2000年4月16日「しんぶん赤旗」より
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みなさんおはようございます。この会議にたいする報告をおこないます。
期せずして、たいへん重要な時期の会議になりました。政局の激変をうけて、五中総決定にもとづいて全党が総選挙にむけてたちあがるための必要な意思統一をおこなうというところに、この会議の目的があります。
まず早期の総選挙にそなえる態勢の確立という問題です。
この間、小渕前首相の急病と内閣総辞職、森新政権の成立という政局の急転回がおこりました。今度つくられた「自公保」という新しい政権の枠組みも、民意に背いた党略的な連立であることに変わりはありません。
民意を無視した政権づくりは、前回総選挙以降をみても、九八年七月の参院選挙での自民党大敗をうけてつくられた小渕前内閣、九八年十一月の自自連立、九九年十月の自自公連立、今回の自公保連立と、かぞえてみますと四回目になります。この居座りは、民主主義が許容する限界をはるかにこえたものです。わが党は、森政権にたいしてすみやかな解散・総選挙をつよく求めるという立場で対応していきたいと思います。
森内閣が民意の審判を経ていない、暫定的な性格しかもたない内閣であることは、マスコミもそろって指摘しています。政府・与党のなかの動きをみても、早期解散はさけられないという流れが、はっきりつくられつつあります。
なお流動性をはらみますが、七月の沖縄サミット前の解散・総選挙の可能性がきわめて濃厚になりました。”六月選挙”を想定して、逆算でやるべきことをやりぬく態勢を全党にすみやかに確立することが求められます。
つぎに情勢の発展の特徴、党の躍進の可能性をどうつかむかという問題です。
わが党は小渕前内閣にたいして、「数あって中身なし」という批判をしてきましたが、「小渕内閣の継承」をうたう森内閣は、「中身なし」という特徴もそっくり引き継ぐことになりました。
この内閣が、経済、財政、外交、警察の腐敗など、いま国民が切実に解決をもとめているあらゆる問題で、前途に展望がしめせず、対応能力をもたないことは、国会での質疑を通じても、すでに明らかであります。
四中総・五中総決定が指摘した、「悪法の強行が自らの体制的基盤を掘り崩す」という過程が、いちだんとすすみました。自由党が分裂してその一部が連立を離脱したことは、その一つのあらわれです。これによって連立政権は、事実上の「自公」連立となり、政教一体の公明党・創価学会と連立することの矛盾は、いっそう深刻になることはさけられません。
この森政権が、今度の総選挙にむけて、いったい何を訴えるのか。「二十一世紀に日本をどうするか」について、国民に訴える旗印を、この政権は何一つたてられないというのが、特徴だと思います。
サミット前の選挙ならば、「沖縄サミットの成功を」ということをいうでしょうけれども、戦後半世紀にわたって基地の重圧で苦しめられてきた沖縄で、あえてサミットを開きながら、その主催者である森首相は沖縄問題での暴言にみられるように、およそ「沖縄の心」を理解せず、基地問題解決へのまともな見識も、意思も、能力も、まったく欠いているといわなければなりません。
つまり相手の陣営は、今度の選挙で国民の心をつかむ、訴えるべき中身をもたない。旗印をもたない。これが相手の状況です。
こうした相手陣営の状況とは対照的に、わが党が総選挙で訴える旗印である「日本改革論」は、その生命力をどの分野でも生きいきと発揮している。これが情勢発展の重要な特徴です。
戦後半世紀続いた自民党政治がいよいよゆきづまり、二十一世紀にむけて日本が新しい政治をもとめている。その新しい政治と日本共産党がしめしている「日本改革論」がぴったりと接近、合致してきています。
第一に、外交・軍事の問題では、私たちは日米安保条約廃棄をめざす国民的多数派を結集することを展望しながら、安保廃棄以前にも、実現可能な課題、実現すべき課題を積極的に具体化し、提起してきました。それが現実政治にかみあって、いま力を発揮しています。
五中総決定では、党のアジア外交の成果を踏まえて、日本外交のありかたの三つの転換――平和解決を最優先、アジア外交を中心にすえること、自主独立の外交をきずくこと、この三つの転換を提起しました。この方向での努力の重要性は、日朝国交正常化交渉の開始に続いて、韓国と北朝鮮の南北首脳会談開催が決まるなど、東アジアで現実におこっている流れにてらしても、いよいよ切実となっています。
台湾問題についても、新しい総統が選ばれるもとで関心が注がれていますが、衆議院本会議での不破委員長の問題提起、すなわち「一つの中国」という国際法上の枠組みをかたく守ってこそ、台湾問題の平和解決という日本国民の要望を、政治的な要請として率直に話しあうことができるという提起は、問題の道理ある解決の道筋をしめしたものとしてたいへん重要です。
米軍基地の異常な実態をただすことも緊急な課題です。基地全体をなくすことは、安保廃棄の課題ですけれども、それ以前にもまともな独立国とはいえない異常な実態をただすということが、われわれの立場です。
この間、沖縄サミットを前に米軍基地問題を世界に訴える「報告と訴え」を発表しましたが、これは内外に大きな反響をよびおこしました。これもそうした努力の一つであります。
それから党首討論で、日米核密約問題についての連続追及を、不破委員長がこの間おこなってきました。あるジャーナリストは、この連続追及について「日本は本当に独立した主権国家なのか、政府は国民に事実を隠さぬ本当の民主国家なのかを問いつめる重大なやりとり」と注目しました。この一連の追及は、四十年に及ぶ安保体制下での虚構を根本から明るみにだしました。わが党が入手し、発表した米側文書というのは、これまで部分的に報道されたものもありますが、生の資料そのものがまとまって公表されたことはありませんでした。とりわけ昨日、委員長が公表した秘密取り決めの本体文書そのものは、まさに初めての公表となりました。これはマスコミ各紙が今日いっせいに大きく報道し、「非核三原則の虚構性が浮き彫りになった」と伝えました。この問題は、過去の歴史問題ではなくて、そういう仕組みが生きている以上、米軍が核配備の体制をとればいつでも発動される、今日の熱い問題です。「核持ち込み」体制の一掃は、アジアと日本の平和、安全にとって、まさに重大な緊急課題といわなければなりません。
第二に、経済・財政の問題では、「『ルールなき資本主義』をただす」、「『公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円』の逆立ち財政の転換」を、経済民主主義の二つの柱として、わが党は、一貫して主張してきました。五中総決定では、この提起が「いよいよ日本社会の客観的要請になってきつつある」と指摘しましたが、このことはこの間の情勢の展開によっても証明されています。
たとえば、わが党は、リストラによる横暴な解雇への規制措置とともに、サービス残業の一掃を軸とした雇用拡大を提起してきましたけれども、三月にくだされた「電通過労自殺訴訟」での最高裁判所の判決は、サービス残業が長時間に及んでいた事実を認め、それを是正しなかった企業側の責任を厳しく断罪した点で、たいへん重要な意義をもつものとなりました。「日本改革論」の柱の一つである、企業の横暴にたいする社会的規制がさけられないということを、司法も認めざるを得なくなってきたのであります。
五十兆円の公共事業の無駄遣いという問題では、浪費と環境破壊の巨大開発に住民自らがストップをかける運動が重要な前進をとげつつあります。吉野川可動堰(かどうぜき)に反対する住民投票の圧倒的勝利、愛知万博を隠れ蓑(みの)とした自然破壊の大規模開発計画を断念に追い込んだ住民の運動の勝利など、「住民合意のないところに開発なし」という新しい流れが、わが国でも確実に広がっています。
五中総決定では憲法の問題について、「憲法の改悪に反対し、その平和原則にそむく企てを許さないという一点での広大な戦線をつくる」ということを提起しましたが、これは憲法調査会が衆参ではじまり、改憲派がそのねらいを公然とむきだしにしつつあるもとで、いよいよ重要な課題となっています。
われわれが提起している「日本改革論」というのは、じつは憲法の平和的・民主的原則を擁護し、全面的に実行させていくということと、内容的に重なりあうものとなります。
最近、経済同友会元副代表の品川正治さんが、大阪の損保の革新懇で講演をやられています。そのなかで、憲法と改革論について興味深い発言をされています。「平和憲法のもとでの経済のあり方とは何か」ということを、品川さんは問題提起をして、そこで二つの転換が必要だとのべている。一つは、経済と政治運営の軸足を企業から家計にうつすこと。もう一つは、アメリカの「軍産複合体」ならぬ「公共事業複合体」の利権構造にメスを入れること。この二つの課題を、憲法に則した改革の課題として提起をしています。経済界の有力なリーダーの一人が、わが党の「改革論」の考え、憲法論の考えと合致した方向を、こういう形でのべているということを、たいへん印象深く受けとめました。
そうしたわが党の「日本改革論」にたいして、これまでになく幅広い社会層からのたいへん奥深い共感がよせられているのが特徴です。
いまも経済界のリーダーの発言を引用しましたけれども、この間、経済界の人々との対話が全国各地で取り組まれてきました。そのなかで、私たちの「改革論」が日本経済全体のまともな発展にとってもさけて通れないという反応が大きく広がっています。昨日の幹部会でも報告されましたが、大手企業の幹部にたいして、演説会のお誘いでこれまでになく広く足を運んだ、その対話の中でも共感の声がつぎつぎに出されてくる。あるいは規制緩和に苦しむ業界団体との対話が、広がったわけですけれども、そういう方々との対話の中でも、わが党の「改革論」の期待がでてくる。これは本当に深く広いものがあります。
それから、最近こういう反応もありました。元海上自衛官の方から、Eメールが届きました。それを見ますと、わが党の安保解消論にたいへん希望を持ったということがつづってあるのです。”自分はアメリカへの自衛隊の従属関係を最もよく見える位置から見てきた。あまりの自主性のなさに絶望していた。しかし安保をなくせば対等・平等の日米関係が開かれるという展望を知ってうれしく思った”。こういって、Eメールを送ってくれる。こういう層からの反応は、私たちにとっても新しい経験です。
それから、大阪革新懇のシンポジウムで、大阪仏教会の副会長をつとめている浄土宗の僧りょの方が発言したことも、紹介しておきたいと思います。この方は長年自民党の保守基盤の中で生きてきた生きざまを”軌道修正する”と宣言された。それはなぜかを聞かれて、”不破さんの「日本改革論」を三回読んだ。地獄から極楽への現世の道に気がついた。往生というものは死んでからではなく、生きているうちにやることが大事だが、これこそ往生への道だ”と語っています。
こうした反応は全国いたるところであります。それは、みなさんがさまざまな活動の中で体験もされていることだと思います。この間、全国で取り組まれた党の演説会での反響も、「『日本改革論』がよくわかった」、「これで希望が見えた」という、党の路線にまるごと共鳴し、支持するという声が、感想文の中でも圧倒的に多いわけです。
これは党の歴史のなかでも初めての経験といっていいと思います。一九七〇年代の党の躍進の時期に比べても、党の路線そのものに共鳴する社会層は、はるかに広いものがあります。
四年前の総選挙と比べてみても、大きな様がわりがあると思います。四年前の選挙というのは、私たちの政治宣伝をふりかえってみても、「オール与党」にたいする批判と告発、悪政の暴露にかなり大きな、主力の力が注がれていて、私たちが日本をどう変えるかという展望については、四年前なりに語っていますけれども、いまのような全面的な形で語った選挙ではなかったと思います。
ところがいまは、たとえば国会論戦をやりましても、それから演説会をやりましても、まさにわれわれが日本をどう変えるかという「日本改革論」を語ることが、中心になっている。そして訴えてみたらこれまでにない広い層、深いところから共感の声がわきおこってくる。これは、新しい、いままでにない状況なのです。
ここにわが党が総選挙で躍進をかちとる可能性の奥深い根拠があるし、ここをしっかりつかむことが情勢論の要(かなめ)だということを強調したいと思います。
「日本改革論」を語るうえでは、国民の熱い関心や切実な要求と結びつけて、これを語るということが重要であるということは、かねてから強調してきました。その接点は、いま無数にあります。たとえば介護保険の実施という事態になって、「保険あって介護なし」という矛盾が噴出しています。わが党は三月末に独自の実態調査をおこなって、行政を一歩だが動かす成果もかちとりましたけれども、この問題というのは「逆立ち財政の転換」と直結する国政の熱い焦点として、一貫して重視すべき問題の一つです。
同時に、身近な話題、切実な話題を大いに語るのだけれども、そこに終わってしまう傾向もあるようです。「改革論」そのものに話がいかない。党がどう政治の根本を変えるのかという話までいかないで、話が終わってしまう。こういう傾向も一部にあるようです。いろいろな切実な話題も、「改革論」そのものを正面から語るということと結びつけてこそ、党そのものへの共感を広げることができるわけです。
「日本改革論」にたいする国民の広い共感ということをのべました。こんどの総選挙では、そういう状況とかみあって、全有権者規模で「改革論」を語る気宇壮大な、空前の取り組みを展開して、躍進の道を切り開こうではありませんか。
つぎに政権問題と野党論についてのべます。国民との対話でも、マスコミの関心でも、それから相手陣営からの警戒の声としても、わが党の政権参加が現実的な可能性として関心をもたれているという特徴があります。これは情勢の劇的な進展を反映しています。この関心にかみあってわが党の政権論――民主連合政権をめざしつつ、その途上でも野党連合政府の協議に参加する用意がある、この立場を積極的に語ることは、選挙戦の政治論戦のうえでたいへん重要な点であります。
ここで大切なことは、党の綱領路線が、単独政権ではなく連立政権を基本としているということです。社会というのは、その時々に熟した問題を解決するために、一歩一歩段階的にすすむ。これが私たちの展望です。そしてその一歩一歩を国民多数の合意ですすむ。これが私たちの不動の方針です。ですから統一戦線による社会発展、政権のあり方としては連合政権による社会発展、このことをわが党は将来にわたって基本方針としています。
ここで強調したいのは、そうした連合政権論が、日本の政治の現状にも合致しているということです。日本の政局をみますと、一九九三年以降はいろいろと組み合わせが変わりましたけれども、連立政権が続いています。自民党も単独では政権を担う力を失った。これが現状です。小選挙区制を導入して、人為的に「二大政党制」の枠に国民を押し込める企てがおこなわれましたけれども、この企ては失敗したといえると思います。
そういう現実が目の前にある。そのときに「単独政権のどちらを選ぶのか」という選択を国民に迫ったとしたら、これはリアリティーのない選択になります。わが党の政権論のように野党の連立が問われるときに、どういう態度で臨むのか、これがよりリアリティーのある状況設定と対応になります。
わが党の連合政権論というのは、選挙でくだされた国民の民意をもっとも忠実に生かす方針であるとともに、一番リアルな方針でもあるわけです。現実にかみあって政権論でも一番しっかりした立場をもっている党だということを、大いに訴えていく必要があります。
それから野党間の論戦をどうすすめるか。野党共闘は、五中総以降も、全体としては大きな前進がかちとられてきました。同時に、他の野党が自民党政治に対抗する政策的足場という点で、弱点をかかえていることもまぎれもない事実であります。ここで一つひとつ解説はいらないと思いますが、消費税減税の問題、銀行支援の問題、戦争法の問題、介護保険の問題、規制緩和の問題など、国政の基本問題で対抗軸がつくれない。こういう状況があります。
ですから野党戦線を強めるという立場からの建設的批判は、ためらわず大いにおこなうことが大切です。まだ少しちゅうちょしている趣(おもむき)も一部にあるんですが、「違いは大いに国民の前で論戦していこうではないか」ということは、野党間でもお互いに確認していることでもあります。これは遠慮することなく、大いに批判をおこなうということが大事であります。
悪政の審判という点でも、野党共闘の発展という点でも、日本共産党の躍進のいかん、躍進の度合いが、情勢発展の決定的なカギを握っている。そして野党政権の実現の条件が生まれたときに、それが現実のものになるかどうか、その政権が何を一致点にした政権になるかも党の躍進にかかっている。ここに総選挙で躍進することの国民的意義があることを、しっかりつかむことが大切であります。
つぎに反共攻撃をどうとらえ、どううち破るかという問題です。この問題では、三月の「総選挙をめざす全国会議」でつっこんだ解明がおこなわれました。五中総決定では、「反共反撃は、攻撃する相手が恥ずかしくなる、逆に痛手になるところまで徹底しておこなう」ということを決めましたが、その後与党入りした公明党・創価学会が反共の突撃部隊になって異常な攻撃を強め、それとの闘争の最初の舞台となった大阪・京都の政治戦の教訓を踏まえて、五中総決定を反共反撃という部分で深めたのが、この会議の重要な意義でした。これをよくこなして、身につけていただきたい。
ここでは、”軽視はしないけれども恐れない”ということが大事であります。相手をのむ意気込みで、痛快に、徹底的に反撃する。三月の全国会議で解明したように、この攻撃の新たな波というのは、上げ潮にある勢力の攻勢ではなくて、衰退過程にある勢力の攻撃です。それだけに体制の存亡をかけた必死さがありますけれど、わが党が断固たる姿勢で、正確な反撃をくわえれば、必ずうち破れる。そういう性格のものです。
とくにここで強調しておきたいのは、この攻撃は自らの悪政をごまかし、自らの悪政を擁護するための攻撃であるというところに致命的弱点があるということです。与党入りして悪政の公然たる推進者としての姿をあらわにした公明党がくりひろげている反共攻撃はその典型です。
たとえばこの党は、東京都でシルバーパスの有料化を推進しながら、「公明党はシルバーパスを存続させた」と大宣伝し、これに反対したわが党を「財政状況を全く無視したものだ」とか、「誇大な宣伝やっている」などと攻撃する。自分が働いてきた悪政をごまかすために、都民の立場でこの制度を守るために全力をあげた党を攻撃する。
東京のある区議会では、公明党は、わが党が年金改悪を批判したことにたいしてかみついてきています。私たちは、たとえば夫がいま二十歳の夫婦では年金が千二百万円奪われるということを、厚生省にその数字を出させて告発しました。これにたいして公明党議員は、”青年は大志を抱くべきであって、二十代から年金のことを考えるべきではない、不安をあおっている共産党はけしからん”と、こういう攻撃をやったんですね。そう思わないかと当局者に詰め寄ったが、当局者のほうはさすがに、”若い方が年金の問題を語ってはいけないと私は考えていない”と、逆にたしなめた。そういう一幕もあったそうです。
自分が悪政を推進してきた、それを覆い隠すためにこんなむちゃくちゃな攻撃をやる。すべてそういう悪政擁護と攻撃が結びついているわけです。ここに一番の致命的弱点があるということを、よく見すえて、徹底して、痛快に、攻撃をうち破っていきたいと思います。
この間、わが党は国会で、公明党が進めてきた地域振興券の問題、児童手当と一体の庶民増税の押しつけの問題などが、どんなに有害で、政府から見ても説明不能なものかということを追及する論戦をやりました。論戦での政府側の苦しい珍答弁の数々は、「しんぶん赤旗」でも紹介したので、みなさんもご存じだと思いますが、演説会でもこの珍答弁を紹介しますと、紹介しただけでどこでも爆笑の渦になったというのが特徴でした。わが党にたいして「反対だけが実績」などと後先の自己矛盾も考えずに攻撃する党の「実績」なるものが、国民にとってどんなに有害なものか、このことを反撃の中で徹底的に明らかにしていく、そういう攻勢的な反撃を大いにやっていきたいと思います。
それでは、私たちの活動がそうした情勢のはらむ躍進の可能性を生かすものになっているか。これをみますと、率直にいって、躍進の客観的可能性と主体的取り組みの大きな落差があるということをみないわけにいきません。
五中総後の党活動をみますと、総選挙の躍進を根本的に準備する基本的課題で、一部には積極的取り組みで新境地を切り開いている党組織もありますが、全党的にみますと”黄信号”がともっているというのが、いまの現状だと思います。
端的に三つの指標で、私たちの到達点をみてみたいと思います。
第一は、対話・支持拡大の到達です。これが対話数でみても日曜版の読者数の範囲にとどまっているのがいまの到達です。五中総でもこれが「際限なく後回しにする傾向」の克服を確認しましたけれども、残念ながらこの三カ月間でほとんど変化がつくれず、本格的な取り組みとはほど遠いのが現状です。これは総選挙にむけた政治的構えが全党に確立していない端的なあらわれの一つだと思います。
第二は、党員と機関紙読者の拡大の問題です。「大運動」では機関紙読者の拡大で、昨年十月、十一月、十二月と連続前進をかちとったわけですが、今年に入って一月、二月、三月と残念ながら全党的には連続的な後退をしています。党員拡大でもかろうじて前進は続けているのですけれども、その規模は「大運動」の前の水準に後退しています。
第三に、重視したいのは中間選挙の成績です。五中総後の中間地方選挙の結果は、差し引きで七議席増にとどまり、死亡された方や辞職などのケースによる減少もありますので、それを加えてみますと議員総数で足踏み状態になっています。少なくない現職落選とともに、半数を超える選挙で四年前の得票に比べて得票が減退していることはたいへん重大です。
これらの諸指標を、いま私たちは重大な警告として受けとめる必要があります。こういう状況が続いたまま総選挙だけ躍進するということはありえないからです。
都道府県からの報告をみましても、躍進のなかでの惰性といいますか、「今度の選挙でも伸びるのが当然」という気分が、少なくない党組織にあることも報告されています。しかし、五中総でも確認したように、わが党にとって「風を頼んでの前進」はありません。わが党の躍進は、容易ならざる課題であって、自らの奮闘によって前進を自ら切り開く気概を全党のものとして、やるべきことをやりつくしてこそ、その可能性を現実のものとすることができる。これはわれわれの選挙に臨む構えの鉄則です。
