2002年2月16日しんぶん赤旗

日本共産党全国都道府県委員長会議

 志位委員長の報告


 十三日に党本部で開かれた全国都道府県委員長会議での志位和夫委員長の報告とまとめは、次のとおりです。


「大運動」の到達点−−始まった前進をいかに全党運動にするか

 おはようございます。会議への報告をおこないます。

 まず、「大運動」の到達点ですが、十一月、十二月、一月と三カ月間、党員でも読者でも、全国的に連続的な前進をかちとりました。

 党員では、入党決意者数で八千七百人、承認数で七千五百四十人、現勢では四千六百五十一人の増加です。

 読者では、日刊紙で五十四人、日曜版で九千八百六人、合計で九千八百六十人の増加です。

「大運動」を成功させる条件はおおいにある

 「大運動」を開始した三カ月間というのは、なかなか難しい条件が、それぞれの月ごとにあったわけですが、そういうなかで、こういう前進を開始したことは、全党のみなさんの奮闘でかちとった貴重な成果であります。

 情勢も、私たちが打って出れば、前進できる客観的な条件をはらんでいます。全国どこでも、日本共産党が大きくなることについて、あたたかい期待がよせられる状況があります。

 さらに全体として、運動が豊かで多面的な広がりをはらみながら、前進しているというのも大事な点だと思います。すなわち、量的な拡大とともに、質的にもさまざまな多面的な活動の前進のための努力がおこなわれていることも、今回の「大運動」の重要な発展的特徴だと思います。

 ですから、残る期間のがんばりによって、「大運動」を末広がりに発展させ、成功させる条件はおおいにあるということを、この三カ月余のとりくみから、まず確信もってつかむことができると思います。

いかにして全党運動に発展させ、目標をやりきるか

 同時に、「大運動」が全党運動になっているかというと、まだそうはいえないのが現状です。運動が最も広がった十二月でみても、党員拡大で働きかけた支部が約二割、読者拡大で成果をあげた支部が約五割程度のとりくみです。

 「大運動」の目標を自覚的に決めている支部は、全党的にみると、党員で29%、読者で34%です。全党の本格的な自覚的とりくみにするという点では、私たちのとりくみの水準は大きな距離があるということを、直視する必要があります。

 「大運動」も、折り返し点をすぎました。残る二月、三月、四月のとりくみは、自ら決めた目標の総達成にむけた、ほんとうに大事な時期になります。

 きょう、この会議を開いた目的は、これまで全党のみなさんが苦労して切り開いてきた「大運動」のとりくみを、いかに文字通りの全党運動、文字通りの「大運動」にしていくか、そして目標を総達成していくか、そのための党機関の指導上の要(かなめ)はどこにあるのか――これを、全国的に交流しながら、明らかにしていくというところにあります。

 昨年十一月に開いた会議は、支部で生まれているすすんだ経験の教訓が豊かに交流されて、大きな成果をおさめた会議でしたけれども、きょうの会議は、いかにそれを全党のものにするか、そのための指導する側の指導上の要を、報告と討論によってお互い探求し、明らかにしていく会議にしていきたい。こういう趣旨でこの会議を成功させたいと思います。

 私は、いくつかの角度から問題提起的な報告をおこないます。四つほどの角度から、話したいと思います。

情勢を攻勢的につかみ、国民のなかに打って出る活動と一体に

 第一は、情勢を変革の立場から攻勢的につかみ、全党が元気に国民のなかに打って出る活動を強め、それと一体に「大運動」の飛躍をつくりだす、そのための政治的な指導と援助をおおいに強めようということです。

「小泉内閣の正体見たり」−−政治情勢の大きな激動

 この間、政治情勢では大きな激動がありました。「アフガニスタン復興支援会議」でのNGO(非政府組織)排除と田中外務大臣の更迭問題という事態がおこりました。

 この政治的経験をつうじて、多くの国民が、「小泉政治の正体見たり」という大きな変化をおこした。小泉首相が、「改革」「改革」と叫んでいたけれど、何のことはない、古い自民党の腐った体質は、少しも変わっていないではないか。「正体見たり」という気持ちに多くの国民がなってきているわけです。

 それが内閣支持率の激減にもあらわれました。これは各種の世論調査が示しているとおりです。私は、「党旗びらき」のあいさつで、小泉内閣の支持率は一見高いように見えても、具体的問題になると、実は国民は賛成しているわけではない、「内閣支持は空洞化している」ということを言ったことがありましたけれども、その内実が、実にもろいものであるということが、今度の事件をつうじて明らかになりました。

 おこった問題の本質は、“族議員”といわれる政治家の横やりで、特定のNGOを重要な国際会議から不当に排除するという、日本の外交を傷つけた深刻な問題ですから、そういう性格の問題として、党としても重視してさまざまな対応をやりました。わが党のきっぱりした態度にたいして、広い層から注目や期待もよせられました。私は、今回の事件というのは、小泉政治の“崩壊のはじまり”の事件として記録されるだろうと思います。

根本に未曽有の経済危機への対応不能が

 この内閣支持率の急減は、この問題が直接のきっかけですが、これは未曽有(みぞう)の経済危機へのこの内閣の対応不能という問題とも結びついています。この点での小泉政治のゆきづまりというのは、きわめて深刻です。

 いまの経済危機というのは、たんに景気の悪化が続いているというだけではありません。いわゆる「デフレ」とよばれる物価の持続的な下落という現象が、同時並行であらわれている。ここがたいへん深刻で重大な問題です。この「デフレ」という現象は、戦後日本で初めての事態で、サミット諸国でも戦後なかった事態です。なぜこんな事態がおこったかといえば、自民党政治が長きにわたって国民の暮らしを痛めつけ、経済の六割をしめる家計消費、個人消費を痛めつけ、需要を冷やしてしまった、その結果です。

