日本共産党全国都道府県委員長会議

志位和夫書記局長のまとめ

1999年2月25日「しんぶん赤旗」

日本共産党の全国都道府県委員長会議(二月二十三日、党本部)で、志位和夫書記局長がおこなった討論のまとめはつぎのとおりです。


 みなさんご苦労さまでした。二十名の同志が発言をしましたが、全体として、いっせい地方選挙にむけた全国のとりくみの熱気がビンビンと伝わってくる、積極的な討論であったと思います。若干の点にしぼって最後にのべておきたいと思います。

自民党の基盤の崩壊現象――要求での共同をひろげながら、おおいに党を語って

 一つは、いまの情勢をどうとらえ、どう活動をするかという問題についてです。

 この問題について、多くの同志から、自民党の従来の基盤の崩壊現象がすすんでいるということが、たいへんリアルに報告されました。みなさんの発言をつうじて経済団体、医師会、あるいは教育関係の団体など、従来の保守の基盤といわれていたところで、音をたてて政治的な地殻変動がおきつつあるということが、あきらかになりました。

 これは、これまで自民党政治に自分の営業なり暮らしを託していた人びとが、もうこの政治ではやっていけない、この政治といっしょでは自分の暮らしは成り立たない、たちゆかないというところまできて、新しい政治を模索しているということですから、そういうまさに従来の保守をふくめた無党派の人々と日本共産党との共同の条件が劇的にひろがっていることをしめしていると思います。

 その共同をどうすすめるかということを考えた場合、やはり私は、そのいちばんの原点になるのは、要求での共同だと思います。みなさんからの報告でこもごもだされましたが、学校ボロボロ問題の解決に足を踏みだしたところでは、ものすごい反響が返ってきて、どんどん改善の成果もあげられてきているという、たいへんうれしい報告もありました。それから、福祉の問題をめぐっても、東京から発言がありましたが、保育所や特別養護老人ホームなどの社会福祉施設への補助金カットの嵐(あらし)が吹き荒れて、怒りが吹き上がって、そういう問題にとりくんでいる諸団体との協力がひろがっているという報告もありました。産業問題でも大阪から発言があったように、いまの産業問題での逆立ち政治が、不況のもとで中小企業や商店街に襲いかかっているもとで、さまざまなシンポジウムにとりくみ、これまでにない広い層との協力がいますすみつつあるという報告もありました。

 どの分野でも、切実な要求をいっしょになって実現するというとりくみを、党機関も党支部も真剣になってとりくみ、この不況のもとで苦しんでいる国民の苦難を軽減するという私たちの立党の精神にたって、要求での共同をおおいにひろげながら、そのなかで党を語り、党の支持をひろげていくというとりくみをつらぬいて、勝利に道をひらきたいと思います。

いっせい地方選挙の位置づけ――停滞、後退を突破する歴史的成果を

 私はここで、こんどのいっせい地方選の位置づけについて、若干の歴史的視野でみてみたいと思います。

 私たちは地方議員の総数では前進をつづけてきて、そしていま四千百二十八名という史上最高の峰をきずいてきているわけです。ただ、そのなかでも、いっせい地方選でたたかわれる道府県議選の成績をみてみますと、この二十年間というのは、率直にいって一進一退、停滞と後退が現状なのです。七九年が百二十五議席。これが過去最高でした。八三年が八十八議席。八七年が百二十一議席。九一年が九十八議席。九五年が九十八議席。これがこの五回のいっせい地方選挙の道府県議選の成績です。

 とくにこの二回の選挙、九一年の選挙と九五年の選挙は、後退している状況が二回つづいています。ふり返ってみますと、八年前の九一年のいっせい地方選挙というのは、逆風のまっただ中の選挙でした。九一年というのは、その年の八月にソ連共産党が解散し、その年の暮れにソ連という国がなくなるという、ソ連崩壊という事態が目の前でどんどんすすみ、それを使った反共攻撃が荒れ狂っていた年でした。そうした逆風に必死になってたちむかって、陣地を確保するというのが、八年前のたたかいでした。それでもこのように議席をかなり減らして、ずいぶん悔しい思いをしたのが八年前のたたかいでした。

 四年前はどうかといいますと、その八年前と比べて現状維持だったわけです。おなじ九十八の議席でありました。四年前というのは、国内の情勢では、だいぶ新しい政治の流れができつつあるときでした。四年前のいっせい地方選挙というのは、いわゆる無党派といわれる勢力が、実際の政治の現実の中でも力を発揮した、そういう選挙でした。東京と大阪の二つの知事選では、無党派をかかげた候補が自民党候補を打ち破って、勝利するという状況もおこりました。もちろん、その後の東京、大阪で、当選した両知事がその期待に反する行動をとっていったというのはご承知のとおりですけれども、はじめて無党派の力というのが政治の表舞台にでてきて、これが自民党政治の流れを前むきに切り替えるという方向性をもった潮流だということがあきらかになったのが、四年前の選挙でした。ただ、この四年前の選挙のときには、無党派層という潮流が力を発揮したわけですけれども、日本共産党との共同というところには、まだ実をむすびませんでした。私たちは陣地は維持したけれども、盛り返すまでにはいたらなかったというのが四年前でした。

