日本共産党

2001年10月22日(月)「しんぶん赤旗」

第三回中央委員会総会

志位委員長の結語


 十九、二十日に開かれた日本共産党第三回中央委員会総会で志位和夫委員長がおこなった結語はつぎのとおりです。

試練をのりこえて、新しい前進をどう切り開くか――重要な意義をもつ総会

 二日間の会議、ご苦労さまでした。討論の結語をおこないます。

 四十四人の同志が発言しましたが、討論は真剣でたいへん充実したものであったと思います。CS衛星通信をみた全国の同志から、八百五十二通の感想文がよせられました。そのすべてを読みましたが、「気持ちにぴったりだ」「なにをすべきかすっきりした」「壮大な展望がつかめた」など、全体として、幹部会の提起が、どの問題でも新鮮に積極的にうけとめられているのが特徴でした。

 この中央委員会総会は、きわめて大きな任務をもった総会でした。すなわち参議院選挙での後退という試練をのりこえて、党の新しい前進をどう切り開くかという、きわめて重要な意義をもつ会議でした。そうした会議でしたが、中央と全国と心が通じあい、大きな成果をおさめたといえると思います。

全国の同志の「歓迎」の声――「大運動」を成功させる主体的条件はおおいにある

 とりわけ討論でも、全国の同志からの感想でも、「党員・読者拡大の大運動」の提案について、「待ってました」、あるいは「大歓迎だ」と、これが全体として喜びをもってうけとめられていることは、たいへんうれしいことであります。討論を聞き、感想文を読んで、党を強く大きくする課題が、こんなに全党の共通の切実な願いとなり、要求となっているときはない、とあらためて痛感しました。

 党勢拡大というのは、党の活動のなかでも、なかなか力のいる仕事です。しかし、全国の同志のこういう感想に接しても、「大運動」を成功させる主体的条件はおおいにある。ここに深い確信をもって、とりくみを開始する必要があるのではないでしょうか。

 この運動の成否は、私たち中央委員会が、中央役員の一人一人が、それぞれの持ち場で、どれだけ積極的、創造的なイニシアチブを発揮するかにかかっていることを、お互いに肝に銘じてとりくみたいと思います。

21世紀の民主的政権をになう党づくりの第一歩として位置づけて

 幹部会報告では、「いま党建設に思い切って力を入れるべき歴史的時期」であることを強調しました。議長の発言では、戦後直後の党建設の経験、党の統一と団結の回復と綱領確定をうけての党建設の経験という、二つの時期のとりくみをあげて、いまそういう気構えで二十一世紀をたたかう党の根幹をつくることがもとめられている、ということがのべられました。

 過去のこの二つの時期の党建設というのは、文字通り“党の再建”にとりくんだものでした。いまとりくもうとしている党建設の運動は、正確な路線のもとに、全党が営々と築いてきた到達点にたった運動です。同時に、この間の反動攻勢や国際的逆風のもとでの傷跡も、党建設には残されています。「しんぶん赤旗」読者の大きな後退という現状、党員拡大も前進に転じたとはいえ、本格的に後退をとりもどすまでにはいたっていないという現状があります。

 そのもとでいま、私たちは、党建設の大きな目標に、党大会決定で確認した「政権をにないうる党」をつくる、「国民の多数派を結集しうる党」をつくるという目標を、しっかりすえる必要があります。二十一世紀の早い時期に民主連合政府を樹立するという、大会決定で確認した歴史的任務をやりとげることをめざして、それにふさわしい党づくりという壮大な展望をもった党勢拡大の運動を、すすめることがもとめられています。

 これからとりくもうとしている「大運動」は、その第一歩の運動です。党勢拡大の運動というのは、民主的政権の樹立という目標に向けて、いっかんしてとりくむべき課題であって、「大運動」は、党勢拡大の運動を、たしかな前進と躍進の軌道にのせるというところにその目的、眼目があります。

 四月末までという期限を決めて提案していますけれども、もちろん党勢拡大の運動はそこで終わりというものではありません。「大運動」は、党の総合的活動をすすめながら、そのなかで党勢拡大を重点的課題として位置づけ、思い切って力を集中する、そして、党勢拡大を遅れた分野から脱却させるレールにのせる、上げ潮のレールにしっかりとのせる。ここに「大運動」の目的、眼目があります。そういう運動としてしっかり位置づけ、とりくみたいと思います。

討論のなかでのいくつかの質問、要望にこたえて

 討論のなかで、「『大運動』を七月までにしてはどうか」という意見がありましたが、いまのべたような位置づけでとりくむ運動ですから、やはり四月末までの半年ぐらいの期限を決めてとりくむことが適切だと思います。党勢拡大そのものは、そこで終わりだという運動ではけっしてありません。「大運動」は、さきほど言ったように期限を決め、その期間では、党勢拡大に力を集中して、前進の軌道にのせようという運動ですから、半年ぐらいの期限が適切だというのが、私たちの判断であります。

