2005年8月11日(木)
企業数の99%、従業員数の約7割、製造業の出荷額でも半分以上を占めている中小企業は「日本経済の主役」です。ところが、小泉内閣のもとで中小企業は、「処理と倒産」の対象にされ、国の中小企業予算・対策もひどい「手抜き」です。いまこそ中小企業金融と中小企業対策の拡充という、当たり前の政治にきりかえることが、どうしても必要です。
原油価格や鉄鋼材の高騰などが、中小企業の経営危機に拍車をかけています。荷主による運賃価格引下げの強要にくわえ、軽油の値上がりによって、多くのトラック運送業者が倒産の危機にさらされています。機械金属部品の加工業者は、鋼材が大幅に値上がりしている一方、加工単価に上乗せできないでいます。
中小業者は、材料の価格と供給について、大企業と中小企業との間の「不公平をなくせ」と要求しています。大企業による不当な取引をやめさせるとともに、経営危機打開のために行政の援助をつよめるよう、政府に要求します。
地域経済の再生をはかるには、中小企業の経営への直接的な支援が不可欠です。しかし、中小企業予算は1730億円(05年度)で、アメリカ軍への「思いやり予算」2378億円より少なく、国の予算(一般歳出)に占める割合は0・37%にすぎません。中小企業予算を少なくとも一般歳出の2%、1兆円程度に増やし、経営基盤を強化する支援をおこないます。
経済産業省の研究開発補助金は、日立、三菱重工業、東芝などの上位10社だけで414億円ですが、500万の中小企業全体でわずか73億円です。技術力はあるが資金力に乏しい中小企業にこそ、こうした補助金を本格的に注ぎ込むべきです。
小泉内閣は、「不良債権の最終処理を行うことにより、資源が成長分野に流れていく」(2001年6月「骨太の方針」)といって、中小企業への貸しはがし・貸し渋り、利上げなどの金融行政をすすめてきました。
その結果はどうなったでしょうか。大銀行の不良債権は大幅に減りましたが、中小企業倒産は、小泉内閣の4年間に6万6千件を超え、同じ期間に中小企業向け貸出は、55兆円も減ってしまいました。
「資源が成長分野に流れていく」問題はどうなったのでしょうか。「景気回復」といわれているなかでも、中小企業の景況は水面下に沈んだままです。一方で大企業は史上空前の大もうけをあげ、「資金余剰」は大企業を中心に82兆円まで積みあがっているという試算もあります。この「資源」は、「成長分野」にまわるどころか、自社株買いや配当などの株価対策に費やされており、賃上げなどをつうじた消費の回復、ひいては日本経済の本格的回復には結びついていません。
日本経済を本格的に回復させるためにも、日本経済を支える中小企業を貸しはがし・貸し渋り、倒産に追い込む政策はただちに転換しなければなりません。資金を必要としているところに融資し、中小企業と地域経済の再生を支援する、ほんらいの金融行政にきりかえます。信用保証や公的金融など、あらゆる手段を講じて資金供給のパイプを太く、大きくしていきます。
中小企業と金融機関の「架け橋」となっている信用保証協会の保証機能の改悪をやめ、拡充すべきです。大銀行を中心に投入された30兆円もの公的資金の1割を回すだけで、これまでの実績からみても、60兆円規模の貸付に対する保証が可能になります。信用保証協会の基金を上積みするとともに、財政基盤を強化していきます。「資金繰り円滑化借換保証制度」を保証枠の拡大など、さらに充実します。
国民生活金融公庫や中小企業金融公庫など、中小企業を支援する公的金融の役割も重要です。同じ政府系金融機関でも、大企業やゼネコン向けの日本政策投資銀行には、政府からの出資金が1兆2000億円にのぼっているにもかかわらず、「公庫」への出資金は、それぞれ3000〜4000億円程度にすぎません。中小企業向けの公的金融こそ重視すべきです。
単価はたたかれ、納期は無理を言われ、それがいやなら仕事を打ち切ると脅される、こんな大企業の横暴勝手があたりまえになっているのは日本だけです。親企業と下請け企業との対等平等な関係を築くことが必要です。下請検査官を大幅に増員し、下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法を改正・強化して、大企業にたいする中小企業の地位向上をはかります。
ヨーロッパはもとよりアメリカでも、90年代にはいり、大型店の郊外乱開発と都市の空洞化が大問題になり、「規制緩和」から大型店の規制へと大きく転換しているのに、日本の「大型店は規制してはならない」という現状は異常です。内閣府の世論調査でも6割の人が、大型店への規制が「必要」と答えています。住民と自治体が、自らのまちづくりの一環として、大型店の出退店や営業時間などのルールを確立します。
サミット参加国で「納税者憲章」がないのは、日本とロシアだけです。納税者の申告納税権、調査の事前通知やプライバシー保護、立会人を置く権利など、適正な税務調査を受ける権利、税務署の推計課税を限定し、処分に不服のある場合の救済を求める権利など、納税者の権利をまもるルールを確立します。