日本共産党第22回大会最終日の11月24日におこなわれた、「決議案、中央委員会報告の討論についての結語」は、つぎのとおりです。
代議員のみなさん、評議員のみなさん、CS通信をご覧になっている全国の同志のみなさん、おはようございます。(「おはようございます」の声)
きょうは、わが党の未来を象徴するような素晴らしいお天気の日になりました。(拍手)
私は、中央委員会を代表して、決議案と中央委員会報告についての討論の結語をおこないます。
三日間の討論で七十四人の同志が発言しました。すべての都道府県から発言がありました。発言は、大会議案の全党討論をふまえ、全党の実践をふまえた、たいへん水準の高い、充実した、感動的なものでありました。そのすべてが大会議案にかみあい、議案を深めるものでした。
基本的に決議案に賛成する立場から、その一部にたいして異論をのべた同志もいました。党大会へむけた支部や地区委員会や都道府県の会議でも、さまざまな意見や異論が出されましたし、それへの反論や解明もおこなわれて、たいへん活発に討論がされました。私たちは、異論があれば、党のルールにそって、それを表明することは、たいへんよいことだと考えます。真剣な議論をつうじてこそ、党全体の認識も発展するし、党全体の活力も増しますし、党全体の団結も高まります。そして、決定がされたならば、わだかまりなくみんなで実行する。ここに民主集中制の党のすばらしさがあるのではないでしょうか。(拍手)
討論での発言を希望した同志は二百六十二人にのぼりました。そのすべてが発言できなかったことはたいへん残念でありますが、もし用意された発言原稿があれば、それを大会事務局に届けていただけましたら、今後の活動におおいに生かしていきたい。このこともはじめに申しのべておきたいと思います。
さて、今度の大会は、政治情勢の激動と同時並行での大会でしたが、まったく対照的な二つの流れがうきぼりになりました。
一方で、政権党の滅びゆく“世紀末”的な姿が天下にさらされました。野党の提出した内閣不信任案にたいして政権党が大混乱に陥り、深刻な亀裂がはいりました。国民の批判と野党の批判がむすびついて、政権党を土壇場にまで追いこんだのであります。加藤派、山崎派のだらしない腰砕けで不信任案は否決となりましたが、森自公保政権は、その国民的基盤を、いよいよズタズタにする深手をおいました。
そして自民党の全体が国民からどんな批判を受けても、およそ自分を改革する能力をもちあわせていないということもはっきりしました。主流派はなりふりかまわない“脅し”で政権にしがみつく。反主流派は口先だけの「改革」をいうが、中身は空っぽで腰砕けに終わる。どちらにも国民はもううんざりだというのが、その気持ちではないでしょうか。(拍手)
ある新聞の社説でこういうことが書かれました。「民意との関係でいえば、加藤氏の決起を腰砕けに終わらせたにもかかわらず、自民党全体としての損得勘定は赤字なのではないか」「政治に失望してはいけない。自民党に失望すべきなのだ」(拍手)。なかなかいいことをいいます。
野中自民党幹事長は、一昨日来の発言で「不信任案の否決は首相の信任を決定したものではない」といっています。この発言は自民党内に波紋と反発を広げ、野中氏は「これは首相に緊張感と謙虚さをもってやってほしいという意味なんだ」と説明しました。そうなると、よほど緊張感も謙虚さもなくやってきた(笑い)、ということを自認するようなものですが、私はこの野中氏の苦しい言葉に、政権党の陥っている深刻な矛盾があらわれていると思います。
自分たちで内閣不信任案を否決したわけですから、首相にやめろとはいえません。かといって、森首相で選挙をたたかうことは恐ろしくてしかたありません(笑い)。断崖(だんがい)絶壁から地獄に飛び込むようなものです(笑い)。森首相のもとで選挙をたたかえると思っているのは、たぶん森さん一人だけでしょう(笑い)。ところが正面からそれを口に出していうわけにもいかない。ここにも政権党の“世紀末”的な姿があらわれているではありませんか。
そのもう一方で、二十一世紀の希望ある日本改革の展望を、自由闊達(かったつ)に論じたのが、わが日本共産党第二十二回大会でありました(拍手)。大会議案、中央委員会報告、その討論をつうじて、二十一世紀の私たちの事業の壮大な展望が、世界でも、日本でも、明らかにされました。そして、それをなしとげる強大な党の建設をどうすすめるかも、豊かにしめされました。