 ここまで事態が深刻になるもとで、「デフレの悪循環」に日本経済が陥るのではないかという恐怖が、政権・与党や財界やマスコミもふくめて、立場のちがいをこえて、共通の恐怖感になって広がってきています。

 しかし、いまの政府には、この問題にたいするまともな処方せんはいっさいありません。きょうの新聞にいっせいに出ておりますけれども、小泉内閣が「デフレ対策」にとりくむということが報じられています。ところが、その「デフレ対策」なるものの筆頭にあがってくるのが、「不良債権の最終処理の促進」という方針なのです。しかし、この方針を強引にすすめていることこそが、いま倒産と失業を増やし、需要を冷やして、まさに「デフレの悪循環」の真っ暗やみに、日本経済を突き落とす作用をはたしているわけです。それをさらに「促進」するという自殺的方策を、「デフレ対策」の筆頭にもってくるというところに、この内閣が深刻な経済危機にたいする対応能力をまったくもたない内閣だということを物語っていると思います。

 どんなに経済危機がひどくなろうと、小泉内閣が叫んでいるのはあいかわらず「構造改革」だけです。「不良債権の最終処理」とか、医療の大改悪とか、消費大不況をいっそう加速させる政策にしがみつくだけであります。そのもとで、これまで「構造改革」の“応援団”を自任してきた一部のマスコミとか、一部の野党のなかにまで、動揺が出てきています。「デフレ対策のためには政策転換が必要だ」という大手のマスコミもありますし、これまで「構造改革」の旗ふりをやってきた一部の野党まで、「やっぱり消費の活発化がカギだ」ということを言い出すとか、「構造改革」一本やりではやっていけない動揺も広がっています。

 もともと小泉政権というのは、「自民党政治のゆきづまりの産物」だと、われわれはかねてから指摘してきました。いま、そのゆきづまりが、国民世論との関係でも、経済危機への対応不能でも、いわば目に見える形で噴出してきた。多くの国民が、小泉政治に疑問や不安を感じ、大規模な模索が始まっている。そういうひじょうに激動的な情勢、発展の可能性をはらんだ情勢が、目の前で展開しているのであります。

国民のなかに広く打って出て、党の値打ちを輝かせるとき

 同時に、どんな情勢のもとでも、自動的に党の前進はないというのは、鉄則です。

 小泉・自公保政権の側も、彼らなりの巻き返しをはかっています。「たとえ支持率は下がっても、改革の手はゆるめない」と叫び、「構造改革」路線にしがみついて、「正面突破」で政権延命をはかろうとしています。いま熱中しているのは、国民を痛めつける医療大改悪を、「改革」と称して強行することです。何がなんでも来年の四月から、サラリーマンの三割自己負担を強行するということがその中身であり、「手をゆるめない」といっている一番の中身が国民を痛めつけることですから、ここに大きな彼らの矛盾があるのですが、しかし、彼らなりに必死の強行突破で、「改革」のポーズをとり、支持をつなぎとめようと巻き返しをはかろうとしています。

 商業マスコミも、全体としては、「小泉改革」そのもの、「構造改革」そのものについては、日本経済再生にとってどうしても必要だということで、持ち上げるという姿勢には変わりがありません。そして、「改革派」と「抵抗派」の対立という図式を、面白おかしく描きだして、真の改革の道が国民から見えないようにする。これが商業マスコミのいっかんした報道姿勢です。

 「党旗びらき」で、私は、「自民党政治がどんなにゆきづまっても、それにかわる担い手が育たなければ、自動的に政治は変わらない」とのべましたが、これはいま展開している激動の情勢のもとでも、強調されなければならないと思います。

 こうした状況のもとで、真の改革の党としてのわが党の姿が、広い国民のなかに見えるように、わが党の旗印をかかげて国民のなかに打って出る宣伝と対話に、意気高くとりくむこれがいまわれわれの基本姿勢としてひじょうに大切であります。また、「たたかいの組織者」として、経済危機から暮らしをまもり、平和をまもる国民運動を、雇用から、社会保障から、中小企業から、有事法制の問題から、ありとあらゆる分野でおう盛に展開する。

 そういうさまざまなかたちで国民のなかに打って出る、そのとりくみと一体に、「大運動」の飛躍をつくるというのが、われわれのとりくみとして、きわめて重要であります。

 つまり「大運動」を、狭い党内の意思統一と、党の周囲のみなさんに働きかける運動というような、内向きの小さな運動にしてしまったら、ほんとうの飛躍はつくれない。日本共産党の値打ちが広い国民のなかで輝くという状況をつくりだしてこそ、飛躍はつくれる。このことを、いまの情勢の激動のなかでとりわけ強調したいと思うのであります。

新しい党押し出しポスターの活用を

 それでは、いまの情勢のもとで党をどう押し出すか。雇用とか、社会保障とか、中小企業の問題とか、税金の問題とか、個々の問題について、経済危機から暮らしをまもる、わが党の政策的立場はひじょうに明りょうです。それを、全体としてどういう政治姿勢として押し出すかという問題があります。

 その点で、新しいポスターを張り出すことをやりたいと思います。いま、こういうスローガンを掲げたポスターを大急ぎで作って、みなさんのお手元に届けられるような作業をやっております。

 「“小泉改革”の正体は見えた いまこそ 国民の暮らし支える政治を 日本共産党」

 この間の一連の事態をつうじて、「“小泉改革”の正体は見えた」というのは、多くの国民の共通の気持ちとなっていると思います。これは一貫して「小泉改革」に正面から対決してきた党だからこそいえるスローガンです。最初は期待してたけれども裏切られたという党では、「小泉改革に裏切られた」というスローガンは出てくるかもしれないけれど、「正体は見えた」というのはなかなか出てこないことになるわけです。「小泉改革」に対決してきた党の立場が、国民のみなさんの気持ちとも一致してきたということを、ずばりあらわすスローガンとして、つくりました。

