日本共産党

第2回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告

 2001年5月29日にひらかれた日本共産党第2回中央委員会総会で志位和夫委員長がおこなった幹部会報告と結語はつぎのとおりです。


 みなさん、おはようございます。

 CS通信をご覧になっている全国の同志のみなさんにも、心からのごあいさつを申しあげたいと思います。

 幹部会を代表して、中央委員会にたいする報告をおこないます。

 東京都議選の投票日まであと二十六日、参議院選挙の投票日まであと六十一日という、歴史的政治戦が目前にせまるたいへん緊迫した情勢のもとで、私たちは中央委員会をもちました。

 この中央委員会の目的は二つあります。

 一つは、小泉政権の成立という新しい情勢のもとで、この選挙戦に全党が文字どおり総決起するために、必要な政治的意思統一をおこなうことであります。

 いま一つは、「参議院選挙にあたっての訴えと重点政策」を中央委員会の英知を結集して練りあげ、決定することであります。

一、ハンセン病訴訟の歴史的勝利と日本共産党

 この間、ハンセン病国家賠償訴訟について、熊本地方裁判所でくだされた原告全面勝訴の判決について、政府が控訴を断念し、全面解決にむかって大きな前進がかちとられるといううれしい出来事がありました。

 ハンセン病の患者のみなさんが、九十年にわたっておかれた状況は、強制隔離、断種・堕胎の強要など絶滅政策によって、「死に絶えるのを待つ」という残酷極まるものでした。人間であることを否定する、違憲、違法な暴圧にたいして、各地のハンセン病療養施設で、長い苦しい人権回復の闘争がたたかわれました。今回の政府の控訴断念は、原告の患者・元患者のみなさんの長年の命がけのたたかい、これをささえた国民世論が、ついに政府を動かした結果であり、この大きな勝利をともに喜びたいと思うのであります。(拍手)

 全国各地の療養施設での長期にわたるたたかいで、それぞれの療養施設につくられた日本共産党の党支部は、積極的な役割をはたしました。戦後、全国各地の療養施設で、少なくない患者のみなさんが、公然とあらわれた日本共産党を知り、そこに“暗黒のなかの光”を見いだし、自ら党をつくり、公然と党の旗をかかげ、人権回復のたたかいの先頭にたちました。今日も、全国十三の国立療養施設のうち、多くの施設で、党支部と党員が活動し、原告団のなかでも、日本共産党員は積極的な役割をはたしています。人間の尊厳をとりもどすために、きわめて困難な状況のもとで、不屈の活動をつづけた多くの同志をもつことは、わが党の誇りであります。(拍手)

 今後、原告団がもとめる全面解決――国の真摯(しんし)な謝罪、人権・名誉の回復と損害賠償、真相究明と再発防止などをかちとるための、新たなたたかいがつづきます。裁判では国会の責任も厳しく問われたわけであり、国会として謝罪と責任を明らかにするきっぱりとした態度表明をおこなうことも急務であります。日本共産党は、原告団、患者・元患者のみなさんと力をあわせ、全面解決のために力をつくす決意をあらためて表明するものであります。

二、四月の二つの都道府県委員長会議
   −中央委員会として確認を

 選挙戦の方針の基本は、党大会決定と、一連の全国都道府県委員長会議で、すでに明瞭(めいりょう)であり、それにもとづく積極的な奮闘が全国で展開されています。

 この報告では、“仕切り直し”にならないように、これまでの諸方針を前提にしながら、新たに意思統一が必要な問題について、重点的にのべたいと思います。

(1)選挙戦で最後までつらぬくべき基本方針

 四月に開いた、二つの全国都道府県委員長会議の方針は、選挙戦において、最後まで握ってはなしてはならない、党活動の基本方針をしめしたものです。まず最初に提案したいのは、この方針を中央委員会として確認したいということであります。

 四月七日の全国都道府県委員長会議では、まず、今日の政治情勢の特徴について、自民党政治が、どの分野でも政治的にゆきづまり、歴史的な衰退・崩壊過程にあること、同時に野党のなかで自民党政治の枠組みを打ち破って新しい政治をおこす立場を確立している党が日本共産党以外にはないこと、ここに情勢が過渡的な複雑さをもっていることを解明しました。そして、この過渡的状況を前向きに打開する唯一の活路は、日本共産党の躍進にあることを明らかにしました。

