2001年3月2日〜4月27日まで「しんぶん赤旗」に連載

どうなる!どうする?
1100万人のマンションライフ

(8)住みよいマンションへ

管理組合の役割が決定的

 マンションの購入者は、区分所有者として管理組合の構成員になります。管理組合は区分所有法に規定されている法定団体で、この構成員一人ひとりがしっかりマンションの管理に関心を持ち、協力してあたれば、多くの問題は解決するでしょう。しかし、現実にはこうなっていないのが実情です。

  ■赤字も解消し

 関西分譲共同住宅管理組合協議会(関住協=大阪市)の世話人代表・佐藤隆夫さんは、マンション問題の特徴をこう指摘します。

 「マンションはローンを組めばだれでも住民になれます。しかし、少なくとも分譲主が入居時に専有部分、共用部分などマンション特有の複雑な基本を理解させないまま売ることが、マンション問題のひずみを作り出しています」

 例えば、東京ではこんな事例が――。

 分譲時に分譲会社の系列管理会社が区分所有者と個別にマンション管理を契約。以後、一括管理状態が二十年以上続いてきました。ところが、一九九五年の共用給水管取り換え工事をきっかけに、管理組合を設立し、自主管理に移行。給水設備改修工事や大規模改修工事を費用も安く、合理的に終了させました。いまは、回り持ちで管理組合の理事を担当しています。毎年続いていた管理費の「赤字」も解消しました。

 一般的に管理方法は、分譲時の契約で分譲会社のいうとおりに管理会社に委託するケースが圧倒的です(表参照)。

  ■専門家と連携を

 マンションに入居する最初の時に、きちんとした情報が買い主に提供されないため、分譲会社のいいなりで、自分たちで管理会社を選択しないことが、マンション管理について“無関心”になる第一歩ともいえます。

 ある大手販売会社のマンション販売のチラシには、「管理形態」として「区分所有者全員により管理組合を結成し管理会社に委託していただきます」などとあります。その管理会社は、分譲会社の系列企業です。

 さらに、分譲会社の系列会社などであれば、居住者の“無関心”をいいことに不適正な仕事がやられることになりかねません。

 「管理会社は、管理組合が管理会社に管理費を入れれば、修繕積立金が少なくてもみて見ぬふりで、いざ、大規模修繕の時にお金が足りなくて困る例が多い」と佐藤さん。

 「住民の方々は、会社や職場でポジションをもち仕事をしていますが、自分のマンションについては学習が必要です。一気にプロになれません。素人の目であっても居住者の多くの目にさらせば、悪徳業者に一定、対抗できます」と管理組合の役割を強調します。

 関住協は、分譲マンションの管理組合が情報交換、経験交流を通し、各管理組合の運営に役立て、各種制度の改善に協力することを目的でつくられました。

 「私たちは、専門家との連携を重視し、建物、設備のエキスパートの支援を得て理解する。法律も、管理の仕方も学んでいます。そもそもの目的が、情報の少ない時代に手探りで、自分たちの経験を公開し、お互いに交換しましょうと始まったものです。大規模修繕などを、管理組合が所有者として自らやれる力をつけることが大切だと思います。二十年、三十年歴史を重ねてやっと緒についたところです」

  ■居住者が主役で

 日本住宅管理組合連合会や関住協など全国十二の地域で活動する団体でつくるのが全国マンション管理組合連合会。同会は、マンション管理適正化法で設置されるマンション適正管理推進センター(財団法人)が、新築分譲時に購入者にたいして、管理組合を立ち上げることや、初めに作る管理規約は区分所有者が作成することなどを必ずアドバイスするように、国土交通省に要求しています。

 日本共産党は居住者、管理組合がマンション問題では主役と位置付け、国や自治体による支援、専門部署の設置や専門家による相談窓口の設置などを強めるよう主張しています。

 


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