 討論のなかで、「『大運動』をすすめるうえで、中央としても、全国的な目標、節目標などを持ったらどうか」という意見もありました。しかし、党建設の到達点というのは、都道府県、地区、支部、それぞれによってずいぶん異なります。たとえば、「しんぶん赤旗」読者の大会現勢突破といいましても、あとわずかで突破できる県もあります。かなり距離のある県もあります。ですから、全国一律に目標をたてるのは、かえって実態にそぐわないものになるのではないでしょうか。それぞれがそれぞれの到達点にたって、自主的に目標を決め、自由かっ達に知恵と力を働かせて、意欲的に挑戦してこそ、この運動は成功する。そういうやり方が今回の「大運動」では実態にあっていると考えます。

 もちろん中央としてやるべきこと、やれることは、何でもやる決意であります。討論のなかで、「全国の地区委員長の交流集会をぜひ開いてほしい」という要望がありました。この要望には積極的にこたえて、適切な時期に全国の同志が一堂に会する会議ももちたいと思います。

 中央として、「大運動」の成功のために必要なことは、ありとあらゆることをやりぬくつもりであります。きょうの常任幹部会では、市田書記局長を責任者とする推進本部を設置して、中央委員会としての「大運動」の日常的な推進体制をとることも確認しました。もちろん、幹部会、常任幹部会あげてのとりくみをはかることは、いうまでもないことであります。

 同志のみなさん。二十一世紀に民主的政権をになう党づくりという歴史的事業の第一歩として、全党の知恵と力を結集して、この「大運動」を必ず成功させようではありませんか。

“たたかいの組織者”に――熱い決意の声が全国からひたひたとよせられた

 「大運動」を成功させる客観的条件はどうでしょうか。ここでも、とりくみいかんでは、この運動を成功させる条件は、おおいにあると思います。

 幹部会報告では、国際テロ問題、リストラ問題、社会保障問題など、どの分野でも、党が“たたかいの組織者”になることをよびかけました。この提起も、たいへん積極的に歓迎されました。

 党自身が、たたかいの主体になる、組織者になる、ここが肝心かなめのところであります。全国からの感想でも、この点がたいへん新鮮にうけとめられ、歓迎されています。たとえばこういう率直な声もよせられました。

 「これまで運動は大衆団体まかせで、党は政策的提言をしていればよいという消極的考えがあったが、これではだめだと感じた」

 「組合がだめだからなどと、何か人ごとのように考えていたが、党が組織者となって大闘争を組織しなければならない」

 こういう率直な自己分析もまじえた声が、たくさんたくさんよせられました。党みずからが、“たたかいの組織者”になろう、たたかいの旗印をたて、広範な共同を組織してゆこう、そういう先進的役割を発揮しようではないかという提起にたいして、熱い決意の声が全国からひたひたとよせられました。

たたかいの課題――当面の焦点であるとともに、21世紀を展望した長期の課題

 ここで強調しておきたいのは、幹部会報告で提起したどのたたかいの課題も、当面の熱い焦点であるとともに、二十一世紀を展望して長期にわたってとりくむべき課題でもあるということです。

 たとえば国際テロ問題ですが、テロを根絶するということ自体が、二十一世紀に人類が平和のうちに生存していく根本条件の一つであるということは、報告でものべたとおりですが、同時にこの問題は、二十一世紀にどういう世界をつくるかが問われている問題でもあります。すなわち、大会決定でものべたように、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序」をつくるのか、それとも軍事の力が幅をきかす世界となるのか、これが問われるたたかいともつながってきます。二十一世紀の世界のありよう、国際秩序のありようとも、かかわってくる大きな問題であります。

 横暴なリストラに反対して雇用を守るたたかいも、息の長いたたかいであります。議長が発言でのべたように、これは日本社会の弱点――不正や不合理にたいする社会の側からの反撃が弱いという弱点を克服する大きなたたかいでもあります。

 ヨーロッパ諸国で、雇用を守るルールがつくられる経過をみても、長いたたかいがあります。国会調査室のある調査員が最近の講演のなかで、EUでどのようにして雇用を守るルールがつくられていったのかについての講演をしています。EUでは、雇用を守るルールを、この二十数年来のたたかいによってつくってきた。ヨーロッパでは、横暴なリストラを大企業・多国籍企業がやるごとに、それに反対する大闘争がおこり、解雇規制など、リストラを規制して雇用を守るルールがつくられていったことを明らかにしています。この講演では、「リストラのたびごとにEUの労働法が強化されてきた」とのべていますが、ヨーロッパでも息の長いたたかいでルールをつくってきたのです。

