1999年9月10日「しんぶん赤旗」

日本共産党の政治資金の特徴

国民とともに歩む姿示す

日本共産党上田均財務・業務局長にきく


――一九九八年の政治資金収支報告書が自治省から公表されましたが、日本共産党の政治資金はどんな特徴をもっていますか。

 上田 いつものように九八年の「政治資金収支報告概要」と「資産報告の内訳」を別表にしめしました。これをご覧になってわかりますように、九八年の政治資金の収入総額は三百八億五千二百八十六万円で、ほぼ前年並み(前年比九九・九%)、支出総額は三百八億九千百五十五万円で、十四億円余りふえました(前年比一〇四・九%)。支出がふえたのは、前年の一九九七年が国政選挙がなかったのにたいして、九八年は参院選の年だったためです。

 今回の政治資金収支報告書でも明らかなように、日本共産党の収入には企業・団体献金がゼロ、税金の山分けである政党助成金もゼロです。他の政党を見てみますと、自民党の場合は収入の約八割が企業・団体献金と政党助成金であり、自民党以外の党も大同小異で、政治資金の大半を企業・団体献金と政党助成金に依存していることがわかります。

 日本共産党の政治資金は、党が発行する「しんぶん赤旗」、週刊・月刊紙誌等の事業収入、そして党員の党費、党の支持者などから寄せられる個人寄付の三つの収入からなっています。内訳は、中央委員会の収支についていえば、機関紙誌の事業活動の収入が約二百七十三億円で、全体の八八・四%、支出は約二百十六億円で、全体の六九・八%と、圧倒的部分を占めています。中央委員会の場合は機関紙の発行元ですから事業収入が大きくなりますが、全国の党組織でみますと、この三つの収入はほぼ三分の一ずつです。ここには、機関紙を中心に草の根から国民と結びついた全党的活動という、他の党にはないわが党の特徴が反映しています。

 中央委員会の資産の方ですが、多くの項目がほぼ前年と変わりません。これらは、全国津々浦々で草の根から国民と結びついて活動する二万六千の支部、三百数十の地区委員会、四十七の都道府県委員会を指導する中央委員会の機構と活動を支え、二百三十万を超える読者をもつ「しんぶん赤旗」をはじめとする機関紙誌の編集・発行を支えるために必要とされるもので、そういう日本共産党中央委員会の機能と役割にふさわしい規模のものです。

 全体として日本共産党の政治資金の特徴は、党の組織を基礎に、直接支援される多くの人々に依拠し、国民とともに歩む党であることを、財政面から裏付けています。

日本共産党の1998年政治資金収支報告概要
項目 金額(万円) 前年比(%) 構成比(%)
(1)収入      
党費
13億7,955
97.6
4.5
寄付
5億6,734
109.9
l.8
機関紙誌・書籍等
272億6,173
99.8
88.4
その他
16億4,425
101.4
5.3
収入合計
308億5,286
99.9
l00.0
(2)支出      
経常経費
54億0,795
107.1
17.5
機関紙誌・書籍等
215億5,267
105.5
69.8
その他の支出
39億3,093
132.6
12.7
支出合計
308億9,155
104.9
l00.0
収支差引(1)−(2)
3,869
前年からの繰越金
83億4,131
翌年への繰越金
83億0,262
※万円未満四捨五入の関係で合計額が合わないことがあります。

日本共産党の資産報告の内訳
項目
件数
金額(万円)
土地
60
22億5,460
建物
52
17億6,616
地上権または借地権
3,324
取得価格がl00万円超の動産
48
4億5,318
預・貯金残高  
68億0,353
金銭信託    
有価証券
4億6,910
出資金    
残高100万円超の貸付金
5億4,600
l00万円超の敷金
8憶7,000
100万円超の施設利用権
1,800
残高100万円超の借入金
2億4,000


各党の態度は

企業・団体献金禁止拒む自自公

 ――企業・団体献金の禁止・見直しをおこなう期限とされている二〇〇〇年一月が四カ月足らずのちに迫っています。あらためて各党の企業・団体献金への態度が問われていると思うのですが。

 上田 そのとおりですね。現行政治資金規正法は、付則九条で政治家個人への企業・団体献金については五年後に「これを禁止する措置を講ずる」と明記しています。また、同一〇条では政党への企業・団体献金のあり方についても、五年後に「見直しを行うものとする」としています。

 ところが、とくに自民、自由、公明の各与党勢力は、まともに対応しようとしていません。自民党は禁止措置の先送りをねらっています。自由党の小沢党首にいたっては「企業献金が悪で、個人献金が善だという考え方は根本的に間違っている」などと開き直っています。公明党も、国民むけには「政治家個人への企業・団体献金の禁止」をうたう一方で、自民党との政策協議ではこの問題を連立の前提としない態度をとっており、自自公連合で「先送り」をきめこもうとしています。政治家個人への企業・団体献金の禁止は、いわば国民にたいする国会の公約ですから、こうした自自公勢力の態度はぜったいに許されません。

 同時に、政治家個人への献金を禁止するだけでなく、政党への企業・団体献金の禁止を正面から問題にすべきです。そのことは、大銀行への巨額の公的資金投入の裏に金融業界から自民党本部への巨額献金があったことでも明らかです。また、昨年の政治資金収支報告書の公表のさいにマスコミからも指摘されていたように、政治家個人の資金管理団体とともに、国会議員が支部長をつとめる政党支部が企業・団体献金の”窓口”になっている実態があり、政治家個人への献金を禁止しただけでは問題が解決しないことは明白です。日本共産党は、政治家個人はもちろん、政党向けをふくむ、いっさいの企業・団体献金の禁止のために全力をあげます。

