日本共産党

2001年10月20日(土)「しんぶん赤旗」

日本共産党第3回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告


 第3回中央委員会総会1日目に志位和夫委員長が幹部会報告をおこないました。


国際テロ問題と日本共産党の立場

 志位委員長は、米国でのテロ事件と米軍などによるアフガニスタンへの報復戦争問題で、各国政府首脳あてに送った二つの「書簡」で提起した提案の基本的な立脚点について解明。テロ行為は、いかなる宗教的信条、政治的見解によっても絶対に正当化できない卑劣な犯罪行為であり、テロ根絶は、「人類がこの地球上で平和に生きていくうえで、一つの根本条件」となっていること、国際テロ集団の根絶のためには国際社会の強固な大同団結をつくり、「テロリストの逃げ場が世界のどこにもなくなる状況をつくる」ことが何よりも重要であり、米国など一部の国による軍事攻撃でなく、国連を中心にして、国際社会の一致した粘り強い努力で問題の解決をはかることをあげました。

 このなかで志位氏は、二度目の「書簡」で、犯罪者の身柄確保するための強制措置に言及した点を詳しく解明。「国際紛争の平和的解決という国連憲章の根本精神は、この問題でも最大限に発揮されなければならない」とし、軍事的措置は、「あらゆる手段がつくされたのちの最後の選択肢として、国連の権限によってのみ許される手段。今回の場合必要になるのは、容疑者の拘束という目的にふさわしい性格のものになるだろう」と述べました。その場合でも憲法九条をもつ日本の協力は、「非軍事的措置に限定されるべきであって、軍事的措置への参加ができないことはいうまでもない」と強調しました。

 志位氏は、米軍などによる軍事攻撃が「テロ問題の道理ある解決のうえでも、世界の平和と安全にとっても重大な危険をもたらすもの」であることを明らかにし、報復戦争の中止、憲法違反の参戦法案の強行とその実施に反対し、国連中心の法と理性にもとづく解決の道にきりかえることをめざし、党機関と支部が先頭にたって全国の草の根からおおいにたたかおうと呼びかけました。

 志位氏は、ブッシュ政権発足にあたっては、(1)米国の「国益」のためならば一方的な軍事力行使をためらわないという世界戦略(2)日本への「集団的自衛権」採用の圧力が懸念されたが、それがテロ事件への対応をめぐって現実のものになっていると指摘。

 また、ウサマ・ビンラディンなどテロ集団が、パレスチナ問題をみずからの犯罪行為を正当化するために利用する態度をとっているなかで、テロ根絶のための国際的団結をつくる見地からも、パレスチナ問題の公正な平和解決の努力が重要となっていることを解明しました。

国民生活をまもる諸闘争について

 志位氏は、かねてからの日本経済の危機に加え、テロ事件で世界経済が悪化し、日本経済の危機がいっそう深刻になりつつある時だからこそ、「これまでの大企業中心の政策をあらため、国民生活を最優先させる政策への転換で日本経済の民主的再建をはかることが求められている」と強調。雇用と労働の擁護、社会保障の充実、中小企業への支援などあらゆる国民生活の分野で、「日本共産党が、国民の利益を守る“たたかいの組織者”としての役割を発揮することがいまほど求められているときはない」と力説しました。

 リストラの不当性を暴きたたかいの大義を明らかにすること、「職場にルールを」を合言葉に職場支部が大きな役割を発揮すること、自治体や中小企業・地元商店街との共同を強めて地域ぐるみのたたかいにすること、国会論戦でかちとった政府答弁、サービス残業根絶にむけた「通達」などを縦横に生かして、全国的なたたかいを前進させようと訴えました。

 また志位氏は、政府の医療負担増政策をやめさせ、安心できる医療制度の構築にむけて、党が民主団体とも協力しながら対話と討論をおこしていくことを提起。

 こうしたたたかいをすすめるうえで、小泉政治の「構造改革」をささえている経済論――「効率至上主義」、「むきだしの市場主義」「規制緩和万能主義論」の誤りを明らかにすることが重要だと述べました。「社会的公正や人間の尊厳を一切無視した経済論では、社会の荒廃をまねき、経済のまともな発展をも破壊する」だけです。「『構造改革』の経済論は新しい装いをこらしているが、十九世紀という二世紀前の経済論への時代逆行の産物にすぎない」「国民生活にまったく目をむけず、ひたすら大企業の目先の利潤追求に奉仕する経済論にけっして未来はない」と力説しました。