その取り組みが弱ければ、前進どころか後退すらありうるということも、率直にいわなければなりません。この間、衆議院の比例代表定数を削減する暴挙が強行されました。この目的はわが党の躍進の阻止にあるということは、私たちもたたかいのなかで痛感したことでした。この改悪がやられたもとで、わが党の得票率が、かりに九六年総選挙や、九八年参院比例と同じ得票率にとどまったとすると、たとえば比例代表の東海ブロック、近畿ブロックでは議席を後退させることになりますし、四国ブロックでは議席を失うということになります。相手のそういう新たな日本共産党封じ込めの反共布陣をはねかえして躍進をかちとるには、ほんとうになみなみならぬ取り組みが必要になってくるのです。
客観的な躍進の条件がありながら、主体的な取り組みの立ち遅れでそれを逃すなら、歴史の開拓者の党とはいえないということになります。
五中総決定に立ち返って、現状の自己分析と打開方向について、つぎの三つの点もふくめて、この会議での率直な討論をお願いしたいと思います。
一つは、政治情勢への確信を全党のものにしているか。「日本改革論」のもつ力、それへの共感の広がり、党躍進の可能性について、深い政治的認識の一致がかちとられているかという問題です。
二つは、総選挙でのわが党の躍進の目標を生きたものとしてつかみ、それを実現する構えをしっかり確立しているかという問題です。
三つは、「大運動」で取り組んできた、「支部が主役」の党活動を継続・発展させる自覚的取り組みがはかられているかという問題です。
この三つの角度もふくめて、なぜこういう現状にとどまっているか、この現状をどう前むきに突破するかについて、この会議で率直な討論をお願いしたいと思います。
総選挙の躍進の構えが確立されているかという点では、四中総、五中総で決定した総選挙の三つの目標が、生きた目標としてすべての党支部のものとしてつかまれているか、徹底されているかという点が、たいへん重要であります。
第一は、「有権者比の得票目標の大幅突破」という目標です。すべての支部でその実現を正面にすえた取り組みをイメージ豊かに具体化していく、これをやりとげる自発的エネルギーをすべての支部でひきだす、この指導と援助がはかられているかということが重要な点であります。
全国の経験をみますと、五中総決定での「どの活動でも、躍進した参議院選挙の二倍以上、三倍以上の奮闘を」という提起が、本気でこれを生かした支部で非常に大きな力になっている。これが特徴です。
私たちは、全国各地の支部で、支部主催の演説会を成功させている経験を調べてみました。従来にない規模でこれに取り組み、成功させているところは、ほとんど例外なく「有権者比得票目標の大幅突破」、「二倍、三倍」ということ、ここに焦点をおいて五中総決定を突っこんで議論して、これまでやったことのない取り組みをやろうという本気の意思統一をやっています。ハンドマイクなどの音の宣伝でも、ポスターでも、演説会の目標とお誘いの規模でも、読者の協力をお願いする活動でも、これまでにない取り組みに足を踏み出しています。そういう高い構えの活動と結びつけて党勢拡大でも成果をあげているところが少なくありません。
やはり「有権者比得票目標の大幅突破」とそれをやりとげる取り組みとして「二倍、三倍」というところがずばりとすわったところで、支部に変化がおこっている。この方針が大きな生きた力を発揮しているというのが特徴です。
すべての支部が「得票目標の大幅突破」という目標を、そういうリアルな目標として具体化し実践できるよう、党機関としての指導と援助に知恵と力をつくしているかどうか。これが総選挙の躍進の構えの確立という点でもっとも重要な問題だということを強調したいし、この点での取り組みがどうかということについて討論をお願いしたいと思います。
第二に、「すべての比例ブロックで前回を可能な限り上回る議席増」という目標についてです。この目標については、この目標を実行するために、どのくらいの得票率の躍進が必要になるかということについて、ブロックの指導部としての情勢判断や対応ということが重要になってきます。
「有権者比得票目標の大幅突破」ということを大目標として一貫してめざしながら、ブロックの指導部としての情勢判断や対応としては、「前回を可能な限り上回る議席増」をかちとるためにはどれだけの仕事が必要かということを、よく自覚して取り組むことが大切であります。
たとえば、東京ブロックでは、この前の決起集会でも解明されたように、一議席増の四議席をえようとすると、相対得票率で二四%程度の得票率が必要になる。二議席増の五議席をえようとすると三〇%ぐらいの得票率が必要になる。三議席増の六議席では三六%ぐらいの得票率が必要になる。そういう見通しと展望をもって大いに躍進に挑戦しようではないかということが強調されています。
たとえば、四国ブロックの場合をみてみますと、現有議席を確保する、つまり現有一議席を比例ブロックで確保するためにも、比例定数削減という条件のもとでは前回の得票率を二%以上伸ばして一四%程度の得票率をとることが必要になります。ここでは一議席を増やして二議席を獲得するためには前回の得票率を一七%程度伸ばして二九%程度の得票率を獲得することが必要になります。
この点で、愛媛の県委員長から、「わが県では安易に『複数議席』をといわないようにしている。安易に『複数議席』というと、『まず一議席は大丈夫だ』ということにすぐなる。だからそれをいわないようにしている。『確実に現有議席を確保して、さらに上積みをめざす』といういい方をしている」という報告がありました。これは、到達点をリアルに踏まえた適切な構えだと思います。
ブロックごとに、かならず前回を上回る議席を獲得していくということは、だいたいどういうことが必要になるのかということについて、ブロックの指導部として適切な対応をする必要があるし、見通しをもって臨む必要があるということを、この点ではのべておきたいと思います。
第三に、「小選挙区での議席の挑戦」という問題です。今度の選挙では”小選挙区の壁”を突き破る積極的な取り組みが、一つの新しい焦点です。この土台は、比例代表選挙で全国的規模、全県的規模で党躍進の大波をつくることにある。この関係をしっかりつかむことがたいへん大事だということを、ここで強調したいと思います。
前回の総選挙の成績でみても、都道府県規模で比例の(相対)得票率が二〇%をこえたのは、京都府の二四%と高知県の二二%の二府県だけです。小選挙区で議席を獲得したのも、この二府県だけというのは偶然ではありません。京都の場合は、府全体の二四%という土台のうえに、三区の寺前さんが三四%余の得票を獲得して当選をかちとりました。高知の場合も県全体の二二%という土台のうえに、一区の山原さんが二八%余の得票をえて当選しました。
やはり、二〇%、三〇%という得票率の水準に、その県全体の規模で到達してはじめて、小選挙区でも勝負になってくる。これは前回の結果をみてもはっきりするわけです。
比例での躍進の大波をおこすことをぬきに、個々の選挙区だけが何倍も突出して勝つということはありえないことで、土台がしっかりしてこそそのうえに高い山も築ける。ここをしっかり銘記して取り組みたいと思います。
一部に「小選挙区で勝つ」ということを中心に情勢をみて、そのことから狭い選挙区で「勝てるかどうか」という議論がはじまる、「むずかしいのではないか」という議論になっていく。それで確信をもてずに力が入らない傾向があって、是正したという報告もありました。これは逆立ちなのです。比例で党支持の大波をつくって、それを土台に小選挙区で勝負する、すそ野が広くあってこそ、山のいただきが高くなるという見地で臨むということが、小選挙区と比例の関係で非常に大事です。こうやってこそはじめて”小選挙区の壁”が破れるし、比例でも本当に躍進がかちとれるという関係を、しっかりつかんで臨みたいと思います。
