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日本共産党

国会党首討論、不破委員長の追及

この1週間で内閣支持率は急落した

内閣の対応能力が根本から問われている

2000年11月2日(木)「しんぶん赤旗」


 辞任に追い込まれた中川秀直前官房長官にたいする森喜朗首相の任命責任の核心はどこにあるのか――日本共産党の不破哲三委員長は一日の党首討論で森首相に迫りました。その全容を紹介します。


不破氏

中川氏は政治家としての致命的弱点を右翼・暴力団に握られた

森首相

あらかじめ予測できなかった。数年も前の話だった…

 不破哲三委員長 先週のクエスチョンタイムから一週間の間に内閣の支持率は急低落しました。私は、この急低落の背景には、官房長官の問題、あるいは森発言の問題など、内閣自身がぶつかっている問題にたいして、森内閣がまともな対応ができない状態にある。こういう内閣に国の大事をまかせられるかという気持ちが、国民の間に広がっているということに大きな問題があると思います。私はこの角度から、前内閣官房長官の任命問題について、任命権者としての森首相の責任を考えたいと思うんです。

 私は、今度の官房長官の問題は、はっきりいって、政治家としての致命的な弱点を右翼団体の幹部に握られた政治家を、あなたが官房長官に任命してしまったこと、ここに大きな問題があったんです。

 この団体というのは、日本青年社という団体ですけれども、この団体がどういう性格、どういう系統の団体であるか、あなたはご存じでしょうか。

 森喜朗首相 不破委員長のご質問は、中川前官房長官が、その日本青年社とおっしゃいましたか、とあたかも関係があるということを、なにかこう、断定されてお話をされた気がいたしますが、私は、少なくとも、中川前議員はそうした団体と、特定の団体との交友関係はございません。私は、したがって、その団体がどういう団体であるかということをここで申し上げる、それだけの資料は私は持っておりません。

 不破 私は、“関係がある”と一言もいってないんですよ。“右翼団体の幹部に政治家としての致命的な弱点を握られた”ということを言っているわけです。

 この日本青年社というのは、政府・公安調査庁が提供した資料によりますと、「暴力団住吉会小林会を母体とする典型的な暴力団系右翼団体」だと規定されています。つまり、指定暴力団の中でも、悪質度において重点対象団体とされている住吉会の系統だといわれている。この日本青年社の幹部が、一九九六年十月に、当時科学技術庁長官であった中川氏に、内容証明郵便で六項目の質問を送っています。首相はこの事実をいつ知りましたか。

 首相 私は、直接はその件については承知しておりませんでしたが、たしか先月でございましたか、国会の予算委員会でございましたか、そこで野党のみなさんからご質問があって、初めてそれを知りました。

 不破 対応が決定的に遅いんですね。私はずっと経過を調べてみましたが、あなたが中川氏を官房長官に任命したのが、七月四日でした。そして、この右翼団体の幹部が週刊誌に登場して、こういう質問状を送ったということをれいれいと発表したのが、七月六日でした。もう、官房長官に任命した二日後には、この質問状を送ったことが週刊誌にれいれいと出ている。そして、その六項目のなかに、いま問題となっているあらゆる問題の中身、あるいはその根が入っているわけですね。

 私は、こういう問題で、内閣の官房長官という地位にあるものにたいして、右翼団体から弱点を握られて攻撃されるという状態にあったら、政府というものは即時に対応してこそ、政府の責任に値する。それぐらいの危機対応能力がなければ、国の大事に対して、対応できるはずがない。私は、あまりにも遅かったと思うのですけれども、どうですか。

 首相 確かに閣僚人事につきましては、すべからく任命権者である私にその責任があるということは十分私も承知をしております。が、本件につきましては、あらかじめ予測できなかったことでありますし、またこのような事態になったということはまことに残念、遺憾でありますけれども、中川さんの交友がもし事実であったとしても、数年も前の話でありますから、少なくともですね、その当時の事柄、私事、そういうことを承知するわけにいかないわけでしょう。

