日本共産党第22回大会

世紀の転換点に立って――未来ひらく息吹にみちた大会

不破議長の閉会あいさつ


 日本共産党第22回大会最終日の11月24日におこなわれた、「閉会あいさつ」は、つぎのとおりです。


「草の根」での活動、若い世代と女性の元気さ、そして未来をひらく明るさ 

 第二十二回大会は、いよいよ最後の議事を迎えました。

 この大会の五日間の討論には、私自身、たいへん多くの感動を覚えました。文字通り、世紀の転換点にふさわしい歴史的な大会、二十一世紀に新しい日本をきずく、その未来を開くたたかいの息吹がまざまざと実感された大会だったと思います。

 その実感は、おそらく私だけのものではなく、この大会に参加されたみなさん、また全国から熱い目でこの大会をご覧になっているみなさんの共通の気持ちだと、確信しております。(拍手)

 この大会には多くの外国の代表にご参加をいただきましたが、この方々が大会をどう見たかということも大事な点であります。さきほど、志位前書記局長が紹介しましたが、私もいろいろ感想をうかがうなかで、三つのかなり共通するものを紹介しておきたいと思います。

 一つは、この大会の討論を聞いて、「草の根」という言葉が外国のみなさんのあいだでかなり共通の言葉になったようであります。「だれも自分の意見をいうだけではない、そこには草の根での活動が反映している」、こういう声がどなたからも聞かれました。「代議員が自分の直接の経験を語る、わが国ではこういう習慣は失われてしまった」との感慨をもらす方もいました。「あなた方の大衆活動は世界の党のなかでも模範的だと思う。どうしてこれだけ大衆のなかに根を張っているのか、そこを知りたいと思う」という感想もありました。「代議員が現実の課題に集中して語っている、不幸にして私たちの国では、多くの代議員が、アジテーターとして語り、派手な議論で相手を打ち破ろうとする。それとはたいへん違った印象をもった」という方もいました。

 ある政権党の代表の方は、「日本共産党は野党だが、地方での活動の報告を聞くと、まるで統治の党のように活動している。そういう点での経験の交流をしたいものだ」という感想をのべられました。

 まさに日本全国津々浦々で草の根での活動がこの大会に反映し、集中している、そのことがこうした共通の感想になったのだと思います。

 もう一つは、若い世代の発言、女性の発言が多いのが印象深かったということも多くの代表から聞かれたことであります。あるヨーロッパの代表からは、「わが国でも、女性は家事その他で政治活動に参加することは非常に難しい。しかし、この日本では、女性の活動家たちが、五日間もの長い休みをとって政治的討論に参加している。そのこと自体がたいへん意義深いことだ」、そういう評価をいただきました。

 また、若い人たちの元気な発言の多いことについては、「あなた方の党の継続性を保障していると思う」と評価がありました。

 ここで一つ紹介しておきますが、今度の党大会での女性代議員の参加率はわが党の大会の歴史のなかで最高のものであります。(拍手)

 この歴史を数字で見ますと、一九六一年の第八回党大会でしたが、女性代議員の比率は五%でした。一九七〇年の第十一回党大会では八%でした。一九八〇年の第十五回党大会では一二%でした。一九九〇年の第十九回党大会では一八%でした。今回の党大会では二四%、四人に一人が女性の代議員であります。(拍手)

 また、この大会がたいへん明るかったということについても、多くの感想が聞かれました。ヨーロッパから来られたある代表は、「ソ連などの崩壊からくる悲壮さがまったくない、むしろ逆にそれが元気さの理由になっている、まったく驚くべきことだ」。こういわれたとのことです。「大会の討論に笑いが多い、だが同時通訳が訳すのが、笑いが過ぎたあとということが多く(大きな笑い)、それが残念だった」、そういう方もいました。

 本当に「草の根」での活動の反映、若い方や女性の元気な発言、そして未来に向かう笑いと明るさ、これが外国代表の多くの方々の共通の印象だったようであります。

 そして、私は、私たちの大会の討論をこのように注意深くずっと注目し、見ていただいた外国の方々に、党大会への大きな貢献として、心からのお礼を申し上げたいと思うのであります。(拍手)

