2001年11月28日(水)「しんぶん赤旗」 負けてたまるか リストラの職場でサービス残業是正せよ日立を労働者が告発共産党も国会で追及 労基署調査へ |
茨城労連が宣伝 日立の大リストラ、サービス残業の解消は働く者みんなの願いです。宣伝する茨城労連の人たち=21日朝、日立市の常陸多賀駅前 |
総合電機トップの日立製作所と関連企業でまかり通っているサービス残業(ただ働き)隠し。この「企業犯罪」といえる実態を告発する日立の労働者と日本共産党の日立労基署などへの申し入れによって労基署が調査に入り、是正に向けて動き出しました。(綾部 健記者)
労基署の調査を受けた会社のあわてぶりを労働者が「ずいぶん速い動きですね」とメールで職場新聞「日立のなかま」編集委員会に寄せました。
「私の職場に立ち入り調査がおこなわれました。別の職場では、上司がきて“残業時間を毎日申告してください。土曜日・日曜日、出勤も毎日申告してください”と指示しました。今まではまとめて申告しても良かったのにどうしてですか?とたずねたところ、“きょう労働基準局が調査に入っている”と答えたといいます」
「日立発祥の地」といわれる茨城県の各事業所や関連企業では、「サービス残業解消」の厚労省通達(四月)以降もサービス残業隠しが横行。「このままサービス残業がつづけば過労のため倒れる。もう限界だ」と悲痛な声があがっていました。
大きな力になったのが、労働者の告発を受けた日本共産党の小沢和秋衆院議員の国会での追及です(十月十七日、厚生労働委員会)。日比徹労働基準局長の改善約束を受けて十一月二日、日立の労働者と党県委員会、北部地区委員会が重ねて茨城労働局、日立労基署に対して「事実にもとづかない出退勤時間記録が横行している」と是正指導を要請しました。辰野伸之監督課長が調査と改善指導を約束し、労働時間の管理も「タイムカード、ICカードなどで適正な管理をすることが望ましい」とのべました。日立への立ち入り検査は、それから一週間後でした。
労働者と党の連係プレーが労基署を動かしたのです。
一万五千人を超える大リストラをすすめる一方、日立製作所と関連企業では、サービス残業がまん延しています。ある技術職労働者が、こう告発します。
「私の職場は、社内でも最も長時間残業がひどい部署です。月の残業百時間はざらで、中には百五十時間、二百時間を超過するものもいます。残業代が払われるのは等しく四十時間が限度です。一日当たり十三〜十四時間の勤務が毎日ずっと続いています。ノイローゼで自殺したものがでています」
厚生労働省はことし四月、そのサービス残業解消を求める通達を出しました。労基署の指導で日立の愛知県旧旭工場は、八月に三月〜五月のサービス残業代を支給。ところが本拠地・茨城県日立地区では改めようとせず、実態を隠そうとさえしています。
その温床となっているのが、対象の労働者には月三十時間までの残業手当を支払うニセ裁量労働制「Eワーク勤務」と呼ばれる制度です。
ある労働者がこう訴えます。「残業代は月三十時間までは『Eワーク』手当で支払い、三十時間を超えると申告しない、申告すると『Eワーク』からはずれる」。つまり「Eワーク」を超える残業を申請をすると「あいつは能力がないからだ」という雰囲気が作り出され、能力判定や出世に影響するというのです。
同県の旧大みか工場では「『Eワーク』の適用除外をつづけると成績査定に響く」。旧国分工場でも「裁量制の開始のとき、約九割の人が『Eワーク』除外を申請したところ、部長が“除外者が多すぎる。全員『Eワーク』にしろ”と強制し、ほとんどの人が適用となった」といいます。
職制クラスの残業、休日の無協定出勤も日常化しています。「夜十時近くまで残って作業している組長がいる。業務手当分以外はサービス残業になっている」との訴えが寄せられています。
犯罪行為といえるこうした実態を日本共産党の小沢和秋衆院議員が、国会でこう追及しました。
「旧旭工場(愛知県)で改善指導の直接の対象となった『Eワーク』の労働者に二十九・五時間以内におさまるように残業をつけて出せなどと口頭やメールで指示がおこなわれている。労基署に怪しまれないように、こういう操作をしているという。悪質な犯罪行為だ。直ちに厳重な臨検監督をしてとりしまるべきだ」
答弁に立った日比徹労働基準局長は「申告や情報提供があったら、それにもとづく監督指導をおこなうことにしている。手抜かりがあったとすれば申し訳ない。十分徹底したい。労働管理については十分念頭におき、監督指導に努める」と約束しました。
労働基準局長の“申告や情報提供があったら監督指導をおこなう”との答弁は、日立労基署などの態度を変えさせました。
大みか工場の労働者の一人は「労働者を死にまで追いやるサービス残業。今回の変化は、世界の日立といわれる大企業でも、具体的事実を示して告発していけば改善への道を切り開けることを示したといえます。力を合わせ、サービス残業をなくすまでがんばりたい」と語ります。
機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。
著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp