日本共産党

シリーズ 地方発 新しい政治の流れ

「すぐ来てくれる市長さん」

秋田・湯沢 共産党員市長の誕生8カ月




鈴木俊夫湯沢市長
 秋田県の南の“玄関”湯沢市。昨年四月、日本共産党県議を務めた鈴木俊夫さん(52)が、市長選で現職市長を破って当選し、全国的に注目されました(「ひらかれた市政をつくるみんなの会」から立候補)。それから八カ月。湯沢では、鈴木市長を先頭に「住民こそ主人公」の市政が着実に進んでいました。(湯浅葉子記者)

市長交際費を半減

湯沢は商店街から周囲の山々まですっかり雪に覆われています。市内の造り酒屋では、仕込んだもろみがゆっくりと発酵中でした。コメと水に恵まれた湯沢の高品質の日本酒は、多くのファンを持っています。

 そんな湯沢でも不況の影は色濃く、駅前の商店街でもシャッターをおろした店が目立ちます。「景気が悪くて大変。市長には街の活性化をしてもらいたい」。全国で聞かれる悲鳴はここでも例外ではありません。

 しかし湯沢では、「市長報酬カットなんてすごい」(花屋の女性)、「人柄が好き。市民派という感じがする」(お茶屋の男性)など市長への信頼と期待の声に、市政の変化への希望が感じられました。

雪の舞う湯沢市庁舎
 鈴木市長は就任以来、市長報酬の30%カット、市長専用車廃止、市長交際費の半額化など、まず、市長自身の決断で実行できることを着実に実現してきました。これらの公約の実現を、市民は「住民の立場に立った政治姿勢だ」と受けとめています。

 鈴木市長は「不況の活路が見いだせない中で、市長の政治姿勢はどうあるべきか。やはり市民の苦労を共有できる目線に立つことだと思います」と言います。

 この点が、昨年の市長選でも、市民の審判の大事なポイントになっていました。「こんな保守の強い小さな市で画期的だ。行政が住民にたいしてどういう目線に立つべきかを市民が考え、だから鈴木市長が選ばれた」と隣町の遠藤幸次・稲川町長は言います。

 湯沢で酒づくり三百八十年の歴史を持つ老舗、木村酒造の事業部長・三谷英夫さんも「何とか変えてほしいという閉塞(へいそく)感のなかで、新しい人に投票が集中したのだろう。鈴木市長は仲間のように感じる」と笑顔で語りました。

対話集会が市一巡 「要望届く」と評判

在宅介護利用料1/2

 市役所の中でも「市民の側に立った行政をする。これが今の市長の最高のところ」という声が聞かれます。

 湯沢市は、介護保険料の引き下げや在宅介護の利用料の半額化、さらに鈴木市長の当初の公約にはなかった国民健康保険税の引き下げを実施してきました。

 介護利用者の家族からは「請求書を見ると確かに半額。負担が軽くなり本当に助かっています」(四十代の女性)という声が寄せられています。

 鈴木市長は市民とじかに話し合うため、積極的に対話集会を開いています。すでに市内を一巡し、市民からは「今までと違って、鈴木市長はすぐに来てくれる」「地域のさまざまな要望を聞いてもらえた」と大好評。当初は合併への意見を聞く目的でしたが、「合併問題に限らず、市長さんともっと話し合いたい」という声にこたえ、さらに精力的に進めることにしています。

 住民重視の鈴木市政に、ある保守系市議は「前市長に比べて鈴木市長は市民の声を聞くことに積極的だ。市民のためにという姿勢は評価したい」とエールを送り、近隣の町長も「住民の声を大事にしようという気配を十二分に感じる」と語っていました。

湯沢市は酒どころとして有名。新酒の仕込みが行われていました(木村酒造で)

近隣首長とも共同

鈴木市政のもと“地域を守る”という一点で、議会内外で共産党と保守の共同が進んでいるのも大きな特徴です。

 県立病院がない秋田県では、地域医療を厚生連(秋田県厚生農業協同組合連合会)病院に頼っています。国の医療改悪で、湯沢にある雄勝中央病院を含め、厚生連の経営が悪化しています。鈴木市長は共産党議員や保守系議員、近隣首長、農協関係者と力をあわせ、県に厚生連への補助金アップを要請し、実現させました。

 「自治体が住民のための行政をしていく、その応援を県はしなくてはならない。そのために共同して、ことを進めていきたい。自治体でできることは最大限やっていきます。一方で『人間を大事にする国政を』という声を大きくして国に要請するのも、私たちの大きな役割だと思っています」

 鈴木市長は力強く言いました。

(2003年1月5日「しんぶん赤旗」より)


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