2005年8月11日(木)
日本経団連による公然たる政治買収、日本歯科医師会による橋本派への1億円ヤミ献金や迂回献金、そして鋼鉄製橋梁工事の入札談合など、カネの力で政治や行政が動かされるのを目の当たりにして、「いいかげんにしろ」と思われていることでしょう。
ところが、さきの国会で、自民党は、日歯連事件の真相究明の証人喚問を拒否し、裁判で明白になった「迂回献金」をいっさい認めず、政治団体への寄付上限を5千万円にするという形だけの政治資金規正法改正案を自民・公明両党で提案し、疑惑にフタをする姿勢をとりました。民主党は、日歯連証人喚問を主張していましたが、自らの政治献金をめぐる腐敗事件を自民党からもちだされ、互いの腐敗問題での「非難・暴露合戦」に終始し、結局、真相究明の矛をおさめ、うやむやになりました。この根底には、「政治とカネ」をめぐる腐敗事件のおおもとにある企業団体献金の禁止にはいっさい手をつけない、自民党と民主党の姿勢があります。「二大政党」が「政治とカネ」の問題でも、企業団体献金や団体ぐるみ選挙は当然、政党の資金は政党助成金頼みという、共通の立場にたっていることを、はからずも示したのです。
政党を自民党と民主党の「二大政党」にしていくため、衆議院の選挙制度を改悪し、国民の声が反映しない国会に変質させる動きも強まっています。日本共産党は、日本の政治から汚職、腐敗を一掃し、国民の声が正確に反映される選挙制度の実現をめざします。
日歯連事件では、橋本元首相や青木自民党参議院会長ら旧橋本派の有力政治家が関与した1億円ヤミ献金問題の裁判で有罪判決が確定しました。小泉首相と自民党は「迂回献金はなかった」と疑惑を否定していますが、日歯連事件をめぐる裁判で、違法献金をおこなった日歯連側からも、献金を処理した橋本元首相秘書からも迂回献金の事実を示す証言がだされています。このもとで、検察審査会は、山崎前自民党副総裁らの迂回献金は「起訴相当」とする審判をおこないました。自民党全体に違法な献金がまわり、医療行政がゆがめられてきたことは明らかです。国会で関係者の証人喚問を求め、違法献金が自民党全体にまわっていた疑惑の全容解明を進めます。
国や日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁工事の入札談合事件では、(1)税金などが原資の不当利得が数千億円にものぼる、(2)取り締まり強化のための独禁法違反企業への課徴金の引き上げが日本経団連の意向を受けた自民党、民主党によって低く抑えられた、(3)役所OBは受注企業に天下る、などの問題が指摘されています。談合組織加盟企業からの自民党や小泉内閣閣僚への巨額献金も明らかとなり、税金などを食いものにする政官財の腐敗・癒着ぶりが改めて問われています。
企業・団体献金は、政党へのものも含め本質的に賄賂の性格を持っています。利益追求を目的とする企業が、見返りも期待しないで多額の献金をするいわれはありません。にもかかわらず、自民党も民主党も、献金の指標を改憲、庶民増税に求めて政治買収を平然と進める日本経団連からの献金を競い、国民の利益に反する政治を進めているのです。
カネの力で政治をゆがめるのは、国民の声を踏みつぶし、民主主義に反するものです。日本共産党が現に実行しているように、企業団体献金を直ちに全面禁止します。少なくとも公共事業受注企業からの献金禁止は急務です。政官財の腐敗を一掃するために、天下り禁止や行政を監視する制度を強めます。また、談合取り締まり強化のため、違反した業者への課徴金を大幅に引き上げます。
自民党は、これまでも特定郵便局長会などさまざまな業界団体と癒着し、ぐるみ選挙を行ってきました。民主党も、山梨県教職員組合が組織を使って校長や教職員から選挙資金を集めるなど、労組ぐるみ選挙を繰り返しています。
ぐるみ選挙は、思想信条の自由を侵害するとともに、選挙での票とカネの見返りに業界などに有利になるよう働けというもので、まさに汚職そのものです。公益法人が住所も電話番号も代表者も同じとなっているような表裏一体の政治団体をつくって自民党のために組織ぐるみ選挙を行っていることに関し、厚生労働省が公益法人とその政治団体の活動を厳しく区別するよう文書を出したのも、思想信条の自由にかかわる重大問題があるからです。選挙の自由を侵害する業界ぐるみ選挙や団体ぐるみ選挙を厳しく規制します。
政党助成金制度は、「政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業団体献金」を公費助成の導入によって「廃止の方向に踏み切る」、として創設されました。しかし、腐敗事件はなくならず、「助成金と企業献金の二重取り」、「国民には痛みを押しつけるのに助成金は聖域扱い」、「買収資金にも使われた」、などの批判が絶えません。日本共産党は、国民の税金が支持もしない政党に流れることは、憲法が保障する「思想・信条の自由」を侵すものであり、企業団体献金を禁止しない限り腐敗はなくならないとして、制度創設に反対しました。
自民党や民主党では、政党財政の助成金頼みが強まり、それぞれ党本部財政の60%、85%(03年)にも達しています。日本経団連からの献金の競いあいも加わり、両党ともに、国民に献金を求める活動が著しく停滞するなど、政治と政党の退廃も進んでいます。
日本共産党は、政党助成金も企業団体献金も受け取らず、党の政策や活動を知らせる「しんぶん赤旗」の売り上げ、国民からの募金、党員の党費で活動費をまかなっています。これこそが、政党本来のあるべき姿ではないでしょうか。民主的な政党政治のためにも、国民の税金を山分けする政党助成金制度をなくします。
また、国会議員の年金制度を、本来の「互助制度」にもどし、議員の納める納付金の範囲内で運営し、国庫負担は廃止します。
選挙制度で最も大切なことは、主権者である国民の意思を公正・正確に議席に反映させることです。比例代表制は、比較的正確に民意を議席数に反映させる選挙制度ですが、小選挙区制では、第1位の候補者だけが当選し、それ以外の候補者に投じた国民の票は、議席に反映されず、国会が民意とはかけ離れたゆがんだ構成になってしまいます。
ところが、財界は、「二大政党」体制を無理やりつくるため、衆議院への単純小選挙区制の導入を強く主張、自民党内にも、この財界の要求を受けて、比例代表制を廃止しようという動きが根強くあります。民主党も、「比例代表議席数を80議席削減する法案」をずっと国会に提出しています。日本共産党は、国民の意思が国会により公正に反映するよう、衆議院の選挙制度を全国11ブロックの比例代表制に一本化することを提案します。立候補の自由を抑制する、世界に例のない高額の選挙供託金の大幅な引き下げを要求します。
格差5倍以上にまで拡大した参院選挙区の定数是正に取り組みます。18歳選挙権の早期実現をめざします。