 そして、そういう情勢に対応して、どんな問題でもわが党が受け身にならずに、攻勢的に対応することが重要であること、とりわけ、(1)自民・公明連合の反共攻撃を攻勢的に撃破するたたかいと、(2)野党のなかでのわが党の値打ちを光らせる努力が、党の構えとして大切な要(かなめ)となることを強調しました。これらは、当面する選挙戦にとって重要な要であるだけでなく、今日の過渡的な状況を突破して、二十一世紀の日本に新しい政治をおこすうえで、長期的にとりくむべき課題であることを確認しました。

 つづいて開かれた四月二十一日の全国都道府県委員長会議では、七日の会議の方針を本気で実行しようとすれば、「しんぶん赤旗」を党活動の中心にすえることが、いやおうなしに不可欠になること、また機関紙活動は財政的にも、党をささえる土台であることを明らかにし、選挙での躍進を正面にすえながら、大会水準を突破し、さらに前進することを自覚的目標にして、機関紙拡大の意識的努力を強め、大きな前進の波をつくることを全党によびかけました。

(2)全党に新鮮な活力――中心点の徹底にひきつづき努力を

 この二つの会議の提起は、情勢の進展、党活動の現状にかみあった提起として、全国の同志からたいへん積極的に受け止められ、大きな新しい活力をよびおこしつつあります。

 全国各地で、卑劣な反共攻撃にたいして攻勢的な反撃がはじまり、「道理ある反撃を断固としておこなえば必ず打ち破れる」という経験と確信が広がっています。

 一連の中間地方選挙でも、新たな前進の端緒がつくられつつあります。一〜三月の結果をみますと一進一退だったのが、四〜五月は全体として前進に転じています。

 四月に機関紙拡大で全国的に後退から前進に転じたことも重要であり、党勢拡大の波を、今月はもとより、六月、七月と、継続的に発展させることが強くもとめられています。

 二つの会議の方針の支部での討議状況は、支部の五割から六割程度であります。すべての支部、すべての党員にこの中心点を徹底するために、ひきつづき努力をはかりたいと思います。

三、小泉政権――新しい情勢を
どうとらえ、どう活動を発展させるか

 この間、小泉政権の成立という新しい情勢の展開がありました。この情勢をどうとらえ、どう活動を発展させるのかを、しっかりつかむことは、きわめて重要であります。

(1)「小泉人気」――「政治を変えたい」という期待にこたえる攻勢的なとりくみを

 まず「小泉人気」をどうみるかという問題です。

 小泉氏は、「いまの自民党ではだめ」「自民党を変える」といって、党総裁になり、首相になりました。いまの高い支持率は、そのことへの期待にほかなりません。それは全体として、「いまの政治を変えたい」という願いとむすびついた流れであります。模索しながらも、新しい政治をもとめる、前向きの積極的な力をもっています。

 いま国民が政治的関心を高め、どこでも政治が話題になり、対話がはずむ状況があります。国民の中に広く飛び込んで対話をしてみたら、対話を通じて小泉首相によせている期待を受け止められる政党は、実は日本共産党だということが明らかになる例も全国から無数に報告されています。いまおこっている流れは、自民党政治を打破する力に発展しうる可能性をはらんでいるものです。

 問題は、小泉政権が、「政治を変えたい」という願いにこたえる、中身をもっているかということです。小泉首相のスタイルや手法には「新味」があっても、その政治的な実態、内実は、自民党政治の古い危険な政治をいっそう強引にすすめるものであることは、すでに国会論戦でも明らかになっていると思います。ここに「小泉人気」と小泉政権との致命的な矛盾があります。いまよせられている期待が、時とともに幻滅に、さらに怒りに変わることは、避けられないことであります。

 同時に、いまおこっている「政治を変えたい」という大きな流れを、新しい政治をおこす力として前向きに実らせることができるかどうかは、わが党の奮闘いかん、わが党の躍進いかんにかかっています。自動的には、そうなりません。党の奮闘いかんでは、新しい政治をおこす大きなチャンスが目の前に広がっています。しかし、それが弱ければ、「小泉人気」を逆手にとって、これまでの自民党政権ができなかった悪政が、一気に強行される危険もある。そうした過渡的な局面にあることを、しっかりとらえる必要があります。