 私はいま、不破委員長のお話を聞いていると、よくお調べになっておられるなと思いますから、場合によっては資料もお見せいただきたいと思いますけども、しかし、何か脅迫をした人が正しいみたいなことをですね、そういうふうにしてますよ。脅迫をされたのは中川さんですから、その中川さんがそのことについてこれから解明をされてますし、少なくとも、少なくとも、いま不破さんが指摘されていますね、特定の団体との介入問題についてはですね、こういう問題については、これは本人も事実ないということでありますし、少なくとも私もその話をいろいろなところからうかがっていますと、その団体との関係はございません。私はそのようにうかがっています。

不破氏

政府はうその共犯者となるな。警察情報漏えいの疑惑は見すごせない問題

森首相

総理として調査するのは適切ではない。本人(中川氏)に時間を与えてやるべきだ

 不破 私は関係なんか一言もいっていないんですよ。右翼団体に弱みをつかまれて、脅迫されるような人物をあなたが官房長官に任命した。そこからすべて起きている。

 あなたはその問題が内閣発足直後に出ているのに、政府として何の対応もとらなかった。そればかりか、時間がないので結論的にいいますが、中川さんは条件反射的に「事実無根」説をとなえます。それを政府自身が政府の見解としてとなえて、いわば中川さんのウソの共犯者に政府がなった。そこまできたんですよ、かばっているなかで。

 あなたがあなたの名前で発表した十月十七日の答弁書のなかで、さっきあげた右翼団体からの質問書について答えて、“これは中川事務所がすでに事実無根と回答しているからすんでいます”といわんばかりの答えをしました。しかしもう中川さんが、さる女性との電話を認めた以上、「事実無根」というのがうそだったことは明りょうなんです。その点について、あなたは中川氏のウソ共犯者になったんです。

 私はほかのいろいろなことだったら、ウソがプライバシーの問題だから、あえて問題にしません。しかしこのなかで明らかになった警察情報の漏えい問題というのは、これはプライバシーの問題として見すごすわけにゆかない問題です。

 警察情報のテープを持ち出す人物は、なかなか巧妙で、最初に発表したあと(中身を)だんだん小出しに出してきています。二番目に出したもののなかには、中川さんが警察とこういう会話をしたんだということまでふくまれているわけです。私は、全部出すとしたら、もっともっと情報漏えいにかかわることが出てくると思います。

 ですからあなた方は、この問題で、いまでもウソの共犯者となる態度をすてて、少なくともこのことにかんしては正確な事実を責任もって調査する。国会も調査します。あなた方も調査に協力する。そういう態度をとるべきだということを申し上げて、私は質問を終わります。

 首相 時間がまいっておりますが、委員長のご配慮をいただきました。女性との問題は中川さんも電話と同時にお認めになっています。そのことを一つのネタといいましょうか、いい言葉ではありませんが、それを右翼が脅したら、その方が悪いんじゃないでしょうか。それから右翼団体といいましょうか、そういう特定の団体とは中川さんのおつきあいはないということは、私どもとしてもいろんな事情からうかがって、明確にそのことはわかっております。そのことだけはやはりはっきり申し上げる。ただ先ほどからたびたび申し上げているように、総理としてそれを調査するということは、警察法上適切ではないと思っとりますから、ご本人に私は時間を与えてやるべきだと思います。

 不破 私は、右翼がいいなどとは一言もいっていない。(「やじ」のためききとれず)


「森首相の頭には政党の自浄作用の意識がない」

党首討論不破委員長が感想

 「自浄作用の意識がまったくないのには驚いたな」。日本共産党の不破哲三委員長は1日、国会内の記者会見で、森首相が党首討論で中川前官房長官にかんする疑惑をみずから調査する姿勢を示さず、“警察に疑惑を調査させることはしない”と繰り返しのべたことの感想を語りました。

 「森さんの頭のなかでは調査というと警察に調べさせること以外にない」。不破氏はこうのべたうえで、「政党は、いろんな問題が提起されれば(みずから)調査する。しかし、(森首相には)調査活動とか事実を究明して国民に明らかにするという政党としての自浄作用の意識がまったくない」と指摘しました。

 不破氏は、「自分の内閣の不始末に対応できない内閣というのは国の大事に対応できるのかという国民の疑問を裏付けたことになると感じている」と語りました。

 

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