2005年8月11日(木)
2004年の出生率が1・29となり、過去最低の前年をさらに下回る中で、小泉内閣は、「待機児ゼロ作戦」など、「少子化対策」を行っているかのような宣伝をしてきました。しかし、実際にやっていることはあべこべです。
小泉内閣のもとで、待機児は「ゼロ」になるどころか増え続けています。にもかかわらず、小泉内閣は、02年に比べて、保育所の施設整備費予算を半分以下に減らしています。また、税や社会保障の重い負担を子育て世帯におしつけています。例えば、三十代で子ども一人の年収400万円台世帯の場合、配偶者特別控除廃止などの増税や年金、雇用保険料などの引き上げを合わせると、20万円以上の負担増になります。さらに、長時間労働や不安定雇用など、個人の生活も家族の一員としての責任も無視した「働かせ方」を野放しにしています。子どもを生んだら働き続けられない職場、保育所不足の問題も深刻さを増しています。
民主党も、児童扶養手当を改悪する法律に賛成し、扶養控除や配偶者控除の廃止による増税を主張するなど、子育て支援に背を向けています。国民のくらしを支え、人間らしい生活をとりもどす政治、経済、社会への転換こそ、急激な少子化傾向に歯止めをかける道です。出産・育児と仕事の両立を保障するために、次の四つの対策にとりくみます。
子育て世代である30代は、男性の4人に1人が週60時間以上働くなど、最も労働時間が長い世代になっています。サービス残業の根絶、長時間労働の是正をはじめ、人間らしく働くためのルールを確立・徹底し、だれもが「家族的責任」を果たせるようにします。子育て中の労働者には、変則勤務・夜間勤務・単身赴任を制限し、残業も本人同意を必要とするなどの措置をとります。
男女がともに育児休業をとりやすくするために、育休中の賃金保障の6割への引き上げ、代替要員の確保、職場への原職復帰、育休取得による不利益の禁止、派遣・有期雇用・パート労働者への適用拡大、中小企業への助成拡充などをすすめます。国際的にみても著しく低い男性の取得を増やすために「パパ・クォータ制」の導入などをすすめます。病気の看護や学校行事への参加などのための「子ども休暇制度」を新設します。
24歳以下の失業率は、全世代平均の2倍に達しています。非正規雇用は、とくに若者の間で急増しており、24歳以下の若者の2人に1人が非正社員です。いわゆる「フリーター」は400万人を超え、「ニート」と呼ばれる就業、就学、職業訓練のいずれもしていない若者を含めると500万人に達します。パート・アルバイトで働く若者の6割が年収100万円未満という低賃金です。これでは、自立して子どもを生み育てる経済的基盤をもつことができません。
大企業は、この間、若者の正社員を108万人も減らし、派遣や臨時、アルバイトなどに置き換えてきました。大企業に社会的責任を果たさせる雇用政策をすすめ、正規雇用を拡充します。派遣や契約、パート・アルバイトへの差別・格差をなくし、一般労働者との均等待遇をはかります。若者の職業訓練や相談など、支援策を抜本的に拡充します。
全就業者の4割を占め、生産と営業を支えている女性労働者を正当に評価し、生かせないようでは、日本の企業も、産業も未来はありません。男女賃金格差の是正、女性差別の解消、女子保護規定の重視など、雇用のすべての面で、ほんとうの「男女平等」をつらぬかせるようにします。
保育所は、定員オーバーの詰め込みで、「廊下で寝かしつける」など深刻な状態です。出産・育児と仕事の両立を支援するとともに、人格の基礎をつくる大切な乳幼児期にふさわしい体制と条件を整備します。
「保育所整備計画」をつくり、認可保育園の新・増設をすすめるとともに、延長・夜間・休日・一時保育・病後児保育などの要求にこたえます。保育所運営費の削減や「民間委託」の名による保育条件の切り下げをやめさせます。運営費を増やして高い保育料を引き下げます。適正な条件で保育している無認可保育所への財政的支援をおこない、認可を促進します。
学童保育を希望するすべての子どもが入所できるように拡充します。「遊びと生活の場」にふさわしい設置基準を明確にし、予算を増額させます。
身近な場所に、子育て、育児相談、サークル活動などのための多様な場をつくるなど、専門的な相談・支援の場を拡充し、子育てを応援します。単親家庭の子育てへの支援をすすめます。乳幼児医療費無料化を国の制度にするとともに、小児救急医療をはじめ小児医療提供体制の整備をすすめます。児童手当の拡充をはかります。