 しかし、その後、九五年の夏におこなわれた参議院選挙で私たちは前進を記録して、はじめて無党派層との共同という流れが一歩実りはじめました。それが九六年の総選挙で大きく実ります。そして九七年の都議選、九八年の参議院選挙と一連の選挙で、無党派層と日本共産党との共同で日本の政治を変えるという流れが、とうとうとひろがりつつある。これがこの四年間だと思います。

 ですから、そういう流れ全体にてらすならば、ほんとうにそういう流れをこんどは道府県議選、政令市、それから市区町村議選、首長選すべてで実らせる。政治を変えたいという願いをもつ広範な人びととの共同を大きく実らせて、そういう人たちに日本共産党を支持していただくという流れをうんとひろげて、この二十年来の一進一退、停滞と後退という状況を、まさに抜本的に前むきに打開する選挙として、かならず勝利をかちとりたい。このように思います。

すすんだ点を確信にしつつ、弱点にも目をむけ、機関のイニシアチブで打開を

 最後にあと一点ですが、報告でもすぐれた経験の交流とともに、いまの時点でとりくみの自己分析をおおいにやろうではないかということを呼びかけました。告示まであと一カ月という時点にたって、すすんだ点についてはおおいにみんなで教訓にしながら、遅れた点、弱点にも目をつぶらない、党機関としてそういう問題についてはどう打開していくかという点で、機敏に機関としてのイニシアチブを発揮する。これがいま非常に大事だと思います。

 選挙戦というのはたいへん複雑なたたかいです。総合力が試されるたたかいです。しかもこんどのいっせい地方選挙というのは、たくさんの選挙の単位があるわけです。ある選挙区の情勢と別の選挙区の情勢は、同じ県内でもずいぶんちがうと思います。ですからその全体を視野に入れて、いい面をよく評価し、激励して全体のものにすると同時に、立ち遅れに目をつぶらないで、これを打開するイニシアチブを発揮することが、いま大切であります。

 史上最高の規模で演説会を成功させた県でも、別の選挙区での演説会は、どうもうまくいっていないという経験もあるでしょう。同じ県内にも「明」と「暗」があると思うのですね。そういう事態があったときに、県委員会がイニシアチブを発揮して、この「明」をおおいに伸ばすとともに、「暗」の部分はただちに「明」に転ずる努力をする必要があると思います。

 私は報告でも、受動主義、消極主義が打開されたかどうかは、実践ではかられるということを申しました。とくに、演説会の問題、ポスターの問題、対話・支持拡大の問題、こういう点でぜひ自己分析、自己検討を、いまの段階でやろうじゃないかということを問題提起いたしましたが、ぜひこれは、それぞれの県にもどってから、機関でおおいにそういう角度からの冷静で科学的な吟味と対策を、いまの段階ですすめてほしいと思います。

 そのさい報告で共倒れを絶対にしないという問題を強調いたしました。もう一つ、討論をきいてあえていっておきたい点は、現有議席を失うことは絶対にしないということです。現有議席をかならず確保して、新しい領域に挑戦するというのがこんどの選挙です。現有議席を絶対に落とさないということは、これは選挙の鉄則中の鉄則です。ここはあたりまえのことですが強調しておきたいと思います。

 その点で調べてみましたら、前回のいっせい地方選挙後の四年間の中間選挙で、全体ではわが党はぐんと議席を伸ばしているわけですけれども、そのなかでも現職議員での落選数は、百七人いるのです。いま私たちの地方議員の総数は、四千百二十八名でありますが、かりにこの百七の現職落選がなければ、四千二百三十五名になっていたわけです。この四年間というのは、党が新しい上げ潮に転じた四年間ですけれども、その四年間でもそういう現職落選の失敗があるということは、これも目をそむけないでみる必要のある問題点だと思います。

 党が前進しつつある時期に、逆に議席を失うというのは、これは党として、住民にたいしても、国民にたいしても、申しひらきのたたないことですので、この点も最後に、もう一つ強調しておきたい点です。

 そういうこともふくめて、現状について地に足をつけた情勢判断をしっかりやって、あと告示までの残る一カ月、そして本番のたたかいを全力でたたかいぬいて、すばらしい躍進をかちとることを、最後に呼びかけまして、まとめといたします。ご苦労さまでした。ともにがんばりましょう。(拍手


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