日本共産党

2006年1月18日(木)「しんぶん赤旗」

岩手・陸前高田

中里市長の四年間 (下)

活性化へ市民が力合わせ


 「ゆたかな資源を生かし、全国に発信するまちづくり」。岩手県陸前高田市の中里長門市長(60)が発表した二期目のビジョンのスローガンは、同市の生産者を励ましています。中里市政は、前市政のリゾート優先をやめ、市の基幹産業である農林漁業の振興に力を尽くしてきました。


気仙木材加工協同組合連合会の製材工場=岩手県陸前高田市

地元資源生かす

 地元の気仙スギのブランド化に取り組む、気仙木材加工協同組合連合会(木加連)が昨年、林産部門の全国最高賞「天皇杯」を受賞しました。気仙川流域に、川上から川下まで造林と木材加工が一体となった全国有数の木材工業団地を形成しています。

 最近の外材高騰によって国産材が注目されていることも、明るい話題です。木加連の木材乾燥施設導入を市が支援し、新規雇用を増やしました。

 地元の広田湾産カキも日本一の品質を誇ります。市はカキ養殖の共済掛け金への助成を始め、津波被害を受けた際の施設復旧の支援も強化してきました。

 カキ養殖業を営む男性(53)は「いまは中里市長が先頭に立っているし、市も一生懸命だから、同業者はみんな助かっていると思う」と顔をほころばせます。 この男性が他の市の同業者に、中里市政の施策を紹介すると「(自分の住む市も)本当はそうあるべきだが、実際にはなかなかやれない。おたくのところはいいな」と、うらやましがられたといいます。この男性は「中里市長は今後も地場産業振興に力を入れてほしい」と望んでいます。

 温暖な気候を生かした農業振興も進められています。生産が拡大している中玉トマトの契約栽培は、中里市長がみずから大手食品会社と折衝したのがきっかけです。市と農協が苗の代金を助成し、裏作にイチゴの試験栽培も始め、農家の所得向上をめざしています。

 市は今年度に初めて、県や農協と連携して「農業振興対策室」を設置しました。夏に稲のいもち病が多発したときには対策を呼びかけるチラシを全農家に配布。防災無線で放送し、現地指導会も開催するなどした結果、市内で平年作をほぼ維持しました。

「市政が間近に」

 米 1・2 ヘクタール とリンゴを作っている農家の人(56)も、「対策室」の指導でいもち病の防除をして、被害を出さずにすみました。「いままでと全然違い、市政と農家がすごく間近に感じられた」と喜びます。
 「米価は安くて大変だが、いい物を作れば消費者は買ってくれる。将来は息子にも農業をさせたい」。身近な相談窓口として今後も「対策室」を頼りにし、「中里市長は農家の立場に立って考えてくれる。次も続けてほしい」とエールを送ります。

 いま、市内に五つある産直施設の売り上げが好調です。「道の駅 高田松原」内の「採れたてランド」では、売り上げが約一億円に。ここにハウス栽培の花を出荷している女性(60)は「いつもよく売れる。パートで勤めるのと同じくらいのお金をもらえる」と充実感を味わっています。

 四月には、産直が入る施設として「川の駅よこた」も新たにオープン。前述の女性は「いい面で産直同士の競争ができれば」と張り切ります。

 地域経済のきびしさがいわれる中で、市と関係者の協働で明るさも見えてきた陸前高田。二十八日告示(二月四日投票)の市長選を前に、中里市政で発展してきた取り組みを市民が力を合わせて続けたいという熱い思いが、広がっています。 (おわり)


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