します。耐震偽装事件に象徴される欠陥住宅問題の被害をなくすために、建築確認・検査制度の改善をおこなうとともに、消費者保護、被害者救済などの制度改善をすすめます。民間賃貸住宅に暮らす高齢者や子育て世帯、「生活困窮フリーター」と呼ばれ、低賃金のために家賃が払えない若者などにたいする自治体の家賃補助のとりくみを広げます。まちづくりへの住民参加をすすめ、「住民が主人公」のまちづくりを支援し、住環境や景観、コミュニティーを守り、改善します。
公営住宅の改善……公営住宅は、法制度の改悪で、ごく限られた低所得者しか入居できないため、コミュニティーも困難を抱えています。しかも東京都をはじめ大都市は新規建設をおこなわないため応募倍率が32.1倍(東京)、15.7倍(大阪)(05年度)となり、現在の計画では、10年かかっても住宅に困っている人の需要を充足することはできません。
公営住宅については、入居基準を改善し、若い子育て世代も入居できるようにします。また「孤独死」を防ぐため単身高齢者見守りなどをおこなう自治会に対する支援制度を強化・充実します。家賃も収入にあったものにし、収入が増えると不当に高い家賃を課して居住者を「追い出す」ことをやめさせます。期限付き入居制度(10年ぐらいの期限がくれば理由の如何を問わず契約更新をおこなわない)、入居承継を配偶者しか認めないとすることや、入居時の資産調査などをやめさせます。
UR住宅(公団住宅)の改善……中堅所得者を対象として誕生した公団住宅(UR住宅)・公社住宅は、今では新規建設から撤退しました。居住者は高齢化し、UR住宅では「家賃改定ルール」により3年ごとに家賃が値上げされるなど、家賃負担が重くなっています。都市再生機構は、供給後長く経過した団地は順次建て替えるとしていますが、建て替え後の家賃が3倍にもなり、住み慣れた団地を去らなければならない居住者が増えています。また敷地の民間売却がすすみ、隣地への高層マンション建設など、地域社会が大きく変わる事態も進行しています。
住み続けられる家賃にするため、家賃は負担能力を考慮したものにします。高齢者や子育て世帯への家賃減額制度をつくるなど家賃制度を改善します。老朽化した団地についても、一律建て替えでなく、改修やリフォームなど多様な住宅改善をすすめ、誰もが戻って住み続けられるようにします。
分譲マンションの維持・管理への支援……分譲マンションは国民の1割が暮らす場であり、都市における新しいコミュニティーの場でもあります。マンションの維持・管理に対する公的な支援を充実し、安全、快適で、長持ちするマンションをめざすとりくみを支援することが求められています。
国や自治体の責任で耐震診断・改修への助成を強めるとともに、共用部分のバリアフリー化、省エネ化、アスベストの除去などを支援します。自治体の実態調査や相談窓口の整備などをすすめ、マンション管理の主体である管理組合のとりくみへの行政の支援を充実します。大規模修繕など、マンションを長持ちさせるとりくみを支援します。電気、ガス、水道など、ほんらい公共がおこなう基本的サービスの居住者負担を軽減するために、行政や、電力・ガス会社などに応分の負担を求めます。すでにいくつもの自治体が実施しているように、集会室、ゴミ置き場、遊び場などは、その公共性にふさわしく固定資産税を減免します。集合住宅の共用部分の固定資産税を減免させます。マンション購入時の消費者保護をすすめます。
マンションの老朽化と、居住者の高齢化が問題になっていますが、管理組合の理事会をなくし、マンション管理を管理会社まかせにする方式をファミリータイプまで広げることに反対します。「住民が主人公」というマンション管理士の育成・活用や、管理組合団体などの自主的な助け合いのとりくみへの支援、行政の相談体制の整備など支援体制を充実します。
借家権(住まいと営業をする権利)の擁護……定期借家制度(借家期間を限定)の導入や立ち退き料とひきかえに明け渡しを求める「借地借家法」の改悪に反対し、借地借家人の権利をまもります。
《目次にもどる→》
|
|JCP TOP|サイトマップ|「しんぶん赤旗」|著作権|リンクについて|メールの扱いについて| |
(c)日本共産党中央委員会 151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111 FAX 03-5474-8358 Mail |