2001年12月24日(月)「しんぶん赤旗」

負けてたまるか リストラの職場で

転籍・退職 自信もって拒否

住友金属和歌山の労働者

共産党の国会質問で違法性次々明らか



 「年休もとれない臨時休業制度をやめさせたい」と住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)の職場では、日本共産党の運動で勇気を得て労働者たちが、生活の基盤を脅かすリストラに一歩もひかないと立ち上がっています。同製鉄所は本紙が大量転籍(解雇)の強要に反対するたたかいを取り上げてきたところです。(中村隆典記者)

休日強制し賃金カット

「年休とれる職場こそ」

 シームレスパイプを製造する中径管工場では、今年初めから月五万トン生産のフル操業状態にあります。職場は人減らしで極端に人員が切り詰められ、昼休みの休憩時間も「昼操」の名で連続操業、交代で食事をとらされるほどです。

 ところが従業員は「臨時休業制度」で毎月一回強制的に休日をとらされ、賃金日額の50%をカットされています。休日をとっても補充人員はなく、年休がとれない状況に置かれています。

 「臨時休業で一人が休めば体調が悪くても無理して出勤せざるを得なくなり、工場では労働災害が続発している。臨時休業をやめ、人員を増やしてほしい」と五十代の男性従業員は訴えます。

 同製鉄所全体でも年休の取得状況は今年四月から八月までの五カ月間でわずか二・五六日。それも定年前退職勧奨で退職した従業員が退職直前にまとめて消化している分がほとんどです。

 日本共産党の井上美代参院議員が先の参院厚生労働委員会でこの問題をとりあげ、「生産量、作業量が増えているのに休業させるのは賃金コスト削減のためではないのか」と追及。臨時休業の中止と年休のとれる要員配置の改善を求めました。

 日比徹・労働基準局長は「企業が年休の完全取得を前提として業務計画や要員計画を作成することは非常に重要なこと。これを普及、周知啓発に努めている」と答弁しました。

 先に、行き過ぎた転籍強要の違法性が指摘されたばかりの住金。今度は年休もとれない臨時休業制度の不法性があかるみにでたのです。

 中径管工場の従業員らは「共産党が国会でとりあげてくれてうれしい。一日も早く年休のとれる職場にしたい」と口々に話しています。

定年前に退職勧奨

「勤続40年への扱いか」

 住友金属(本社・大阪市中央区)がすすめている大リストラは、入社したばかりの若者を含む九千人の出向者全員を退職させ、八割から六割の賃金で出向先に転籍させるもの。和歌山製鉄所だけで三千四百人にのぼります。同製鉄所では同時に五十九歳で退職させる「定年前退職勧奨制度」の面談がくり返され、千二百人がその対象です。

 定年前の退職勧奨も転籍も拒否する村岡吉雄さん(59)は、「住金に骨を埋める気持ちで入社し、勤続四十年になります。会社は経営悪化を理由にしていますが、これが四十年も苦労して働いてきた労働者にたいする扱いですか」と怒ります。

 同じく退職勧奨を拒否している小林正知さん(59)も、「経営の失敗のつけを労働者に押し付けるのは筋違いです。簡単に定年を切り下げることなど納得できるものではない」と一歩も引かない構えです。

 会社側は定年前退職勧奨制度の面談で、「愛する会社と後輩のために辞めてほしい。経営状況が悪くなれば退職金もなくなることもありうる」などと脅し、文書ではこう述べています。「自発的な退職希望だけでは余力問題を解消するのに必要な退職者を募ることは到底困難」と。

 最初から「同意」は形だけで、労働者本人の自由な意思決定を無視した退職強要だったことが明らかになっています。

 この問題でも井上議員の「定年は六十歳を下回ることはできないとする高齢者雇用安定法第四条違反ではないか」との追及に、労働基準局長は「労働者本人の自由な決定を妨げる退職勧奨は違法になる」との認識を示しました。

 住金のリストラが判例や法律を無視した不法なものであることが次々と明らかになり、労働者は自信をもって退職や転籍を拒否する人が増えています。

 定年前退職勧奨を拒否している五十九歳の男性は「会社はゴネ得は許さないといって、退職を強要しています。共産党の国会質問で会社の言い分が通らないことが改めてはっきりしました。自信をもって拒否できる」と決意を込めます。

 転籍を拒否しながらも、どこまでがんばれるか不安だったという男性従業員(55)は「会社の一方的な転籍強要に納得がいかず、拒否してきました。これまで一人でがんばってきたが、共産党の運動に勇気がわいてきました。転籍を撤回させるまで一緒にがんばりたい」と目を輝かせました。

 党委員会ではやむなく転籍をのんだ労働者にも呼びかけ、賃金の大幅な切り下げは許さないとりくみを強めています。

 


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