つぎに、「支部が主役」の選挙戦になっているかという問題です。「大運動」の教訓と成果を発展させて、「支部が主役」で選挙戦にたちむかうということが、五中総の選挙方針の基本です。
この基本にたって取り組んでいる積極的経験も、全国にはたくさんあります。きのうの「しんぶん赤旗」の別刷りで紹介した北海道の小樽地区委員会もそのひとつです。ここでは三月の取り組みで、日刊紙、日曜版とも増紙をかちとっています。その経験を聞いてみますと、七割の居住支部がこの間に支部主催の演説会をやっていました。これまでは、この地区ではいくつかの支部が共同して支部の演説会を取り組んできたのですけれども、今度は文字どおり支部単位に「支部が主役」で取り組もうと、地区委員会が強力な援助をして、これを具体化している。はじめは支部の論議のなかで、ためらいもあったそうですけれども、やってみると人も集まるし、新しい顔ぶれも多いし、そしてなによりも「日本改革論」や政権論にかかわる問題が大いに対話になる。たとえば大型店の進出で苦しむ商店街からもたくさんの意見がでてくるし、農漁業の衰退で苦しむ人からも意見がでてくる。そういう問題が、「日本改革論」とじかに結びついて対話になっていく。そのことが、やってみたら確信になって、活動がいろいろなかたちで多面的に広がっている。これが特徴でした。
やはり「支部が主役」の選挙戦ということが、全党の力をひきだす鉄則中の鉄則なんですね。しかし全体としてみますと、この本筋の活動に中断と弱まりがあるのではないか。せっかく確立しつつあった党機関と党支部との”循環型”の活動が弱まって、いわば”号令型”の取り組みにもどってしまって、少数の活動家の狭い運動になっているところがあるのではないか。カンパニア的に、上から「集中行動」を提起して、からぶりにおわってしまっているところもあります。やはりこの点で、いまのわれわれの活動の現状を、思いきって改善する必要があると思います。
四月の各県の県委員長の報告をみますと、この問題点の改善に目を向けているという報告が少なくないということが、特徴でした。「『支部が主役』が指導の中心にすわっていなかった」「支部が要求実現でどういう取り組みをしているのかよくつかんでいなかった」「一部の活動家だけを視野にいれた取り組みになっていた」などの率直な反省が、多くの県委員長の同志からの反省の声としてだされている。問題点が自覚され、打開の決意がのべられていることはたいへん重要だと受けとめました。
五中総決定にいま一度たちかえり、「大運動」に取り組んだ初心にたって、「支部が主役」の選挙戦の取り組みの思いきった発展をはかりたいと思います。六月選挙を想定しますと、約二カ月間の短期間で集中的に全党の力をあますところなく発揮する取り組みがもとめられますけれども、「支部が主役」に徹してこそ、それは可能になりますし、それこそ近道でもあるということを強調したいと思います。ここで「間にあわない」ということであせった取り組みになって、この本筋の取り組みを弱めたら、全党の自発的エネルギーをひきだすことができないし、先細りの展望が開けない取り組みになってしまう。それでは躍進の保障がない。ここを肝に銘じて、取り組みをはかりたいと思います。
この点では、五中総決定で「大運動」の教訓となお残している問題点を詳細に明らかにしていますけれども、それはそのまま今後の活動の発展の指針とすべきことでもあるということを強調しておきたいと思います。
取り組むべき内容は明りょうです。五中総決定にあるように、全有権者を対象とした大量政治宣伝を大いに展開することと結びつけて、総選挙活動の三つの課題要求実現、支持拡大、党員と機関紙拡大を前進させること、これらの活動への協力をすべての後援会員、読者、支持者によびかけ、ともに力を合わせて躍進への道を切り開くこと。これが取り組むべき内容であります。
また支部が後援会とともに選挙態勢を「五つのかなめ」――(1)有権者比得票目標の大幅な突破という大目標の明確化と「政策と計画」の充実、(2)政治情勢の確信を全体のものにすること、(3)「学びつつたたかう」ことを重視すること、(4)党員の活動を画一的な枠にはめないこと、(5)週一回の会議を必ずおこなうこと、この「五つのかなめ」を重視して選挙態勢をつくることも急務となっています。
基本的方針は、一つひとつ繰り返しませんが、重視すべき問題のいくつかについてふれておきたいと思います。
一つは、政治宣伝の問題です。ここではポスターや全戸配布ビラなどとともに、支部の自主的な取り組みとしてのハンドマイク宣伝を、日本列島のあらゆるつじつじでやることに力を入れたいと思います。
いま一つ、すべての支部で支部主催の演説会を自主的に取り組み、それを成功させて総選挙躍進の取り組みの跳躍台にしていく、このことも重視したいと思います。支部主催の演説会というのは、かりに全国すべての支部が演説会を開けば、平均二十五人規模の演説会としても五十万人が参加することになりますし、五十人規模の演説会だったら百万人が参加することになります。大規模な演説会には参加しにくい人々も、隣の公民館でやられている集会でしたら気楽に参加できる。この取り組みの効果ははかりしれないものがあります。
四月と五月で、文字どおり全支部で、さまざまな形態で支部主催の演説会を必ず開き、草の根から党躍進の大きなうねりがわきおこるようにしたいと思います。さまざまな形態というのは、屋内でやるという形態だけでなくて、支部主催の”街かど演説会”も開かれているようです。形態はいろいろとあります。これは自由闊達(かったつ)に取り組みやすい形態でおこないたい。それから、一回やっただけではなく、二回、三回と繰り返し開くことも、多くの支部ではじまっていることです。そういう取り組みをふくめて、支部主催の演説会を思い切って重視したいと思います。党機関は、支部がこれを取り組みたくなるように、親身な援助をおこなっていただきたいと思います。
二つめは、対話・支持拡大の意識化という問題です。なかなかすすまない現状をどうしても打開する必要があります。県委員会に聞きますと、この活動を”テレデータを用意して、電話センターを用意して、さあはじめようと無差別に電話かけをやる”という活動のイメージになっていて、狭くとらえている傾向も一部にあるようです。もちろん、そういう活動も必要です。しかし、対話というのは人間と人間が、語りあうあらゆる接点でなりたつ活動です。ポスターの張り出しを依頼する活動でも、対話というのは必ずやっているわけだし、演説会のお誘いでも対話をやるわけですし、党勢拡大はまさに党を語る対話そのものです。あらゆる活動のなかで、党と「日本改革論」を語り、支持と共感を広げる活動を意識化し、その結果を意識的につかむ、これがいま弱いわけです。ここを強めていくことが焦点です。
いまかつてない広い人たちが、党と「改革論」に関心をよせ、対話に踏み出せばどこでもおもしろい対話になる。これは全国共通でよせられている報告です。そして、この活動が全有権者規模で展開されてこそ、党への関心や期待を、党にたいする支持と投票行動に結びつけることができるわけで、そういう重大な活動として位置づけて、ただちにこれに取り組む活動を強めたいと思います。
三つめは、選挙のなかでの党勢拡大という問題です。ここで強調したいのは、この両者はほんらい矛盾しない、相乗的にすすめることが可能だということです。現に取り組んでいるところはそうなっているということに注目する必要があります。たとえば、この間のすすんだ経験をみますと、新入党員を迎えることが、支部に新鮮な活気をもたらし、「二倍、三倍」の活動に本気で取り組む契機になっているところが多い。つまり、党員拡大と、「二倍、三倍」の選挙活動が、生きたかたちで結びついている経験がたいへん多いのです。