 ここでも私たちの基本的な構えとして受け身でなく、攻勢的に、新しい情勢にたちむかうことが何よりも大切であります。一部に、「小泉人気」の高さに、「たいへんなことになった」という声もあります。その一方では、「そのうちに地金がでるから、それまで様子を見よう」という声もあります。受け身では、情勢を前向きに開くことはできません。

 「小泉政治」と対比させて、日本共産党こそ、国民の期待にこたえうるほんとうの改革の党であることを、全国民的規模で明らかにする攻めのとりくみが、いまきわめて重要であります。

 同志のみなさん、いまの情勢の特徴を、わが党の真価をうきぼりにする絶好のチャンスと攻勢的にとらえ、新しい情勢に攻勢的にたちむかおうではありませんか。(拍手)

(2)小泉政権と日本共産党の政治的対決点は鮮明に

 「小泉政治」と日本共産党との政治的対決点は、発足以来約一カ月の国会論戦をつうじても明瞭となっています。

腐敗政治――「機密費」問題で、疑惑隠しに終始する態度

 第一に、腐敗政治の問題ではどうでしょうか。「機密費」問題への態度は、新内閣の政治姿勢をはかる重大な試金石となりました。小泉首相は、所信表明演説で、機密費について「抜本的見直しと減額」を表明しましたが、野党対策などの党略的流用、外務省から内閣官房への「上納」という二つの疑惑の核心では、疑惑隠しに終始するという態度をとりつづけています。

 小泉内閣の閣僚になった塩川財務大臣、田中外務大臣のいずれも、閣僚になる前には率直に真実を語っていたのに、閣僚になったとたんに、塩川大臣の「忘れた」発言、「錯覚だった」発言にみられるように、一転して疑惑隠しに転じました。

 これらは、小泉内閣が、長年の自民党による金権腐敗政治の病根に、メスをいれる勇気も能力ももっていないことを、象徴的にしめすものとなりました。この点を正面からただしたのは、きょうの各新聞でも「共産党のみ追及」といったように、日本共産党でした。

経済政策――不良債権、社会保障、公共事業、消費税など対決点は鮮明に

 第二に、経済政策ではどうでしょうか。「構造改革」が、この内閣の最大の売り物ですが、それが国民に痛みを強要するだけでなく、日本経済にいっそうの破たんをもたらすものであることが、明瞭となりました。

 (1)小泉内閣は、当面の最大の課題として、「不良債権の早期最終処理」をあげていますが、これによる倒産と失業の激増については、まともな見通しも、対策もないという、無責任な態度をとりつづけています。深刻な不況下で不況をいっそうひどくするという、ある新聞の論説によると「経済の論理を超えた精神論」にたった政策に熱中するところに、自民党政治の経済政策の深刻なゆきづまりがあらわれています。

 (2)社会保障については、小泉首相が強調するのは「自立(自分で立つこと)」、「自助(自分で助けること)」と、せいぜい「共助(ともに助けあうこと)」までで、所信表明演説でも「国の責任」にはいっさい言及がなかったのが特徴でした。ここに、憲法二五条に明記されている「国の責任として社会保障の増進に努めなければならない」という立場を放棄する姿勢が端的にあらわれています。首相は、「いままでのように給付は厚く、負担は軽くというわけにはいかない」とくりかえし、社会保障切り捨て政策をいっそうすすめる意図をあらわにしています。

 医療制度問題でも、小泉氏は、厚生大臣当時の九七年八月に作成した「医療保険改革」で、(1)高齢者に一〜二割程度の定率の自己負担を導入する、(2)サラリーマンの自己負担は三割にまで引き上げる、(3)すべての高齢者からの保険料徴収を前提とした「高齢者医療保険」を創設する―これらの青写真をつくりました。今年一月からのお年寄りの医療費の一割自己負担など、その一部はすでに実行にうつされましたが、来年度にもこの青写真全体の本格的な具体化がはかられようとしており、それを許すかどうかは熱い焦点になっています。