日本の進路をめぐる提案の意義は、激動のなかでいよいよ輝く   

 私は、「開会のあいさつ」で、この大会の三つの任務についてのべました。大会はその三つの任務を立派にやりとげたと思います。

 第一に、二十一世紀の日本の進路について、大会は日本共産党の提案を全面的に明らかにしました。自民党政治が世紀末的な危機にあるだけに、このことの意味はいくら強調しても強調しすぎることはないのであります。

 私は、この問題を、最近の政局とも関連させて二つの角度から考えてみたいと思います。

 不信任案をめぐるさきのたたかいでは、自民党政治をいかにして打ち破るかがいや応なしに主題になりました。このたたかいでは、何をもって自民党の政治に変えるのか、その政策、方針、旗印が大事であります。

 今回の政局的な激動の特徴は、野党の側の不信任のたたかいと自民党の内部の党内抗争とが重なりあったところにありました。

 自民党のいわゆる反主流派には、野党の不信任案を活用して、自民党内での“政権交代”をという思惑もあったのではないかと思います。

 しかし、自民党の「本流」だという人に、自民党政治に取って代わる新しい政治の旗が掲げられるはずはありません。結局、最後の不名誉な“撤退”まで、ついにこの旗は掲げられないままに終わりました。この人は“森はだめだから、自分が大将になる”ということしか語れなかったのです。

 しかし、政治の中身は変えないで、政権の担い手だけ変えればいい、こういう“政変”が、何を意味するかは、九三年の自民党分裂といわゆる細川“非自民”政権のさいに、国民はすでにすっかり経験ずみであります。

 今回は、政治を変える旗印がなかったことは九三年とも共通でしたが、さらにそのうえに、それを主張した人が自民党分裂の覚悟もないまま旗揚げをしたというところに、九三年とは違った一つの特質がありました。

 この状況に応じて、野党の一部にも、旗印なしの“非自民”型の政変を演出しようとする思惑も一部にあったように聞きますが、今回の事態は、そんなやりかたでは自民党政治を変えることができないということを、事実ではっきりとしめしたではありませんか。(拍手)

 自民党政治のどこが悪いのか、それをどう変えるのか、その政治的な立場を明確にしてこそ、国民の期待にこたえて、二十一世紀の新しい政治をおこす先頭に立てるのであります。

 この党大会は初日から政局の激動と並行して進行しましたが、自民党政治を倒すためのもっとも大事なこの仕事に終始とりくんだのがわが党の大会であります(拍手)。そして大会は、その回答を国民の前に見事にしめしたのであります。

当面の改革の真剣な追求と、大きな未来展望と

 もう一つ強調したい角度は、政党として二十一世紀を語るとき、大きな未来展望をもつと同時に、当面の改革への真剣で現実的なとりくみをつよめる、この二つのことが大事だということであります。

 さきの総選挙のさいに、いろいろな勢力がわが党に攻撃の矢を向けました。その攻撃の論点の一つは、わが党が未来展望をもっているのが悪いという点でした。しかし、これは批判するものの視野の狭さを暴露しただけのものであります。

 二十世紀は、大会決議で明確にしたように、人類史のなかでも巨大な進歩を記録した時代であります。二十一世紀が人類のより豊かな可能性の花開く時代となることは疑いありません。そのときに、利潤第一主義の資本主義社会を人間社会の最高の到達点だと思いこんでいる政党、ましてやアメリカの基地国家というゆがんだ現実を永久不変のものと考えているような政党が、新しい時代の担い手となりえないことは、あまりにも明白ではありませんか。(拍手)

大会は、二十一世紀の党づくりに正面からとりくんだ

 第二に、この大会は、新しい政治をめざすこの事業を担いうる党づくりに、正面からとりくんだ大会となりました。

 七中総から党大会にいたる二カ月間に、私たちは、党員の拡大でも、読者の拡大でも、報告されたように大きな成果をあげました。しかし、成果はそれだけではありません。大会での討論が豊かに反映した全国の党組織、党員の活動そのものが、二十一世紀の党の躍進につながる無数の教訓をふくみ、今後さらに大きくくりひろげられるであろう“ロマンある展望”をしめしています。

 そして、大会が採択した新しい党規約は、わが党が、政策の面だけでなく、組織の面でも、新しい時代にそなえ、この時代を担うより大きな党に飛躍するための、土台をきずいたものであります。

 日本の進路をしめす「日本改革」の政策とともに、新しい規約を新鮮な力として、五十万の党づくりを内容とする「五カ年計画」をかならず成功させ、日本社会の多くの人々とのあいだに、より広い、より大きい、そしてより密接な対話と交流、相互理解の関係を広げてゆこうではありませんか。(拍手)