新しい党員を迎えるということは、その新入党員自身が今の情勢の変化を体現しているわけで、そういう人が党に入ることによって、新しい息吹と活力が党にみなぎるということになるわけです。そこから視野も広がり、よしこれで「二倍、三倍」の活動に取り組もうというきっかけになって、それこそ支部全体が新しい活力をもって動きだす。これが、法則的な特徴です。
支部主催の演説会ということをいいましたが、これを準備する過程で宣伝や対話に取り組みながら、党勢拡大でも成果をあげている経験が各地でつくられています。これも、選挙での広い層に訴える支部主催の演説会という新しい取り組みと党勢拡大が、自然なかたちで結びついて、両立して相乗的にことがすすむということになっている。
やはりここでも党勢拡大について、独自の意識的追求がはかられたかどうかということにかかっていると思います。この前の中央委員会決定でも、政治的影響力の広がりに比べて、組織の実力がおいついていないということが、一番の問題として浮き彫りにされました。そして、その一番の焦点は、党勢が立ち遅れているというところにあるわけですから、これを前むきに突破し、党勢拡大の上げ潮を日々つくりだしながら、選挙での躍進の道を開きたいと思います。
それから四つめに、経営での取り組みの問題です。これは、三月三十一日の東京での決起集会で、不破委員長がのべたように、いまの経営のなかで、職場の要求でともにたたかおうとよびかけても、なかなか立ち上がってくれないけれども、そういう労働者でも党は支持してくれるという状況が広くあります。リストラが横暴なかたちで横行して、経済要求での闘争に組織するにはかなりの困難がともなう。もちろん、困難ななかでの闘争ということは非常に大事なわけですが、その一方で労働者の政治的自覚というのははるかにすすんで、国政改革への関心と要望を強めている。政治的な自覚はうんと先にすすんでいる。職場のなかでは、こういう現状があります。ですからそういう状況のもとでは、「日本の政治を変えて、職場を変え、要求を実現しよう」という見地で、国政論から大きく接近する大胆な取り組みが、大切になっています。
この間、民間大経営で党員拡大を前進させている経験をみますと、そうした見地からの接近、宣伝と対話を、大いに意気たかくおこなっているのが特徴です。そういう角度から経営での取り組みを大いに強化しようではありませんか。
五つめに、青年の問題についても、のべておきたいと思います。若者が楽しく、若々しい力を発揮して、のびのびと輝く選挙にしたいと思います。この点で、若者のなかでいま生まれている新しい芽を大事に育てていくというのが、党機関にとって重要です。
青年支部が全国に組織されつつありますけれども、東京・八王子の青年支部は、支部主催の講演会に取り組みました。「どうなっているの今の国会!?」というテーマで講演会を組織して、これまでの二倍規模の七十三人の青年を集めて成功させた。党員と民青同盟員もこの取り組みを通じてふえました。昨日幹部会で、講師をつとめた緒方さんが、参加して感動したという報告をしていました。幅広く若者に参加を訴えているということとあわせて、参加した青年が違和感なくとけこめるような手づくりの工夫が、ずいぶんされていた。そして「改革論」を訴えると、素直に偏見なくうなずいてくれる。たいへん感動したという講師の側からの報告もありました。そういう取り組みもはじまっているわけで、そういう芽を大事に生かして育てていく必要があります。
青年の選挙ボランティアであり、ゆるやかな党後援会である、「日本共産党といっしょに日本を変えるネットワーク」「かえるネット」とよんでいるそうでありますけれども、これもずいぶん広がっています。これは京都ではじまった運動を、民青同盟の中央委員会が全国に広げようとよびかけて、広がってきた運動なんですけれども、すでに二十四都道府県で「かえるネット」が組織されて、いろいろな楽しい活動をやっている。街頭にでて宣伝をやったり、シール投票に取り組んだり、創意をこらした若者らしい活動に取り組みはじめているということを聞いています。これも大事な発展の芽ですから、大いに育てていきたいと思います。
若者こそが二十一世紀をになう主人公になるわけで、若い人たちが自分たちのたたかいとして、力を発揮できるように、大いに援助をお願いしたいと思います。
「支部が主役」の選挙戦をすすめる上で、五中総の決定を本気で全支部、全党員に徹底することの重要性をあらためて強調したいと思います。
この決定では、情勢発展の特徴と党の役割、「日本改革論」の基本的内容とその意義、総選挙の躍進の目標と構え、政治論戦の基本、「大運動」の成果とそれを踏まえた党活動の発展方向など、選挙戦をたたかう上で重要な内容はすべてこの決定にもられています。この間、すすんだ取り組みをしている支部の経験では、例外なくこの五中総決定をしっかり討論したことが、新しい出発点となっています。
さきほど、支部主催の演説会について紹介しましたが、取り組んでいるところでは、どこでも五中総決定をよく討議しています。ある経営支部の党委員会からの報告では、「指導部で五中総の討議を三回、合計九時間おこなった。五中総決定は経営支部の活動について、『現に困難な活動条件にあっても、たちおくれている現状に安住せず、二〇〇〇年を飛躍の年にしよう』と提起している、これに正面からこたえよう。退職者がでる。労働者の苦難がある。そういうときだからこそ、それを解決する党を職場に確固として確立するのは、現在の党支部指導部の歴史的な責任だ」。五中総を徹底的に議論するなかで、そういう決意を固めあって、この三月だけで七十人以上の職場の仲間に入党の対応をして、成果もあげ、新たな読者もふやしているという取り組みをしていると聞きました。決定を本当に党活動発展の力にしていくという点で、この活動は多くの学ぶべきものがあると思います。
全党員、全支部が五中総決定を身につけて選挙戦をたたかうということに、力をそそぎたいと思います。
つぎに「しんぶん赤旗」のカラー化と購読料改定を機に、攻勢的な機関紙活動に取り組むという問題です。
総選挙とこの取り組みは重なってきます。六月総選挙となれば、「しんぶん赤旗」の紙面のカラー化は五月で、六月に購読料改定ですから、重なることになりますが、この機に正面から「しんぶん赤旗」を普及し、読者との結びつきを強め、そして総選挙で「しんぶん赤旗」を力にしていく、そういう活動に攻勢的に取り組むようにしたいと思います。
「しんぶん赤旗」のカラー化は、商業新聞がみんなカラーになっているから取り組むというだけではなくて、「『赤旗』ならではのカラー化」に取り組み、これを契機に紙面の内容を画期的に飛躍させるということを目的にしたものです。
商業新聞のカラー印刷というのは、読者サービスという面もあるにせよ、はっきりいって、高いカラー広告料をとって収益をあげることに中心的目的がおかれています。関口編集局長がマスコミから取材を受けたさいに、「なぜ『赤旗』は広告を載せないのにカラーにするのですか」ということをいったマスコミがあったそうですが、これが中心目的なんです。ですから、商業新聞のカラーをみましても、カラー印刷の面積に占める広告の割合は七割、八割になっていることも少なくない、これが中心の目的なのです。
「しんぶん赤旗」のカラー化というのは、これが目的ではもちろんありません。「とっつきやすくて親しみやすい紙面」という編集方針を、カラーという視覚に強く訴える新しい手段をえることで、大きく飛躍させることに、主眼をおいたものです。