 (3)税・財政問題については、小泉内閣は、「聖域なき改革」を看板にしていますが、公共事業については、塩川財務大臣は「公共事業の総量は減らしたくない」としているうえ、とりわけ各論では、諌早湾干拓、川辺川ダムなど、無駄と環境破壊の破たんした巨大開発にしがみつく点は、前内閣よりもむしろ態度の後退も目立ちます。

 ここを「聖域」にしたまま「財政再建」にとりくもうとすれば、消費税の増税に手をつけるしかなくなります。実際、塩川財務大臣は、三年後にも消費税増税に着手するという重大な発言をおこないました。竹中経済財政担当大臣は、「税率は一四%は必要」という消費税大増税が持論であります。消費税増税を許すのか、三%への消費税減税への道を開くのか――これも熱い焦点となっています。消費税減税の世論と運動を広げることは、増税を許さないうえでも、もっともたしかな保障となります。

 (4)「構造改革」の名による大企業・大銀行応援と国民犠牲の道をえらぶのか、日本共産党が「緊急経済提言」で提案しているように、消費税減税、社会保障の拡充、雇用危機打開によって家計を応援して景気回復をはかり、公共事業中心の「逆立ち財政」の転換によって財政再建の道を開くという道を選ぶのか。経済政策でも対決点は明瞭であります。わが党がしめす方向こそ、日本経済を立てなおす唯一の道理ある道であることが、くっきりとうかびあがりつつあります。

平和と憲法――アメリカ仕込みの憲法改悪の動きにきっぱり対決を

 第三に、平和と憲法の問題ではどうでしょうか。小泉首相の一連のタカ派発言――憲法九条の改悪、集団的自衛権行使の検討、有事立法の制定、靖国神社公式参拝などにたいして、この内閣に期待をよせる人もふくめ、そのきな臭さに不安が広がっています。

 小泉首相の一連の発言をみていると、これらの問題をタカ派なりの「論理性」をもって提起するというものではなく、たとえば集団的自衛権については「アメリカが攻撃されたときに何もしないでいいのか」、靖国参拝については「国のために命を捨てた戦没者に敬意をささげるのは当然」といった式の、情緒的な発言をくりかえしているのが特徴です。ですから、正面から私たちが論だてて追及すれば、それにこたえる論理をもたないのです。

 集団的自衛権の問題では、首相は、「憲法の枠内で検討する」ということをくりかえしています。しかし、集団的自衛権とは、日本への攻撃がなくても、海外での共同の武力行使にのりだすというものであり、しかも実際に集団的自衛権の名で遂行された戦争は、わが党が国会質問で明らかにしたように、ベトナム、チェコスロバキア、アフガニスタンなどへの侵略戦争、介入戦争であり、憲法九条と集団的自衛権は、絶対に両立しえないものであることは明らかであります。

 重視すべきは、この問題の背景に、ブッシュ新政権で国務副長官をつとめるアーミテージ氏が主導してつくった対アジア、対日戦略――アジアの情勢を不安定で紛争をはらんだ緊張したものとゆがめて描き、そのなかでの日米軍事同盟の役割を強調し、その強化をもとめる路線があることです。相手の動きが、アメリカ仕込みのものであるだけに、本腰をいれたたたかいが必要です。アメリカにしたがって、この道をすすむことは、アジアでおこっている平和の流れと、深刻な矛盾をひろげざるをえません。

 憲法にたいするわが党の立場については、去年十一月の党大会決定で深く解明しました。あらゆる憲法改悪のくわだてに反対するとともに、憲法九条をはじめその平和的・民主的原則の完全実施を国民とともに追求し、憲法を指針にした新しい国づくりをめざすところに、わが党の憲法論の基本があります。

 わが党は、その立場から、憲法九条擁護の一点での、広大な国民的共同のために力をつくすものであります。社民党は、村山内閣時代の安保肯定、自衛隊合憲論からぬけだしていませんが、明文改憲反対ではわが党と政治的一致点があり、憲法記念日の集会など共同の行動もはじまっており、私たちはこれを大切にしていくものです。

 今年は日米安保条約をむすんで五十年にあたる節目の年です。わが党は国会質問で、「二十一世紀も安保体制を永久につづけるつもりか」と首相にただしました。それにたいして首相は、「二十一世紀に入り、今後とも日米安保体制がより有効に機能するよう努めていく」という安保永久論で答えました。ここに小泉政権が「改革」を名のりながら、永久不変、絶対不動の「聖域」にしている問題があります。