一方で滅びゆく流れ、一方で未来ある流れ、なんと鮮やかな対照をなしていることでありましょうか(拍手)。それはテレビであの国会での政権党の醜態を見たみなさん、そして会場と国会を往復した私たちの(笑い)、共通の実感だろうと思います。自民党の“世紀末”的状況は、わが日本共産党の大会成功の引き立て役になってくれました。(拍手)
ただみなさん、この決着は、広い国民のなかでつける必要があります。もはや国民的に命脈がつきはてた森自公保政権を、一刻も早く退陣に追いこもうではありませんか(拍手)。そして、二十一世紀の早い時期に、自民党政治そのものを終わらせるために、早晩ありうる総選挙と、まぢかにせまってきた参議院選挙で、この大会でえた成果を力にして、日本共産党の前進をかならずかちとろうではありませんか。(大きな拍手)
大会での発言でも、CS通信で報告を聞いた全国の同志のみなさんの感想でも、中央委員会報告が、全党討論で出された意見や疑問にかみあった解明をおこなったことに、大きな歓迎がよせられました。
全党討論で出された意見や疑問は、主につぎのような諸点でした。
第一章では、「資本主義を離脱した国々」とは何か、などでした。
第二章では、九〇年代になぜ党勢が後退したのか、などでした。
第三章では、学校教育の改革について、また憲法と自衛隊問題などについてが議論の焦点となりました。
第五章では、選挙戦の得票目標の問題について意見が出されました。
第六章では、職場支部の活動への補強をもとめる声がありました。
第七章では、青年のおかれている深刻な現状について、多くの同志たちが心を痛め、若い世代を結集することの意義が、議論の大きな焦点になりました。
これらは全党討論でより突っ込んだ解明、より充実した解明がもとめられた問題でありました。
中央委員会報告では、それぞれを正面から受けとめて中央委員会として責任をもって回答をしめしました。それを全国の同志がしっかりと受けとめて歓迎してくれました。
CS通信を見た同志はすでに全国で一万人をこえていますが、一千通近い感想がよせられています。この感想をつぶさに読ませていただきましたが、さきほど私がのべた討論の焦点になった論点にたいする中央委員会報告の解明を、全国の同志が深く適切につかんでいただいて、感動と歓迎の声をたくさんよせてくれたというのが特徴であります。ここには一方通行ではない双方向型、循環型の全党的な認識の発展があります。
CS通信を見たある同志は、「全国の支部、党員が決議案を読み、討議し、そこで出された疑問が反映され、さらに議案の内容が深められていることに感動した」とのべています。
ある同志は、「全党討議の大切さがあらためて分かった。疑問点や意見はどんどん出すべきだということ、そのなかで決議案がさらに充実するということを知らされた」という感想をよせてくれました。
ある同志は、「全党討議の素晴らしさ、それを受けとめる中央の姿勢、さすが日本共産党、その一員であることに誇りをもつ」という感想をのべています。
全党討論、党大会への報告、そして党大会の討論をつうじて議案がねりあげられ、豊かにされ、まさに全党の英知が結集した決定を私たちはつくりつつあります。党が組織原則としている民主集中制のもつ生命力が、ここに脈々としめされている――これが大会に参加された同志のみなさん、そして全国の同志のみなさんの実感ではないでしょうか。(拍手)
大会の討論は、討論をつうじてお互いに学びあい、励ましあい、討論のなかで認識の発展がかちとられるものであったと思います。
党が空白であった地域や学園で、知恵と勇気をふりしぼって党勢を拡大している発言に励まされて、そのつぎに発言した同志が新たな決意をのべる。宗教者の同志の発言に励まされて、住職でない同志が“悟りを開いてがんばる”という発言をする(笑い)。若く入党したばかりの青年の同志が、ベテランの同志のみなさんに、「あなたたちこそ党の宝だ」といえば、中年の党員も「その宝にくわえてほしい」と発言する(笑い)。代議員同士の討論が、ほんとうに楽しく、豊かで、互いに勇気と激励をあたえるものであったと思います。(拍手)
どれもがすばらしく感動的なもので、そのまとめを私がここで“おさらい”的にやりますと、かえってやぼになります(笑い)。そこで、いくつかの点にしぼって、私たちが感じた点をのべておきたいと思います。