選挙闘争――総括と方針について

 「選挙闘争――総括と方針」について、志位氏は、(1)革新・民主の路線を国民のものにする(2)新たな反共攻撃を打ち破る(3)質量ともに強大な日本共産党の建設、という党大会決定の三つの角度から参院選の教訓を解明しました。

 日本共産党の政治論戦が「全体として、不屈で先駆的」であり、その後の事態にてらしても「痛切な意義」をもっており、「この大局的な確信を全党のものにすることが、まず重要」であること。反共攻撃にたいして、果敢にたたかい成果をあげたが、「突破して前進」するまでにはいたっておらず、「日常的、系統的に、党の全体像を広く国民に伝えていく仕事を、抜本的に強化する」こと。そして、「どんな『突風』がふいても、党をしっかり支持してくださる堅い支持層をどう増やすか、ここに今回の選挙戦の最大の教訓がある」ことを明確にしました。

 選挙活動そのものでは、比例代表非拘束名簿式の制度のもとでのたたかいの方針を発展させていくこと、「演説の改善の努力」をはじめとする宣伝活動の改善、テレビCMについての総括、党員一人ひとりの結びつきを生かした対話・支持拡大を、対話運動の“骨組み”として重視すること、つぎの参院選での選挙区選出議員の再選の絶対確保などについてのべました。

 志位氏は、次の総選挙での前進めざし、比例代表選挙を選挙戦の中心にすえつつ、比例でも小選挙区でも「日常不断に議員・候補者と有権者が草の根で結びつく」ことの重要性を強調し、「小選挙区は、有権者の前で国政を争う基本単位であり、ここで日常的に有権者とむすびつき、議席の道を切り開く意欲的とりくみを、開拓者精神を発揮しておこなう」ことを提起しました。

強大な日本共産党建設をめざして――
「党員・読者拡大の大運動」を提案する

 志位氏は「質量ともに強く大きな党を建設することは、参院選の最大の教訓」であり、いまこそ「党建設に思い切って力を入れるべき歴史的時期である」とのべ、来年四月末までの「党員・読者拡大の大運動」を提案しました。

 この「大運動」では、党員と読者拡大の大きな前進をかちとること、とくに若い世代の中で党勢拡大に党の総力をあげてとりくむことを課題とすること。「大運動」の目標は、つぎの総選挙と地方選挙での前進を正面にすえ、(1)二〇〇五年までに五十万の党をつくる「五カ年計画」にみあった党員拡大の人口(労働者、学生)比での目標(2)有権者(労働者)比での「しんぶん赤旗」読者拡大の目標をたて、それぞれの到達点にたって目標を明確にして毎月着実に前進をかちとるという考え方で、都道府県、地区、支部が自覚的に決め実践することを提起しました。

 党の質的強化の分野で、「学ぶ気風を全党にみなぎらせる」こととともに、「支部が主役の活動」を全党の大勢にするために日常活動の重視、支部会議の定例化、職場支部の活動、党機関と支部の双方向、循環型の活動について解明しました。

 若い世代の中での活動強化の問題では、同時テロ・報復戦争問題での運動や「日本をかえるネットワーク」などの前進にふれ、「この流れを励まし促進していきたい」とのべるとともに、民青同盟地区委員会の再建を展望した組織的前進を励まし援助することを提起。

 「全党の英知を結集し、全党員の力を集めて『大運動』を成功させ、どんな政治的激動のなかでも、情勢をきりひらく不抜の力量を持った日本共産党をつくりあげる事業の、新たな画期を開こう」とよびかけました。

党創立80周年――不屈の先進的伝統を発揮すべきとき

 最後に志位氏は、来年は党創立八十周年、今年は党綱領確定四十周年であることを指摘。「党の歴史と路線に確信と誇りを持って、新たな前進のために力を尽くそう」と訴えました。


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