2001年12月7日(金)「しんぶん赤旗」

負けてたまるか リストラの職場で

三菱電機伊丹(兵庫)

残業日誌つけてただ働きなくそう

日本共産党委よびかけ



 「サービス残業(ただ働き)をこんどは三菱でなくして」。兵庫県伊丹市から尼崎市にかけて広がる三菱電機の工場、研究所、技術部門の職場で活動する日本共産党三菱伊丹委員会は、労働者の切実な声にこたえようと「残業日誌」をつける運動をよびかけています。(名越正治記者)

大量削減の一方で長時間労働

「これはいい、さっそく始める」

 十一月二十八日の朝。JR福知山線で通勤する日本共産党員のAさんは、混雑が一段落したところで「しんぶん赤旗」を広げました。

 三面に、シリーズ「負けてたまるか」「サービス残業是正へ日立が動き始めた」の記事が…。読みすすめるうちに、まわりの視線を感じます。若い労働者が二人、三人とのぞきこんでいました。

 前の座席があき、Aさんが座ると、このうちの一人がさっと横に座り、いいました。「日立の次はどこでしょうかね。三菱だったらいいのに」

 三菱電機は九月、半導体事業を中心に国内で二千人の削減計画を発表しました。これに先立つ九九年三月には、グループ全体で一万四千五百人を削減するリストラを発表し、大規模な人減らしを強行してきました。

 その一方で、職場では「国際競争に負けるな」の掛け声で効率アップやスピードアップを要請し、サービス残業をおしつけています。

記憶できない

 特にIT(情報技術)関連では、設計部門は三次元キャド(コンピューターを利用した設計システム)を導入し、設計時間の半減が要求されるなど長時間過密労働に拍車をかけています。「一カ月でどれぐらい残業をやったか、自分でも記憶できない」という事態を引き起こしています。

 青年技術者が党委員会にメールで訴えてきました。「従来三年間かかって開発していたのが二年間になり、いまでは一年に短縮されてしまった。会社は末期的症状だ。納期ばかり優先してまともな開発工程をふんでいない。こんな状況では、よい製品がつくれるわけがない。もっと五年先、十年先を見越したものづくりをやってほしい」

 党委員会はこれまでもサービス残業根絶の要求を一貫してとりあげ、その都度一定の改善を実施させますが、しばらくするとまたサービス残業がはびこります。

 厚生労働省がサービス残業是正の通達を出したのを機に、これを活用して今度こそサービス残業をなくそうと、通達の内容をビラにして門前や社宅、地域に配布しました。

 裏面では、労働時間を自己管理する「残業日誌」をつけようとよびかけ、「万が一、労働災害や過労で倒れた場合にも会社の責任を立証するうえで大きな証拠になります」と書きました。

兵庫労働局も

 おりしも、兵庫労働局が、厚労省通達を受けて、「サービス残業の排除に向けて」と題したパンフレットを発行。このなかでサービス残業が「残業手当の未払いという金銭トラブルにとどまらず、労働者の健康を阻害する要因にもなっている」と指摘。是正のために労働時間の客観的記録の導入を呼びかけています。

 党委員会は、労働局パンフも大量に増し刷りして活用を始めています。

 労働者を訪問し、「サービス残業はれっきとした企業犯罪です。厚労省が動きだし、是正させる通達を出しました。今度は三菱だってほっとけません」と話すと、「残業日誌をつけるというのはいいですね。さっそく毎月つけます」「私はすでにパソコンで記録するようにしています」との声が返ってきます。

 「日立のサービス残業是正の記事を読みたいので、『赤旗』を置いていってくれ」という労働者も相次いでいます。長期に海外出張にいく労働者のために党委員会のホームページに職場新聞や「赤旗」記事を載せています。アクセス数は最近、月一千件から千六百件へと増加しました。

 三菱電機労働組合(連合・電機連合加盟)は八月の定期大会で、「時間外労働の適正化を前提とした生産計画や開発計画などの立案・実行、労働時間短縮に向けた合理化投資や業務改善の推進を各種協議会を通じて要請する」ことを決定しました。

労組方針に期待

 山本博昭党委員長はいいます。「いま、労働基準監督署も『通達』の徹底をはかっており、職場では、連合のサービス残業撲滅のよびかけや三菱労組の“時間外労働の適正化を前提とした生産計画や開発計画”の具体的実行に期待の声がよせられています。職場から運動をおこし、『通達』の徹底と人間らしく働ける職場のルールを確立していきたい」

 


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