 もう一つ、メーンのスローガンとして、「いまこそ 国民の暮らし支える政治を」とあります。ここまで経済危機が深刻になりますと、われわれの活動の大事な要は、経済危機、経済破たんから国民の暮らしをいかにまもり、支えるかということが、何よりも重要となってきます。現にそういう立場で、リストラの横暴、中小企業つぶし、医療負担増などから、国民の暮らしをまもるたたかいが、大きく広がりつつあります。そういう政治姿勢がずばりと出るように、大きなスローガンをつくってみました。

 こういう内容で、ポスターを、一刻も早くみなさんのお手元に届くようにしたいと思います。こういう党の旗印を掲げて、われわれが国民のなかに打って出る。ポスターが届いたら一気に張り出して、党の目に見える勢いをつくっていきたいと思います。

世界の動き−−ブッシュ発言と三中総決定の生命力

 世界の動きについても、ここでぜひのべておきたい重大な問題があります。

 ブッシュ大統領が、一般教書演説のなかでのべた、イラン、イラク、北朝鮮を名指しして「悪の枢軸」ときめつけた発言は、きわめて重大です。この三つの国を名指しして、「テロ支援国家」、「大量破壊兵器をつくって提供しようとしている」と非難し、軍事力行使も辞さないという立場を打ち出したわけです。

 これはいま、世界にごうごうたる批判を広げています。ロシア、中国はもとより、ヨーロッパをはじめ米国の同盟諸国からもきびしい批判が広がっています。

 欧州連合(EU)の外相にあたる対外関係担当のパッテン欧州委員は、「悪の枢軸」発言を、「世界にたいする危険な絶対主義的で極度に単純化された立場」だと批判して、欧州諸国の政府が声を上げ、「米国政府が一国主義的な暴走にいたるまえに阻止する時」だと、ひじょうに激しい口調で批判しています。こういう発言を、EUの外相の立場にあたる人がのべたということは、これがヨーロッパの総意だということです。フランスのジョスパン首相は、「米国は一国行動主義の強い誘惑に屈せず、われわれと共同する道に戻るよう希望する」と、アメリカへの強い警告をのべました。

 こういう欧州諸国の立場とくらべますと、日本政府の対応は、まったく情けないものです。ブッシュ発言について、私は代表質問で、日本政府の立場についてただしましたが、小泉首相の答弁は、“ブッシュ大統領はそんな物騒なことは言っていません”というだけで、抗議もしなければ、発言の危険性の認識すらないという、恥ずべき追随外交が、ここでもあらわになりました。

 こういう世界の状況をみますと、三中総決定、二つの国際書簡の立場、すなわちテロは国連憲章をはじめとする世界の平和秩序にのっとってこそ解決できる、報復戦争の道では解決できない、この理性的な立場、これが生きているということが確認できると思います。

 表面だけ見ますと、アメリカの覇権主義が、居丈高にふるまって、絶対的な力をふるっているように見えるけれども、しかし大局的には二十一世紀というのは、アメリカの横暴勝手が通用する世紀ではない。おおいに希望ある世紀になりうる。

 報復戦争は、表面では成功しているようにみえるが、いったんはじめるとエスカレートの道をすすむ、そのエスカレートが世界から非難され、アメリカが孤立していく。ここには覇権主義と報復戦争というものがはらんでいる深刻な矛盾があります。そして二十一世紀は、彼らの思う通りの世紀にはならないということは、ここにもあらわれていると思います。

 こういう世界の動きもよくとらえて、三中総の立場に立った確信を全党のものにしていく必要があると思います。

選挙勝利を正面にすえ、それと一体のとりくみとして

 第二に、強調したいのは、当面する総選挙、いっせい地方選挙の勝利を正面にすえて、それとの関係で「大運動」の位置づけを明りょうにし、それとの関係でも広く国民のなかに打って出る活動を強めて、選挙勝利ということと一体に「大運動」の飛躍をつくるということです。

選挙が正面にすわったところで、「大運動」でも飛躍が

 全国のとりくみの経験をみましても、選挙の政治目標と候補者を決め、勝利の決意がみんなのものとなり、広く打って出たところで、「大運動」の飛躍がおこっている。これが一つの共通した特徴となっています。

 たとえば、大阪府の木津川南地区のとりくみです。ここは、小選挙区では大阪三区にあたるわけですが、大阪三区で衆議院予定候補を決めた。そして市議会と府議会の予定候補がすべて出そろって、衆議院、府議会、市議会の十人の候補者が先頭に立って、どんどん街頭宣伝に乗り出していく。そういう活発な国民への働きかけのなかで、党の姿が元気よく府民のあいだに見える状況をつくりだすなかで、「大運動」でも前進にむけた飛躍のうねりがつくりだされています。

 それから、福島の伊達郡のとりくみです。ここは、前回のいっせい地方選挙で、定数四の県議選挙区で勝利したわけですけれども、どうも定数削減の動きがおこってきた。そういうもとで、これはなんとしても「大運動」で前進をつくらなければということで、去年の十二月の末に、地区機関役員、議員、支部長の会議で討議して、どんな状況になっても、かけがえのない党の議席をまもるためには、「大運動」で飛躍をつくる以外に道は開かれない、前回は最下位当選だった選挙区で定数削減がやられたら、党を強くしなければ勝てないということを意思統一して、十二月、一月と、かなりの飛躍をつくっています。

 ここでは、二月三日の投票で、伊達町の選挙がたたかわれましたが、この選挙も定数六減のきびしい選挙だったのですけれども、得票を伸ばして七位で当選しています。これは、なかなか教訓的なとりくみだと思います。