おもな政党の政党助成金、企業・団体献金の、収入にしめる割合

単位:万円、()内は収入にしめる割合(%)
政党助成金
企業・団体献金
日本共産党
(0)
(0)
自由民主党
151億9,729
(52.5)
74億8,406
(25.9)
公明党
16億7,451
(8.5)
1,255
(0.1)
民主党
55億7,615
(58.8)
7億6,900
(8.1)
自由党
28億6,798
(44.1)
2億5,126
(3.9)
社会民主党
24億7,208
(49.8)
41
(0)
(注)公明党の場合、98年11月に合流した新党平和が受げ取った政党助成金15億2,773万円を合計すると、32億0,224万円となります。民主党の場合、同年4月に合流した新党友愛・民政党・民主改革連合の分を合計すると、63億7,850万円となります。


政党助成金は腐敗・堕落の温床

 ――政党助成金についても、元自民党代議士が政党助成金の不正流用・虚偽報告などの罪で逮捕され、実刑判決が言い渡されたこともあり、世論の関心が高まっていると思うのですが。

 上田 中島洋次郎元自民党衆議院議員の事件ですね。政党助成金が腐敗・堕落の温床となっていることがいっそううきぼりになり、国民の批判が大きく高まっている問題です。昨年は、マスコミでも「高まる交付金への依存度」(「毎日」)、「助成金漬けでいいのか」(「東京」)など、各紙が特集を組むほどでした。

 日本共産党は、一貫してこの制度が国民に「強制献金」を強いる憲法違反の制度であるとともに、「政党の背骨をこわすもの」と指摘してきました。もともと企業・団体献金への国民の批判が高まったなかで、これと「引き換え」に政党助成金という名による税金の山分けが決められたものです。しかも、いまだに企業・団体献金の方は野放しのままで、献金も政党助成金も両方せしめるということをやっているのですから、これほど国民を愚弄(ぐろう)するものはありません。中身をみましても、もらったお金は何に使ってもいいという無制限なものです。自民党などの議員のなかには、”虚偽報告をした中島元自民党代議士は運が悪かった”という「同情」の声があるというほどですから、堕落のきわみといえるでしょう。

 しかし、日本共産党以外の党は、政党助成金による「税金丸がかえ」の体質をなんらあらためようとしていません。これらの党は、「日本では個人献金の習慣が育っていない」などといいますが、日本共産党が、全国的選挙のたびに毎回全国で数十億円の個人寄付を集めていることは、こうしたいい分になんら根拠がないことを事実で立証しています。

 いま自自公体制のもとで、民主主義をきりちぢめる衆院議員の定数削減がたくらまれ、「政治家がまず身をきるべきだ」などということがその口実とされていますが、「身をきる」決意があるというのなら、毎年三百十四億円もの国民の税金を山分けする政党助成金こそ廃止すべきです。日本共産党は、国民の声にこたえて政党助成金廃止の主張をさらに高くかかげて、その実現のために奮闘するものです。

国会議員秘書の給与―差額を寄付

 ――政治資金の問題で、ことし一月、日本共産党の国会議員秘書の給与の扱いについて見解を出しましたが、党本部の給与と国会議員秘書の給与の関係を説明してください。

 上田 これは、一部マスコミが、この点に疑問を呈したからです。日本共産党国会議員の公設秘書は、日本共産党中央委員会が党の専従活動家として採用したもののなかから、国会議員の同意をえて秘書の任務につけたものであり、党の専従活動家としては他の任務についている専従活動家と同じです。この点は、他党の議員秘書の多くが議員による縁故採用になっているのとは根本的に違う点です。

 この立場から、日本共産党は、国会議員秘書の給与を中央委員会勤務員と同基準としています。党の基準にもとづく秘書給与と国から支給される秘書給与との差額については、党の政治活動とは別扱いの国会(会派)会計にプールして秘書の国会活動に使ってきました。このことについては、秘書がその任務についたときから合意していることです。

 ただ、差額の扱い方について、今年から新たな措置をとることにしました。国会(会派)会計は政治資金規正法に規定されている政治資金とは別のもので、政治資金収支報告書には掲載されず、その会計への拠出は公表されないため誤解を生むおそれもあるので、今年からは秘書給与の差額を党中央委員会に寄付してもらい、活動費は党が保障することにしました。この措置で、こんご政治資金規正法にもとづく収支報告書でその扱いが公表されるようにしたわけです。来年秋に公表される今年分の政治資金収支報告書からそういう内容になります。

党本部建替え―みなさんの協力で

 ――最後に、日本共産党は党本部ビルを全面的に建て替える計画を発表しました。そのための建設資金についてはどうなっているのでしょうか。

 上田 日本共産党中央委員会は、七月に党本部ビルの総合建設計画を発表し、その具体化・推進をはかっています。先日も、新しい党本部ビルの全体構想と完成予想図、建設募金のお願いを発表したところです。

 この事業は、阪神淡路大震災後におこなった党本部の耐震診断のうえにたったものであるとともに、日本共産党が国民の期待にこたえて二十一世紀にさらに大きく躍進していくうえで重要な意義をもっていると考えています。

 建設費は概算で八十五億円を見込んでおり、十カ年計画でこれを確保する予定です。建設資金には、これまで党中央委員会として備蓄してきた建設積立金、こんご十年間の備蓄分をあてるとともに、それをこえる部分について全国の党員、後援会員、支持者のみなさんに寄付、建設協力借入金によるご協力をお願いしています。

 今回の日本共産党の政治資金収支報告書においても、その繰越残高には、この間の備蓄もふくまれています。もちろん、総合建設計画にともなう建設資金の確保はむこう十カ年の計画で、当面第一期で二十五億円の募金をお願いしました。その進行状況は、こんごの政治資金収支報告書に反映されていくことになります。


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