参議院選挙がまぢかに迫りました。この間、政権は小泉内閣から安倍内閣へと変わりましたが、国民のくらしや福祉、雇用はますます深刻な事態におちいり、平和と民主主義をめぐっておどろくほどの暴走がくりひろげられてきました。
日本共産党は、安倍・自公政治によるくらしと平和をこわす暴走に正面からたちはだかり、ストップすることを選挙戦で訴えてたたかいます。
「貧困と格差」が社会のすみずみを覆い、ふつうに働いていてもまともな生活を維持することさえ困難な人びとが増大しています。定率減税の廃止や住民税増税、医療・介護保険制度のあいつぐ改悪、さらには、政府によるでたらめな年金運営によって「消えた年金」が大問題になるなど、多くの国民が将来の生活に不安を感じる状況が生まれています。その一方で、大企業・財界と一部の大金持ちは、バブル経済の時さえ上回る史上空前の利益を前にして、働く国民の苦境を尻目に、「いざなぎ景気をこえる最長の好景気」を謳歌しています。日本経団連はその上なお、「消費税を増税してでも、企業減税のいっそうの実行を」と迫っています。安倍・自公政権にこのまま政治をまかせていたら、これまで私たちが、みずからの汗と努力で築いてきたつましいくらしさえ、根こそぎ失われかねません。
平和・民主主義をめぐる暴走も目にあまります。安倍首相は、「在任中の憲法改定」をかかげ、この参院選でも改憲を争点にすると公言しています。そのための改憲手続き法は、通常国会ですでに強行されました。自民党などは2010年にも国会で憲法改定の発議をおこなうプログラムをもっています。安倍内閣は、憲法そのものを変える前にも、日本の防衛とは無関係に武力行使ができるよう、政府の憲法解釈を変えようとしています。こうした動きの裏には、地球規模で先制攻撃戦略をおしすすめ、日本も武力行使の道にひきずりこもうとするアメリカの強い要求があります。安倍首相自身、米国との「血の同盟」を主張し、改憲の目的が「アメリカと肩を並べて武力を行使する」ことにあるといっています。
事態をいっそう危険で深刻なものにしているのは、国民生活を顧みず、改憲につきすすむ勢力の中心に、日本の過去の侵略戦争を「正しい戦争だった」という歴史観に立ち、戦前・戦中の侵略国家・軍国主義日本を「美しい国」だったと考える集団──「靖国」派が居座っていることです。安倍首相が、「従軍慰安婦」問題で「強制性はなかった」などとのべ、靖国神社への公式参拝と実際には同じ意味をもつ「真榊」奉納を実行したのはその典型的な現われでした。
一方で、この間、自衛隊の情報保全隊が、政府・自衛隊に都合の悪い国民の動向と運動を日常的に監視しているという、基本的人権を否定する憲法違反のおそろしい活動をしていることが明らかになりました。
侵略戦争をまったく反省しない勢力が、ふたたび海外で戦争できる憲法を手に入れ、国民の監視活動を当然視する軍事組織が、憲法上、あらためて軍隊として公然と認知され、国民の上に君臨する──こんな日本は、「美しい」どころか、日本国民と世界の人びとにとって、「恐ろしい国」──軍国主義日本の復活以外のなにものでもありません。
安倍政権のこうした国民無視と暴走を一体になってすすめているのが、連立政権の一翼をになっている公明党の存在です。公明党が1999年に自民党と連立政権を組んでから8年が経過しました。この間、国民の新たな負担増総額は13兆円にものぼりました。4人家族では、実に40万円もの負担です。このなかには、公明党が先頭に立っておしすすめ、いま列島をゆるがす大問題になっている定率減税廃止などによる大増税も含まれます。マスメディアが指摘するように、まさに「増税戦犯」です。
また、教育基本法改悪や改憲手続き法=国民投票法の強行も、公明党自身が“成果”と自賛しているように、公明党の存在を抜きには語ることができないものです。なかでも、防衛庁の省昇格と教育基本法改悪は、公明党がみずからの「実績」として誇示するための「児童手当の拡充」と取引して成立させたものでした。当時のある全国紙は、「余りに筋違いの取引だ」とする社説までかかげる党利党略ぶりでした。