第一は、全党が「大運動」にとりくみ、新しい党員を迎える運動が全国で前進をはじめ、一万をこえる新しい同志を迎え入れつつあるもとでこの大会を開いた、そういう運動の高揚のなかで大会を開いたことが発言の全体に反映しました。すなわち党に“新たな前進の息吹”がわきおこっていることを、生きいきと反映する討論となったと思います。
党員拡大のとりくみがかつてなく豊かに交流されました。それもけっして大言壮語をいうのでなく、みんな地にしっかり足をつけたとりくみが報告されました。
「支部を主役」に、草の根で国民とむすびつき、自発的、内発的に、まさに党員拡大そのものがみずからの要求であり、喜びとなって、これにとりくんでいる、そういう姿がこもごも語られました。ですからどの発言も、それを聞いた同志は、「これなら私たちにもできる」という共感をもって受けとったのではないでしょうか。
多くの発言は、決議案がのべているように、“広く入党をよびかけ”、“広くすべての支部、党員がとりくむ”という大きなスケールでこの運動にとりくむならば、この分野で大きな前進が可能であるということを生きいきとしめしました。
大阪の宗教者の同志が、わが党を「慈悲の心を託せる」、「現代の菩薩行(ぼさつぎょう)」と形容し、宗教者のみなさんの目標とわが党のめざすものが重なり合っているとのべましたけれども、これまでにない広い層のなかに強大な党をつくることが可能であることが、発言の全体で裏づけられました。
そして、党員拡大がまさに党建設の根幹であること、すなわち、党員拡大での大きな前進をかちとることが、国民の要求にこたえる活動を発展させるうえでも、機関紙活動などのあらゆる党の活動を発展させるうえでも、支部のあらゆる活動に活気をもたらすうえでも、まさに根幹をなす課題だということが、たくさんの発言で生きいきとしめされたと思います。
同志のみなさん、「二〇〇五年までに五十万の党をつくろう」という大会決議案の提起が、奮闘いかんでは実現可能な目標であることが、討論をつうじて裏づけられたのではないでしょうか。(拍手)
第二に、若者が輝いた党大会だったということです。青年支部、学生支部が若い世代の切実な要求にこたえ、大きな党をつくろうという意欲的なとりくみにたちあがっている姿は、どれも胸をうつ素晴らしいものでした。
ある同志は、「若い世代にはほんとうに偏見がない、決議案で壁が崩れつつあるというのは、前の世代の人はそう思うのだ、と受けとめた」という発言をしました。こうした発言は、若い世代を結集する事業の無限の発展の可能性を感じさせるものでした。
入学したときには党支部も、民青同盟の班もなかった大学で、街灯の設置運動など学生の要求にこたえる活動にとりくみ、それがラジオでもとりあげられ、念願の党支部を結成した同志の発言も印象的でした。その同志は、「学生の不満は党支部がなかったときにもあったはずだ。そういう声にこたえて活動する支部がこれまでなかったのには心が痛む。学生の要求をかなえるためにも党が必要だ」という趣旨のことをのべましたけれども、これは“何のためにいったい党をつくるのか”、決議案でいえば、“党建設の国民的意義”ということになりますが、その原点をしめした発言だったと思います。
入党して九カ月の若い同志が、みずからの人生の進路を模索するなかで、党と出会った体験を語った発言も感動的でした。「党の綱領、規約の素晴らしさを知って、思う存分学習し、自分を高めていける場所があることを知った。だれでも日本共産党を知れば心を開く。対象者を選んではだめだ」という発言でした。さきほど私は“新しい前進の息吹”がみなぎった大会だといったのですが、まさにこの同志自身が“新しい前進の息吹”を体現した発言として、多くの参加者の感動をよんだのではないでしょうか。
若い多くの同志の発言は、日本共産党に二十一世紀の洋々たる未来が開けているということをしめしたと、私は思うのであります。(拍手)
第三に、みなさんに紹介したいのは、こういう討論を海外の代表のみなさんがどう聞いたかということです。感想をお聞きしますと、共通して、国民の要求にこたえて活動し、粘り強くむすびつきを広げ、党勢を拡大する、地に足をつけた草の根からのとりくみに、注目をよせてくれています。
いくつかの感想を、みなさんにご紹介したいと思います。
ある海外代表は、「党員拡大で一人またひとりと粘り強く拡大の努力をつづけていることに感銘した」とのべました。
ある方は、「若い世代、とくに大学生の発言が生きいきしていてよかった」とのべました。