 わが党は、二十一世紀には、日米安保条約を廃棄して、基地のない、ほんとうに独立した日本への道を開くことを追求しつつ、その前にも、在日米軍の横暴をやめさせ、道理の力に訴えて世界とアジアに働きかける自主・自立の外交の努力を発展させるために力をつくすものです。

 以上三つの分野で概括してみましたが、どの分野でも、「小泉政治」と、日本共産党との政治的対決点は、きわめて鮮明であります。これを正面からただしたわが党の国会質問にたいして、マスコミのなかからも、「首相の言う改革とは違う独自の立場を明らかにし、あるいは自民党の改革に具体的にふれない首相を厳しく批判して存在感をしめした」、「他の野党が、小泉人気におもねたような質問をするなかで、正面から対決をした」などの評価もきかれました。

 わが党は、小泉政権の「改革」論の国民にとっての危険性を正面から告発し、ほんとうの「日本改革」の展望を旗幟(きし)鮮明にかかげ、この政権と正面から対決してたたかいぬくものであります。(拍手)

(3)政党関係――わが党の存在感がうきぼりになる新しい条件が

 小泉政権が発足するもとで、政党関係のなかでも、わが党の存在感がうきぼりになる新しい条件が生まれています。

公明党――与党内での「存在意義」が薄れるなかで、反共攻撃に熱中

 まず与党内では、自民・公明連合に新たな矛盾が生まれています。「小泉人気」のもとで、公明党は、これまでのように創価学会の「基礎票」をカードに、自民党と党略的な交渉をおこない、公明色のついた「実績」をあげるという戦略が、うまく働かなくなっています。たとえば靖国神社問題でも、公明党の神崎代表は本会議の代表質問で、この問題をとりあげながら、答弁をもとめませんでした。もとめるわけにはいかない立場におかれているのです。公明党の与党内での「存在意義」が薄れ、なくなりつつある。ただし、一度手に入れた政権与党の立場はすてるつもりがない。与党内での地位が低下しながらも、政権にしがみつく以外に道はないという矛盾におちいっています。

 同時に、重要なことは、公明党・創価学会の反共攻撃への熱中は、いささかも変わらないということです。反共のみが、彼らの結束と行動のバネになっています。わが党は、この間、正面からの反撃をおこなってきました。正面からの反撃には彼らは弱い。反論の論理をもちません。しかし、どんなに論破されても、「ハイエナ」「ウソツキ」の四文字の攻撃をひたすらくりかえすというのが、いまの公明党の現状であります。

 反共攻撃は、ひとり日本共産党だけの問題ではありません。福祉切り捨てや、民主主義破壊など、国民に悪政をおしつけるためのものです。それを撃破することの国民的意義を大きく訴え、広く包囲する攻めの論戦をつらぬくことがいよいよ重要であります。

他の野党――「反自民」をいうが政策的足場もてない弱点が噴き出している

 野党の状況はどうでしょう。わが党以外の野党の状況をみると、「反自民」「改革」というけれども、「自民党政治をどう変えるか」の政策的中身での足場をもてないでいるというかねてからの弱点が、小泉政権が発足するもとで一気に噴き出してきた感があります。

 実際、国会質問をきいていますと、民主党の質問者などから、「改革のスピードを競い合う」「改革が本気なら党派をこえて応援する」などがくりかえしきかれます。小泉首相の「改革」との内容的な違いはなく、要はできるかできないか、本気かどうかを競うという立場であります。

 もちろんわが党は、そういう状況のもとでも、一致点での国会共闘は、ひきつづき誠実に追求します。同時に、野党間でも、政策論争、前向きの批判に、積極的にとりくむことが重要であります。「反自民」というならば、「自民党政治をこう変える」という政策の足場をつくることができるかどうかが、いま野党に問われています。

(4)“自共対決”こそ政治対決の軸であることが、うきぼりになりつつある

 こうして、小泉内閣の登場によって、政策的対決でも、政党関係の新しい条件でも、小泉政権による自民党政治の継続・強化か、日本共産党の躍進によるほんとうの改革への政治の転換か――“自共対決”が、政治対決の軸であることがうきぼりになりつつあることが、情勢の新しい特徴であります。

