【表5の解説】


 表の上半分が、合併しない場合の推計で、下半分が合併した場合の財政上の影響の推計です。問題の合併特例債は、下半分の2段目の「合併特例債(建設事業分)」です。合併翌年のH17年度から事業が始まり、毎年75億33百万円の借金です。この試算では特例債の条件を3年据え置き・15年間返済、利子1・4%固定としています。

 その借金返済は、「公債費(合併特例債分)」の欄で、3年据え置きなので合併後6年目のH21年度から本格化します。それまでは利子分だけで1億〜3億円ほどだったのが、13億47百万円になり、翌H22年度には合併3年後の特例債の元利返済が加わり20億31百万円にと、次第に増えていく様子がわかります。

 最初(H17年度)の特例債の返済の15年間は合併後6年目から20年目まで、最後(H25年度)の特例債は合併後14年目から28年目までの15年間返済です。これが重なる時期、つまり合併14年目から20年目までの7年間が借金返済のピーク(高原状態)になります。試算表では「公債費(合併特例債分)」がH29年度(合併14年目)から毎年65億21百万円になっています。

 その借金の70%が普通交付税で措置されるというのが、その5段ほど上にある「普通交付税(公債費算入分)」の欄です。たとえば、ピークのはじめの平成H29年度からは毎年45億64百万円になっています。この差額の19億57百万円が特例債の返済の一般会計負担分になります。

 その下の欄「合併後激変緩和措置」が、普通交付税の算定の合併特例の影響額です。合併後10年間は、旧市町村ごとの算定合算額が保障されるので0円がならび、11年後のH26年度から少しずつ減少し、16年目のH31年度からは▼62億35百万円、約62億円も削減されます。これが合併すると地方交付税が減るという実態です(問5を参照)。

 まさに、特例債の返済のピークの時期は、普通交付税の算定特例がなくなる時期に始まるのです。

 この結果、特例債の借金返済の交付税が46億円近くも増えるにもかかわらず、差引では、合併による財政影響額は、合併14年後のH30年度にはマイナスに転じています。表の下から2段目の「合併影響後の歳入歳出差引(1)+(4)」の欄を見てください。H32年度は▼9億92百万円、約10億円のマイナスです。表はここまでしかありませんが、特例債の返済のピークはその後も3年間つづきます。一方、地方交付税の削減は、この規模がこのあとずっとつづくことになります。