首都移転

道理にたった全都民、全国民の力をあわせ、
首都移転計画を一掃しよう

1999年12月17日

「首都移転に断固反対する国民大集会」での不破委員長(当時)のあいさつ(大要)


 みなさん、日本共産党の不破哲三でございます。まず最初に、首都移転のくわだてに強く反対する決意をこめて連帯のあいさつをおくるものであります。

 私たちが首都移転に反対する大きな理由は、二つあります。

目的が二転、三転する超大型プロジェクト

 ひとつは、この計画が、政府自身、いまだに目的を決めることができないでいる超大型プロジェクトだということであります。

 一九九〇年、国会で「移転推進」の決議がされ、九二年に最初の法律ができたときには、推進派の理由づけは「東京への一極集中をやめさせ、過密を解消する」ということでした。その後、計画の中身が明らかになると、国会と政府が移転しただけで過密が解消するわけがないということはだれでもわかりますから、次の段階ではそれがいえなくなりました。

 一九九六年、いまの法律――移転にかんする法律の改定案が国会を通過したときには、理由づけの主張はかわって、「東京は過密で不便だから、過密都市から国会と政府を脱出させよう」というまったく反対の理由にかわりました。これもたいへんに評判の悪い理由づけでした。とうとう今年あたりになって、政府が流す文書をみると、またまた元にもどって、「一極集中の是正」、「過密の解消」がいちばんの理由にあげられています。

 みなさん、この大事業で、目的がころころと正反対にかわっても平気だということは、目的などなんでもいい計画だということの証拠ではないでしょうか。

首都移転を計画しながら、なぜ首相官邸や中央官庁の新築に熱中するのか

 第二に、これが政府もみずから認めている、まったくのムダづかいのプロジェクトだということです。

 本気で国会や政府をどこか別のところに移すのであれば、その間は、政府や国会の建物の改築や新築を凍結するのがあたりまえのことです。

 ところが、一九九〇年に国会で促進決議なるものが通ったころからいままで、つまり九〇年代のあいだに政府は防衛庁の新庁舎や合同庁舎六号棟など八棟の新庁舎を建設しました。

 さらに、現在、新二号館が工事中であり、また、首相官邸も新築中であります。これからの計画を入れると、二〇〇四年度までに、中央庁舎の新築・改築に政府が使う予算は、少なくとも七千数百億円と数えられています。とんでもないムダづかいではありませんか。

 しかも、新しい首相官邸はハイテクで固め、ヘリポートまで備える、約七百億円にわたる巨大な新築工事であって、今年の五月に着工しました。二〇〇二年の三月に完成予定であります。

 いまの計画では、新首都の建設は、一年おいた二〇〇四年度からはじまります。十年後には新首都で国会を開く予定だそうであります。

 みなさん、現在の首相官邸は、一九二九年にたてられ、七十年たっていまの現状であります。ですから七百億円をかけてつくろうという首相官邸がわずか十数年でご用済みになるといったばかげたことはないはずであります。

 それを国会で追及しましたら、九六年六月の特別委員会で、橋本前首相は、まことに奇怪でこっけいな答弁をしました。”日本はこれだけの国だから、首相官邸が二つあってもおかしくない(「ほお」というどよめきの声)。首都を別に移しても、東京にも当然政府の機能が必要なんだ”。二つの首都、二つの政府をつくろうというのがこの計画だということを、とうとういわざるをえなくなったわけであります。

ゼネコンと金権政治の産物に日本の首都をこわさせるわけにはゆかない

 みなさん、これぐらい道理もなければ、ムダづかいの明白な計画であります。

 結局、残るのは、ゼネコンとそれに結んだ金権政治の利益以外には、なにもないではありませんか。まさに、ムダづかいを絵にかいたような計画であります。

 しかも、これまでの国会で、この首都移転について、本会議でこれを議題にして討論したことは、ただの一度もないのです。まさに表舞台をさけた、完全な密室政治の産物であります。

 こんなものに日本の首都をこわさせるわけにはゆかない、これが私どもの決意であります。(拍手)

 十年前、私どもが反対したときには、残念ながら、国会内ではその声は少数でした。しかし、今日ここにまいりますと、すべての党派の代表のみなさんから、首都移転に反対だという声があげられています。まさにその声は、党派を超えて広がっております。みなさん、党派を超えた力、道理にたった全都民、全国民の力をあわせて、このばかげた計画を一掃しようではありませんか。以上であいさつをおわります。(拍手)


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