 もともと「大運動」を提起した第一の理由は、参議院選挙で残念な後退をした、この最大の教訓が、情勢のもとめるものにくらべて党の地力がまだまだ弱いというところにありました。強く大きな党をつくることがつぎの選挙で勝利者になるうえでの最大の保障だということを、われわれはあの選挙から学んだわけで、この「大運動」で本気になって飛躍をつくるうえでも、総選挙といっせい地方選挙の勝利を正面にすえて、これに本気で勝つためには、強く大きな党をという決意をみんなのものにしていくことが、カギをにぎっていると思います。

候補者を一刻も早く決め、候補者先頭に国民のなかに

 そういう角度から選挙戦の準備の現状をみますと、端的にいいまして、候補者決定の遅れの打開がどうしても必要です。とくに、中間地方選挙、いっせい地方選挙の候補者決定の遅れは、このままでは命取りになりかねない遅れです。

 三中総でも、こんどのいっせい地方選挙というのは、前回の選挙で全体として躍進した陣地をまもり前進させる選挙であって、そのためにはよほど系統的なとりくみが必要になる、このことをお互いに肝に銘じてとりくもうということを確認しました。早い時期からの系統的とりくみという点でも、候補者の早い決定というのは決定的に重要であります。

 最近の中間地方選挙でも、前進したところ、後退したところ、さまざまですけれども、後退したところをみますと、それぞれ個々の問題点もありますけれども、政治目標と候補者決定の遅れが重大な原因になっているところが少なくありません。そういう経験にてらしても、この弱点の打開は、いまほんとうにみんなの力をあわせてやる必要があります。

 いっせい地方選挙の各県の立候補計画をみますと、全体としてたいへん攻勢的な政治目標、議席獲得目標になっています。道府県議でも、政令市議でも、区市議でも、町村議でも、それぞれがたてた議席獲得目標をやりきれば、大きな躍進をかちとることができます。

 そういう目標を達成する大前提として、「いっせい地方選挙の候補者決定を二月中にやりぬこう」ということを、いま方針にしてとりくんでいますが、ぜひこれを文字通りやりきることを、よびかけたい。そして、「大運動」のとりくみも、選挙勝利を前面においた緊張したものにしていきたいと思います。

 これはなかなか大仕事であることは、みなさんが一番よくご存じだと思います。そのためには、集団的な英知の発揮も必要でしょうし、個々の困難の解決も必要でしょう。しかし、これは機関の責任でやりぬかなければならないことです。

 つぎの選挙に勝利という目標を、それぞれの党機関、党組織の共通の自覚にし、候補者を決め、選挙体制をしっかりとり、候補者のみなさんが先頭に立って、国民のなかに打って出る活動を画期的に強める。街頭宣伝もやるし、ポスターの張り出しもやる。党の姿が広く人々の目に見え、輝くようにする。そういう活動を画期的に強めるということと一体に、「大運動」の飛躍をつくろうではないかということをよびかけたいと思います。

党機関の構えにかかわるいくつかの問題について

 党機関の構えという問題にかかわって、この間のとりくみの教訓をふまえてのべておきたいことがあります。「なんとか増勢になれば」という水準から、なかなか脱却できないという問題があります。運動も結局は、「月末型」にたよるものからなかなか脱却できないという状況がある。

 これをどう打開するか。これはみなさんのところでも、苦労されているところだと思うのですけれども、「大運動」をとりくむそれぞれの党機関の構えが、大激動の情勢にふさわしいものになっているか、選挙戦の勝利にふさわしいものになっているか、二十一世紀をたたかう党の根幹をつくるという大目標にふさわしいものになっているかここはこの三カ月間のとりくみでも十分だったとはいえない弱点をのこしていると思います。ここは、きょうの討論でも、おたがいに自己分析的に深めていきたい点であります。

 構えということにかかわって、具体的に二つほど、問題提起しておきたいことがあります。

 一つは、「大運動」の目標の再検討が必要な党組織もあるのではないかということです。つまり、「大運動」目標を決める時に、必ずしも選挙勝利の政治目標とのかかわりで、十分な討議をおこなわないまま決めている場合もあります。その結果、「大運動」の目標としては低すぎるという場合があります。そうしたところでは、目標の再検討を、この機にぜひやっていただきたいと思います。

 具体的な経験を紹介しますと、東京ではこの問題を自己分析的に再吟味した結果、東京としては、とくに党員拡大の目標が低すぎるという結論になった。そこで「大運動」目標は、二月中にやりきって、その上で追加目標を決めてとりくもうということを意思統一したそうであります。これは積極果敢なとりくみの姿勢だと思います。

 もう一つは、読者拡大のなかで日刊紙の拡大の意識性が弱まっているのではないかという問題です。拡大の目標をみますと、党員の拡大目標よりも、日刊紙読者の拡大目標のほうが少ない党組織がかなりあるのです。三十六道県あるのです。これは再検討が必要ではないか。党員よりも、日刊紙読者のほうが、大きな広がりをもって増えていくことは当然であって、目標もそれにふさわしいものにすべきではないでしょうか。

 大会決定では、「日刊紙は、『しんぶん赤旗』発展の大黒柱であり、その拡大を、党員拡大とともに、党勢の一番基幹的な部分を強める活動として、重視して位置づける必要がある」とのべています。「一番基幹的な部分」、「大黒柱」なのです。日々の党の活動、内外の情勢、すべてが生きた形でわかる最良の媒体が日刊紙ですから、これを増やすということは、特別に重視して位置づける必要があると思います。

 ですからよく日刊紙と日曜版の合計で増えた、減ったという話があるのですけれども、それぞれが増えたか、減ったかが大事であります。この点では、中央の側にも、位置づけの不明確さと惰性があったと思います。それぞれで増やしていくということが大事であります。