ある方は、「仏教徒の発言がたいへん興味深かった。党の幅広さを感じる」とのべました。宗教者の同志の発言はたくさんの海外代表から共通して注目され、“国際的人気”が広がっているようでありますが(爆笑)、そういう反応もありました。
それから、「いかに草の根から党の力を強くするかという、きわめて具体的なものが多く、私たちにとってもとても役立つ」、こういう感想もありました。
ある方は、「ほんとうの草の根の問題について発言している。人々の関心と党の支部とが統一している。新聞がほんとうに国民と党のきずなであることがよくわかる」とのべました。
ある方は、「しっかりした連帯感、結束力を感じた。まるで一つの社会的コミュニティーのようだ」という感想をよせてくれました。
最後に、ある海外代表は、「代議員がリュックを背負って会場まで長い坂を登って歩いているのをみると、彼らが信念をもっているのがわかる」(笑い)。これはたいへん多くの方から共通して出されました。みなさん、あの長い坂を毎日登ってたいへんだったと思いますが、けっしてむだではなかった(爆笑)ということも、ご報告しておきたいと思います。
草の根で国民とむすびついて奮闘する党支部は、わが党の最大の財産であります。海外代表のみなさんがそこにあたたかい注目と共感をよせてくれたことは、私どもとしてたいへんうれしいことであります。(拍手)
そして海外代表のみなさんにもご報告しておきたいのは、CS通信を見た全国の同志からの感想でも、大会にたくさんの海外代表が参加してくださったことに、大きな感動の声がよせられたということであります。
在日本大韓民国民団、在日本朝鮮人総連合会の代表がそろって参加し、そろって並んで壇上にのぼったことも、東アジアでの平和の激動を象徴する出来事として感動を広げました。あらためてわが党の大会に参加してくださった海外代表のみなさんに、心からの感謝の気持ちをのべたいと思うのであります。(大きな拍手)
同志のみなさん、決議案、中央委員会報告、討論の成果をすべて生かして、「支部が主役」で草の根で国民としっかりむすびつき、民主的政権を担う強大な日本共産党を建設するために、ひきつづき知恵と力をつくそうではありませんか。(大きな拍手)
つぎに全党討論、中央委員会報告、大会での討論をふまえて修正・補強した決議案を提案します。みなさんのお手元に文書で配布がされておりますので、それを見ながら聞いていただければと思います。
まず第三章の第9項、憲法と自衛隊問題についてであります。
この問題で、中央委員会報告を聞いた全国の同志からの感想がよせられましたが、全体としてきわめて積極的なものでした。ある同志は「報告を一言一句しっかり聞きました。結論的にはきわめて全面的で科学的で、しかも党内での各種の意見・議論にかみあった内容で解明されていました」という感想をよせてくれました。これまでこの問題で疑問をもっていた同志も、その多くは報告を聞いて、「これですっきりした」、「これで解決した」という感想をよせてくれています。
大会の討論でも、この問題は活発に議論されました。ある同志は、「決議案の方針こそ自衛隊の解消のいちばん正当な、そしていちばん近道だと確信する」とこうのべました。ある同志は、「口先だけで九条を守る、自衛隊をなくすといっているのではない。党は本気で九条を全面実施し、本気で自衛隊をなくそうとしている迫力が、リアルな説得力をもってせまってくる、現実的かつ具体的な方針だ」、と歓迎してくれました。
国民とともに、国民の合意で、自衛隊の段階的解消をはかるという決議案の立場が、全党討論、中央委員会報告、大会での討論をつうじて、全党の圧倒的多数の共通の認識となったといっていいのではないでしょうか。(拍手)
大会の討論で、決議案に基本的に賛成であり、自衛隊の段階的解消にも賛成だと表明しつつ、必要にせまられた場合の自衛隊の活用について、「『そのようなことはありえない』と回答すべき」という意見もありました。
しかし、決議案でも、中央委員会報告でものべたように、自衛隊解消の国民的合意の成熟は、安保条約を廃棄した平和日本が、世界やアジアの国々と友好関係をきずく平和外交を展開し、アジアの平和的安定の情勢が成熟するなど、民主的政権のもとでの国民の体験をつうじて、形成されていくというのが、わが党の展望であります。つまり国民の多数が「そのようなことはありえない」と考えるようになるには、一定の政治的な体験が必要なのであります。そういう日本の現実の改革ぬきに、「そのようなことはありえない」といっても、国民の多数の理解をえることはできません。この問題を正面からとらえていただきたいと思うのであります。
