2001年3月2日〜4月27日まで「しんぶん赤旗」に連載

どうなる!どうする?
1100万人のマンションライフ

(1)多様な問題が発生

都市型持ち家住宅の主流に

 分譲マンションが都市の住居としての大きな役割を果たすようになってきました。分譲マンションは、一棟の建物の構造上区分された一部分を独立して使用する所有権をもつことから、特有の問題を抱えています。管理組合や居住者と一緒に日本共産党も問題を解決したり要求を実現するため頑張ってきました。分譲マンションの現状と、これからの課題などをみていきたいと思います。

 分譲マンションは、一九九九年末には約三百七十万戸(グラフ)、居住者は現在、約一千百万人(全住宅戸数の八%)と推計されています。

■5割超える地域も

 東京都の持ち家住宅に占める分譲マンションの割合は二三・五%(一九九五年)、区部では二六・七%、区では実に五割を超えるところもあり、都市部ではますます増えると予想されています。(別表)

 分譲マンションが急増する中で、分譲マンションの問題が大きな社会問題にまで発展してきています。

 販売会社・管理会社とのトラブル、欠陥建築、大規模修繕、騒音やペットなど住民同士の問題、管理費・積立金の滞納、管理組合の運営などがあります。

 東京都は、九二年の東京都住宅政策審議会答申で「行政関与の必要性」を打ちだし「居住者の合意形成が円滑に図られるような条件を行政が整えていく必要がある」として、各自治体に相談窓口を設けさせるなどしています。

 そういった努力があるものの、多くはマンション問題の解決が、管理組合や居住者の個々の努力に任されてきているのが実情です。

 ■ローン滞納者激増

 さらに、長引く不況で新たな問題もうまれています。一つは、住宅ローン滞納者の激増です。

 住宅金融公庫によると、住宅ローンを滞納している件数が九五年度で一万四千二百五件(延滞率〇・三〇%)から九九年度は二万八千百十八件(〇・五六%)と、この間で二倍になっています。

 住宅金融公庫については、たとえば借り手が会社員の場合(自営業者の場合もあります)、倒産などによる解雇で支払いが困難になる、そのようなケースは、返還条件変更に協力することもあります(返済方法の新特例)。

 もう一つは、資産デフレがあります。マンション、中古マンションの値段が下がっていることです。抱えているローンが負担になっている人は、マンションを売っても残っているローンが多くて、売るに売れない状況があります。

 したがって、定住化を目指す傾向が強くなっています。ついのすみかとしての住宅問題、高齢化問題に、どのように対応していくのかという問題がうまれています。

 最近多いのは、住民と分譲会社や管理会社とのトラブルです。

 日本住宅管理組合協議会(日住協)の二〇〇〇年の相談件数千六十六件中、上位を占めているのは、管理会社・業務委託が百五件、規約が九十五件、大規模修繕六十八件、滞納対策六十六件となっています。

 居住者と販売会社、管理会社とのトラブルが起きる背景には、次のような事情もあります。政府の持ち家重視の姿勢と、ゼネコンや大手デベロッパーが、一戸建てに比べ投資の回収率がいいマンションを競って販売してきたことです。

 分譲マンションの管理が一戸建てとは違う専門的な知識、対応を要求されることがあります。たとえば、水もれやヒビわれなどが起きた場合、だれが負担するのかという問題が起こります。

 建物ができても、管理組合がない、あっても管理会社任せで、高いものにつくなどが実情です。

 ■分譲の仕方が問題

 日住協の原直男常務理事は、「分譲の仕方に問題がある」と指摘します。分譲会社は建物販売が目的です。それに対し、「公団方式」といい、入居予定者の中から管理組合の世話人を選び、都市基盤整備公団や日本総合住生活と協力し、入居前に管理組合の設立総会を開き、入居初日から管理組合が機能する、このことが重要だといいます。

 管理組合をつくり、機能させることも、分譲マンション固有の多くの問題を解決するうえで第一歩になります。

 


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