循環型・双方向、「量とともに質を」−−さらに豊かに発展を

 第三に、「大運動」を、「支部が主役」の末広がりの運動にしていくうえで、この間、循環型・双方向のとりくみの探求ということ、それから「量とともに質を」ということの追求ということを、全党は努力してとりくんできました。私は、これは非常に大事な努力方向であって、この方向にそったとりくみは、いっそう多面的に豊かに発展させ、実らせていきたいと思うのです。

経験交流会−−「大運動」の飛躍の跳躍台としてさらに

 「大運動」を、「支部が主役」で発展させていくために、全国でいろいろな経験交流会がもたれています。これは支部と同志の深いところからの力をひきだす、たいへん大きな成果をあげていると、私は思います。循環型・双方向型のとりくみの一つの生きた場として、多面的で豊かな活動が交流され、「大運動」の促進にたいへん大きな力を発揮しています。

 私も全国各地におじゃまして、交流会に参加してきましたが、一人ひとりの発言をつうじて、“ねばならぬ”式ではなくて、“私たちにもできる”と、“ぜひやってみよう”という内発的、自発的なやる気、エネルギーが、深いところからわき出てくるような感動を、私自身も感じましたし、それは参加された多くの同志みんなの共通の気持ちだったと思います。多くのところでこれが成功しています。中央も参加し、多くを学びました。ぜひこれは、最後まで多面的にすすめていきたいと思います。

 今後は、県段階だけでなく、支部に広く参加してもらううえでも地区や行政区段階でおおいに活発にとりくんでいくことが、大切だと思います。地区や行政区段階ならば、支部ももっと気楽に、たくさん参加できるし、発言もよい経験だけでなくなやみも出せると思いますし、回数も何回も開けると思います。同時に職場支部など、分野別の交流会も、積極的にすすめていきたい。

 ただ交流会というときに、ぜひ重視していただきたいのは、交流会だけに終わらせないで、具体的な行動計画と結びつけるということです。交流会で本気になった支部は、大胆な行動提起にもこたえてくれます。行動計画の具体化をはかることを結びつけて交流会を多面的に開き、それを「大運動」推進の跳躍台にしていきたいと思います。

 いま一つ強調したいのは、交流会などをつうじての全体的な支部への援助と同時に、個別の指導・援助がかかせないということです。交流会などに支部の代表者を送れない困難をかかえている支部も、まだたくさん残されているわけです。機関役員が手分けして、そうした困難をかかえている支部に一つひとつ入って、支部一つひとつ変えていくのは、たいへんな苦労がいる仕事だけれども、そこにすすんでいきませんと全支部の決起になりません。

 それを促進するためにも、地区委員長、地区役員、議員などの指導的幹部の指導上の経験交流会議も、重視して開いていただきたいと思います。

「週一回の支部会議」を軸にした支部づくり

 それから、「量とともに質を」ということですが、私はこれが「大運動」をつうじて全党に自覚され、広がりつつあるということは、ほんとうに画期的なことだと思います。

 私たちは、党大会でも、三中総でも、いっかんして、「党員の生きるよりどころ、心のよりどころとしての温かい人間集団としての支部を、週一回の支部会議を軸にしっかり確立しよう」ということを繰り返しよびかけてきました。この間、「入党者とともに成長できる支部に」「入党者の期待にこたえられる支部に」ということも大きな動機になって、全国各地で、「週一回の支部会議」という点での自覚的な追求が強まり、変化が生まれつつあることは、たいへんうれしいことです。

 私が、先日東京の経験交流会にうかがったさいに、東京の新宿地区の副委員長の同志がおこなった発言は、教訓にとんだものでした。これは、「学習・党活動版」にも掲載されましたが、その発言の趣旨は、「週一回の支部会議は、開くことが大変なのではなくて、開かないことのほうが大変なのだ」というところにありました。これは、まさに真実をいいあてていると思います。つまり、開くことに困難があっても、これが軌道にのるならば、国民の要求をとらえた活動でも、党勢拡大の活動でも、財政活動でも、配達・集金活動でも、たいがいのことは「週一回の支部会議」を軸にできるようになる。しかも毎週やれば、余裕をもった会議になりますから、学習もできるし、楽しい会議になる。みんなが参加できる会議になる。だからこれをいったん軌道にのせたら、党活動はゆとりがある楽しい、発展性のあるものになる。逆に、開かないでいるほうが党活動は困難になって、“ねばならぬ”式の押しつけ型の活動になってしまって、自覚的な前進ははかれないという発言でした。これは参加者にひじょうに感銘をあたえて、それがきっかけになって、東京では「週一回の支部会議」を開こうという計画をもった支部が、約一割増たそうです。これまで全体の二割だったわけですから、一割増えたということは、大きな変化の一歩です。

 こういう変化は、各地でおこっています。「週一回の支部会議」を定着させるというのは大事業ですし、効果が即効的にあらわれるというものでもないかもわかりません。しかし、ここで全党に定着させたら、党が生まれ変わるような力を発揮することは間違いありません。ぜひ「大運動」のなかで、全党的な定着のために力をつくしたい問題です。

 それから、読者との関係の問題ですが、紙面の魅力とともに、配達・集金を確実にすることを基礎とした結びつきを強めて、いったん読者になったら、離れがたい温かい人間的関係をつくることは、かさねて強調したいことです。以前の交流会議のなかで、「これまで読者といってもポストしか思い浮かばなかった。そこで一人ひとりと対話をかさねる活動をおこなった。そのなかで顔が見える関係になって、だんだんと家族の構成とか、悩みとか願いもわかるようになってきた。人間と人間のつながりができてきた」という経験が報告されました。そういう関係にいかにしていくかが、ひじょうに大切であります。

