2005年8月11日(木)
欧米では、若い世代の自立のために、雇用、職業訓練、教育、家族形成、住宅、社会保障など総合的な公的支援が行われています。ところが、日本では、若者の自立は本人、家族まかせにされ、若い世代は、政府がすすめる“弱肉強食”の政治の最大の犠牲者ともいうべき状況におかれています 。若者の自立は 、若者自身の問題であるとともに 、社会の活力ある発展にとってもきわめて大切な問題です。日本共産党は、全力でこの問題にとりくみます。
24歳以下の失業率は、全世代平均の2倍です。新規求人に占める派遣・請負の割合が33・9%になるなど非正社員が激増し、いわゆる「フリーター」は400万人を超えています。正社員になっても、異常な長時間労働を強いられ、体や心を病む若者が後をたちません。非正社員は、「いつ仕事をやめさせられるか」という不安と隣りあわせで働き、正社員と非正社員の所得格差は4倍に達しています。こうした現状を放置することは、若者の未来にとっても、日本の経済や社会にとっても大問題です。
この根本には、目先の利潤追求のため、若者を「モノあつかい」にする企業の姿勢があります。経済協力開発機構(OECD)は日本に対して、「パートや派遣に関する規制緩和は若年者の雇用に逆効果」「常用雇用者への雇用保護制度の見直しとともに、臨時雇用が常用雇用に切り替えやすくするよう改革すべき」と警告しています。今こそ、若者を「使い捨て」にする働かせ方を見直すときです。ところが、政府の態度は、若者の願いにこたえるものにはなっていません。青年雇用対策予算はヨーロッパ諸国と比べ数十分の一にすぎず、若者を「使い捨て」にする企業を野放しにしています。日本共産党は、若者に安定した仕事と人間らしく働ける労働条件を確保するために力をつくします。
──非正社員の「弱い立場」を利用した解雇の脅しやいやがらせ、差別をやめさせます。短期契約を反復する脱法的な雇い方をなくします。非正社員と正社員との間で、賃金や職業訓練などにおける「均等待遇」をめざします。
──異常な長時間労働、違法なサービス残業を根絶し、労働時間の適正管理と労働者の健康にたいする企業の責任を明確にします。労働条件のごまかしをゆるさず、はっきり明示させ、守らせます。
──社会保険への加入は、若者の一生にとっても、社会保障制度の基盤にとっても大切な問題です。使用者による脱法的な社会保険への未加入をなくします。
──若者雇用対策予算を抜本的に増額し、国のイニシアチブで雇用を拡大します。最低賃金をひきあげ、全国最低賃金制度を確立します。政府の試算でも、有給休暇を完全取得すれば148万人の新規雇用と12兆円の経済波及効果が生まれます。人手不足が深刻な医療・福祉・教育などの分野で雇用を生み出します。職業相談窓口や職業訓練制度を拡充します。
国際人権規約は「高等教育の漸進的な無償化」をうたい 、ドイツやフランスでは学費は基本的に無償です 。奨学金制度でも 、欧米は返済不要な給付制を柱にすえています。
ところが日本では、初年度納付金(入学金・授業料など)が国公立大学で80万円、私立大学では平均130万円をこえました。公的奨学金も返済が必要な貸与制しかありません。「お金がなくて進学をあきらめた」という声が出るほど、“教育の機会均等”がふみにじられています。
この原因は 、大学予算の水準が、欧米の半分以下とあまりに低いことにあります。05年度予算でも、国立大運営費交付金が98億円削減され、授業料標準額は1万5千円も値上げされました。私立大学の経常費にたいする国の助成金の割合も 、1980年の29 ・5%をピークに現在12%前後にまで落ち込んでいます。
「高等教育の漸進的無償化」条項を批准していない国は、条約加盟151カ国のうち、日本、マダガスカル、ルワンダの三ヶ国だけです。国連人権委員会は、日本政府に同条項の批准を勧告しました。来年の六月が回答期限であり、日本の対応が問われています。
日本共産党は 、「高等教育の漸進的無償化」条項の保留を撤回させ、学費負担の軽減をめざします。当面、国立大運営費交付金をふやして国立大学費の引き下げや学費減免制度の拡充、私立大学生への学費助成や私立大学の学費減免への特別助成制度の創設などにより私立大学生の負担軽減、希望者全員にたいする無利子奨学金支給 、給付制奨学金の導入をめざします 。
「ひきこもり」や「ニート」(就業、就学、職業訓練のいずれもしていない若者)など、人間的自立に困難をかかえたり、社会とのつながりを築きにくい若者が急増しています。こうした若者の自立を本人・家族まかせにするのではなく、国や自治体、家庭、企業、NPO等、社会全体が連携して、相談、教育、社会体験や職業訓練、就労などの支援を行います。
収入の少ない学生、単身者、子育て世代向けの公共・公営住宅の建設や各地の自治体が行っている家賃・転入居の助成を国が補助するようにします。教育、職業訓練などのための貸付制度を充実させます。
世界では18歳選挙権が常識です 。日本でも、すでに地方自治体では 、住民投票に18歳以上の青年の投票を認めるなどの新しい試みが始まっています 。日本共産党は 、若い世代の声や思いを政治に生かすために、18歳選挙権の早期実現を強くもとめます 。