さて、この問題での決議案への補強を提案したいと思います。決議案の原案では、憲法と自衛隊問題の最後の部分でこうのべておりました。
「自衛隊問題の段階的解決というこの方針は、憲法九条の完全実施への接近の過程では、自衛隊が憲法違反の存在であるという認識には変わりないが、これが一定期間存在することはさけられないという立場にたつことである。その時期に、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を、国民の安全のために活用することは当然である」
原案ではこうなっていたものを、つぎのように補強したいと思います。みなさんにお配りした修正・補強案を見ながら聞いていただきたいと思います。
「自衛隊問題の段階的解決というこの方針は、憲法九条の完全実施への接近の過程では、自衛隊が憲法違反の存在であるという認識には変わりがないが、これが一定の期間存在することはさけられないという立場にたつことである。これは一定の期間、憲法と自衛隊との矛盾がつづくということだが、この矛盾は、われわれに責任があるのではなく、先行する政権から引き継ぐ、さけがたい矛盾である。憲法と自衛隊との矛盾を引き継ぎながら、それを憲法九条の完全実施の方向で解消することをめざすのが、民主連合政府に参加するわが党の立場である。
そうした過渡的な時期に、急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する。国民の生活と生存、基本的人権、国の主権と独立など、憲法が立脚している原理を守るために、可能なあらゆる手段を用いることは、政治の当然の責務である」
このように補強したいと思います。
補強した内容は三つあります。
一つは、自衛隊の段階的解消という方針と日本国憲法との関係についての解明を、報告をふまえて、決議案に明記したということです。
二つ目は、「必要にせまられた場合」について、「急迫不正の主権侵害、大規模災害など」と具体的にのべたことであります。
三つ目は、原案では、最後の言葉が、「活用することは当然である」となっていましたが、この「当然」という言葉が、憲法上当然といっているかのように誤解されることがないように、「国民の生活と生存、基本的人権、国の主権と独立など、憲法が立脚している原理を守るために、可能なあらゆる手段を用いる」ことは、政治に「当然の責務」として要請される、という意味で「当然」という言葉を用いていることを明瞭(めいりょう)にしました。
結果として、「活用」という言葉と、「当然」という言葉が少し離れることになりましたが、これはていねいに真意を明瞭にしたからであります。
私たちは、全党の討論をつうじて、この個所も多くの人々にとってより説得力をもつ、より充実した内容となったと確信するものであります。(拍手)
決議案のその他の個所で、全党討論、中央委員会報告、大会討論をふまえて、修正補強した主な点についてのべます。それは以下の通りであります。
第一章第1項では、「資本主義から離脱した国々」について、「すなわち『社会主義をめざす国々』」とわが党の綱領上の位置づけを明記しました。
第二章第5項では、九〇年代にどうして党勢が後退したのかという原因について、報告で解明した客観的条件と主体的とりくみの弱点の両面から簡潔にのべました。
第三章第6項では、三つの補強をおこないました。
一つは、沖縄の米軍基地を縮小・撤去するたたかいについてです。決議案でもこのたたかいを「全国民的課題」をもつたたかいと位置づけていますが、名護への最新鋭基地の建設など、基地を固定化・強化する県内たらい回しではなく、撤去をめざす重要性について補強いたしました。
二つ目は、日朝正常化交渉についてですが、報告をふまえて、「北朝鮮との国交正常化にたいし、植民地支配を違法行為としてきっぱりと謝罪し、それにたいする補償をおこなう立場にたつべきである」などの立場を明記しました。
三つ目は、アメリカ国防大学の「国家戦略研究所」の特別報告で、民主、共和両党の外交・軍事の中枢的専門家が、日本にたいして集団的自衛権の採用を公然と要求していることの危険性を特記しました。
第三章第7項では、報告で強調した当面の緊急課題として、社会保障を改悪から守り、充実させるとりくみの重要性、消費税増税に反対するたたかいの重要性について決議案でも補強いたしました。