ところが、公明党は、あたかもみずからが「福祉の党」「平和の党」であるかのように主張し、こうした悪政を「善政」であるかのように描き出して国民に押しつけたのです。自民党の暴走にブレーキをかけるふりをしながら、アクセルを踏む──ここに公明党の反国民的な「存在意義」があります。
しかも、公明党は、この間、創価学会との「政教一体」の関係をむきだしにしてきました。創価学会は、1970年、言論出版妨害事件をひきおこし、池田大作会長(当時)がみずから「猛省」するとともに、公明党との「政教分離」を公約したはずでした。ところが、この3〜4月にたたかわれたいっせい地方選挙の結果について、創価学会は公明党公認候補が全員当選したことを「創価完勝」と呼ぶだけでなく、いまでは、公明党の議員にたいして「議員になれたのは誰のおかげだ」などと“恫喝”までしています。
侵略戦争に無反省な「靖国」派と、「政教一体」で悪政をおしすすめる公明党・創価学会は、悪政推進の“最悪のコンビ”といわなければなりません。
(2)
こんどの参院選のもう1つの焦点は、こういう安倍・自公政権にたいして、どの党が正面から立ち向かうことができるかが問われることです。いまマスメディアなどでは、「二大政党」論がしきりに強調され、「自民か、民主か」の対決が、選挙の最大の“見所”であるかのようにいわれています。
いま民主党は、しきりに自民党との「対決」を演出していますが、この間、同党がおしすすめてきた路線は、自民党政治とほとんど変わるところのないものでした。経済問題では、「構造改革」路線をすすめ、労働法制の規制緩和や介護保険法改悪、母子家庭への児童扶養手当の削減、大企業減税などを主張してきました。軍事問題や憲法問題でも、防衛省昇格や海外派兵の本来任務化に賛成し、成立した改憲手続き法は事実上、民主党案そのものでした。日米軍事同盟の維持・強化では自民党とほとんど同じ立場にたち、改憲路線でも自民党と足並みをそろえてきました。「集団的自衛権行使」の問題でも、海外での武力行使を認めることでは自民党と変わりありません。さらに、少なくない「靖国」派が民主党内にも存在し、「従軍慰安婦の存在の否定」「侵略戦争の美化・肯定」という点では、自民党とまったく同根の流れを抱えています。
民主党が、自民党とほとんど同じ立場に立脚していることは、日本経団連との関係でも明りょうです。民主党は、党の政策立案にあたって日本経団連と懇談し、みずからの政策を評価してもらい、それに応じて献金を受けとるシステムにしっかり組み込まれています。こういう党では、国民の要求がみえず、与党と悪政を競いあうのも当然です。
(3)
私たちは、安倍・自公政権の国民無視の悪政、平和・民主主義破壊の暴走を食い止めるためには、「たしかな野党」である日本共産党の議席を伸ばすことが、いちばん確実な道だということを訴えます。
安倍・自公政権の反国民的暴走をストップする議席……日本共産党の議席は、安倍・自公政権の反国民的暴走をストップさせるための、もっともたしかな議席です。「貧困と格差の広がり」の根源にあるのは異常な大企業中心主義です。この根本にメスを入れないかぎり、国民の生活不安は解消されません。
憲法を変えて海外での戦争への参加=武力行使につきすすむ動きの根本には、日米軍事同盟絶対のアメリカいいなりの政治のゆがみがあります。この動きを、侵略戦争と植民地支配を正当化しようという「靖国」派がすすめようといういま、戦前・戦後を通じて、いっかんして平和・民主主義、国民主権の旗をかかげつづけてきた日本共産党の議席こそ、こうした暴走にストップをかけるもっともたしかな力です。
自公、民主の共同での間違った政治に反対をつらぬく議席……日本共産党の議席は、自公、民主が共同ですすめる間違った政治に反対をつらぬく議席です。
昨年、防衛庁が省に昇格されるとともに、自衛隊の海外任務が本来任務に格上げされました。これは、いずれも自公とともに民主党が賛成に回って強行されたものです。ことしの通常国会では、改憲手続き法=国民投票法が成立しましたが、これは途中までは与党と民主党が共同で推進した法律で、できあがった内容は「ほぼ民主党案にそった法案」(前原前代表)でした。労働法制の規制緩和や介護保険改悪でも、与党とともに推進してきたのが民主党でした。自民と民主がきそいあってすすめる悪政反対をつらぬくためにも、日本共産党の議席はもっともたしかなよりどころとなります。