 自民党は、小泉内閣のもとで、体制をたてなおしつつありますが、これは一時のものにすぎません。だいたい「いまの自民党はだめ」と叫ぶ政治家が、自民党総裁になりながら、「どう変えるか」の展望をしめせないところに、小泉政権も、自民党政治の衰退、崩壊の一局面の、一時的な産物にすぎないことが、しめされています。

 日本共産党こそが、いま小泉内閣に期待をよせている人々もふくめて、「政治を変えたい」と願う人々の期待にこたえられるほんとうの改革の党であります。

 同志のみなさん、この党の躍進こそ、二十一世紀の日本の政治の民主的刷新にとって大きな国民的意義をもつことを、深くつかんで、残る期間、全力をつくそうではありませんか。(拍手)

四、選挙闘争の方針
――三つの問題について

 選挙闘争の方針は、これまでの一連の会議で、すでに明瞭であります。この報告では、三つの問題について、補強的に強調しておきたいと思います。

(1)大量政治宣伝について――
  「ポスターで第一党に」

 第一は、大量政治宣伝です。目に見え、音に聞こえる宣伝を、これまでどの選挙でもやったことのない規模ですすめ、日本列島どこでも、日本共産党の風、勢いが、有権者につたわるとりくみを展開したいと思います。

 とくにポスターについてのべたいと思います。四月七日の全国都道府県委員長会議では、「ポスターで第一党に」という合言葉での奮闘をよびかけました。現在の張りだし率は、政党ポスター「きれいな力」で八〇・五%、「消費税減税」で三八・七%、連名ポスターで七四・七%です。他の政党との関係では、わが党は第一位が二十府県、二位が二十道府県、三位が五県、四位が一県です。東京の各選挙区では、二位から三位がまだ多いのが現状です。全党の奮闘に敬意を表するとともに、他党を圧するとりくみを一気に強めることを訴えるものです。

 ポスターを張りきる政治的意義づけを、よくみんなのものにするとともに、期限を決めて一気にやりきる段取り、手だて――これまで張らせてくれた所だけでなく、新しい開拓をはかるために“軒並み訪問”の作戦をたてるなど――を、支部をよく援助して党機関がたてて、一気にやりきるように力を集中したいと思います。

 この分野では、比例代表選挙が非拘束名簿式に変わったため、活動条件の変化があります。わが党は最終的に比例代表候補を二十五名擁立する準備をすすめています。比例候補者ポスターを百七十五万枚、比例政党ポスターを十三万枚――あわせて二百万近いポスターを、公示後に一気に張りだすことが必要になります。それができる態勢をつくることがもとめられる。そのためにも、一気に現状の打開をはかることを、心から訴えるものであります。

(2)対話と支持拡大――すべての支部が過去最高をこえる支持拡大の目標をもって

 第二は、対話と支持拡大についてです。この間、この問題について、常任幹部会として、新しい提起をおこないました。その中心点は――、

 ――すべての党組織、支部が、これまでの選挙をとおして到達した最高の支持拡大数を大きくこえる支持拡大の目標を目安として明確にし、都議選の告示日、参院選の公示日までにそれをやりとげ、告示日、公示日以後にさらに広げるということです。

 ――そのために機関が積極的な援助をおこなう。それぞれの支部に、これまでの過去の支持拡大数を具体的にしめして、それぞれの支部がそれを上回る目標を自覚的にもてるよう、積極的なイニシアチブを発揮するということです。

 こうした新しい提起をおこなった意味について、あらためてのべておきたいと思います。都道府県、地区委員会、行政区までは、得票目標を決め、それをやりとげたかどうかは、後から検証が可能になります。しかし、支部の場合には、行政区を単位とした支部を別にすれば、後から検証しようがないという問題があります。しかし、支持拡大の目標なら、やりとげたかどうかをはかることができます。その目安となります。選挙戦がせまったもとで、すべての支部が、わかりやすい目標をもって、ただちに対話・支持拡大にたちあがるために、新しい方針をきめたということを報告しておきたいと思います。

