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(第19回参議院選挙にあたっての日本共産党の各分野の政策からの抜粋)
郵政三事業(郵便、貯金、簡易保険)は、二〇〇三年から郵政公社にされようとしています。公社化で、国営・三事業一体という現在の骨格を引き継ぐとしていますが、郵便貯金の利子を銀行より低くすることや、信書の配達の一部を宅配業者などに開放するなど、「郵政事業の弱体化」がすすめられようとしています。
ところが小泉首相は、それでもあきたらず、あくまで民営化を主張しています。郵便貯金の民営化は、銀行業界の年来の主張にそって、銀行の競争相手である郵貯を「弱体化・解体」するというもので、「改革」どころか、あからさまな銀行応援政治です。
庶民の貯蓄をまもる
郵便貯金は、一千万円以下の小口預金だけを対象に、零細な国民の貯蓄をまもることを目的とした国営の事業です。銀行経営にとって、このような小口預金は、コストがかかる「重荷」となっており、銀行に預金口座を置いておくだけで手数料をとるという「口座維持手数料」の本格的導入もねらっています。こうしたサービスの切り捨てをやるには、「国民の零細な貯蓄をまもる」ことを大義名分とする郵貯が邪魔になる、というのです。
すでに米国では、小口の預金口座には、利子をつけるどころか、反対に「口座維持手数料」を徴収するのが当たり前になっています。日本でも、東京三菱銀行などが一部導入しており、ATMなどで「時間外」や「他行」の手数料をとるのが一般化しています。もし郵便貯金が「弱体化」「廃止」になれば、小口預金、国民大多数の預貯金へのサービス切り捨てがすすむことになります。地方や近所の金融窓口を確保する、という点でもたいへんです。近所に郵便局しか金融機関がないという所は過疎地だけではありません。とくに、銀行のリストラの中で、支店の閉鎖が今後も相次ぎ、ATMだけの無人化もすすんでいます。
ニュージーランドでは、郵貯を民営化した後に、地方都市の郵便局廃止が相次ぎ、お年よりが年金を受け取れないなどの問題が続出したため、ことし二月に国営の小口金融機関の復活を決めています。
郵貯の民営化=「弱体化・解体」に反対し、国民の貯蓄をまもります。
公的金融などの改革をすすめる
郵貯の「弱体化・解体」攻撃は、公的金融システムという「出口」の面からもつよまっています。これは、“郵貯があるから、役割が終わっている財投機関に資金が供給され、ムダな公共事業もなくならない”“むつ小川原開発、苫小牧東部開発などに、北東公庫(当時)から融資された財投資金は返済されない、郵貯の不良債権である”などというものです。
しかし、無駄な公共事業は、自民党政治がおこなっているものであって、決して郵貯が存在しているからではありません。“民間に任せた方が市場原理がはたらき、資金が有効なところにまわる”のだったら、民間銀行には不良債権など発生せず、金融政策などまったく不要ということになります。
銀行の貸し渋りが横行し、中小企業、住宅や福祉・医療施設などへの資金供給がますます必要になっているいま、公的金融の役割がいっそう高まっています。庶民の大切なお金を怪しげな「マネーゲーム」などで「自主運用」させるのではなく、国民の暮らし・営業の応援にまわすよう、真の財投改革をすすめます。また、財投機関の総点検をおこない、無駄な公共事業への融資を中止するとともに、融資資金の回収をはかります。政策投資銀行(旧開発銀行と旧北東公庫)などへの政府出資金を適正化し、国民生活向け財投機関への出資をふやして、低利で良質な資金を供給できるようにします。
全国一律料金の郵便事業を堅持する
信書など郵便事業を国営事業で一元的に運営してきたのには、(1)全国一律料金制が万国共通の大原則であり、日本中同じ料金だからこそ、切手を張ってポストに投函(とうかん)すれば配達する、という郵便事業が成り立つ、(2)信書の秘密、プライバシーの保護、という二つの大きな理由があります。
ところが、ここに新しい事業者が、コストがかからない部門や確実にもうかる部門に参入したら、その事業者は料金を安く設定できるため、全国一律のサービスを提供している事業(国営の郵便事業)は、成り立たなくなってしまいます。「いいとこどり」の参入と競争は、大口・大都市を優遇する一方、そのあおりで個人や小口、地方のサービスが切り捨てられることになります。
また、郵便事業を民間に開放すれば、プライバシーの侵害は、「郵便物の中身を読んでしまう」ということだけではありません。どこの家、どこの会社に、どんな郵便物がきているか、だれが差し出した郵便物がきているか、家庭や会社の経済状態はどうなっているか、などもわかってしまいます。
日本共産党は、国民にとって“百害あって一利なし”の郵便事業の民営化につよく反対し、全国一律料金の郵便事業を堅持します。
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