志位和夫委員長が6月5、6日開かれた日本共産党第四回中央委員会総会でおこなった結語は次のとおりです。
みなさん、二日間の会議、ごくろうさまでした。
私は、幹部会を代表して、討論の結語をおこないます。
四十三人の同志から発言がありましたが、三中総から半年あまりの「大運動」にとりくんだ全党の前進の息吹が生き生きと反映され、豊かな中身がたっぷり詰まった、充実した討論だったと思います。全国でCS通信を視聴した同志たちから一千通ちかい感想がよせられていますが、これも全体として報告の提起を共感をもって歓迎してくれています。
討論では、「三中総からの変化を思うと感無量だ」という発言もありました。たしかに三中総を思い起こしますと、参議院選挙での残念な後退、そこからいかに教訓をくみだし、いかに前進に転ずるか、そして情勢もまだ「小泉旋風」がつづいている状況があり、世界ではアメリカの報復戦争が猛威をふるっている状況もあり、そういうなかで党の役割に確信をもって前途をどう切り開くか――これらが三中総の課題だったわけです。
私たちは、これを指針にして半年あまりたたかってきました。そしてわが党の奮闘によって、情勢に大きな変化をつくってきた。党建設でも新たな前進の一歩を踏みだしてきた。その実践に裏付けられた自信と確信が、討論でも、全国からの一千通ちかい感想からも、力強く伝わってきました。
同時に、党の活動の問題点と今後の課題をリアルに直視した、新たな挑戦への意欲も沸き起こりつつあるということも、討論を聞いて心強く感じました。
この総会は、国会と同時並行でおこなわれました。
昨日は、有事三法案についての地方公聴会がおこなわれています。この地方公聴会は、与党側との折衝のなかでも採決の前提にしないと、与党側に確認させたうえで、おこなわれたものです。このなかでも、たとえば自民党推薦の公述人の鳥取県知事が、「手足を縛られたまま、責任だけ背負わされるのは耐え難い」とのべるなど、不安や批判が続出しました。有事三法案は、審議をすればするほどボロボロになっていく――出している当事者もボロボロになっていくし、法案もボロボロになっていく、これが現状です。
政府・与党は会期末をひかえ、おいつめられています。私は幹部会報告のなかで、「自民党は政権党としての統治能力を喪失しつつある」と言いましたけれども、これは国会運営を見ても痛感させられます。
しかし、ここで手をゆるめては絶対になりません。相手は会期延長をふくめ、強行の構えをくずしていません。有事三法案、医療改悪法案をはじめ、すべての悪法を廃案においこみ、悪法強行をはかる勢力が、これを出してきたことによって、逆に徹底的な打撃をこうむるところまで、たたかいの発展をはかろうではありませんか。
この点で討論のなかで、沖縄県、長野県、高知県などから報告されたように、国会でのたたかい、中央段階での共闘とともに、地方でも悪法阻止のためのさまざまな形態での共闘態勢が広がっていることは重要であります。ある県からは、かつての安保共闘の時に匹敵するような広がりがつくられつつあるという報告もされましたが、壮大な規模で全国津々浦々に共闘態勢をつくりあげて、この悪法の息の根をとめるまでがんばりぬきたいと思います。
いま日本の政治情勢は、小泉政治の破綻(はたん)で、新たな激動的局面に入っています。この激動的局面が今後どう展開していくのかは、予断をもっていえませんが、「自民党を変える」と叫んでの大がかりな延命作戦が破綻したところからおこっている激動だけに、自民党にとっていよいよ深刻な危機をはらんだ激動的局面であることはまちがいありません。
ただこれは、新しい政治への転換には、自動的にはつながりません。この激動を、新しい政治の前進に結びつけることができるかどうかは、わが党がどうたたかい、党の主体的力量をどう大きくするか、そしてきたるべき総選挙といっせい地方選挙で勝利をかちとれるかどうかにかかっているということを、おたがいに肝(きも)に銘じて奮闘したいと思います。
国際問題にかかわって、不破議長の昨日の発言で、マレーシアで開催された「ASEAN戦略国際問題研究所」主催のアジア太平洋円卓会議での、緒方国際局長の奮闘が報告されました。