たとえば本紙四月九日付の一面題字下にこういう写真があるんですね。「名護の浜にサンゴ輝く」という写真です。残念ながら白黒ですので、「サンゴ輝く」さまがいまひとつわからない。雑草がおい茂っている感じで、サンゴという感じがわからないですね。カラーになればどうなるか。カラーになったら、美しいサンゴの浜の写真になるんですね。そういう美しい浜をつぶして米軍基地をつくっていいのか、強い政治的告発力をもつ写真に一変します。これはカラーでなくてはできない訴えになるのです。編集委員会にも「これがカラーだったら」という電話がずいぶんかかってきたそうです。もちろん白黒写真にも、独自のよさがあります。しかし、カラーにしなくては十分に表現できないことがある。表現の力、幅が、画期的に広がるのです。
「しんぶん赤旗」のカラー化というのは、まさにカラーにすることで、白黒ではできない政治的な訴えかける力を、写真の面でも、イラストや図表などの面でも、あらゆる面でもつことになるわけです。ですから、二十一世紀の政権党をめざす党として、「しんぶん赤旗」を数百万の人に読んでもらうような大新聞として成長させようとしたら、いまカラー化に踏み切るという決断がどうしても必要だったわけです。
いま編集委員会を中心に、カラー化が文字どおり魅力倍増となるよう、全力投球で紙面大刷新の準備を重ねています。ぜひ、カラー化によって魅力を一段と増す「しんぶん赤旗」を大いに国民に知らせ、この機会に読者を思いきって増やす取り組みを全党によびかけたいと思います。
五月には日本共産党とカラー化の魅力を広く宣伝することにも役立つような「しんぶん赤旗」のカラーのPR版をつくる予定です。大いに活用をお願いしたいと思います。
同時に、購読料の値上げについて、理解と協力を求める取り組みに力をそそぎたいと思います。この点では、今回の値上げが「しんぶん赤旗」の新しい発展のためには、どうしてもさけて通れないということを率直に訴えたいと思います。
それは、第一に、カラー化という新しい飛躍のための発行経費増に対応するものであるとともに、第二に、これまでの凸版輪転機をオフセット輪転機にかえたために、印刷経費が増大して、それを経費削減でしのいできたけれども、八年間値段をすえおくなかでその努力も限界に達して、このままでは「しんぶん赤旗」の安定的発行が保障できない状況に立ちいたっている状況があります。
古い凸版の輪転機というのは、印刷が不鮮明であるだけでなく、もはやほとんど使われていません。ですから、部品の交換や修理もままならないわけで、ここでオフセット輪転機という最小限の技術革新に踏み切りませんと「しんぶん赤旗」の発行自体ができなくなる。しかし、ここで決断すれば、二十一世紀にむけて「しんぶん赤旗」の大きな発展と飛躍の道が開かれる。そういうもとでの経費増へのやむをえざる対応としての理解を、お願いしたいと思います。
読者のみなさんの中から、不況が続くもとでの生活苦から「値上げはやめてほしい」という声も寄せられています。その事情もまた痛いほど理解できるわけでありますけれども、ここで「しんぶん赤旗」を大きな飛躍と発展の軌道にのせることが、日本の政治を変え、国民のくらしを守るためにもなにより確かな力になるということを正面から訴えて、協力を求めたいと思います。
そのために四月から五月のうちにすべての読者と対話をして、紙面のカラー化を知らせ、購読料の値上げに理解と協力をお願いして、総選挙勝利のために協力を訴える活動に、積極的に取り組みたいと思います。そのための読者のみなさんにむけて、カラー化のもっている意味あいをよくわかっていただくとともに、値上げについての理解と協力をお願いするチラシもいまつくっております。この活動を通じて支部が一人ひとりの読者との結びつきを強め、配達・集金活動を強めるようにしたいと思います。
最後に、党機関の体制など、いくつかの問題についてのべます。
四中総決定にもとづいて、選挙区単位の指導体制の確立がはかられてきました。それぞれの実情に応じて、具体化されてきました。だいたい三通りの具体化がはかられました。
一つは、小選挙区にあわせて地区を再編したところ。もともと小選挙区と地区が一致していたところもふくめて、四十選挙区あります。
二つめは、選挙区の指導部に地区委員会の権限を委譲したところ。これは六十七選挙区あります。
三つめは、支部への基本指導は地区委員会が担い、選挙区への政治戦については選挙区の指導部が担うようにしたところ。これは百九十三選挙区あります。
こういう指導体制の確立をはかってきたわけですけれど、いくつか問題点もあります。
一つは、支部への基本指導の責任がどこにあるかがはっきりしない、中途半端な体制になっているところがみられるということです。たとえば、選挙区指導部に地区委員会の権限を委譲したということになっているんですけれども、支部への基本指導にどこが責任をもつかはっきりしていない。権限を委譲したら、支部への指導責任も当然、委譲されたさきの選挙区指導部がもつことになるわけですけれども、はっきりしていない。中途半端になっているという状況が一部にあります。それから、地区委員会が支部への基本指導の責任を負いながら、必要な選挙区体制をとるという場合でも、結局地区の主な力が選挙区体制の確立にさかれてしまって、事実上支部への基本指導が、おろそかになっているケースがあります。「支部が主役」の選挙戦というのは、勝利にとって鉄則であるわけで、その基本指導にどこが責任をもつかは、絶対にあいまいにされてはならないことです。
二つめに、選挙区体制をつくったことから、小選挙区中心の狭い視野からたたかいをみる傾向が一部に生まれています。四中総決定でのべているように、「小選挙区というのは、ただ小選挙区の選挙の舞台であるだけでなく、比例ブロックの選挙をたたかう地域的な基本単位」でもあります。比例での大波をつくることが、すべてのたたかいの土台だということを、体制づくりとのかかわりでも、自覚的に貫くということが大事だということを、強調しておきたいと思います。
三つめに、都道府県委員会の常任委員会の体制を絶対に崩さないということです。いくつかの県の状況をうかがいますと、選挙区体制をつくった、そこに常任委員会の中の有力メンバーがみんな配置されて、全県的規模でさい配をふるうべき常任委員会の集団指導の体制がほとんど解体状況になるか、うんと弱まる。こういう状況が一部の県にみられます。これでは、選挙戦全体の情勢判断や対策をおこなうことができなくなります。県の常任委員会の集団的な指導の体制は絶対に確保するということを大前提にして、選挙区体制も非常勤の同志の力を、残るだいたい二カ月ぐらいのたたかいですから、その期間結集して、きちんとつくり上げていく、こういう見地で指導体制をつくっていきたいと思います。
候補者と地方議員の役割について、のべておきたいと思います。前回の全国会議では、候補者のみなさんも参加して、候補者の活動についての報告もおこなったわけですけれども、三百数十人の比例と小選挙区の候補者が、選挙戦の全体を引っ張る戦闘的構えをもって取り組むことは、たたかいの全体に大きな影響をあたえることになります。
三月の全国会議では、候補者を支える体制をしっかりつくることを強調し、そのために中央としても、一定の財政的な援助の措置もとりました。この体制づくりというのはもちろん大事なのですけども、もう一面では、体制がどうあれ、候補者自らが選挙戦を引っ張る気概が必要です。他の党などをみますと、たった一人でも、ハンドマイクを握って、若い候補者が駅や街頭に朝早くから立っている。わが党でも、そういう気概を燃やして、頑張っている候補者がたくさんいますが、そういう気概が大事なわけです。たとえ一人でも、ハンドマイクをもって取り組むぐらいの気概で、候補者が選挙全体を引っ張る。この気概で負けるわけにはいきません。もちろん機関の側はしっかり支える体制づくりに全力をあげるわけですが、候補者の側のそういう構えも非常に大事だということも、強調したいし、そういう角度でぜひ候補者を励ましながら体制づくりにも取り組んでいただきたいと思います。