二十一世紀を“奥深く”まで望む党中央の新しい体制

 第三に、大会がやりとげた仕事は、新しい中央委員会と中央の指導機関を確立したことであります。

 この人事では、思いきった若返りが特徴であります。さきほどご紹介した二十名の常任幹部会委員のなかで、四十歳代、五十歳代の幹部が大きな比重をしめていることに、ぜひご注目いただきたいと思います。内訳をいいますと、七十歳代が三人、六十歳代が五人、五十歳代が七人、四十歳代が五人、平均年齢で五十七・〇歳であります。

 常任幹部会というこの機構がもうけられたのは、一九七〇年の第十一回党大会のことでした。それ以来の三十年の歴史のなかで、今回選ばれた常任幹部会は、もっとも若い常任幹部会であります。(拍手)

 これは、体制のうえでも、二十一世紀を相当奥深くまで望める(笑い)、主体的条件をきずいたものといってよいのではないか、私はそう確信しております。

 新しい体制のなかで、私は中央委員会議長の任にあたることになりました。私が党の中央委員会で中枢的な仕事をするようになったのは、一九七〇年の第十一回党大会で、この大会で新たにつくられた書記局長に選ばれたときでありました。そのときは、若いといわれたものでありますが(笑い)、三十年間、歴史は確実にその歩みを進めるものであります。私も七十歳になりました。

 新しい体制のなかで、私自身、党を代表するものの一人としてひきつづき党の活動のあらゆる分野で必要な責任をはたすつもりでありますが、国政のうえでは、志位和夫新委員長が党を代表する役割をはたすことになります。(拍手)

 全党が、この新しい中央委員会を先頭に、二十一世紀の歴史的な大事業に壮大な志をもってとりくむことを心から期待するものであります。(拍手)

決定は、実践し成果を得てこそ意義をもつ

 みなさん、党大会の決定は、決定するだけでなく、実践して現実の成果をえてこそ、その意義をもつものであります。党大会の決定を指針として、国民生活の基盤を揺るがす悪政とのたたかいに、また、きたるべき総選挙と参議院選挙、さらに東京での都議選など、当面のたたかいに、全党あげて精力的にとりくみ、新しい世紀の新しい前進をかちとるため、知恵と力をつくして奮闘しようではありませんか。(拍手)

 最後に、大会の成功は、代議員・評議員のみなさんの活動の成果であると同時に、全党の討論と活動がその実りを結んだものであります。また、実務をふくめ、各分野で大会をささえた多くの要員のみなさんの貢献にもたいへん大きいものがありました。私は新中央委員会を代表して、すべてのみなさんに心からの感謝を申し上げるものであります。(長い拍手)

 さらに、海外から参加された外国の代表のみなさんにも重ねて感謝の言葉を申し上げなければなりません。午前中にもいいましたように、この大会の模様をCS通信で見聞きした全国の同志からたくさんの感想がファクスで寄せられておりますが、そのなかにも海外からこれだけのみなさんが参加されたことにたいする感動の声が、たくさん書かれております。

 「海外代表がこれだけ参加している姿を見て、大会のもつ意味を力強く感じた」。「南北朝鮮を代表する方々の姿に、また海外代表の顔ぶれの多彩さに驚いた」。「これは党の国際活動の発展の反映だと思う」。「世紀の変わり目、時代の流れの新鮮さを印象づけられた」。「これらの代表が報告をきちんと聞いてくれている姿を見て感動した」。

 そういう感想が、こもごも寄せられています。それに加えて、会場のみなさんからも、討論に熱心に耳を傾けている海外のみなさんの姿に励まされたという声が、寄せられています。

 海外代表のみなさんはわが党の大会の構成員ではありませんが、ここに参加されたことによって、また、そういうかたちで討論にも事実上参加されたことによって、大会の成功にたいへん貴重な、言葉につくしがたい貢献をされた、そのことを強調して、あらためてお礼の言葉を申し上げるものであります。(拍手)

 みなさん、活動の方向は明白であります。大会の決定を指針として、知恵と力のすべてをつくすと、さきほど申し上げましたが、それをみんなの共通の気持ちにしてがんばりぬこうではありませんか。

 これをもって第二十二回党大会の閉会といたします。(長くつづく大きな拍手)

 


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