緒方さんが、インド・パキスタンの問題で、非同盟運動の大義にたった平和的な解決を求めたい、話し合いのテーブルにつくべきだ、どんなことがあっても核兵器を使ってはならないと発言し、それを受けてインドとパキスタンの代表もふくめて、前向きの討論がその場でおこなわれた。最後は、全体の拍手でこのセッションが閉幕したという報告でした。
道理にたって世界に働きかける――これはわが党の自主・自立の外交の基本ですが、このわが党の役割が、この総会と同時並行で発揮されたということは重要なことです。
インド・パキスタン問題については、国際政治のうえで重大な問題ですので、幹部会報告が総会で採択されれば、不破議長と私の連名での書簡という形で、わが党の立場をインド・パキスタン両国政府に伝えたいと考えております。
「大運動」の成果と教訓を全党の確信にし、選挙勝利を前面にすえて、いかにして党建設・党勢拡大を本格的な前進の軌道にのせるか、という問題についても、討論で深められました。
私たちはいま、党勢拡大運動の継続的な発展をめざしているわけですが、じつは、「大運動」とか「月間」などと銘打たないでの、党勢拡大の継続的な発展ということは、わが党の歴史のなかでも、あまりやったことがないものなのです。これは新しい挑戦だということを強調したいのであります。
ですからこれを本当にやりとげるためには、五月のとりくみがその第一歩だったわけですが、「大運動」以上の不退転の決意とともに、新しい探求が必要であります。わが党の活動の水準を、「大運動」の教訓を全面的に生かしながら、その延長線上にとどまらないで、量質ともに引き上げる。そのためのいっそうの自覚的・創意的なとりくみへの新たな脱皮が必要であります。
そういう立場から幹部会報告では、三つの留意点ということをのべました。職場支部の前進と青年・学生の結集、党員と読者の拡大の前進をどうはかるか、「量とともに質を」のとりくみの発展についてのべました。
党員拡大では、これを党建設の「根幹」と位置づけ、「二つの広く」にたったとりくみをすすめるならば、前進の大きな条件と可能性が存在することが、討論でも、全国からの感想でも、全党の実感となりつつあると思います。これはひきつづき力を入れて、前進と飛躍をはかりたいと思います。
読者拡大をどう安定的な前進の軌道にのせるか。これは前進の一歩が始まっておりますが、まだ安定的とはいえないものです。報告でものべたように、率直にいって中央も地方も「苦労と模索」の段階にあると思います。
報告では、いかに自覚的に毎月前進する支部を全党の大勢にしていくかという基本とともに、二つの問題提起をおこないました。すなわち、いかに“土日型”、“月末型”、“いっせい行動型”だけの活動からの脱皮をはかるか、いかに減紙を減らすかという問題です。
これは、おたがいにいちばん苦労しているところですから、討論でも、全国の感想でも、多くの同志が、この問題提起自体を、たいへん新鮮に、そして積極的にうけとめてくれています。この問題の解決は、これからの全党の実践と討論によって、たがいに探求し、打開をはかっていきたいと考えています。
報告で、これを解決する一つのカギとして、「一人ひとりの党員が結びつきを生かした日常的な対話を大いに重視しよう」とのべたことに、たいへん多くの共感の声が全国からもよせられたことは、重要だと思います。全国からの感想のなかでは、「たしかにここで、これまでの活動からの脱皮が必要だ」「さっそく日常的な対話にもとりくんでみよう」と決意をつづったものも少なくありませんでした。
対話というのは、人と人とが接する、あらゆる接点でなりたつわけです。そして党活動のあらゆる分野の活動の基礎となるものだと思います。たたかいでも、党勢拡大でも、選挙でも、国民の日常的な要求や関心にもとづく対話と討論がどれだけ広くとりくまれているか、どれだけの広いすそ野をもってとりくまれているか、これがとりくみを発展させる基礎になっていくと思います。