それから地方議員のみなさんの積極的取り組みがたいへん大事です。わが党は四千四百人をこえる、他党にない素晴らしい到達をこの分野でもっています。この間、その力を私たちは、いろいろと痛感するのですけれども、たとえば三月末におこなった介護保険の実態調査などでも、わが党の場合、たった三日間のあいだで、全国の自治体の五六%をおおう緊急調査がたちどころにできるわけですね。千八百をこえる自治体がおおえるわけです。その後、私たちが調査結果をもっていきますと、厚生大臣が「こんな状況になっているのですか」と初めて知って、あわてて後追い調査をやるわけですが、厚生省のやった後追い調査というのは五十自治体しかやらないんですね。うちは千八百やって、厚生省が五十ですから、どっちが政権を握っているかわからないわけですけども、そのぐらいの力をもっているわけです。
地方議員のみなさんがいま、介護保険の問題でも、改善のためにいかに熱心に取り組んでるかということを、私たちも調査してみましたら、ビンビンはねかえってくる状況があります。そういう財産があるわけですから、地方議員の同志が、今度の総選挙を、自分の選挙と同じ気持ち、同じ構えで、みんなが参加するという決起がはかられるように、指導と援助をぜひお願いしたいと思います。
それから中間地方選挙についてです。一つひとつの選挙は、その自治体の前途にとっての重要性はもとより、その時々の党の勢いを示すバロメーターにもなります。これはかならず躍進、勝利をかちとりながら、総選挙の躍進に道を開くことが大事であります。
そのさい、選挙における政治論戦の問題ですけれども、その市町村での、地方政治の問題とともに、党そのものの役割、「日本改革論」そのもの、これを大きく語ることが、地方選挙でも大事です。その取り組みを具体化するということを、意識的におこなうということも、重視していただきたいと思います。
あと二カ月のたたかいが、二十一世紀の日本の前途と民主的政権の展望を大きく左右することになります。
この歴史的政治戦に、全支部、全党員が悔いなく立ち上がって、悔いない奮闘をすることを心から呼びかけるとともに、ここに参加された同志が、先頭に立って指導性を発揮されることをお願いいたしまして、報告とします。
全体として発言は、報告にかみあった意気高いものだったと思います。
報告では、政治情勢への認識の一致という問題、総選挙躍進の構えをつくるという問題、「支部が主役」の選挙戦に取り組むという問題、この三つのポイントで、いま立っている足元をみて、たたかいを急速につよめようということを提起したわけですが、どの発言もそのポイントをしっかりとおさえての発言でした。
この会議をどう今後生かしていくかということについて、二点ほどのべておきたいと思います。
一つは、仕切りなおしにしないということです。方針の基本は、すでに五中総決定で明らかにされています。それを反共反撃という点で補強する大事な会議も三月にやりました。今度の会議も現時点での総選挙にむけた取り組みを加速させるために、補足的に取り組みの方向をしめした会議ですから、五中総決定の補足として生かしていただきたいということです。
この会議をうけてまた一から仕切りなおしする必要はありません。五中総決定でみなさんが取り組んでいることを、加速させる指針として、機関のみなさんが生かしていただくということが大事です。
みなさんの発言を聞いていても報告にかみあった方向で、すでにどんどん活動をやっているわけですから、それをどう補強し、どう加速させるかという見地でこの会議を生かしていただけたらいいと思います。
それから、二つめの点は、党機関としてよくこなして生かしてほしいということです。今日の会議の報告というのは、県委員長会議という性格をふまえて、党機関のみなさんにたいして、こういう点を留意してやろうじゃないかという報告であります。ですからそのまま支部に同じようなかたちで、内容を流すというやり方をしても、かならずしもそれが力になるわけではありません。もちろん情勢の見方とか、そのまま支部に伝えてそのまま力になる部分は、大いに伝えていただきたいのですが、選挙戦の到達点や打開の方向などの活動の要(かなめ)の部分は、今日提起された内容をぜひ常任委員会でもよく議論をして、よく自分のものとしてこなして、生かしていく。指導に生かしていくべき中身の提起ですから、そういうふうに使っていただきたい。
仕切りなおしにしないということ、それから党機関としてよくこなして生かしていただきたいというこの二点を、会議の生かし方として強調しておきたいと思います。
いよいよ総選挙です。おそらく総選挙までこうやって四十七都道府県の責任者のみなさんが一堂に会するのはこれが最後の機会になるのではないかと思います。ほんとうにこの会議の成果が実るような奮闘をやりたいと思います。
五中総を思い出してみますと、今度の総選挙というのは、「未踏の領域に踏み込む挑戦」なんだということを確認しました。つまり、四年前の総選挙で大躍進した、その土台の上にさらに躍進をかちとるという点で、まさに踏み込んだことがない新しい領域に足を踏み入れる、そういうたたかいなんだということを確認したわけですけれども、たたかいの中身を考えてみても、これまでにやったことのない新しいたたかいになるわけです。
今日もこもごも議論されましたけれども、「日本改革論」という、わが党の路線を今の情勢にそくして具体化した内容を、全有権者規模で語るというのは、しかもそれをまさに訴えの中心にすえて語り抜くという選挙は、これはおそらくわが党が経験したいままでの選挙のなかでも、新しい経験になるたたかいだと思います。
それから、選挙のなかで政権論が問題になるということを、話したわけですけれども、日本共産党の政権参加という問題が、現実に関心をもたれて、話題になって、訴える内容の重要なポイントになっていくという選挙も、新しい経験だと思います。七〇年代にも政権論が問題になったわけですけれども、あのときにはまだ、自民党がかなり力をもっていて、自民党が過半数を割るという状況になかなかならないわけですね。そういう力が、七〇年代には相手側にもありました。ところが今度は、自民党が公明党、保守党とあわせても、過半数を割るということがかなりリアルな現実性をおびるなかで、日本共産党が参画する政権という問題があつい問題になっている。そして選挙戦でその問題でもわが党の値うちが光る。これもずいぶん新しい選挙の取り組みになると思います。
反共攻撃という点でも、七〇年代との違いとして、下り坂の衰退勢力の攻撃なんだということを、われわれ今度の反共反撃のさいにしっかりつかむ。そういう点では、軽視しないけれども、恐れる必要はない、かならず打ち破れるんだということを申しました。これも、そういうまさに下り坂にある勢力が悪あがきをしてくるのにたいして、とどめをさすようなつもりで、この反共反撃に意気高く取り組んでいくというのも、これもなかなかおもしろい、やりがいのある、痛快に取り組めるたたかいになると思います。
ですからたたかいの中身をみても、今度の選挙というのは、胸躍る新しいたたかいを存分に繰り広げることができるような、そういうたたかいだと思います。
ぜひ、県委員長のみなさんが、今度のたたかいで、のびのびと指導力量を生かして、そしてぜひ、今度集まるときには、大躍進の報告がみんな出来るように力をつくしたいと思います。以上をもってまとめといたします。ともにがんばりましょう。
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