日本共産党

2002年12月7日(木)「しんぶん赤旗」

5中総決定の用語説明(上)


 一国覇権主義

 自国を国際社会の上において、権益を追求するために、国連憲章や国際法を無視し、世界に比類のない軍事力、経済力を用いて、他国の主権を侵害したり支配しようとする行動や考え方のこと。現在のアメリカはその典型です。ブッシュ大統領が九月に発表した「国家安全保障戦略」などは、米国の目標は全世界を指導することであり、米国に挑戦するどのような国家の出現も許さないとし、敵対的な国や相手にたいする先制攻撃や核兵器の一方的使用、政権転覆や領土占領を公然と宣言しています。

 国連安保理決議一四四一

 イラクにたいして大量破壊兵器の廃棄とそれを確実にするための査察受け入れを義務付け、査察のやり方や条件、期限を定めている国連安全保障理事会の決議。十一月八日に全会一致で採択されました。イラクに決議にたいする義務違反があった場合には、安保理に報告し、安保理が次の措置を決めることを明記しており、自動的な武力行使を排除しています。この決議にもとづいて、十一月二十七日、四年間にわたって中断していた査察が再開されました。

 仏、露、中の「共同声明」

 国連安保理常任理事国のフランス、ロシア、中国は、決議一四四一について、「武力行使におけるすべての自動性を排除している」、イラクが同決議を履行しなかった場合でも「安保理において次にとられる措置が決定される」という解釈を、「共同声明」として発表しました。このような「共同声明」は異例のことで、アメリカによる一方的なイラク攻撃の排除が国際社会の共通の認識であることを示すものとして大きな意義があります。

 国連憲章

 世界のほとんどすべての国が加盟国となっている国際連合の基本を定めた条約。二つの世界大戦の惨禍をふまえて、加盟国の主権平等、紛争の平和的解決、武力の行使や武力による威嚇の禁止など、国際社会の基本原則を明確にしています。他国の内政に干渉しない、国際的な武力行使は国連安保理の決定による、各国の武力行使は侵略された場合の自衛反撃のみ認められるなど、国連憲章に定められたルールは、平和の国際秩序の基礎をなしています。

 非同盟諸国

 大国主導の軍事同盟に加わらず、世界平和と民族自決権の確立、公正な世界秩序の樹立などをめざす国家レベルの集団的運動。一九六一年九月、第一回首脳会議(ユーゴスラビアのベオグラード)に二十五カ国首脳が参加して発足しました。加盟国は現在百十五カ国となり、重要なイニシアチブを発揮しています。九八年九月の第十二回首脳会議(南アフリカ共和国のダーバン)は、核兵器廃絶、国連改革などとともに、グローバリゼーション(経済の地球規模化)は、途上国の人民にも利益をもたらすべきだと強調しました。

 アラブ連盟

 アラブ諸国の独立と主権尊重という基本原則のもとで、経済、政治、文化での加盟国間の政策調整などを目的とし、一九四五年三月に設立された地域機構。発足当初は、エジプト、シリア、レバノン、イラク、ヨルダン、サウジアラビア、イエメンの七カ国。現在は、これ以外のアラブ諸国十四カ国とパレスチナ解放機構(PLO)が加わり、二十一カ国一機構で構成されています。ことし三月の首脳会議では、独自の中東和平提案や、米国の対イラク武力攻撃を拒否するとの文書も採択しています。

 七〇、八〇年代の北朝鮮の異常な行動

 北朝鮮が、七〇年代から八〇年代にかけて世界でおこなった、金日成への個人崇拝のおしつけ、ラングーン(現ミャンマーのヤンゴン)を訪問した韓国大統領を狙った爆弾テロ事件(八三年十月)、石川県のイカ釣り漁船「第36八千代丸」への銃撃とだ捕(八四年七月)、大韓航空機の爆破事件(八七年十一月)など、国家犯罪をふくむ異常な行動のこと。日本共産党はいずれも事実にもとづき厳しく批判しました。北朝鮮は拉致問題で事実を認め謝罪しましたが、これは一連の異常行動の中では初めてです。

 「日朝平壌宣言」

 小泉首相と北朝鮮の金正日国防委員長が、九月十七日の両国初の首脳会談後に署名した共同宣言。「日朝間の不幸な過去を清算」して関係を樹立することが両国の利益に合い、北東アジアの平和と安定に寄与するとうたい、関係正常化にいたる過程でも諸問題解決に誠意をもってとりくむと明記しました。北朝鮮は、日本国民の生命と安全にかかわる問題の再発防止を確認し、日本は、植民地支配に反省とおわびを表明しました。両国は、朝鮮半島の核問題の包括的解決のため国際的な諸合意の順守を確認しました。

 旧ソ連、中国の覇権主義

 スターリン以後の旧ソ連、毛沢東が指導した時期の中国は、自らの路線への支持を外国に強要する覇権主義の行動をとりました。日本共産党にたいしても一九五〇年代に武装闘争のおしつけをはかりました。日本共産党が自主独立の立場を確立したのちの六〇年代も、両者は覇権主義的な干渉をおこないました。日本共産党はこれに屈することなくたたかい、七九年にソ連共産党が、九八年に中国共産党が干渉の誤りを認め、関係を正常化しました。日本共産党はこれらのたたかいをつうじて、自主独立の立場を鍛え、いっそう確かなものにしてきました。


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