そして考えてみますと、どの党員も、日常的な生活のなかで対話をおこなっているわけです。もちろん人によってさまざまですが、ずっと黙って生活をしている人はいないわけで、対話をしているわけです。ご近所とも対話する。職場のなかで仲間と対話する。いろいろな対話が、毎日の生活のなかで無数におこなわれているわけです。
それをどう「党としての対話」にしていくか。これが自覚的にとりくまれるならば、ここが前進のたしかな出発点になっていくと思います。
対話というのは、一方通行ではありません。対話なのですから。相手の声と要求を聞くこと、そして党と「しんぶん赤旗」を語ること――この双方向でとりくまれるのが、対話です。声と要求を聞くだけで終わってしまう対話もあるでしょう。私は、それも対話の第一歩としておおいに大切にすべきものだと思います。そのつぎには、その関心にこたえて党や「しんぶん赤旗」を語ろうということにも、なっていくのではないでしょうか。そういう気持ちにたてば、だれでも気軽にとりくめる活動になっていくのではないか。そういう対話と討論ということを、党の日常的な活動としてうんと重視していきたいと思うのであります。
「支部が主役」の支部づくりも、一人ひとりの党員が自覚的に、日常的な結びつきを生かした対話ができるようになるために、それをみんなで励ますような支部をつくることが、目標の一つになるのではないでしょうか。
支部が自覚的な政治目標をもち、「学ぶ気風」を強め、「週一回の支部会議」を定着させることが、一人ひとりの党員が結びつきを生かした対話にとりくめるようになる支部づくりでもある、と思います。
そして、そういう支部を全党の大勢にするような党機関の水準の向上ということも、報告で提起しました。そこで、「おしつけ型」ではなくて、どんな支部のなかにも存在するであろう「前進を願う内発的な力・動機」を見つけて、それに依拠して前進をかちとる指導を、支部といっしょになってとりくもう、そういう姿勢での指導水準の向上の努力をはかろうということを提案しました。
これも全国の同志の感想をみますと、たいへん多くの同志から共感の声とともに、ぜひそういう方向で努力をしてみたいという声がよせられていることは、うれしいことです。
指導とは何でしょうか。党の路線や方針に対する納得を、みんなのものにすることは、もちろん指導の重要な内容です。同時に、支部がもっている前進への願いをみつけ、一人ひとりの党員の要望によく耳を傾け、支部がみずからの内発的な力で成長していけるように援助をはかるということも、指導の大事な中身だと思います。これが、「支部が主役」の活動に自覚的にとりくむ支部を、全党の大勢にしていくうえで、いま求められている指導の大事な姿勢ではないでしょうか。
幹部会報告では、第三章で、わが党の八十年の党史をふりかえって、「八十年の党のたたかいは、二十一世紀に生きる大きな財産をつくった」という角度から、わが党の不屈のたたかいの歴史的意義についてのべました。
不破議長は、きょうの発言のなかで、巨大な社会進歩の時代としての二十一世紀の大局的な特徴と展望、そしてその二十一世紀の国際舞台で社会進歩のどんな力が働くのか、八十年の歴史をへた日本共産党の到達点がどういう意義をもつのか、二十一世紀に日本共産党がどういう役割を果たすべきかなどについて、大きな視野で解明しました。
七月八日には、党創立八十周年の記念講演会も予定しています。それから、上田副委員長が発言したように、ちょうど党創立八十周年にあたる七月十五日には、新しい党本部ビルの第一期工事が完成します。この建設のための募金が全国でとりくまれましたが、二十五億円という第一次の募金目標が、ほぼ達成できる見通しになりました。ご協力をいただいた多くの方々にあらためて心からの感謝を申し上げるものであります。
わが党の歴史は、真理と道理にたつものは、いろいろな紆余(うよ)曲折があっても、山や谷はあっても、必ず勝利者になるということを、しめしています。八十年の党史に誇りをもって、総選挙といっせい地方選挙などのきたるべき政治戦と、党建設・党勢拡大の前進のために、私たち中央委員会が先頭にたって全力をつくす、その決意を固めあって結語といたします。ともにがんばりましょう。
(2002年6月8日(土)「しんぶん赤旗」に掲載)