2001年3月2日〜4月27日まで「しんぶん赤旗」に連載
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分譲マンションのチラシが新聞折り込みで入りました。現地に行くとノボリ旗がたち工事が開始されたばかりで、モデルルームは道路をはさんだビルの二階です。
新築マンションはこのような「青田売り」が主流です。パンフレットや図面、営業社員の説明などで契約し、完成後、内覧会などがあって入居します。この青田売りが欠陥マンションを生む大きな要因になっています。
マンション分譲会社は、豪華パンフレットや営業社員のセールストークで、手付金などをかき集め、銀行の融資とあわせてマンションを造り分譲するのです。
ある大手分譲会社で、青田売りの話を聞きました。
「実物は、ウソをつかない/だから〇〇は、他とは違う/現物、現場販売」―壁のポスターにはこんな言葉が。
「以前は『青田売り』は『業界の常識』だった」と取締役広報室長はいいます。
「バブルがはじけるまで経済が右肩上がりで、マンションも競争で『早い者勝ち』の時代だった。率先して青田売りをやってきた」
同社は、青田売りでバブル期まで長期に業界トップを走りつづけました。「もうけましたが、バブルがはじけて在庫の山が残りました」(同室長)。現在、年間百三十〜百四十棟、一万戸を供給しています。
青田売りは、契約から入居まで一年から二年、短くて半年ほどの時差があります。バブルがはじけると、待機の間に社会の変化、地価の下落などがあり、解約すれば手付金は戻りませんが、新たに手付金を支払っても、それよりもっと安く買える時代になりました。
青田売りでは、購入した人が「こんなはずではなかった」「眺望がこんなに違う」などと、解約する件数が多いと同室長はいいます。
同社は、二年前から現物販売に百八十度転換、竣工三カ月前からの販売で契約後の解約も激減したといいます。しかし、このような動きはまだ部分的です。
日本住宅管理組合協議会の原直男常務理事は「一部の業者に反省の動きがあっても、大部分の消費者には青田売りでしか新築マンションが買えない」と指摘します。
青田売りなどでさまざまな欠陥がみつかっても、個々の購入者が裁判に訴えてたたかうことなどに終わっているのが現状です。そのため、いろんな情報もなかなか表に出てきません。
こうした現状を打開し、分譲マンション問題にかかわる住民の連携をつくろうという動きが起こっています。
十九日、東京・文京区でシンポジウム「近隣対策会社を利用した企業の乱開発を許さない!」がありました。
近隣対策会社利用の乱開発とたたかう運動(板橋区)、三十一階超高層マンション建築に階高の大幅削減を求める運動(新宿区・神楽坂)などの住民運動の現状と取り組みを報告・交流しあうだけでなく、「居住と人権・住民ネットワーク」という運動体を結成しました。
マンション問題の住民運動に取り組んでいる専修大学の内藤光博助教授は、「居住は人権である」との立場から、住民運動の横の連絡を強化し、知識を共有して立法運動に結びつけようと呼びかけました。
基調報告した椎名麻紗枝弁護士は、運動として(1)不動産会社の横暴を許さない条例づくり、(2)不動産会社の格づけをする、格づけを参考にマンションを買うことでひどい会社のものは売れなくなる、(3)会社トップの責任を問うことを提起しました。
「かぎは住民が活動していくこと」にかかっているようです。
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