 日本でも、そういうたたかいをやる必要がある。リストラの横暴に正面からたちむかい、国民的な反撃によって打ち破り、職場でも国政でも、雇用を守るルールをつくりあげる、まさに息の長いたたかいにとりくむ必要があるわけです。

“たたかいの組織者”としての値打ちを輝かせながら、「大運動」にとりくもう

 そして、国際テロ問題でも、リストラ問題でも、社会保障問題でも、どの問題でも、わが党は、平和と社会進歩と、国民の利益にたった、たしかな展望をしめしています。今日の内外情勢の危機と激動のなかで、党の役割が国民的にこんなに重要で、わかりやすいときはないと思います。

 発言のなかにもありましたけれども、もし党がなかったら、もし「しんぶん赤旗」がなかったらどうなるか。そうなれば、国際テロと報復戦争の問題でも、理性の声をあげるところがなくなっていく。横暴なリストラにたいして、たたかいのよりどころがなくなっていく。こういうことになります。

 国際テロ問題でも、リストラ問題でも、社会保障の問題でも、党の値打ちにたいする誇りと確信が、CS衛星通信を視聴した全国の同志からもたくさんよせられました。発言のなかでも、国際テロ問題での連名の「書簡」、あるいはリストラ問題での中央委員会の「よびかけ」をもっての対話と討論が、全国あちこちでとりくまれ、これらが広い層の心をとらえる値打ちを持っていることが、こもごも報告されました。国際テロ問題で、「書簡」をつかっての対話では、宗教関係者のなかで新しい広がりがつくられていることが、いくつかの県から報告されたことも、たいへん重要な動きだと思います。

 “たたかいの組織者”としての党の値打ちと魅力をおおいに輝かせながら、「大運動」の成功をかちとるようにしたいと思います。

 関連して、「赤旗まつり」の重要性について、ひとことのべておきます。これは関口実行委員長からも結語で必ずのべてほしいという発言がありましたが(笑い)、「赤旗まつり」を、党の活力、党の元気を内外にしめす場としても、「大運動」を飛躍させる跳躍台としても、重視してとりくみ、楽しく、盛大なまつりとなるように、その成功をかちとるために、ぜひご協力をお願いしたいと思います。

党勢拡大の上げ潮のなかで、つぎの総選挙で必ず勝利者となろう

 最後に、「大運動」を、つぎの総選挙と地方選挙での党の前進とのかかわりで、切実な課題として、位置づけることを、あらためて強調しておきたいと思います。

 幹部会報告では、参議院選挙の総括と教訓についても、つっこんでのべました。この報告は中央として、党内外からよせられたさまざまな意見をくみつくして、検討をかさねておこなったものであります。

 参議院選挙の総括にあたっては、確信にすべきことは、全党の確信にする。たとえば小泉政権のニセ「改革」に対決して、私たちの民主的改革の展望を語りぬいた政策論戦の基本にたいしては、今後に必ず生きるという不動の確信を全党のものにする。

 同時に、弱点については率直、大胆に明らかにする。そのさい、全党を信頼して、弱点の自己分析の先頭に、中央がたつという見地で、参議院選挙の総括をおこない、教訓をひきだしました。

 討論でも、選挙戦の総括について、「率直でいい」という発言がだされました。CS衛星通信をみた全国の同志の感想でも、全体として共感をもって今回の幹部会報告での総括をうけとめてくれている声が、多数であります。たいへんうれしい反応であります。

 ただ、参議院選挙の総括といった場合に、その教訓の中心のなかでも中心は、党建設の遅れにありました。討論のなかでもいわれましたが、“「赤旗」が減っても選挙に勝てるというのは成り立たない”――これはみんなが肌身にしみて感じているところであります。

 ですからつぎの選挙では、この弱点を必ず克服する。党勢拡大の上げ潮のなかで、つぎの総選挙と地方選挙で、前進に転じよう、必ず勝利者となろう、このことを合言葉にして、この「大運動」にとりくみたいと思います。

 討論のなかで、「大運動」のなかでの中間地方選挙の位置づけについての発言がありました。「大運動」のなかでも、中間地方選挙がおこなわれるところでは、この政治戦で前進、勝利することが、最優先の課題になることは、いうまでもありません。同時に選挙の時期はさまざまだと思いますが、たとえば来年の一月に選挙があるところでは、選挙まで一定の期間があるわけですから、選挙勝利のための独自の準備はしっかりとおこないながら、「大運動」をいっそう早いテンポですすめる、党勢拡大の前進のなかで中間選挙の勝利もかちとるという攻勢的な構えでとりくんでいただきたいと思います。

 ぜひ中央役員のみなさんが、決定されるでありましょう三中総決定の実践の先頭にたつこと、そしてわけても民主的政権をになう質量ともに強大な党をつくる第一歩としての「大運動」を、知恵と力を結集して必ず成功させるという決意を固めあって、討論の結語といたします。

 


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