 この点で、毎月だいたい全国的に三万人から五万人の読者が減るわけです。この減ることについて、「やむをえない」と宿命的にみるのは、誤りだと思います。やっぱり読者がやめていくのには、われわれの活動の弱点の反映がある。そうとらえて、大胆な改善をはかる必要があると思います。

 もちろん紙面の改善も必要です。これは、中央の責任として、全国のみなさんの力も借りて、努力したいと思います。同時に、対話と結びつきです。全国の経験でも、読者ニュースを出している支部では、減りが少ない。入党を読者のみなさんに訴えているところでは、結果として減りが少ない。要するに人間と人間の結びつきを強める努力をやっているところは減りが少ない。その努力をいかに強めるかということも、質の問題として重視したいと思います。

学ぶ気風を強めるという問題にかかわって

 さらにもう一つ、学ぶ気風を強めるという問題です。学ぶという場合に、当面の政治問題について党の見解・立場・政策をよく学ぶということは当然必要なのですが、綱領路線、さらには科学的社会主義の世界観という点でも、広い視野で確信をもって活動できる党になる。“政治とともに理論に強い党”になる。そのための意識的な努力を強めたいと思います。

 これだけ世界と日本の激動の時代ですから、不破議長の言葉を借りていいますと、「科学の目」で時代を見通す力を身につける、大きな展望と希望をもって、党が二十一世紀にのりだしていくうえでも、この面での学習もおおいに重視していきたい。

 大会決議では、二十一世紀の将来の展望について、「地球的規模で、資本主義をのりこえる新しい体制への条件が成熟する世紀になることは疑いない」とのべています。中央委員会報告では、その根拠を、二つの角度から解明しました。一つは、二十世紀に人類が世界史的な進歩をかちとり、それが新しい体制に人類史が発展していくための「力強い土台」になること、もう一つは、「世界資本主義の現状もまた、この体制の矛盾と限界を露呈している」ということです。こういう大きな角度から、二十一世紀というものは、社会主義の世紀になりうるのだという大きな展望をしめしました。

 アメリカ型資本主義への危機感というのは、体制側の論者からも聞こえてきます。ワシントン・ポストというアメリカの有力紙に、興味深い論説がのりました。題名は、「『この後に』資本主義の運命がどうあれ、すでにだれかがその代案を準備しつつある」というものなのですが、書き出しがすごいのです。「この世界のどこかで、次のマルクスが歩いている」。「アメリカ型資本主義と競うもの(体制・理念)をつくるため、今日の新聞の見出し(諸事件)の背後にある未来への趨勢(すうせい)をつかもうとするだろう」、「だれかが、どこかでかわりの未来図を提起するだろうことは確実である」。このようにのべています。

 つまりアメリカ中心の資本主義の「グローバル化」という動きが、貧しい国と豊かな国との格差を広げ、圧倒的多数の人口が「グローバル化」の恩恵に浴するどころか、逆に収奪されている。そして絶対的な貧困を急激に増大させている。そういうもとで、論者がいうには、「社会における公正な富の配分をいかにして達成するかという問題が、解決されないままに残されている」。だからこの論者は、自分たちが処方せんを示さなかったら、「次のマルクス」が現れてたいへんなことになるという。それが結論なのですけども、それぐらい資本主義への体制的な危機感は、深いのです。

 そういうなかで、日本共産党を語るさいにも、もちろん当面の政治論、日本改革の提案、綱領路線をおおいに語っていくことは、もちろん土台になっていくわけですが、わが党の社会主義論もおおいに広く国民のものにしていく活動も、いまとりくみがいのある時期になっていると思います。

 学ぶという点で、党全体の現瞬間の大きな弱点として、強く自覚を促したいのは、新入党者教育の遅れです。未教育が七千百四十人。入党決意はしてくれたのですが、未承認を含めると八千五百一人。これはやはり党の側の責任として、ただちに解決するという努力が必要です。せっかく増やすための努力をこれだけやっていて、未承認、未教育で、決意してくれた方々のその志を生かせないということになっては、ほんとうに申し訳ないということになるし、党にとっても大きな損失です。これは、機関の長の責任として、即刻具体的な手だてをとりきるように、ぜひお願いしたいと思います。

なぜ「量とともに質を」ということを、重視しているのか

 いくつかの角度から、「量とともに質を」ということをのべたのですが、なぜ今度の「大運動」の中で「量とともに質を」ということをこれだけ強調しているのかについて、あらためてのべておきたいと思います。この「大運動」は、この期間中にだけ党勢が増えればよいという運動ではありません。「二十一世紀に民主的な政権をになう党をつくる」「二十一世紀をたたかう党の根幹をつくる」、その第一歩のたしかな前進をつくる運動です。こうした大目標を考えるなら、党勢拡大で前進することを、党の当たり前の活動として日常的に定着させていく必要があります。つまり「大運動」として特別のとりくみをやらなくても、党勢拡大で前進するのは当たり前という党に、改革・脱皮をはかっていくというところに、今回の「大運動」の大きな眼目があります。

 そういう党に改革・脱皮しようと思ったら、質がともなわなかったら、量の持続的な発展はありえません。党を量的に強めるだけでなく、質的にもさまざまな多面的で豊かで総合的な活動にとりくめる党に前進させてこそ、日常的・持続的に党勢拡大を前進させる党への成長がはかられる。「量とともに質を」ということを、いっかんして「大運動」のなかで追求していることは、「大運動」の位置づけそのものにかかわる大問題なのだということを、おたがい銘記して、とりくみたいと思います。

後継者対策−−「大運動」の重要な課題として位置づけて

 第四に、後継者対策という問題について、のべたいと思います。「二十一世紀をたたかう党の根幹をつくる」という大運動の位置づけにてらしますと、後継者を獲得するということは、あれこれの一分野の課題ではありません。支部も、機関も、グループも、全党あげてとりくむべき課題であるということを、あらためて強調したいと思うのです。