草の根と連携し、国民の要求で国政を動かす議席……日本共産党は現在、衆参ともに9議席ですが、国民の草の根の力と連携して国政をダイナミックに動かしてきました。この間、不払いとなっていた852億円にものぼる「サービス残業」代を支払わせたのは、職場の運動と共同してくり返し国会で追及し、厚生労働省に「サービス残業根絶」の通達を出させることができたからです。「偽装請負」に苦しむ労働者の声をふまえ、それを国会で追及したことによって、直接雇用を広げる成果もかちとることができました。
政治の不正・腐敗をただし、議会制民主主義を守る議席……日本共産党の議席は、政治の不正・腐敗をただし、議会制民主主義を守るたしかな議席です。「政治とカネ」にかかわる永田町と国民との溝の深さが問われています。そういう政界にあって、日本共産党は「清潔な政治姿勢」をつらぬいてきました。昨年から今年にかけて、政治家のカネをめぐる疑惑を次つぎと明らかにしてきたのは日本共産党です。日本共産党は、政治腐敗の温床となっている企業・団体献金の禁止を堂々と主張しています。また、国民の税金を分け取りする憲法違反の政党助成金の受領をきっぱり拒否し、その廃止を強く主張しています。
世界の諸国民と日本国民の平和の願いをつなぐ……日本共産党の議席は、世界の諸国民と日本国民の平和の願いをつなぐ議席です。日本共産党は1999年以来、野党の立場から独自の自主自立の外交をすすめ、とりわけアジア諸国の政府との交流と対話を重視してきました。日本共産党は党綱領で、「日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省をふまえ、アジア諸国との友好・交流を重視する」、「社会制度の異なる諸国の平和共存および異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確立に力をつくす」と決めています。日本共産党の「野党外交」は、アジアやイスラムの諸国などから大きな共感と支持が寄せられています。
「たしかな野党」の議席を増やしてこそ、本物の民主的政権への道が開ける……日本共産党は、いつまでも野党の立場に甘んじるつもりはありません。いま「たしかな野党」としてがんばる日本共産党の議席を増やしてこそ、国民本位の民主的な政権への道が開けます。日本共産党は、わが国が直面する政治・経済・社会・外交のゆがみを大もとから正すための根本的な改革案=「日本改革の提案」をもっています。
(1)大企業・財界優遇の政治をあらため、税金の使い方、集め方を国民のくらし第1にきりかえるとともに、国民のくらしと権利をまもるルールを確立する。
(2)日米安保条約=日米軍事同盟をなくして、世界でもきわだった「アメリカいいなり」政治を断ち切り、世界とアジアの友好・平和に貢献する日本にする。
(3)憲法の全条項を厳格にまもり、とりわけ平和・人権・民主主義の条項を完全実施し、それを政治と社会の基本にすえる。
このように、日本共産党は、自民党政治を大もとから切り換える展望と方針をもっている政党です。だからこそ、自民党政治とも、「自民党型の政治」の継承ともきっぱり対決して、国民の利益をまもるためにがんばり続けることができます。
日本共産党は今年で結党85周年を迎えます。どんな迫害にも屈せずに「反戦平和」「主権在民」の旗をかかげて奮闘してきました。清潔な政治姿勢をまもり続けてきました。どんな外国による圧力もはねのけて、「自主独立」をつらぬいてきました。
「国民の苦難あるところ日本共産党あり」 ──これが、私たちの立党の原点です。
日本共産党の前進こそ、いまの悪政にストップをかけることができるたしかな力であり、自民党政治に代わる新たな国民本位の政治を実現する力です。日本共産党の前進に、みなさんの大きなお力をお貸し下さい。
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