日本共産党

2005年8月11日(木)

衆議院選挙にのぞむ日本共産党の各分野の政策

7.ゆきづまった原発依存を転換し、自然エネルギーの開発・利用を本格的に促進する

 エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤であるにもかかわらず、日本のエネルギー自給率はわずか7%(2003年度)にすぎません。地球の温暖化防止のためにも、エネルギー政策は要です。

 世界は、脱原発の方向に向かっているのに、政府がすすめるエネルギー政策は、あいかわらず原発の新増設にたよっているため、地球温暖化ガスの削減に不可欠な自然エネルギーの開発やエネルギー利用の見直しは不十分なままです。

 安全優先のエネルギー体制と自給率の引き上げを重視して、エネルギー政策の根本的な転換をはかります。

プルサーマル計画の中止、既存原発の総点検と計画的縮小をすすめる

 原発という未確立な技術にたよったエネルギー政策は、深刻なゆきづまりに直面しています。3年前の損傷隠しによる東電の全原発停止と一昨年の夏場の電力供給への不安、磨耗した配管が破裂して死傷者を出した昨年の美浜原発での事故で明らかになったずさんな検査体制とルール違反、東海地震の想定震源域の真上にある浜岡原発にたいする地震研究者の警告などが示すように、政府の原発拡大政策は無謀です。政府は地球温暖化防止という名目で、2010年までに9〜12基の原子力発電所の運転を新たに開始する計画でしたが、住民の反対運動のたかまりによって、電力会社は2010年度までに運転を開始する予定があるのは3基だけだとしており、政府の計画はすでに破綻しています。安全が危ぶまれる原発については、運転停止を含めた必要な措置をとらせます。原発の危険性を増幅するだけのプルサーマル計画の中止、核燃料サイクル施設の総点検と計画の中止をはかり、既存原発の計画的縮小をすすめます。

風力や水力、太陽光・熱、地熱、小水力、バイオマスなど自然エネルギーの開発を促進する

 エネルギーの自給率を引き上げ、また地球温暖化対策を進めるためには、エネルギー効率の徹底した向上とともに、環境に配慮した自然エネルギー源の開発・活用に本格的に取り組む必要があります。風力や太陽光・熱、地熱、小水力、波力や、あるいは畜産や林業など地域の産業とむすんだバイオマス・エネルギーなどは、まさに地域に固有のエネルギー源です。こうして得られる電気やガスを販売することで、地域に新たな収入が生まれ、地域経済の活性化にも貢献します。また、事業の成果や副産物を地元に還元し、雇用や技術、資金の流れを地元に生み出す可能性をもっています。

 イギリスは、長期的な目標として、2050年に二酸化炭素を1990年比で60%削減する目標を打ち出しました(「エネルギー白書」)。またドイツの再生可能エネルギー法は、2030年までに電力の50%を、さらに長期には自然エネルギー源で100%の電力供給を達成することを目指しています。

 自然エネルギーの普及のためにも、以下のような取り組みをすすめます。

 「新エネ利用特別措置法」を改正する……自然エネルギーの普及に取り組んでいる人たちの声を反映させ、意欲の出る制度に改善して、自然エネルギーの取り組みを活性化させます。

 そのためには、導入目標を大幅に引き上げることが必要です。「新エネ利用特別措置法」では電力会社に、新エネルギーによる一定量の発電を義務付けていますが、その目標は、2010年でわずか1・35%にすぎません。同年までに、ドイツは自然エネルギーによる発電を10・3%、イギリスは9・3%、EU全体では12・5%を、アメリカのカリフォルニア州では20%を目標としています。日本でも、小水力による発電実績は03年度で8・4億キロワット時にたっしており、政府が2010年度の小水力・地熱による発電目標7億キロワット時をすでに突破するなど、小水力をはじめ自然エネルギーの開発可能性は十分あります。せめて発電量の10%程度を自然エネルギーによってまかなう目標に引き上げるべきです。

 固定価格による電力の買い取りも必要です。固定価格での買い取りは、デンマークやドイツ、スペインで実施されており、自然エネルギー普及に大きな効果があります。ところが、日本では価格競争にまかされ、自然エネルギーを利用した発電事業にとりくもうとしても、採算の見通しがたたず、事業化の障害になっています。初期の投資がかさむだけに、採算面で長期的な見通しがたってこそ、普及の意欲を引き出すことができます。また、廃棄物発電は、林業の廃材や加工くずなどに限定し、廃プラスチックなどを大量に燃やすやり方は対象外にすることが必要です。

 日本の現状にあった研究開発を促進する……自然エネルギーの利用を普及するには、まだまだ多くの技術開発が必要です。欧米で先行している風力発電でも、温帯モンスーン地域に位置する日本では風の強さや向きの変化が激しく、台風や強力な落雷にそなえた強度を要するなど、日本の自然の特徴に合わせた技術開発が求められています。小型水力発電でも効率のよい発電機の開発が続けられています。また小規模・分散型という特徴をもつ自然エネルギーを利用して発電した電力を、既存の電力供給システムに組み込んでいく系統連携のやり方なども、研究や施設整備を必要としています。 

 エネルギー予算のゆがみをただして財源を確保する……設備の設置への補助を手厚くし、発電量に応じた助成の創設を求めます。原子力関係予算(2005年度)は4380億円にものぼる一方、新エネルギー関連予算(1666億円)はその4割程度にすぎません。原子力のためにその9割以上(予算ベースで3373億円)を注ぎ込んでいる電源開発促進税や、石油関係諸税などの税制を見直し、CO2排出量に応じた環境税の導入によって、自然エネルギー促進のための財源の充実を図ります。


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