若者への働きかけ−−人生を丸ごとたくするにたる党

 まず、若者への接近という問題です。若者が党に入るということは、これから先の長い生涯を、まるまる一生を、この党にたくすかどうかという選択の問題になるわけです。ですから、若い人が自分の生涯を丸ごとたくすにたる党だということを、若者に深く理解してもらう働きかけの努力をつくしてこそ、この運動を大きく前進させていくことができるわけです。

 若者がどう生きるべきか、という生き方の問いかけを正面からおこなうことが大切になるわけですが、そのさいに当面の課題だけでなしに、二十一世紀の日本と世界がどうなるのか、綱領的な大きな展望、さらにいえば科学的社会主義の世界観、歴史観に立った展望によって、その知的な魅力によって、若者の心をとらえるという働きかけがひじょうに大切だと思います。

 先日、東京の「青年のつどい」でおこなわれた不破議長の講演というのは、そういう大きな展望に立った若者への働きかけとして、大きな感動を参加者にあたえました。この講演は、若者への働きかけの生きた素材として、全党的に積極的に活用していただきたいと思います。

 いまの若者は、一般には、科学的社会主義の世界観に接する機会というものが、なかなかありません。大学でも、科学的社会主義の立場に立つ講座は、少なくなっています。まだこの分野での知識はもっていないが、まじめな知的探究心に燃えている若者はたくさんいます。そういう若者にもわかる言葉で、どう働きかけていくのかということは、なかなか力のいる仕事ですが、不破議長の講演なども生かして、系統的なとりくみを探求していきたいと思うのであります。

「なりゆきまかせ」にしない−−計画性と系統性

 二つ目にのべたいのは、後継者対策にたいする基本姿勢についてです。私が強調したいのは、党機関も、党支部も、「なりゆきまかせ」にしないということです。

 私も、全国のみなさんの交流会に出ておりまして、「若い人が党になかなか入ってこない。どうしたらいいんでしょうか」という声に、たくさんぶつかります。後継者対策というのは、粘り強い努力、新しい探求がもとめられることで、簡単に回答が出ないということもあります。ただ一番悪いのは、嘆いているだけで、結局は「なりゆきまかせ」にしてしまうということです。

 つねに機関も支部も、それぞれ後継者を党に迎えいれて、ベテランの同志と若い同志が力をあわせて、この社会進歩の事業を次代に継承してこそ、革命をめざす政党といえるのであって、「そのうちなんとかなるだろう」、「そのうち情勢が変わったら青年が入ってくるだろう」ということには絶対にならない。計画性、系統性をもってこの問題に本気でとりくむ姿勢が、この問題にたいする基本姿勢として大事ではないでしょうか。

 本腰をいれて打開するという立場に立てば、知恵も力もわいてくる。これも全国の経験が教えてくれています。

 たとえば、北海道の上川地区でこの間、青年党員をずいぶん増やしています。ここでも、はじめに議論したときには、「『過疎地で青年はどんどん出てゆくばかりで対象者はいない』という意見ばかりだった」と聞きます。しかし地区委員長さんががんばって、どうしても青年を迎えいれたいと討議をかさねて、まず地区委員長さんの結びつきをあげてみた。それから点在になっている民青同盟員がいたので、そこから働きかけをはじめた。町議さんの結びつきもあげてみた。まず結びつきのところからあげてみたら、ちゃんと手がかりがあった。そして働きかけてみたら、どんどん決意してくれる青年が生まれて、十二月には青年支部を結成するところまでいったということでした。これはやろうと思えば、どこでもできる活動だと思うのです。ですから、本腰をいれて打開するという立場に立つというところが、まず大事なところではないでしょうか。

学生対策−−党のあらゆる力を総結集して

 それから、後継者対策でもう一つ強調しておきたいのは学生対策の重視です。これは現にある学生支部への親身な援助とともに、空白の大学にたいしても党機関の責任でさまざまな働きかけをやってゆく必要があると思います。そのさいには、民主的な教員との協力も重視する必要があります。

 そういう努力もふくめて、党のもてるあらゆる力を総結集して、後継者対策という問題にとりくんでいただきたいと思います。


志位委員長のまとめ

 討論のまとめをおこないます。二十六都道府県の同志が発言しましたが、十一月におこなった会議とくらべても、運動の質量ともの発展が反映された充実した討論だったと思います。この成果を今後の活動の飛躍に生かしたいと思います。

 討論のまとめは、三点にしぼって端的にやりたいと思います。

"わが道をいく"式の活動でなく、広い国民のなかに打って出ながら

 第一に、きょうの会議の提起の中心点というのは、「大運動」を、“わが道をいく”式の活動でとどめるのでなく、広い国民のなかに打って出て働きかけ、政党間の力関係の根本を変えていくたたかいとして、飛躍をはかるというところにあります。そのために

 −−情勢を変革の立場で攻勢的にとらえること、

 −−選挙戦での勝利を正面にすえること、

 −−広く国民のなかに宣伝・対話で打って出ること、

 −−さまざまな分野で「たたかいの組織者」として奮闘すること、

 そういう広い国民のなかで党の真価を輝かせるこのとりくみと一体にしてこそ、「大運動」の飛躍がつくれる。そのために党機関が政治指導と政治援助で先駆的役割をおおいに発揮しようではないか。そこに挑戦しようではないか。これがきょうの提起の眼目でありますが、多くの同志の発言のなかで、その提起がしっかり受け止められ、今後に生かそうという決意が語られたのはたいへん心強いことでしたし、すでにそういう方向での努力が始まっているという報告もありました。

