市町村合併、地方財政「改革」の焦点は?  


Q2 「臨時財政対策債」は来年度からはどうなるのですか。

A 年末に決まりますが、継続か代替制度になると考えられます。「財源不足分の補充措置がなくなる」ことはありえません。

 「臨時財政対策債」は、法律で平成十五年度までの三年間の臨時措置とされています。そのことから、自治体関係者から「来年度以降はどうなるのか」との疑問や、「なくなるようなことがあれば、財政運営は大変になる」との不安が生まれています。

 しかし、現状(今年の通常収支の財源不足額は一三兆円を超え、来年度も同規模の不足は避けられない)で考えれば、臨時財政対策債の延長かそれに代わる類似的な制度をつくるか、それとも三年前までのように、地方交付税の特別会計による借金のような方法で財源を確保して、地方交付税として交付する仕組みに戻すか、ほかに手段はないでしょう。

 そもそも、いまの地方財政制度のもとでは、毎年、政府は「地方財政計画」を予算案とあわせて国会に提出し、地方自治体が財政運営に支障をきたさないように対策をとることが義務づけられています。この法的義務をふまえて、三年前までは、法定率分の交付税では財源が不足するため、交付税特別会計として借金をして、地方交付税の一部として自治体に交付してきました。

 政府は、それによる交付税特別会計の借金が四〇兆円にものぼるとして、特別会計の借金というやり方をやめ、大枠の考え方として、財源不足額の半分は国の一般会計から補充して地方交付税に上乗せし、残りの半分を地方自治体の借金でまかなうことにしました。これが、臨時財政対策債です。ただし、財源不足の補充は国の責任なので、臨時財政対策債は、名目としては自治体の借金ですが、その返済はその年の地方交付税で措置されることになっています。

 臨時財政対策債は、自治体ごとに発行可能額が決められますが、その額は、地方交付税の基準額(基準財政需要額といいます)をまず定め、そこから一定の計算式で割り出し、その分地方交付税を減らすという仕組みです。もし、臨時財政対策債の制度がなくなるとすれば、地方交付税の基準額がそのまま地方交付税そのものの算定の基準になるという、もともとの仕組みに戻って、地方交付税として交付することになるほかありません。


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