第三章第8項では、学校教育の問題について、大幅な補強をおこなっています。学校教育の改革についての中央委員会報告の提起は、深刻な事態にかみあった提起として、非常に積極的な反響をよびおこしています。大会討論でも、この問題は深められ、歓迎されました。報告をふまえて、「すべての子どもに基礎的な学力を保障する教育改革」という立場にたった学校教育改革の方向について、大幅に決議案を補強しました。
またこの項では国立大学の独立行政法人化に反対し、大学の教育研究条件の抜本的改革をはかることの重要性も書きこみました。
また同じ項でありますが、農林漁業と食料について補強しました。農業とともに、漁業と林業について、それが食料の安定確保、国土・環境の保全、多様な生態系の維持など、国民生活に欠かせない多面的で重要な役割をもつということを強調し、その維持・発展の重要性について明記しました。
第三章第9項では、司法の反動化を許さず、司法制度の民主的改革を実現することの重要性を、現在この分野でおこっている逆流の流れとのかかわりでも重視して、明記しました。
第三章第10項では、労働運動の問題について、報告をふまえて、あらゆる傾向の労働組合のなかに、労働者の権利を守る具体的要求の一致点が広がり、共同行動が広がっており、これを発展させることが重要になっていること、また未組織労働者の組織化が重要になっていることなどを補強しました。
第四章第12項では、核兵器問題をめぐっての今年の国連総会における日本政府の恥ずべき態度について、明記いたしました。
第四章第13項では、国連の機関でも多国籍企業への「強力で効果的な規制」をもとめる流れが広がっていることを、さらに補強してのべました。
第五章第15項の選挙の問題では、つぎの四つの点を補強しました。
一つ目は、政局の不安定化のもとで解散・総選挙が早晩おこなわれうることを考慮し、総選挙と参議院選挙を一体の方針として整理しました。
二つ目は、選挙戦の得票目標について、有権者比得票目標という方針をあらため、「その選挙でかならず責任をもって達成すべき目標を、それぞれの選挙の性格や、それまでの到達点をふまえて決定する」という方針に発展させることを明記しました。
三つ目は、参議院の比例代表選挙に「非拘束名簿式」が導入されたもとでの選挙方針について、報告をふまえて補強をしました。
四つ目に、日本共産党後援会の重要性について補強をいたしました。後援会は党と支持者が協力して選挙戦をたたかう基本的組織であります。党支部がもれなく単位後援会をつくり、拡大・強化し、後援会員のみなさんの意見や要望にもしっかり耳を傾けながら、よく相談して、一体となって生きいきと活動することを重視するということを補強しました。
第六章第20項では、職場支部のとりくみの発展方向について、報告をふまえて大幅に補強しました。民主的政権をつくるうえで、労働者の多数を結集する活動のもつ全社会的意義、労働者の要求にこたえたとりくみ、リストラを合理化し、労働者支配をはかる新しい思想攻撃とのたたかい、職場支部の党生活の確立と強大な党建設の重要性などについてのべました。
最後に、第七章第22項ですが、若い世代を大胆に党に迎え入れるとりくみを、青年支部・学生支部が先頭にたっておこなうことはたいへん大事でありますが、これを青年・学生支部まかせにするのではなく、「党の総力をあげてとりくむ」ことの重要性を特別に強調する補強をおこないました。(拍手)
以上が、大会決議案を修正・補強した主な個所であります。そのほかにも字句上の修正があります。全党のみなさんの意見をふまえて、一言一句詳細に検討して、修正・補強をおこないました。
同志のみなさん。大会決議案は全党の英知を結集して、豊かにねりあげられました。私たちは、この文書が、二十一世紀の日本共産党のすすむべき道をさししめし、日本社会の発展方向をしめし、世界の大局的発展の展望をしめす、歴史的文書として仕上げられたと、確信するものであります。(拍手)
全党のみんなでつくった文書であります。同志のみなさん。全党が、わが党の“二十一世紀への宣言”ともいうべきこの歴史的文書を身につけ、これを縦横に活用して、きたるべき国政選挙での前進、強大な日本共産党の建設、そして民主的政権への道を切り開こうではありませんか。(拍手)
以上をもって、決議案と中央委員会報告にかんする討論の結語といたします。(大きな拍手)
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