 いま国民の政治的関心は、これまでにない高まりがあります。対話を広げる絶好のチャンスです。「対話が面白い」というのが、真剣にとりくみをはじめたところの共通の声であります。ポスター、ビラ、ハンドマイク、要求運動、機関紙活動など、あらゆる活動とむすびつけ、他のどの党をもうわまわる規模で、この運動の大飛躍をいそいでつくることを、よびかけるものです。

(3)東京都議選――全国の党組織と後援会が、みずからのたたかいとして

 第三は、東京都議選の問題であります。東京都議選の帰趨(きすう)は、都政はもとより、直後の参院選に重大な影響をあたえます。全国からのオルグ派遣に感謝するとともに、全国の同志、党組織、後援会が、みずからのたたかいとして最大の支援をおこなうことをよびかけたいと思います。

 都議選の政策的争点は、きわめて鮮明になりつつあります。「シルバーパス、老人医療費助成制度など、切り捨てられた福祉を復活させよう」、「介護保険での都独自の利用料・保険料の減免制度をつくろう」というわが党の提起が、熱い焦点になりつつあります。

 わが党は、これらの問題を裏付けをもって提起できる唯一の党であります。(1)石原都政にたいして、都民の立場にたって「よいことはよい、悪いことは悪い」の立場をつらぬき、福祉切り捨てにたいしては断固として反対をつらぬいた四年間の実績の裏付けがあります。(2)わが党都議団は三月議会に予算の組み替え案を提出し、財源の裏付けをもってこれらの問題を提起しています。(3)高齢者対策の要求は、東京都自身の調査によっても、高齢者のみならず、若者もふくめてもっとも広範な都民の最大の切実な要望であり、わが党の提起は広い都民要求の裏付けをもったものであります。ここに確信をもって、この選挙を必ず勝ちぬきたいと思います。

 首都・東京には、全国から多くの人々が集まっており、各県と東京との交流は深いものがあります。全国の支部と党員のみなさんが、東京の知人・友人に、可能な手段で、働きかけ、支持を訴えていただくことをお願いするものです。

 かつて東京で働いていたり、党活動をしていたりした同志も、全国に数多くいます。東京の支部や後援会が、「この人にきてもらえば助かる」という人も少なくありません。条件の許す同志は、ぜひ東京にきて、かつての党組織に協力して、ボランティアで宣伝、対話・支持拡大にとりくまれることをよびかけたいと思います。

 物心両面の支援を東京に集中しましょう。募金をはじめ、全国の名産品(笑い)、米、野菜を送るなど、首都の同志たちの奮闘をささえましょう。全党の力を結集して、必ず勝利をかちとろうではありませんか。(拍手)

五、参議院選挙政策について

 つぎに参議院選挙政策についてです。提案報告は筆坂政策委員長がおこないますが、一言だけ、この政策の基本的立場についてのべておきたいと思います。

 いま自民党政治が大きくゆきづまり、崩壊しつつある時だけに、わが党が当面の政策とともに、二十一世紀のわが党の大きな改革の展望を、大きく語ることが重要になっています。国民のなかで高まった「自民党政治を変える」ことへの期待というのは、二十一世紀にどんな新しい政治をつくるかということへの期待でもあります。

 そういう国民の期待にこたえるという立場で、この政策案をつくりました。中央委員の同志の知恵を結集して練りあげることをお願いしたい。そして、全党がこれを縦横に生かして選挙戦をたたかいぬくことをよびかけるものであります。

六、たしかな路線と政策、草の根の支部の力をあますところなく発揮して

 選挙戦は、期日が限られているという点で、党活動のなかでも特別のたたかいです。

 わが党は昨年十一月の党大会で、総選挙での後退からの教訓を深くふまえ、二十一世紀の早い時期の民主的政権樹立を展望し、党綱領路線を具体化したたしかな政治・組織方針を確立し、国民と広くむすびついた活力ある党づくりのための規約の改定をおこないました。

 同志のみなさん、私たちは、国民の立場にたったたしかな路線と政策、草の根で国民とむすびついた二万六千の党支部をもっています。この力に確信をもって、この力を残る期間あますところなく発揮し、躍進を必ずかちとろうではありませんか。以上をもって幹部会報告といたします。(拍手)


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