 この点では、選挙戦と「大運動」との違いということがあります。つまり選挙戦というのは、目の前で、見える形で、いやがおうにも政治戦がたたかわれているわけです。テレビの討論会もやられます。各陣営も宣伝カーを繰り出して街頭演説もやられます。いやがうえにも目の前で政治戦がたたかわれている。ですから、選挙戦をたたかおうと思ったら、政治指導によってわが陣営に確信と勇気をよびおこすことを軸にすえて、すべての有権者を対象に打って出なければ、選挙になりません。

 しかし、「大運動」のとりくみというのは、たたかっていることの本質というのは、政党間の力関係の根本を変えるという点では、それこそ激しい党派間のたたかいを、いまわれわれはたたかっているわけだけど、目の前で選挙戦のときのような論戦が毎日あるわけではない。ですから、全党が政治的に元気を出し、立ちあがり、打って出るための特別の意識性が、党機関の指導に必要となってきます。この意識性がなくては、運動が政治的な推進力を失ってしまうわけで、やっぱりそこがいまひじょうに大切です。そこが飛躍のカギだということを、しっかりつかんでがんばりたいと思います。

 党の政治姿勢が、広い国民のなかで輝くうえでも、報告でのべたポスターの張り出しは、重視していただきたい。これを張り出す活動と結びつけて「大運動」でも、必ず飛躍をかちとりたいと思います。

「大運動」の目標を必ずやりきる−−手のとどかないものではない

 二つ目は、残る期間、二月の半月、三月、四月と二カ月半となったわけですけれども、「大運動」の目標は、必ずやりきる決意を固めようということを、あらためてみんなで確認したい。

 目標を達成することは、全党が立ちあがれば、不可能ではない。目標は決して、手のとどかない雲のかなたにあるわけではありません。それは、私たちの運動の到達点からもいえることです。

 たとえば、党員拡大でみますと、全国の党組織がたてた目標をやりきるには、これまでの活動の規模を、三倍から四倍にすればできることです。いま党員拡大にとりくんでいる支部というのは、毎月とりくんでいる支部でみますと、だいたい一割台ですから、ほんとうに全党運動にしたら、これは目標に手のとどく運動になってくるわけです。

 読者拡大では、たてた目標にくらべて、いわゆる読者の「純増」の数だけみると、到達点は、はるかにおよばないようにみえます。しかし、この三カ月でどれだけの読者を増やしたかという拡大数をみますと、全国的に、十三万人を上回る読者を増やしているのです。ただ減らした読者があって、「純増」は一万人弱の拡大になっているわけですけれども、拡大の運動量としては十三万人をこえている。ですから、運動の規模を二倍にすれば、二十六万人になりますでしょう。三倍にしたら、三十九万人になります。運動の規模を、三倍に引き上げることができたら、目標を悠々と全党的に達成できることになるわけです。読者拡大もだいたい、多い月で五割、少ない月は三割ぐらいの支部のとりくみで、になわれているわけですから、これもほんとうに全支部のとりくみにすれば、手のとどく目標になってくるわけです。

 いつも、私たちは、読者拡大になりますと、「月末に増えるか減らすか」ということになってしまうことが多い。これは、お互いに、地方も中央も努力するのですけれども、そういうことになってしまうことが多くて、月末には相当の力を発揮してがんばるわけです。そのがんばりで三カ月連続の前進をしたことは貴重なのですが、その水準でとどまっていることは、実にもったいないことなのです。増減ラインをこえたら、増やした分がまるまる前進になるわけですから。

 運動の量を二倍、三倍にすれば、目標達成は開ける。すべての支部の運動、すべての党員の運動にしきるということに徹すれば、これは不可能ではありません。

 ぜひ最後まで、「支部が主役」の全党運動に発展させるための努力をつくそうではないか、そして目標を必ず達成しようではないかということを、訴えたいと思います。

 そして、支部の自覚的決起を広げていく場合、私が各地の交流会などに参加しても痛感することなのですが、党勢拡大というのは、ほんらいは大きな喜びのある活動だということです。党員が増えるということは、同じ志をもって生涯をこの党にたくす同志が増えるわけですから、増やした人にとっては、これにまさる喜びはないというぐらい大きな喜びです。読者拡大も、この素晴らしい新聞を読んでくれる仲間が増えるというのは喜びです。各地の交流会に行きましても、そういう喜びが、ほんとうにあふれるように語られます。

 ですから運動を、すべての支部に広げていくという場合、まだ立ちあがってない支部もあるわけですが、立ちあがってない支部に肩身が狭い思いをさせるようなことがあったら、これは広がっていかない。そうではなく、党を大きくする喜びをわかちあって、まだ立ちあがってないところにもその喜びを伝えて、喜びをみんなのものにして、この運動を広げていきたいと思います。そういう明るい、楽しい運動にして、必ず目標を達成しようではありませんか。

発展性のある運動にしていく努力を最後まで

 三つ目は、この運動を最後まで発展性のある運動にしていく努力を、握って離さないでがんばろうということを言いたいと思います。

 つまり、報告でものべたように、「大運動」で党勢拡大の運動は終わりではありません。二十一世紀をたたかう党の根幹をつくるという大目標にむかっての第一歩が、「大運動」であるわけです。ですから、「大運動」が終わったあとも発展性がある運動にしていくための努力を、最後までつくしていきたい。

 「量とともに質を」ということを重視して、最後まで握って離さない。あるいは「後継者づくり」という問題をあらためて強調しましたが、これはすぐにはトントン拍子にはすすまない大事業であって、「大運動」の期間中に見通しがすっかりつきましたというふうにはならないと思います。しかし、この問題でも、「大運動」のとりくみのなかで、最初の確かな第一歩は切り開いたと言えるようなとりくみをすすめるという構えでのぞむ必要があると思います。

 そういう発展性のある運動として、最後まで力をつくしたい。私たち中央委員会も、みなさんと一体になってがんばりぬく決意を最後に申し上げましてまとめといたします。がんばりましょう。

 


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